分娩室

【昌ちゃんの産まれた日】

*分娩室*



少し、息む容量が掴めたけど、何となく漠然としたまま分娩室に向かった。



痛い。痛いなんてもんじゃない。

体の真ん中でずし~~っと裂けるような間隔。

じりじり押し進んでくる間隔。

呼吸もうまくできない。

陣痛室から分娩室なんて歩けば5秒ぐらいなのに、全然、歩けない。

”急がなくていいですから、、。



”痛いのに、急げるわけないでしょ~~”と言いたいのか言いたくないのか、
訳分からず痛いまま、分娩台にあがった。

もう、息みたくてしょうがない。



途中で助産士さんが交代した。可愛らしい人だった。
すごく真剣な顔で分娩台で息むママをじっと見つめている。
分娩台にあがった途端、また酸素マスクを付けられ、点滴を付けられる。
点滴のお注射なんて、全然、痛くない。
というより、そんなの全然、痛みにはいらない。



”はい、いいですよ。息を吸ってください。、、。はい、息んで!”
ママは、助産士さんのリードに従う。
ママは、なぜだか分からないけど、この助産士さんは大丈夫!と直感的に思った。
昌ちゃんもママの中からぐいぐい外に出ようとしている。

ぐぐぐぐ~~っと大きな波が来る。



”頭が見えてきましたよ。”

あ、そうなの!?よくわかんないから、いいや!
助産士:赤ちゃんが出にくいので導尿しますね。
ママ:え~~、ほんとう!?それって、雑誌だけの知識じゃないのぉ!?
痛いんじゃないのぉ!?

陣痛で痛いくせにまだ痛みの心配をママはしている。
助産士:入れますねぇ。
ママ:ん?

全っ然、痛くない。痛くないんだよね~~。
出産後のトイレでは、痛かったけどね。



”頭が、もうちょっとで出ますから、がんばってくださいね。”

ママが必死で息む中、外来の終わった担当の先生が、
ママの赤ちゃんを取り上げてくれようと分娩室にやってきてくださった。



ママは、分娩台で息んでいる。
パパは、ず~~っと、手を握ってくれていた。
息むとき、全身にものすごい力が入る。
この時、パパは、ぎゅ~~っとママの手を握っていてくれた。

とっても心強かった。

”後、ちょっとで頭が出ますよ”さっきも聞いたなぁ、そのセリフ。と思った瞬間!



”頭が出ました!息を短くハッハッハッてして!”

訳も分からないまま指示に従った。

”生まれましたよ!”

あ~~,産まれたんだぁ。

”先生、後産の処置お願いします。”とか何とかでママの体から胎盤を出して、
パパが”おめでとうございます。”と言われながら、
生まれたての青白い昌ちゃんを抱っこして、どっかに行ってしまった。



ほんの1時間弱のことなのに1日中のことのように長く感じられた。



昌ちゃん誕生 に続く

とんとん
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