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August 5, 2010
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カテゴリ: 貝の鳩



 ジークだ。こんなところにのこのこやって来るなんて!ミシェルは唇をかんだ。

「あれ?あのチビは一緒じゃないのか?それとも血まみれで動けないのか?」
「悪いが、俺には男をはべらせて連れ歩く趣味はないんでね。今頃トイレ掃除でもしているんじゃないか?」

 ざっと今にも踏み出しそうな足音がした。

「もういいジェラール!ここに指揮官を連れて来ただけで充分だ」
「どういうことだ、グレゴワール。割れたガラスの入った雑巾では掃除が出来ないだろう」

 相変わらず落ち着き払った声だが、ミシェルは思わず首をかしげた。窓拭きをしていた雑巾にはなにも異常はなかったのだ。

「チビはどうした。お前のかわいいペットなんだろ?」

「くっそ!そんなことを言っていられるのも今日までだ!」

 グレゴワールの怒声で、一気にしんと静まり返った。建物の影からそっとのぞくと、グレゴワールの拳銃が見える。なんとかしなければ!ミシェルは足元にあった小石を拾うとすぐさまグレゴワールの手元をめがけて投げた。金属に当たった小気味いい音が響く。
手元が狂ったグレゴワールは青い馬に風穴を開けた。

「誰だ!」

 駆け寄ってくるマッド・ジェラに足払いをかける。すぐさま起き上がったジェラはその小さな影を睨みつけた。背後ではジークがグレゴワールの拳銃を奪い取って組み臥していた。

「どうする?まだやるのか?」
「このチビが!ふざけやがって!」

 くまのように両手を振りかざして襲い掛かるジェラをかわして後ろに回ると、後頭部に一撃を与え、太い腕をねじ上げた。

「なんだ。もう終ったのか?」

 宿舎からやってきたラミネスはたいして急ぐ様子もなく歩み寄ってきた。

「遅いぞ」



「まあいいじゃないか。面白いものを見せてもらったよ。しっかしコイツにこんな力量があったとはね。いい相棒になりそうだな」
「ふん」

 ジークは否定も肯定もしなかった。グレゴワールとジェラはラミネスが連れて来た第1部隊に捕獲され、連行されていった。
 それを見送るミシェルの後ろでラミネスが悲鳴を上げた。

「なんてこった! この前新調したばっかりの国旗が!ちくしょー!もっと早く来てとめるべきだったー!」




 年が明けてすぐ、王室では新年を祝うパーティーが開かれ、毎年活躍した兵士たちが招かれる。今回はジークもその一人として招待を受けた。
ジークは軍服に身を包み、髪を整えてミシェルを呼び立てた。

「用意は出来たか?」
「は?指揮官。、私は招待されておりません」
「ばか者!王室に招かれるときに武器など持っていけないだろう。ギリギリまで護衛をするのがお前の務めだ」

 ムッとしながらも急いで軍服に着替えると、ジークと共に迎えの馬車に乗り込んだ。馬車は思いのほか快適で、木漏れ日のもれる森を眺めていると思わず笑顔になる。

「お前が招待されているわけではないぞ。気を引き締めろ」

 指揮官の檄が飛ぶ。同乗していたほかの部隊の男達の失笑にへそを曲げそうになる。

 パーティーの会場は王室の持つ別荘地で行われた。広い庭は芝生で覆われ、美しい小川や鮮やかな緑がすばらしい。王室に招かれた兵士たちは別室に呼ばれて王室からの勲章が授与される。ミシェルや他の護衛たちは、庭の外を警備するよう命じられた。


「軍人たちはそろったのか? ウイリアム王が見える頃だ。危険のない様に警備を怠るな」

 ウイリアム王の実弟ラングレイは神経質に警備の近衛兵に命じる。

「はっ! 本日は表彰される軍人の警備を担当する兵もおりますので、警備は一層厳重かと」
「よし、抜かりないようにな」
「はっ!」

近衛兵を退室させ、ラングレイは庭園の周りを双眼鏡で偵察していた。

「ん?あれは? まさか、王女?」

 ラングレイはすぐさま先ほどの近衛兵を呼びつけたが、意外な返事が返ってきた。

「あれは、本日の表彰軍人の警備兵です。確か、陸軍の小隊でジークという者に伴われてきておりますが」
「陸軍か、なるほど。それで、ジークという者の功績は?」

 近衛兵が慌ててメモを取り出し、読み上げる。その間もラングレイの視線はミシェルに注がれていた。






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最終更新日  August 5, 2010 03:34:10 PM
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