「のり2・クラシカ」鑑賞日記

「のり2・クラシカ」鑑賞日記

2007年1月~4月 コンサート一覧


NHK交響楽団 第1586回定期

1・プロコフィエフ
   古典交響曲作品25

2・プロコフィエフ
   ピアノ協奏曲第2番ト短調作品16
     ユジャ・ワン(ピアノ)

******* intermission *********

3・プロコフィエフ
   カンタータ「アレクサンドル・ネフスキー」作品78
     イリーナ・チスチャコヴァ(メゾ・ソプラノ)
     東京混声合唱団


2007.1.13 NHKホール 15:00 2-R7-20


 2007年度初めてのコンサートはN響定期Cプログラムでオール・プロコフィエフ
指揮者はN響名誉音楽監督のシャルル・デュトワさん、昨年4月以来のN響定期登場。

最初の古典交響曲はすっきりとした辛口の演奏。
次に中国生まれのユジャ・ワンさんのピアノ独奏で協奏曲第2番、4楽章からなる作品でワンさんのピアノ卓越した技術ですが時としてオケの中にピアノの音がうずもれてしまい少し残念。

休憩を挟んでカンタータ「アレクサンドル・ネフスキー」
とりわけ東京混声合唱団の熱演が光った演奏会、オケも管、打楽器陣が大健闘。

コンマスは篠崎さん、ホルンは松崎さんの1番に加え樋口首席も参加。

2曲目のネフスキーの歌の力強い出だしと終曲7曲目アレクサンドルのプスコーフ入城での東混のハーモニー、合唱力に目を瞠りました。
メゾ・ソプラノのチスチャコヴァさん、声にもう少し押し出しが欲しいところですが贅沢な注文ですね。

デュトワさんの指揮ぶり今までのような精気に少し欠ける印象がしたのですが気のせいかな。。。

ネフスキーの終曲、アレクサンドル軍の凱旋と歓迎の賛歌では合唱オケとも堂々の迫力でフィナーレ。早速BRAVO!の一閃が。
★★★★☆

追記:ステージでは最後に本日で定年退団されるヴァイオリンの村上和邦さんに女性楽員から花束の贈呈が行われ会場からも惜しみない拍手が、村上さん、お疲れ様でした。
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チョン・ミョンフン指揮
東京フィルハーモニー交響楽団 第732回サントリー定期


1・メシアン
   トゥーランガリラ交響曲
     横山幸雄(ピアノ)
     原田 節 (オンド・マルトノ)




 2007.1.23 サントリーホール 19:00 2-C8-29

 ピアノ、オンドマルトノが重要な役割を果たす長大な曲を横山幸雄、原田節の望み得る最高のソリストと作曲者メシアンに16年前に「私の全要求に完全に応えている」と言わせたミョンフンの指揮での演奏ですから悪かろう筈がありません。

今夜のコンサート、空前絶後の名演奏です。東フィル、久しぶりの18型(18-16-14-12-10)の巨大編成で様々な打楽器たちが登場、チエレスタは何と2台もステージ前方に並びます。珍しくテンパニだけが除外されていてステージには見当たりません、その替わり大太鼓が重要なアクセントの役割を果たして頻繁に活躍。

ミョンフンさんの的確な指示に東フィルの面々も精一杯応えて想像以上の演奏を披露、特に緩急の激しさや音の強弱のニュアンスを見事に表現、このところ東フィルは好調のようでうれしい限り。

ソロの横山、原田お二人の活躍も忘れてはなりませんね。
文句無しの★★★★★
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大友直人指揮
東京交響楽団 第543回定期


1・細川俊夫
   オーケストラのための「空の風景」(2006)委嘱新作

******* intermission ********

2・イベール
   アルト・サクソフォンと11の楽器のための室内小協奏曲
     須川展也(アルト・サクソフォン)


****** intermission ********

3・シベリウス
   交響曲第2番ニ長調


2007.1.27 18:00 サントリーホール 1-18-28

本日は非常に充実した演奏会だった。

東響へ意欲的な作品を提供している細川俊夫の新作「空の風景」、ステージ中央に置かれたピアノ、ハープの両サイドに弦楽5部が左右に分かれて編成された珍しい配置、まるで二つのオーケストラがそれぞれの旋律をたゆたうように流れては浮かぶさま、野心的な作品で傑作です。
楽器配置を元に戻すために10分の休憩が設けられた。

須川さんを迎えてのイベール作品、相変わらずのヴィルトージ発揮でオケも小気味良いサポート。

さてシベリウス2番、東響の弦楽、久々重心の低い重厚な音色、大友さんの指揮は非常にオーソドックスなものでありながら作品をスコアをじっくり読み込んだ解釈で堂々とした演奏へ導きました。

大谷コンミス率いる弦楽群の熱演、ボーマンさん(チェロ)のしみじみとしたソロ演奏、管楽器では特にハミル率いるホルン隊のハーモニーが秀逸。
終楽章の感動的なフィナーレではおもわず感涙。
★★★★★
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パイオニア所沢吹奏楽団第17回定期演奏会
指揮:大澤和幸

第1部 
1・ザ・パイオニアーズ/P・スパーク

2・アーデンの森のロザリンド/A・リード

3・交響詩「エグモント」/B・アッペルモント 


****** intermission ******

第2部 
4・シング・シング・シング

5・心の愛

6・フィール ソーグッド

7・オーメンズ・オブ・ラブ

8・リトル・マーメイド・メドレー 他


 2007.1.28 14:30 所沢ミューズ・アークホール 2-1-13

 毎年招待を戴きながら他のコンサートとバッティングのため失礼を重ねていました、久々に聴くことが叶いました。

メンンバーはFL6,CL13,BCL2,OB2,BAS2,SAX9,HRN9,TRP7,TB6,EF3,TB2,CB3,TP1,PEC5,GIT1の大編成(プログラムのメンバー表から)でミューズ・アークホールに盛大な音が鳴り響きました。

曲目により多少のムラはありましたが概ね立派な演奏でした。
管ではトロンボーンがきれいな和音ハーモニーで特に印象に強く残りました。
3番目に演奏された「エグモント」でのタムタム(どら)の最強奏にはびっくり!
強烈な音でした。

沢山のお客さんとともに楽しく満足できたコンサート。

過日新聞報道でも目にしましたがパイオニアの所沢事業所のこの春での閉鎖による撤退問題、非常に残念なことではありますが今後も所沢で演奏活動を展開していく予定とのこと、これからも頑張って欲しいですね。
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レ・ヴァン・フランセ

 エマニュエル・パユ(フルート)フランソワ・ルルー(オーボエ)
 ポール・メイエ(クラリネット)ラドヴァン・ヴラトコヴィチ(ホルン)
 ジルベール・オダン(バソン) エリック・ル・サージュ(ピアノ)


1・ジョン・ケージ
   管楽器のための音楽(木管五重奏)(Fl,Ob,Cl,Hr,Bs)


2・J・ハイドン
   ロンドン・トリオ ト長調Hob.IV:2&Hob.IV:3(Fl,Ob,Bs)


3・ティエリー・エスケシュ
   レ・ヴァン・フランセのために書かれた新作(日本初演)
(Fl,Ob,Cl,Hr,Bs,Pf)

*********intermission **********

4・ベートーヴェン
   ピアノと管楽のための五重奏曲 変ホ長調 OP16
(Ob,Cl,Hr,Bs,Pf)


5・プーランク
   六重奏曲(Fl,Ob,Cl,Hr,Bs,Pf)


2007.2.8.19:00 所沢ミューズ・マーキーホール 2-A-33


所沢市民センター・ミューズにある3つのホールの内、中ホールに位置するマーキーホールでのレ・ヴァン・フランセ演奏会。

2階最前列のほぼ中央で聴きました。中央奥にピアノが置かれて時計回りに、舞台下手からフルート、奥隣りにオーボエ、中央にバソン、上手奥にホルン、手前隣がクラリネットと並んでますがフルートがお休みの時はクラリネットがフルートの位置へ移動。

2階最前列と言う事もあり非常に視覚的にも良く、またストレートに音楽が飛び込んできて大いに楽しむ事が出来ました。

どの曲もメンバーの息がぴったり合った素晴らしい演奏でしたが、やはり後半のプログラム、ベートーヴェン、プーランクが白眉の演奏でモーツァルトの五重奏曲K.452に触発されて書いたベートーヴェンの五重奏曲は美しい響きに圧倒されたしプログラム最後のプーランクではまさに軽妙洒脱な作風を鮮やかに且つ躍動感あふれる完璧な演奏を披露してくれました。

彼らの演奏はDVDなどで何度も拝見、個々でもオケのソリストで生で聴いたことはありますが(バソン以外は)初めて彼らの木管アンサンブルを生で聴いて改めて彼らの技術才能の素晴らしさを実感、ピアノのル・サージュが特に巧みなリードをみせ、かれのピアノ演奏とともに強く印象に残りました。

平日にもかかわらずホールの入りは8割以上のようでした。
アンコールは1曲(曲名わからず)
★★★★★
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ヴェッセリーナ・カサロヴァ(メゾ・ソプラノ)

(ヘンデル~ロッシーニ~トマ~グノー)


             デイヴィッド・サイラス指揮
             東京フィルハーモニー交響楽団


1・ヘンデル 歌劇「アリオダンテ」より
     第1幕のバレエ音楽(オーケストラ)

2・ヘンデル 歌劇「アリオダンテ」より
     ”まだ生きているのか”不幸な女め、戯れるがよい、情人の胸に”

3・ヘンデル 歌劇「アリオダンテ」より
     第3幕のバレエ音楽(オーケストラ)

4・ヘンデル 歌劇「アリオダンテ」より
     ”恐怖と不吉の夜の後に”

5・ロッシーニ歌劇「ウイリアム・テル」より
     パ・ド・シス(オーケストラ)

6・ロッシーニ「歌劇セミラーミデ」より
     ”私はバビロニアで見た”
     ”ああ、いつも憂い”

******** intermission **********

7・ロッシーニ歌劇「セビリアの理髪師」より
     ”今の歌声は”

8・トマ   歌劇「ミニョン」より
     ガヴォット(オーケストラ)

9・トマ   歌劇「ミニョン」より
     ”君よ知るや南の国”

10・グノー  歌劇「ミレイユ」
     序曲(オーケストラ)

11・グノー  歌劇「サフォー」(1851年)
     ”私はどこにいるの?”
     ”不滅のリラよ”

アンコール:「フィガロの結婚」より
     ”恋とはこんなものかしら”

アンコール:「カルメン」より
     ”恋は野の鳥”


 2007.2.11 14:00 サントリーホール 2-LD3-12

本日はメゾ・ソプラノ リサイタルなのでホール・バックステージ席(P席)は使われませんでしたが主催のNBS良心的配慮ですね。と言う訳で他の席はほぼ満員の聴衆を迎えてのカサロヴァさんのリサイタル聴き応えのある充分満足した演奏でした。

ブルガリア生まれの今まさに絶頂期のカサロヴァさん4曲目のアリオダンテのアリア”恐怖と不吉の夜の後に”を歌い終わるとすかさずBRAVO !の声が。
以後、歌い終えるたびにBRAVOの声が高まって最高の盛り上がりをみせました。

どの曲も柔軟な発声と表現力にあふれまさに脂の乗った時期のカサロヴァさんに出会えた喜びを感謝したいと思います。

主にリサイタルでのピアノ伴奏奏者として活躍のサイラスさん、東フィルから軽やかな響きを引出し、またそれに応える東フィル楽員も特にオーボエ、ファゴット、フルートが鮮やかな妙技を繰り広げました。
オケの編成は10型2管の基本形+αでした。
★★★★★
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ベルトランド・ドゥ・ビリー
ウィーン放送交響楽団


1・ワーグナー
   タンホイザー序曲


2・シューベルト
   交響曲第7番「未完成」



********* intermission ********

3・ベートーヴェン
   交響曲第3番「英雄」



 2007.2.15 19:00 所沢ミューズ・アークホール  1-23-27

 2月3日の東京オペラシティ・コンサートホールでの来日公演幕開けから武蔵野市、横浜、浜松、大阪、名古屋、長野、再び東京へ戻ってすみだトリフォニー、そして日本での最後の公演が本日の所沢ミューズ・アークホールでのコンサート。

ウィーン放送交響楽団(RSOウィーン)はつい先年までオーストリア放送交響楽団の名称で特に近現代の作品を多く取上げてウィーンにあるフィルハーモニカー(VPO)シンフォニカー(VSO)とは一線を画してユニークな存在感を示していました。管理人もNHK-FMを通して色々な初めて聴く作品をORF(オーストリア放送協会)のオーケストラのおかげで楽しんできました。例えばメシアン「トゥランガリラ交響曲」やリゲティの作品などはこのオケ(現、ウィーン放送響)で存在を知ったようなもんです。

今夜のドゥ・ビリー指揮ウィーン放送交響楽団の演奏会、ホールは8割方の入りでしょうか(2,3階の状況は定かではありませんが)
編成は14型(15-13-11-9-7)対向配置、所謂ストヴァイとセコヴァイが指揮者を挟んで向かい合う配置ですね。

さて最初の「タンホイザー」序曲ですが艶やかな油画を期待していたら水墨画を見ているような音の色彩で拍子抜け、それでも管理人の大好きな曲ですから曲の後半はだんだんと興奮してきました、とても良くコントロールされた響きと演奏です。
これは次の「未完成」にも言えることで一つのスタンダードな演奏として捉えれば過不足はないのでしょうが、どうにもこのオケの特色、カラーを感じるまでは至りませんでした。

尤もN響同様、放送局専属のオケと言う性格上無理からぬことでもありましょう。
休憩後のベートーヴェン「英雄」でも強烈な個性を感じさせる演奏ではないのですが非常に楽曲の構成がわかりやすい特に弦の各声部の音が明確に感じ取れるし小さなミスはともかくホルンの優雅な音色にも感じ入りました。

ドゥ・ビリーさんについてはなにぶん始めてお目にかかるわけですが時々オケとの若干のテンポのずれを感じた以外は非常にシンプルな解釈で好ましく感じました。
古典ものより今度はストラヴィンスキーやショスタコーヴィチあたりを聴いてみたいものです。

本日はアンコール3曲の大サービス
1・ブラームス:ハンガリー舞曲第1番
2・J・シュトラウス:ポルカ「雷鳴と電光」
3・シュトラウス1世:ラデツキー行進曲

特にアンコール曲最後はビリーさん、黒のはっぴ、ガウン!?のようなものを羽織って(背中には「福」の文字が・・)登場、聴衆の手拍子とともに大いに盛り上がりました。ウィーン放送響の楽員にも惜しみない拍手が贈られました。

ほぼ半月に渡るツアーの疲れでしょうか集中力の面では少し?を感じましたが「英雄」の後半からアンコール曲にかけては最後の公演への意気込みを感じました。
★★★★☆
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ウラディーミル・アシュケナージ指揮
NHK交響楽団 第1590回定期


1・チャイコフスキー
   交響曲第2番ハ短調
     「小ロシア」



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2・チャイコフスキー
   交響曲第5番ホ短調



2007.2.17 15:00 NHKホール  2-R7-20


 いつも原宿駅から代々木公園脇の歩道を抜けてNHKホールへ向かうのですがいくつものストリート・ライブグループの狂騒(!?)の中をすり抜けNHKホール手前のイヴェント広場では今日はフリマ開催中でした。

さて本日のプログラムはN響音楽監督アシュケナージさん指揮によるチャイコフスキー:交響曲第2番と第5番

両曲ともしっかりとした構成力の上に楽員たちの熱気が迸り(ほとばしり)稀にみる劇的な熱演となりました。
アシュケナージさんの指揮棒も力の入ったダイナミックな指揮振りです。(決してスマートではないしあまり恰好よくないですけど)
楽員たちもアシュケナージさんの要求に見事に応えていました。

本日の両プロともホルンのソロが聴き所であるのですが1番を吹いたのは勝俣さん(?)かな、首席の樋口さんは3番ホルンでした。
第2番「小ロシア」の1楽章序奏(ウクライナ民謡の旋律)のホルン・ソロでのわずかなミスを除き第5番でのあの有名な2楽章でのホルン・ソロはもちろんノー・ミスで柔らかな響きでお見事でした。昔、スヴェトラーノフさんの指揮での定期で松崎裕首席があまりに素晴らしいソロを披露して指揮台の上から聴衆の賛辞を受けていたことが思い出されました。

演奏は第2番では情熱の嵐が吹き荒れ、第5番は宿命への服従を解き放った非常に隙のない劇的表現のチャイコフスキーを味わいました。
弦セクションの熱演に管セクションの妙技が見事に一体となった理想の演奏ではなかったかと感じます。いつもこの位の一生懸命に演奏する楽員の姿を見たいもんです(笑)
クラ横川、オーボェ茂木、フルート中野、ラッパ関山各首席にコンマスは篠崎さん。
後日の衛星放送が楽しみになりました。
文句無しの★★★★★
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ジャナンドレア・ノセダ指揮
東京交響楽団 第544回定期

1・シューベルト
   付随音楽「キプロスの女王ロザムンデ」序曲


2・シベリウス
   ヴァイオリン協奏曲ニ短調
     諏訪内晶子(ヴァイオリン)

アンコール・J・S・バッハ
   ソナタ第3番からラルゴ


********* intermission ************

3・ブラームス
   交響曲第1番ハ短調



2007.2.24 18:00 サントリーホール 1-18-28

指揮者のノセダさん、何年か前に東響を振ったマーラー8番「一千人」の熱演が記憶に新しいところ、またその後の2005年2月の来日ではN響定期に初登場以後BBCフィルとの来日公演を果たすなど最近の活動は著しいものがあります。

そのノセダさん久しぶりの東響への登場、一曲目の「ロザムンデ」の演奏から端正ながら荘厳さも感じさせる格調高い演奏、そしてシベリウス/ヴァイオリン協奏曲、藤色の鮮やかなドレスで登場の諏訪内さん名器「ドルフィン」を手に入れてから7年目の所為か今夜の演奏、ヴァイオリンが非常に良く鳴っています。弱音時も非常に明瞭に且つ意志強くホールに鳴り響いて驚き。
諏訪内さん完璧なとは言わないまでも情熱的な演奏でホールの聴衆を大いに沸かせました。
全曲の半分を占める第1楽章、非常に難曲ですがもう一つテクニック的にしっくり来ない感じでしたが後半の2,3楽章は緊迫した演奏で秀逸。

休憩後のブラームス1番 堂々とした正攻法での演奏解釈で些かも揺るぎのない演奏で東響オケも見事に応えて素晴らしい。
何年か前の音楽監督スダーンさんとのブラ1も立派な演奏でしたが微妙にテンポを揺らすなど自己主張も見られた演奏でしたが今夜のノセダさんの解釈、スコアに忠実と言うのでしょうか真っ向勝負の気迫のブラームス演奏でした。
尚、1楽章ではリピートがありました。

ノセダさん師匠のゲルギエフを彷彿とさせる指揮振りですが長身ゆえのダイナミックあふれる棒で渾身の指揮解釈、東響も相変わらずのどっしりした腰の据わった響きを築いて嬉しい限り、木管クラの十亀さん、オーボェの女性奏者(トラ?)が要所で見事なスゥィング、金管ホルン・ソロは最近首席で入団された上間さんでしょうか例の4楽章冒頭のソロは非常に柔らかな響きで日本人奏者では珍しい音色。

そして4月からコンマスに就任する高木和弘さんが本日のコンサートマスターを務め一曲目のシューベルト「ロザムンデ」では椅子から腰を浮かせながらの熱演で終始楽員を引っ張りました。カーテンコール時のタイミングなどを1プル裏に座る田尻アシスタント・コンマスがさりげなくサポートするなど微笑ましいシーンも。

いずれにしろ本日のようなすべてのプログラムに満足することは稀なことでノセダさんも会心の手応えを感じたのでしょう、聴衆の熱狂的な歓声、拍手に対して楽員の首席たちと何度も握手、そして聴衆に向かってもホールの四隅のそれぞれの聴衆に向かって丁寧なお辞儀を繰り返していました。BRAVO !
★★★★★
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小林研一郎指揮
オランダ・アーネム・フィルハーモニー管弦楽団


1・ベルリオーズ
   序曲「宗教裁判官」


2・チャイコフスキー
   ピアノ協奏曲第1番変ロ長調
     清水和音(ピアノ)


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3・ベルリオーズ
   幻想交響曲


2007.3.7. 19:00 サントリーホール 2-RA5-12

オランダ・アーネム・フィルは今回が初来日で今晩の演奏会がその来日最終公演。

オランダ・ヘルダーランド州、州都アーネムを拠点として1889年に創設されたオケ
で現在90名の団員とのこと。約半数を女性団員が占め弦楽器のみならず管楽器にも女性団員が多いのが驚き。
コンミスも若く可愛い方でした。

さて2006/2007年シーズンからマルティン・ジークハルト(首席兼芸術監督)に加えて常任指揮者に就任した小林研一郎さんの指揮による演奏会ですが相変わらずの小林さんの精力的な指揮にこのオケはある意味冷静に見事な演奏で応えていたと思います。

技術的にはまったく問題も感じられません。弦プルトも全員参加の均一な音色だし
木管、金管もレヴェルが高いです、今まで日本で知名度が殆どなかったのが信じられないくらい。

清水さんのチャイコフスキー協奏曲は堂々とした押し出しで見事な演奏、そして休憩後の幻想交響曲、それまでやや冷静な感じだったアーネムの楽員も終始大熱演で特に4楽章から5楽章のフィナーレを迎えるあたりは全員の力結集でお見事、ダイナミックな迫力に圧倒されました。

アンコールに「ロンドンデリーの歌」しみじみとした演奏ですが濃厚な香りも感じました。
そして小林さん、あちらの国では良い演奏と感じていただけたらスタンディング・オベーションで感動を受け止めてくれるのですとアナウンス、幻想のフィナーレ40秒あたり(大太鼓のトレモロで開始される部分)から再演されホールの聴衆も今度はスタンディングの大歓声でオケに敬意を表しました。

アーネム・フィル アムステルダムでも定期的に公演しているオケのようですからロイヤル・コンセルトヘヴォー管弦楽団のお膝元でのファンも多いのでしょうね。
また是非聴いてみたいオケです。
★★★★★
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マンフレッド・ホーネック指揮
読売日本交響楽団


1・モーツァルト
   歌劇「フィガロの結婚」序曲


2・モーツァルト
   交響曲第41番ハ長調「ジュピター」


******* intermission ********

3・ベートーヴェン
   交響曲第7番イ長調




2007.3.11 15:00 所沢ミューズ・アークホール 1-33-31

 1階から3階までかなりの聴衆の入りで、ホーネックさん効果でしょうか。
実はこの日のコンサート、ゲネ・プロの鑑賞券も付いていたのですが(12:20~開始)体調が今一でしたのでパスしました。
あとで本番を聴いて、そのゲネ・プロ聴いておけば良かったと後悔しております。

何故なら「フィガロ」「ジュピター」と音楽の流れは実にスムーズなのですが
何故か読響の名手達のアンサンブルが乗り切れていないように感じました。
あまつさえ管楽器がどうってことないところで単純ミス、特に今日のホルン隊は終始不安定(山岸首席は降り番)ラッパも苦しい感じで前半を終えたところで本当に帰ろうかと思ったくらいです(笑) と言うわけでゲネ・プロでどんな演奏だったのか興味を覚えたわけです。

ところが後半ベトベン7番では管楽器が抑え目に奏した感じもありホーネックさんのツボを押さえた且つ柔らかな指揮の表現に俄然活き活きとした演奏になりました。楽章が進むごとに白熱化して行きフィナーレでは所沢では珍しく怒涛の如くのBRAVO !が飛び交いました。
何回もの盛大な歓声が続きましたけれどアンコールはありませんでした。
地方(?)公演でアンコール無しも珍しいです。
前半は12型、後半は16型編成でコンマスは小森谷さん。
★★★★
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ミヒャエル・ボーダー指揮
東京フィルハーモニー交響楽団


1・R.シュトラウス
   交響詩「死と変容」


********* intermission *********

2・マーラー
   交響曲第5番



2007.3.14 19:00 サントリーホール  2-C8-29

 今夜の演奏会、当初はダニエル・ハーディング氏が振るはずでしたが確かミラノ・スカラ座からのたっての招聘のためキャンセルとなり代演でボーダー氏の登場となった演奏会、今やヨーロッパを始め世界の風雲児の活躍をみせるボーダーさん、管理人の期待が度を過ぎたのか少し拍子抜けの感。

しかし前半の「死と変容」は劇的な表現で東フィルもボーダーさんの棒に良くついていき清冽そしてスケール感を感じさせた素晴らしい演奏でした。
後半の大いに期待したマーラー第5番ですが各楽章それぞれを切り取ってみれば悪くはない演奏表現ですが全体としての曲の昂揚感、繋がりに乏しく、前回マーラー「復活」での心揺さぶる演奏を成し遂げたハーディング氏なら、どのような演奏解釈で東フィルを導いたのか。。。
★★★★☆
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大友直人指揮
東京交響楽団

1・ディーリアス
   楽園への道~歌劇「村のロミオとジュリエット」より


2・ブルッフ
   ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調
     レジス・パスキエ(ヴァイオリン)


********* intermission **********

3・ラフマニノフ
   交響曲第2番ホ短調


2007.3.17.18:00 東京芸術劇場 3-A-53

ヴァイオリンのパスキエさんとは前回のやはり東響との共演以来、ブルッフでも相変わらずの安定した腕前を披露、ロマン的な香りも満載、素敵な演奏でした。

本日の聴き物、ラフマニノフ第2番、まさしく作曲家の特筆である豊かな情感、重厚な響きと濃密な旋律が見事に表現された演奏で大友/東響の蜜月さを見せつけられたかのような実に美しい演奏で感動ものの演奏。
ホールの聴衆からも盛大な歓声拍手を受ける。
本日のコンマス、大谷康子さんのコンサート・ミストレス
ディーリアス「楽園の道」もオケの繊細な表現演奏で素晴らしい。
★★★★★
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川崎翔子ピアノ・リサイタル

1・ショパン
   12の練習曲OP25より
     1.変イ長調、2.へ短調、4.イ短調、
     5.ホ短調、7.嬰ハ短調、11.イ短調


2・ドビュッシー
   12の練習曲集より
1.全5指のための、5.オクターヴのための
      6.8本の指のための、7.半音階のための
      11.組み合されたアルペッジョのための


3・メシアン
   4つのリズムの練習曲より
1.火の鳥1
      4.火の鳥2

******* intermission *******

4・ラヴェル
   鏡
1.蛾、2.悲しい鳥たち、3.洋上の小舟
      4.道化師の朝の歌、5.鐘の谷


5・NODA/Teruyuki
   ピアノのためのオードカプリシャス

アンコール曲
  ドビュッシー:花火
  ショパン:エチュードOP.25-12大洋

2007.3.22.19:00 カザルスホール 1-J-15

川崎翔子さんは現在、東京芸術大学大学院修士課程1年在学中で2006年に第5回安川加寿子記念コンクール第1位、併せて安川加寿子音楽賞を受賞の経歴を持つ。

沢山の聴衆を迎えての川崎さんのピアノ・リサイタル、最初のショパンではやや硬さも見られたがミスも殆どなく立派な演奏です。特に11番イ短調はテンポに若干の違和感を感じはしましたが素敵な演奏でした。

2曲目以降はオール・フランス物のプログラムが続き、さすが安川加寿子賞を受賞しているだけありどれも魅力的で見事なテクニックに支えられた自信あふれる演奏です。メシアンのダイナミックスさ、ラヴェル/鏡での軽妙なニュアンス。

ラストの野田さんの作品、もちろん初めて耳にする曲でしたがジャズ風の音色やトッカータ的な構成が盛り込まれた実に興味深い作品、演奏する側にとって決して易しい曲ではないでしょうに川崎さんのピアノ堂々とした技巧と表現で終了後にホールにお見えの作曲家の野田さんご自身が川崎さんの紹介を受けていましたが彼も満足の演奏ではなかったかと。
カザルスホールは実に久しぶりで詩人の金子みすずの朗読と音楽(田村亮、長谷川陽子ほか)のコンサート以来でした。
ホールの所為か又は管理人の座った座席の位置の所為か飛び込んでくるピアノの響きがこもりがちなのが気になりました。2階席の方がすっきりした響きが届いたのかも知れません。楽器はSTEINWAY。
★★★★☆
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西本智実指揮
東京交響楽団


1・ヴェルディ
   「レクイエム」~マンゾーニの追憶のために



菅 英三子(ソプラノ)
林 美智子(メゾ・ソプラノ)
吉田浩之(テノール)
宮本益光(バリトン)

東響コーラス(合唱)山神健志(合唱指揮)


2007.4.7.18:30 ミューザ川崎シンフォニーホール 2-RA2-3

ほぼ満員の聴衆を迎えての東京交響楽団特別演奏会
指揮者の西本智実さんの力に負うところが多かったのでしょう、女性客が圧倒的だった感じがしました。

本日の席は2階のステージ真横2列目でしたので指揮者の西本さんの横顔を見ながらの鑑賞でした。おかげでソリスト達の声も直ぐそば間近に聴こえてきます。
中央の4人のソリストを囲むように左右にソプラノ、アルトが陣取り中央に男声合唱の配置、ステージからはみ出さんばかりの人数の東響コーラスのメンバーたち。

ソリストたちの登場に続いて更に一段の大歓声に迎えられて指揮の西本さんの登場、彼女の指揮する演奏会は本日で確か5回目、相変わらず女性らしい身のこなしと凛々しい姿はタカラヅカの男装の麗人そのもの、但し管理人の趣味ではありませんが。。。

さて演奏の方ですがまずまずの満足できたコンサートでした。
オケは幾分抑え目の響きでむしろ声楽を引き立てた演奏解釈と感じました。
尤も繰り返し奏される「怒りの日」の部分は大いにパワー炸裂でオケのコントロールされた響きもお見事。

ソリストではみなさん頑張りましたがソプラノの菅さんが終曲での見せ場「我を許し給え」でやや息切れの歌唱で少し残念、去年の「皇帝ティトの慈悲」他で何回も目にする機会があり注目の林美智子さんのメゾ歌唱は幅の広い音程を駆使して堂々の存在感を大いに示しました。吉田さん宮本さんの男声陣も不足無し。

東響コーラスは今回も暗譜での歌唱(今回に限らずですけど)で統一感のある歌唱で非常に質の高い演奏です。強弱のバランスもオケと上手に絡み合い素晴らしい、指揮の西本さん、合唱指揮の山神さんの功績大ですね。それにしてもアマチュア合唱団とは恐れ入りますです。

丁度一年前にムーティ/東京オペラの森での超弩級の名演が未だ記憶に新しく(特にソプラノのフリットリの超絶歌唱)ついその時の演奏と比較してしまうのですが日本人による純正国産の演奏と解釈と考えれば立派な水準の演奏でした。
それにしてもミューザ川崎の響きは極上の響きで素晴らしい、がフロアの斜め配置にいつも違和感を感じるのですが慣れの問題かな、今月東響サントリー定期でまた来ることになるのですが。。。
★★★★☆
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マティアス・バーメルト指揮
NHK交響楽団第1593回定期


1・ブラームス
   悲劇的序曲


2・R・シュトラウス
   4つの最後の歌(1.春 2.九月 3.眠りにつくとき 4.夕映えのなかで)
     アンナ・トモワ・シントウ(ソプラノ)

アンコール曲
  R.シュトラウス:献呈


******** intermission ***********

3・ブラームス(シェーンベルク編)
   ピアノ四重奏曲第1番ト短調



2007.4.14.15:00.NHKホール 2-R7-20

指揮者バーメルトのN響定期は今回で3度目の登場、ソプラノのトモワ・シントウはNHKホールの柿落とし公演で来日(73年、第九合唱)、度々来日されているので日本では御馴染みの歌手。

満員の聴衆を迎えての本日のC定期、どのプログラムも見事な演奏で感動のひとときを得ました。
「悲劇的序曲」の緊張を持続させた非常に密度の高い演奏、トモワ・シントウの往年の輝かしさは失せたとは言え「4つの最後の歌」での透明な歌唱とこの曲への共感をしみじみと歌い上げて聴衆から熱い声援を受けた。
そしてアンコールに同じR.シュトラウスの歌曲から「献呈」、恐らく彼女が敬意を払っている名歌手、エリーザベト・シュヴァルツコップへの献辞の意味もこめられていたのでしょう、感動的でした。

この日のプログラム・ノートにトモワ・シントウからシュヴァルツコップへの献辞が載っています。以下トモワ・シントウの文
「エリーザベト・シュヴァルツコップフは、歌唱芸術の世界でもっとも傑出した人物であり、私はその霊感と創造力に深い敬意を払ってまいりました。あなたの偉大な芸術への感謝と深い尊敬をもって、この演奏会をその光明に満ちた思い出に捧げます。」

後半に演奏されたブラームス(シェーンベルク編)ピアノ四重奏曲第1番もバーメルトの手際の良い指揮のもとN響楽員の名人芸が随所に繰り広げられた。
この曲、過去に準・メルクルとの熱い名演もありますがこの日の演奏はむしろシェーンベルクの編曲の妙、オーケストラ各パート楽器の見事な使われ方が聞いていてよく理解させられた演奏とでも言うのでしょうか。
篠崎コンマスのもと、山口2Vn、店村Va、藤森Vc、西田Db、神田Fl、茂木Ob、横川Cl、岡崎Fg、松崎Hrn、津堅Tpなど各首席奏者たちの名人芸が光りました。
最近のN響の演奏、非常に熱く感動的な演奏が多く嬉しい限り。満点星を捧げます。
★★★★★
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小林研一郎指揮
NHK交響楽団


1・バルトーク
   ヴァイオリン協奏曲第1番
     竹澤恭子(ヴァイオリン)



******** intermission *********

2・ベルリオーズ
   幻想交響曲




2007.4.18.19:00.東京文化会館 4-1-6

N響のコンサートを上野で聴くのはずいぶん久しぶり。
かってNHKホールが出来る前(1961年から1973年4月まで)ここ上野の東京文化会館でN響定期演奏会を行なっていたのです。

さて今夜の演奏会、まずは出産等で暫らく演奏活動から遠ざかっていた竹澤恭子さんの登場、バルトークの1番は冒頭からヴァイオリン独奏で開始されるのですが4階の席で聴いているにもかかわらず竹澤さんの音が朗々と響いてきます。一瞬ヴィオラの音かと錯覚するほど豊かな鳴りっぷりで驚きですが細やかなニュアンスを含め見事でした。相変わらずの存在感を示して嬉しい限り。

休憩後は小林さん、お得意の「幻想交響曲」3月にオランダ・アーネムフィル来日公演で同曲を指揮したのを聴いたばかりですが、やはり4楽章から終楽章へと盛り上げる設計のようで、N響を指揮したこの日も同様の解釈に感じました。ただ1楽章からffの箇所にくるとかなりの大音量でオケを鳴らします。
N響の楽員もなにやら必死で演奏している風情に。
聴いたホールの違いがあるので単純比較は出来ませんがアーネム・フィルより格段に精度はN響の演奏の方が上である事は間違いないでしょう。

完璧な演奏とまでは云えないですがベルリオーズが意図した標題(固定観念)の表現としては各楽章を見事に浮き彫りにした演奏でした。終わってみればやはり興奮の坩堝にはまりました。

この日もN響首席たちの名人芸が随所に。。。
堀コンマス、2Vn永峰、Va店村、Vc藤森、Cb吉田秀、Fl中野、Ob青山、Cl磯部
他のメンバー。
ただ一点、終楽章での鐘の音がやたら大きすぎて閉口、むしろ舞台裏から鳴らして丁度の感じがしました。
フィナーレのコーダとともに割れんばかりの歓声とBRAVO !の嵐でした。
★★★★★
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古川展生チェロ・リサイタル
   菊池洋子(ピアノ)


1・ベートーヴェン
   モーツァルトの<魔笛> より
  「恋を知る男たちは」の主題による7つの変奏曲 変ホ長調

2・ベートーヴェン
   チェロソナタ 第3番 イ長調 op.69

******* intermission *******

3・ラフマニノフ
   チェロソナタ ト短調 op.19


4・ピアソラ
   グランタンゴ

アンコール
  ラフマニノフ:ヴォカリーズ


 2007.4.20.19:00 東京文化会館小ホール E-35

 東京都響の首席チェロ奏者の古川さんと2002年第8回モーツァルト国際ピアノコンクール優勝の菊池さんのデュオ・コンサート

前半はタキシードの古川さん、後半は菊地さん共々ラフなスタイルで登場、奏でられた音楽も前後半では演奏そのもの雰囲気も違っていたように感じました。

前半のベートーヴェンの作品では古川さんのチェロの音階がやや流れすぎに感じたのですが、しかし3番のソナタは熱演。

後半のラフマニノフが秀演で特に後半3,4楽章の集中力は素晴らしいものがありました。
菊地さんのピアノの腕前は過去の何回かの演奏で良く理解してますが今回の古川さんとのデュオ・コンサートは初めてとのこと、若干テンポ呼吸に合わない場面も見受けられましたが上手くかわして演奏の流れに棹をさすほどではありません。
このコンビで11月23日にショパン、ヒンデミットなどの作品でデュオ・リサイタル(第一生命ホール)があるのでもう一度聴いてみようかとも思います。
★★★★☆
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大友直人指揮
東京交響楽団第545回定期


1・ハイドン
   交響曲第101番「時計」



********* intermission *********

2・マーラー
   交響曲第4番ト長調
     幸田浩子(ソプラノ)



2007.4.22.14:00.ミューザ川崎シンフォニーホール 2-C3-36

 東京交響楽団サントリー定期公演2007年シリーズ開幕の演奏会。
サントリーホールこの4月から改修工事に入り今回と次回6月に行われる定期公演はここミューザ川崎で開催、東響のフランチャイズ・ホールなので楽員たちもこのホールの響きを充分知悉している訳でその利点を最大限に生かした演奏、特に前半のハイドン「時計」の弦の弱音の微妙な奏法など絶妙、大友さんの指揮も流麗でバランスもお見事。ハイドンは10型2管編成。

休憩を挟んでのマーラー4番、16型4管のフル編成、ソプラノの幸田浩子さんは3楽章開始前に登場したので迎える聴衆からの拍手が少し感興を削ぐ感じ。

大友さん東響の管楽器をここぞとばかりベルアップで演奏させます、特にクラ、オーボエは効果的に(時にはグロテスクに)響かせ興味深く聴きました。
弦楽器群もコントロール良く均一な音色が美しい。
2楽章でのコンミス大谷さんが2丁のヴァイオリンのうち一音高く調弦されたヴァイオリン・ソロでも鮮やかな演奏、3楽章の終盤のホ長調に転ずるffのトゥツティで
のオケの整った響きが素晴らしい。

終楽章での幸田浩子さん、チャーミングな表情で天国での長閑な楽しい日常を歌い上げます。声量に若干不足感はあるものの曲調に合った雰囲気十分の歌唱ではなかったかと感じました。
惜しむらくはP席上段からの早すぎるBRAVO! 余韻の中の静寂も音楽の一部なのですよ。
★★★★☆
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レオ・ドリーブ
   歌劇「ラクメ」全3幕


ラクメ:デジレ・ランカトーレ(S)
ニラカンタ:エルネスト・モリリョ(B)
マリカ:イレーナ・ペトコヴァ(Ms)
ジェラルド:チェルソ・アルベロ(T)
エレン:サビーナ・ツヴィラク(S)
フレデリック:ヨージェ・ヴィディッツ(Br)
ローズ:アレンカ・ゴタル(S)
ミス・ベンソン:スヴェトラーナ・チェルスィナ(Ms)
ハジ:ドゥシャン・トポロヴェツ(T)

演出:プラーメン・カルターロフ
装置:ミオドラッグ・タバチュキ
衣裳:アンジェリーナ・アトラギッチ

フランチェスコ・ローザ指揮
スロヴェニア国立マリボール歌劇場管弦楽団、合唱団、バレエ団

 2007.4.23.18:30 東京文化会館大ホール 1-29-26

満員の聴衆を迎えての本日の歌劇「ラクメ」、何と日本では80年ぶりの上演とのこと。周りからもこのオペラへの期待感を漂わす雰囲気が感じられた。

3幕からなる舞台、舞台装置は中央に仏像を中心とした簡素なセットのみですが特に不足感は感じられない。

前奏曲の後にまもなく「ラクメ」役のランカトーレが遠くから歌いながらの登場、透明感のある声です。
有名な第2幕で歌われる「鐘の歌」、父親ニラカンタから命じられて聖なる寺院の庭園に侵入した犯人をおびき寄せるためにラクメが歌うシーンなのですが
父ニラカンタからもっと歌えと要求されるとおりアリアにしては丁長場で且つ
高度なコロラトゥーラのテクニックを要求される非常に難度の高いシーンでしたがランカトーレさん見事にクリアー、暫らく拍手と歓声が鳴り止みませんでした。
ランカトーレさんの「鐘の歌」を歌い終えた表情も感極まった感じで”ありがと”と呟いた唇の動きで見て取れました。

第3幕終わりでラクメが自ら命を絶って幕となりました。
先ほどより更に凄い歓声が沸き起こりました。何度もカーテンコールが行なわれて、にこやかに時にははしゃぐようにステージに現れるデジレ・ランカトーレさん、よほど東京での成功が嬉しかったのでしょうね、この後「ラクメ」のヨーロッパ公演が行なわれるそうでマリボールの本拠地上演以外では日本が最初の上演に選ばれました。

ドリーブの音楽は「コッペリア」「シルビア」で知られるバレエ音楽がありますが曲想はやはり優美で典雅な音楽が主体で盛り上がりに欠ける面もありますがテンポのある舞台進行なのでさほどの問題にもならず充分楽しめました。
他の歌手陣、特に恋人役(ジェラルド)のアルベロ、父ニラカンタ役のモリリョも演技と共にこの公演の成功を支えました。

2幕のバレエ・シーンも軽快な音楽でバレエ団もまずまずの健闘、マリボール歌劇場のオケは多分2管10型或いは8型でしょうかめりはりのある演奏で指揮者のフランチェスコ・ローザさんの手腕が発揮されたものでしょう。

舞台装置もシンプルながら(イギリス植民地時代のインドが舞台)東洋趣味の変なゴテゴテ感もなくて各幕の物語に即したわかりやすい設定。

このオペラ、最近はあまり演奏される機会がないのも頷けます。
2幕の「鐘の歌」そうそう歌える歌手はいませんものね。
ランカトーレさん、まだ30歳前後の年齢ですからこれから大いに期待して見ていきたいと思います。
★★★★★
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指揮:小田野宏之
管弦楽:藝大フィルハーモニア

1・作曲 山中千佳子
   サイトジェニシス/山中千佳子


2・ヴァイオリン 村津瑠紀
   ヴァイオリン協奏曲二長調/ベートーヴェン


3・指揮 高井優希
   ハイドンの主題による変奏曲/ブラームス

******** intermission *********
指揮:松尾葉子
管弦楽:藝大フィルハーモニア


4・声楽(バリトン) 増原英也
   歌劇「群盗」フランチェスコのアリア<親父の命の灯>/ヴェルディ


5・トロンボーン 藤原功次郎
   トロンボーン協奏曲/トマジ


6・ピアノ 秋場敬浩
   ピアノ協奏曲イ短調/グリーグ


 2007.4.26.18:30 東京藝術大学奏楽堂  25列20番

 本年3月に芸大音楽学部を卒業された224名の中から選抜された6人の作品と演奏を聴いてきました。  トロンボーンの藤原さんを除いて其々大学院修士課程1年在学中とのこと。

山中さんの作品、「細胞の発生、分裂、形成」といった意味を持っていますと作曲者自身が述べていますが打楽器が主要な部分で強調され印象的。R・シュトラウスの「ティレルオイレンシュピーゲル・・」のような曲の構成に似ているように感じました、しっかりした作品に仕上がっていました、これからも山中さんの作品が登場することを期待したいと思います。

村津さんのヴァイオリン、2楽章中間の弦のピッチカートの伴奏あたりから演奏に落ち着きが見られその後は伸びやかな演奏でした。

高井さんの指揮、少しぎこちなさがあるものの終始安定したテンポ感で見事なフィナーレ。

後半の3人の登場はどれも甲乙の付け難い見事な歌唱、演奏でした。
増原さんの声量豊かで張りのある声、藤原さんの驚異的なテクニックと見事なブレスを駆使してのトロンボーン演奏、白眉は最後に登場したピアノの秋場敬浩さんでかなりの長身で窮屈そうにピアノに向かいます、手の大きさも普通以上の大きさのようで、グリーグの協奏曲を見事な技巧であっさり弾きまくり驚きです。
2楽章のリリシズムに少し欠けるもののプロオケの演奏会でも今すぐ通用する立派な演奏でした。会場からもかなりの声援を受けていました。
そうそうトロンボーンの藤原さんはただ一人真っ白なタキシードで登場、驚きの歓声も聞かれました。

玉井菜採さんがコンミスを務めた芸大オケは相変わらず安定した演奏でセクション的に穴も(弱点)もなくさすが先生方で編成されたオケだけあり本日の新卒業生たちを見事にサポートしました。指揮の小田野、松尾さんももちろんですが。
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グリーグ&シベリウス・プロジェクト第1回

ダグラス・ボストック指揮
東京藝術大学学生オーケストラ


1・G・ホルスト
   どこまでも馬鹿な男
      Andanteー地の精霊の踊りー水の精霊の踊りー火の精霊の踊り


2・サン=サーンス
   チェロ協奏曲第1番イ短調
     辻本 玲(チェロ)

******** intermission ********

3・シベリウス
   交響曲第1番ホ短調作品39


アンコール曲
  ブラームス:ハンガリー舞曲第1番

 2007.4.27.19:00 東京藝術大学奏楽堂 22列25番

昨日の藝大定期(新卒業生紹介演奏会)で配布された演奏会案内でシベリウス1番がプログラムにあるので連夜の奏楽堂通いとなりました。

指揮者のボストックさんは2006年まで東京佼成ウィンドオーケストラの常任指揮者として活躍、現在は東京藝術大学指揮科招聘教授をされています。

昨夜の藝大フィルハーモニアと比べて流石に学生オーケストラは弦の細かなパッセージのずれや管の響きの余裕の無さなど問題はありますが然しながら学生レベルでは充分のトップレベルの演奏で大いに楽しめました。

ホルストの作品は初めて耳にしましたが演奏会受けしそうな楽しい曲でした。

サン=サーンスのチェロ独奏の辻本 玲さん(男性)、昨日聴いたピアノの秋場さん同様に技術的にも過不足のない見事な演奏でした。ステージマナーはまだ慣れていないようでぎごち無さが会場からの笑いを誘っていましたが非常に楽しみなスケール豊かなチェリストの誕生を楽しみに待ちたいと思います。

さて目当てのシベリウスの交響曲第1番、恐らく生で聴くのは今夜が初めての記憶、
クラリネット・ソロの長い序奏で始まるのですが女子学生さんのソロも無難な演奏で開始され其々の弦楽群もきっちり存在感を示しますけど後ろのプルトまでの一体感のある音に不足感を感じました、時々ですけど。
編成は14型でビオラが第1ヴァイオリンの直ぐ隣の配置でコントラバスは上手側のままの変則な対向配置(第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが指揮者を挟んで向かい合う配置)でしたがこの曲の場合は効果的だったかも知れません。

ボストックさん、かなり速めのテンポでぐいぐいオケを引っ張ります、この曲では重要な役割の打楽器陣は大健闘でしたし女性奏者による2台のハープも均一な音色、管楽器は皆さん総じてお上手でした。弦では7人のコントラバスの響きが一番印象的でした。
充分に躍動感のある素朴で若々しいシベリウスを楽しみました。
アンコールのブラームスは管理人的には余計なオマケです(笑)
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