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一期一会 ~笑いまひょ~ *ひろニコ時々便り*
--目覚め~抜糸--
2001.6.9-2001.6.19
病室に戻ってきた時の事はなんとなくうっすらと覚えている。
かすかに、「Oさん、Oさん」と声が聞えたような?
目を開けて、話そうとするが、口元には酸素マスク、その上、繋がれた点滴には睡眠薬が入っていたんだろう、
両親の顔を確認してまた目を閉じた。
そんな中、はっきりと覚えているのは主治医に「ありがとうございました。」と言えたこと。
これは口が覚えていた。
手術後はナースステーション横の回復室にいた。
母達が帰ってから何時間位が過ぎたのかな?
ココには時計がないから時間の進み具合もわからない。
目を開けてキョロキョロする、隣にはもう1人誰か居るのが確認できた。
体には点滴、尿カテーテル、胸からは何かチューブが出ている。
それに酸素マスク。自由にならない体。あぁ、腰が痛い。
胸がずっしり重い。天井を見ながらこんな事を考えている。
そうしていると、ナースが色々チェックするために入ってきた。
「すみません、今、何時ですか?」そうすると「午前1時過ぎよ」と。
まだ1AMなのか。。。夜明けまでまだまだやな、、、眠れそうで眠れない。
ナースが来るたび「すみません、何時ですか?」って尋ねていた。
うつらうつら眠っては、目が覚めてる。こんなに時間が長いと感じたことは初めて。
そうしていると、空が白み始めているのが確認できた。嬉しかった。
午前6時過ぎだろうか?ナースが採血に入ってきた、、、やっと周囲が動き始める。
何度刺しても血管には入らない、、、右腕のリンパ腺は取っているので左腕だけが頼り。
それに点滴のルートも取っているということで困っている。諦めて足の血管へとチャレンジするが、これまた失敗。
太い血管なのにな~。ナースがDrを呼びに行った。
結局、またの付け根の動脈から採血、、、こんなん初めて。動脈採血はDrしか出来ないと聞いたような?
まぁ、いいか。無事に採血終了。
午前8時前位から外の廊下もザワザワと騒がしくなる。
食事なども配られているみたいだが、私はまだダメらしく、水分補給だけOK!の許可が出る。
あぁ、美味しい。
それから介助してもらい、病院着から自分のパジャマへ着替えられた
。右腕はがっちり固定されているし、左腕は点滴ルートを取っているのでパジャマに着替えるのも一苦労。
その後、胸部のレントゲンがあるとかで・・・。
本当なら付き添いがいるところだが、一人でも大丈夫やと思ったから、地下にある放射線科まで。
もちろん点滴はお供、自由に転がるスタンドを片手に。それともう一つ、体にくっついている物が。
そこの病院ではJバックと呼んでいたが、一般的に
ドレーンバック
というらしい。
※ドレーンバック:体内の手術創から、血液やリンパ液がたまらないように、
廃液を体外に排出する真空のプラスチックバッグで、細いチューブ(ドレーン)が数本出ています。
乳房切除術の場合、胸筋と皮膚との間も大きく、血液やリンパ液が流れて手術部位にたまり、
手術創の治癒が遅れるので、たまったリンパ液を廃液管で出す必要があります。
はじめは血液が混ざって赤い色をしていますが、徐々に色が薄くなり、液量も減ってきます。
排出される液の量と色をチェックすることで、手術創内部の治癒の状態を確認します。
排出液がなくなれば抜管できます。
乳房の手術ですから、できるだけ、傷が目立たないように、切る場所も考えて行われます。
また、できるだけ細い糸を使い、傷の表面は、ノリ付きの無菌テープ(サージカルテープ)で止めたりします。
ドレーンバッグを入れるためのポシェットはナースセンターで貸してくれます。
レントゲン室の前に行くとやはり色んな患者さんが来ていて、一人のおじさんは胃を手術したらしく、
前かがみになってしきりに痛がっていた。
一方、私は普通。切る場所でこんなにも違うんだなと思った。
無事に胸部レントゲンを終え、病室に戻ると、母と姉が来ていて、ビックリした顔でこちらを見ていた。
それもそうだ、昨日手術したものが、普通に歩いているんだから
。今は早期離床を唱える病院も多く、歩ける人はどんどん歩くというような感じ。
お昼には全粥になっていた。入院中、何よりの楽しみは食事なんだから。
そこに一つのメッセージカードが。
~昨日は手術お疲れ様でした。全身マスイで 体も大変疲れたことと思います。
無理せず ゆっくり療養して 体力回復してください。 お体 お大事に。H13.6.9 手術室スタッフ一同~
色折り紙で作ったきれいな紫陽花が咲いていた。
入院生活なんてと思っていたが、入院しなけりゃ体験できなかった嬉しさやったわ。
母は個室を希望していたが、あいにく満室。6人部屋の一番お日様がよく当たる、窓際になった。
っていっても、西日だから暑かったけど。
ゆったりとした川の流れと、遊び場である大阪ミナミの明かりが見えるから満足。
同室の人は3人で母世代から、祖母世代。私が1番若かった。
お向かいのおばさんは抗がん剤をりようしているようで、いつもカーテンを閉め切っていた。
顔を見たら挨拶はするけど、いつもなんだか不機嫌そうだ。
もう一人、廊下側のベッドには車椅子のおばさん、骨折かな?この人はとても穏やかに話しかけてくれた。
後から判ったことだが、私が術後すぐに寝ていた回復室、
隣で寝たきり状態になっていた人はこの車椅子のおばさんの父親だった。
最期が近いらしい・・・。
病院での生活リズムを掴めば、過ぎていく時間は早いもので、朝の検温、問診、ガーゼ交換、
昼飯、昼の検温、リハビリ、夕飯、消灯とあっという間。
最初の5日間は朝夕に抗生物質の点滴があるように、時々違う検査などが入ってくる。
昼食がすんでしばらくすると母がやって来てくれていたので、その時間も待ち遠しかった。
リハビリの方もパンフを利用して物から、リハビリ室でのものに変わる。
毎日、昼の検温を終えてから10Fにあるリハビリ室へ!
この病院は脳外科もあるので、脳疾患の方や整形外科経由での患者、毎回いっぱいだった。
マッサージから始まり、じゃんけん、手関節の回旋、肘関節の屈伸、上肢前方上下振りetcと段階を上げていく。
日常生活の動作では、服の着替え、洗面、歯磨き、タオル絞り、寝具の整え、
カーテンの開閉、丸首シャツの着脱etcとこれもまた順を追ってとなっていった。
なんせ利き腕の右が術側なので気を遣ったな。
でもある日、寝転がりちょっとした負荷を掛けながら腕を上げ下げする動作のリハビリがあったんだけど、
余裕な顔で上げ下げするものだから、リハビリの先生は驚いていた。
「術後、これだけすんなり出来るもんなぁ、術前はどれだけ筋力あったんやろ?」って。
ん~人それぞれ、他の人はどれ位なんだろう?それが気になった。
何もかもが順調に、そして術後10日目、抜糸。
初めて、じっくり自分の胸とご対面。Dr.Nっちとナースが入ってきて、消毒して後、ハサミでパチッ!パチッ!と抜糸されていく。
感覚はないが、なんか痒かったような?寝転がって自分の胸を覗き込むのは、キツイ体制であり、首が攣りそうになった。
ナースは「手を握っててあげようか?」って。
ありがたいコトバだが、そんなに柔に見えるかい?(笑)
こっちは見たくて見たくて仕方ないんだよ~。って内心思ってるのに。
抜糸と同時に、いつも首からぶら下げていたJバック(ドレーンバック)も外れた。
結構長いドレーンが入っていたみたいで、引き抜くときニョロニョロニョロ~と……。
Dr.Nっちは「キモチ悪ッ!」って。
おい、おい!君が入れたのにさ~。
これもユーモアあるNっちの不安になっている私を笑わせるためのコトバなんだ。
不安どころか、興味津々なのにね~。
抜糸も済んだし、胸のドレーンも外れた、後は1回目の抗がん剤と退院だけだ。
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