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2008年03月14日
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カテゴリ: 航空&ミリタリー
 歴史において、あるいは事実認識を行うとき、「たら、れば」は意味が無いとされる。
「世界最強」という言葉には「もし戦ったら」とか「戦うことあれば」がセット。
「世界最強の制空戦闘機」と呼ばれた、F-15イーグル。
さまざまなデータはあるが、もちろん根拠はない。
今は実戦経験がないと思われるF-22ラプターが、「世界最強」と呼ばれる。

 もっとも、下記の条件によれば話が変わる。
ほぼ同じ空戦機動能力と武装をもち、F-15の半分程度、F-22の8分1程度の価格と思われるF-16が米空軍では「強い戦闘機」ということになる。

 ミグ(mig-29、35)やスホーイ(Su-35、37)まで入れて比較しだすと、軍用機の価格比較が不可能なこともあり、話は尽きない。
 「世界最強」は面白い。



 強い戦闘機の諸条件

 ジョン・ボイドやダブル・アタック法の考案者であるエヴェレスト・リッチョーニ、ピア・スプレイといった人々は、複雑さ、コストその他と無関係に空対空戦闘で有効な戦闘機を求め続けている。彼らが追求しているのは、コストがあまり高くなく、たいして複雑ではなく、稼働率が高く、そして大量に購入できる航空機の研究である。
 スプレイによれば、戦闘から導き出された戦闘機の有効性の基準は、次のような順序になる。
(1)敵に奇襲されずに奇襲攻撃をかけられること(第一次大戦からベトナムまで、撃墜された機体の65~86パーセントは気づかないうちにやられている)
(2)敵を空中で数的に圧倒できること(70機のはるかに性能の勝るメッサーシュミットMe262は、2000機の性能の劣るP-47サンダーボルトとP-51マスタングにより押さえ込まれてしまった)
(3)敵より優れた機動で射撃位置につくことは、パイロットの能力と訓練、エネルギー機動性、加えて瞬間的性能によっている。
(4)一瞬の機会を捉えて確実に撃墜すること(空中戦では常に目視の識別が求められる。交戦する機数が多いほど、射撃の機会は短くなる)


 『世界の名戦闘機TOP10』
 (Discovery CHANNEL)



 ところで全機退役が決まったF-117は「戦闘機」だったのだろうか?

 F-117、ナイトホーク。
 1981年初飛行。1982年部隊配備開始。
 配備機数59機。
 価格は約4,500万ドル。議会資料では1億2,200万ドル。
 1991年、湾岸戦争のピンポイント爆撃シーンで一般に有名になった。
 2008年4月22日、全機退役処分。

 目視による発見を避けるため、人目を忍んで夜間こそこそと一人で敵地に出掛け、いきなり爆弾を落として帰ってくる「戦闘機」だった。

 本体はF-22(1億3,750万ドル)よりは安いようだが、レーダー波吸収素材のメンテナンスコストが高かった故の引退とか。
 退役に至るまでナゾだらけ。


米空軍のF-117ステルス戦闘機が完全引退、27年の歴史に幕
 (Technobahn 2008年3月12日)

F-117が全機引退、米空軍にとって重荷だった理由とは?



『ステルス戦闘機-スカンク・ワークスの秘密』



 1/48 フランクリン・ミント





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最終更新日  2008年03月15日 13時49分20秒
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