「のり2・クラシカ」鑑賞日記

「のり2・クラシカ」鑑賞日記

2006年演奏会 (全公演一覧)その1


マリンスキー歌劇場管弦楽団


ワーグナー:<ニーベルングの指環>より

   楽劇<ラインの黄金>から
     「ワルハラ城への神々の入場」

   楽劇<ワルキューレ>から
     「ワルキューレの騎行」

   楽劇<ワルキューレ>から
     「魔の炎の音楽」

   楽劇<ジークフリート>から
     「森のささやき」

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楽劇<ワルキューレ>第1幕/演奏会形式



ジークリンデ:ムラダ・フドレイ(ソプラノ)
ジークムント:アレクセイ・ステブリアンコ(テノール)
フンディング:ゲンナジー・ベズズベンコフ(バス)


2006.1.9 所沢ミューズ・アークホール 15:00 1階9列13番


指揮者のゲルギエフは既に何度も実演に接しているがマリンスキー劇場管は旧名称のキーロフ歌劇場管でのマーラー3番とN響と合同演奏したショスタコ7番レニングラード以来3回目の実演となる(いずれもゲルギエフの指揮)

予想していたことと言えオケの圧倒的な音量と金管、木管楽器の卓越した技量、弦の団員たちのさらりとした弾き方とはうらはらの出て来る音の芳醇な音色等ゴージャスなサウンドを楽しんだ。

休憩後の「ワルキューレ」第1幕・演奏会形式は歌手達はステージ最前列に位置し管理人の座席が9列目ということもあり「ストレート」にびんびん響く。字幕を横目にしながらの鑑賞であったが3人の歌手達も立派な演奏です。ここでもオケの響きは芳醇そのものでここミューズ・アークホールの響きの立ち上がりの良さも相俟って圧倒的な音の洪水であった。

ゲルギエフさん、指揮台なしで指揮、いつもの小刻みな指揮振りも影をうせて大きな流れ、うねりのある音楽を引き出した。
楽員がステージを去るまでBRAVO!と盛大な熱い拍手が幾度も続いた。

ロシアのオケの奏でるワーグナー、聴くまでは微妙な違和感を感じていたのだが、この後東京で予定されている<ニーベルングの指環>、さぞや素晴らしいチクルスになることだろう。
★★★★★
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西本智実指揮
東京交響楽団


1・チャイコフスキー
   幻想的序曲「ロメオとジュリエット」



2・チャイコフスキー
   ヴァイオリン協奏曲二長調
     長原幸太(ヴァイオリン)



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3・ストラヴィンスキー
   バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)



2006.1.15 オーチャードホール 13:30 1階19列14番

手頃なチケット料金(S席\3,500)の所為もあるかもしれないけれど満員の大盛況。
はじめに今日の司会を務める壇ふみさんが登場、NHKで池辺センセを相手に見せた軽妙な語り口そのままにスムースに曲の紹介を含め進行役を務めた。

東響コンマスはG・ニキティンさん、後半での指揮者の西本さんとのMCではロシア繋がりで壇さんから会話に引っぱり出され照れている風情。

さて曲の方だが西本智実さんの指揮、特別な解釈表情は感じず。
チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲では長原幸太さんの独壇場でオケの(指揮者も!?)響きも無視したかの強烈な快速テンポで(特に1,3楽章のコーダは超快速)突っ走った。従って叙情性のかけらも無い演奏でそれを期待した方にはブーイングだろう。

休憩後の「火の鳥」1919年版でもオーソドックスな解釈、東響のオケの安定性もあり水準以上の演奏で堂々のコーダで幕。
終演後は一応、飲み友達である長原幸太さんの楽屋へ表敬訪問、某レストラン「ボッチ」でのフレンドたち多数来ていました。
★★★★
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ウラディーミル・フェドセーエフ指揮
東京フィルハーモニー交響楽団


1・カリンニコフ
   交響曲第1番

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2・ショスタコーヴィチ
   オラトリオ「森の歌」



テノール:福井 敬
バリトン:牧野正人

合唱:東京オペラシンガーズ
児童合唱:東京少年少女合唱隊


2006.1.20 サントリーホール 19:00 2階C8列29番

フエドセーエフさん、去年の東フィル定期は来日中止になったので二年ぶりに聴くことになった。

ワシーリー・セルゲーエヴィチ・カリンニコフ(1866-1901)の交響曲第1番
いかにもロシアの民族風な旋律満載の曲、フェドセーエフさん、東フィルを整然と纏め上げて最後まで飽きさせずに聴かせて見事、オケもニュアンス豊かに演奏。
フェドさんが指揮した時の東フィル、実に伸びやかで情緒豊かな旋律を奏して素晴らしい。

後半はショスタコーヴィチの「森の歌」
ステージ奥、下手に東京少年少女合唱隊、中央に東京オペラシンガーズの女声陣そして上手に男声陣の配置、男声のソリストは中央女声コーラスの前(オケの最後列)第7曲終曲の讃歌ではラッパx3&トロンボーンx3のバンダ舞台はホールP席のパイプオルガン脇に左右それぞれ並んで壮観な響きを奏でた。
声楽はソロも含めて水準以上で特に東京オペラシンガーズの力強い歌声と子供たちの合唱隊が素晴らしい出来。

フェドさんの指揮は意外と淡々とした曲の運びで起伏、いささかドラマ性に欠けるきらいがあるがまあ水準以上の演奏、終曲のバンダの金管部隊を含めた盛り上げは当時の政府が意図したプロパガンダには充分すぎるほどの昂揚感をもたらしたしスケール豊かなフィナーレであった。
★★★★☆
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大友直人指揮
東京交響楽団


1・チャイコフスキー
   交響曲第2番ハ短調「小ロシア」



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2・R・シュトラウス
   交響詩「ドン・キホーテ」
     川本嘉子(ヴィオラ)
     ウォルフガング・シュミット(チェロ)


2006.1.27 東京芸術劇場大ホール 19:00 2-C-35


 今日の大友さんの指揮、曲の細部に重点を措いての解釈なのか全体に感銘の薄い演奏に感じた。

ドン・キホーテでの独奏者たち、チェロのシュミットさんは実に楽しそうに演奏、コンミスの大谷さんとのアイコンタクトを交わしたりヴィオラの川本さんは相変わらずの力強い響きと音色でそれぞれソロ演奏は見事。

今日は前半に演奏されたチャイコフスキーの交響曲第2番がまとまりと躍動感のある演奏で一番の収穫、めったに生演奏では聴けない曲でもあるので。
16型編成、ホルン7名のうち女性奏者3名は珍しい。
★★★★
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ヘルベルト・ブロムシュテット指揮
NHK交響楽団
コンサートマスター:ペーター・ミリング(客員)

1・モーツァルト
   交響曲第34番ハ長調K.338


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2・モーツァルト
   ミサ曲ハ短調K.427


ソプラノ:幸田浩子
ソプラノ:半田美和子
テノール;福井 敬
バリトン:河野克典

合唱:国立音楽大学(田中信昭、永井宏) 


2006.2.3 NHKホール 19:00 1-L5-8

名誉指揮者のブロムシュテットさんを迎えての2月のN響定期すべてにドレスデン・シュターツカペレの前コンマスのミリングさんがコンマスで登場、N響の弦が後ろのプルトまで非常によく鳴りきって良い影響をもたらした。

ブロムシュテットさんお決まりの対向配置で3楽章からなる34番の交響曲は2管編成での演奏だが、まるで去年の来日で聴いたゲバントハウス管の響きのような滋味溢れる演奏で集中力にも富んで素晴らしい。

後半のミサ曲ハ短調がこれまた極上の演奏で出だしの「キリエ」から惹きこまれてしまった。
独唱では幸田さん半田さんとも出だしに不安があったがその後持ち直す、男性二人は安定した歌唱、特筆すべきは国立音楽大学の合唱で見事に揃ったハーモニーと美しさと力強さ。
途中、指揮者の指示で曲間に何回かメンバーがシャッフル移動したりしたが生憎管理人は明日の公演との振替席で前方下手端の席のため響きの違いを感じ取れず残念。

オケも硬めのバチを使ったテンパニを始め金管も渋い音色で全体的にやや古楽器風な響きで素晴らしい、木管の音色も同じく。

ブロムシュテットさん、「クレド」へ入る前にしばしの小休止をしてから演奏再開された。
しかしいつものことながらブロムシュテットさんN響から極上の響きと音楽を引き出しお見事でした。
★★★★★
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大植英次指揮
大阪フィルハーモニー交響楽団


1・武満 徹
   ノスタルジア(1987)ーアンドレイ・タルコフスキーの追憶にー
     長原幸太(ヴァイオリン)


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2・ブルックナー
   交響曲第7番ホ長調




2006.2.14 サントリーホール 19:00 2階C8列34番


ノスタルジアが実に興味深い演奏、長原幸太氏のヴァイオリンが実に寂寥感を醸し出し更に音色、音程とも揺るぎない出来で素晴らしい。

後半のブルックナーは少し意表を衝かれた感じで大植さんの解釈は大河の雄大な流れというより小川の水のきらめきに焦点を絞ったような。。。

最近精度を増してきた大フィルの弦楽器群、そして木管群は期待に応えて精緻なアンサンブルで表現したが相変わらず残念ながら金管(特にTr,Hrn)にミスが目立ちいささか興ざめなシーンも。

いずれにしろ大植さん/大フィルの新境地を示した。朝比奈さんとは一線を画すブルックナーの響きという意味も含めて。
★★★★
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プッチーニ
   歌劇「ラ・ボエーム」





ミミ:木下美穂子
ロドルフォ:山田精一
マルチェッロ:成田博之
ムゼッタ:安藤赴美子
ショナール:萩原 潤
コッリーネ:黒木 純
ベノア:鹿野由之
アルチンドロ:菅野宏昭
パルピニョール:児玉和弘

合唱:二期会合唱団
指揮:ロベルト・リッツイ・ブリニョーリ
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

演出:鵜山 仁


2006.2.26 オーチャードホール 14:00 2階-6列-38番

今回の聴きものはミミ役のソプラノ木下さんと指揮者のブリニョーリのお手並み拝見がメインでしたがいずれも期待に違わない演奏。

木下美穂子さん、前回、みなとみらいホールでも感じたけれど実に音程が良くて更に声量が凄い、2階の奥までしっかり声が届き素晴らしい。
演技も無理なアクションもなく好ましい。
全体的に薄幸なヒロインに相応しい演技と歌唱を示した。

指揮のブリニョーリはスカラ座をはじめイタリア全土で活躍中のオペラ指揮者、東フィルを緻密な響きに導きさすがオペラの間(ま)とか流れのツボを押さえた指揮、東フィルも整った響きで水準以上の出来。

他の歌手では特にマルチェッロ役の成田さん、コッリーネ役の黒田さんが安定、ベテランの鹿野さんベノア役で存在感を示した。
ロドルフォ役の山田さん健闘するもややスタミナ不足の感。

演出装置はスケール感こそないがコンパクトでわかりやすい。
第2幕のカルチェラタンの雑踏の場面も交通整理の整った流れで楽しませた。
★★★★
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第1563回定期公演
ウラディーミル・アシュケナージ指揮
NHK交響楽団


1.チャイコフスキー
   交響曲第1番ト短調
     「冬の日の幻想」


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2・チャイコフスキー
   交響曲第6番ロ短調
     「悲愴」



2006.3.4 NHKホール15:00 1階L9列13番

前半のプログラム「冬の日の幻想」演奏そのものは模範的なもので佳演と言えるものだが面白み、描写力に欠ける。
アシュケナージ氏も淡々とした指揮振り。

後半の「悲愴」全体に良くまとまった演奏、弦では低弦部がやや強調された響き、金管特に松崎裕率いるホルン部隊が響きに統一感があり、また3楽章での植松さんのTipの緊迫感に富むリズムの捌きが見事。

アシュケナージさんも「悲愴」では体をいっぱいに使っての表現を見せてテンポはあくまでも中庸な感じだが最後まで緊張感を維持した演奏でやはりこれは名演ではなかろうか。

コンマスは篠崎史紀、冒頭のファゴットは水谷上総、クラは磯部周平、フルート神田寛明、オーボエ北島章の各首席、皆さん名人芸を披露。
★★★★☆
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チョン・ミョンフン指揮
ロンドン交響楽団


1・ショパン
   ピアノ協奏曲第1番ホ短調
     横山幸雄(ピアノ)



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2・マーラー
   交響曲第5番嬰ハ短調



2006.3.7 ミューザ川崎シンフォニーホール 19:00 2階RA5列31番


2004年3月以来のロンドン交響楽団(前回は首席のC.ディヴィス指揮)の演奏会、前回のシベリウスやストラヴィンスキー他の作品でのLSOのブリリアントな響きと演奏に感動を覚えましたが今晩の2006年来日初日の演奏会、オケの調子はいまひとつの感じを覚えた。

前半にショパン・コンクールで過去、日本人最高位である3位入賞経歴をもつ横山幸雄氏のピアノでショパン1番協奏曲、骨太ながっちりした構成で弾くかと思いきや実に軽やかなタッチとリズムの流れで意表を衝かれた。
ミョンフン指揮ロンドン響も爽やかな伴奏に徹した感じ。
好き嫌い云々というより万人に受けるであろう好演。

休憩後のマーラー5番、ミョンフンさんの指揮解釈は一連の東フィルでのマーラー演奏と基本的に変わりはないようであるが周知のオケであるロンドン響との今晩の演奏ではオケ側の自発性に任せてミョンフンさんもっぱら縦のリズム指示の強調が目立った。

かといって歌うところはそれなりに歌わせながらあっと言う間にフィナーレを迎えてしまった感じ。

4楽章のアダージョは特別の叙情性は強調せず、又3楽章のホルンのソロ奏者も特別ステージ前への移動もなし、ただ強奏時では7名のホルン隊はベルアップしながら輝かしい音色を響かせた。

実に朗々とした湿度の少ない(ロンドン響のブリリアントな音色の所為?)健康的なマーラー5番、ミョンフンさん、あまり”ひねりもなく”あれれ!の肩透かしだが優秀なオケを従えてのストレート勝負でした。
(今日の席はステージの殆ど後ろの位置で聴いたので弦楽群についてはノーコメントにします)
★★★★☆
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リー・シンサオ指揮
東京交響楽団


1・徐振民
   楓橋夜泊


2.パガニーニ
   ヴァイオリン協奏曲第1番二長調
     ホァン・モンラ(ヴァイオリン)



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3・ブラームス
   交響曲第2番二長調


2006.3.14 サントリーホール 19:00 1階18列28番

中国人の指揮者、ソリスト及び作曲家の曲を取り上げると言うこともあり
管理人の近くの席には中国大使館関係者が集団で居りSPらしき居丈高な面々ありでやや異様で落ち着かない雰囲気で始まった今夜の演奏会、

1曲目のXu Zben-min: Night Mooring by the Maple Bridge(楓橋夜泊)はフルート独奏でドビュッシー風の旋律で始まり中国風なメロディ満載ののんびりとした曲風、イングリッシュ・ホルン、ハープ、タムタムの音色が印象的。

パガニーニを弾くソリストは1980年生まれのホァン・モンラ、数々のヴァイオリン・コンクールで入賞、特筆すべきはパガニーニ国際コンクールでの優勝の経歴を持つ。
今夜のプログラムのパガニーニでもモンラは超絶技巧を遺憾なく発揮して驚くばかり、機会があればパガニーニ以外の作品も是非聴いてみたい。
アンコールにこれまた難曲のオルコール・ピウ・ノ・ミ・セント(うつろな心)を見事に弾きのけた。

休憩後のブラームスの2番、リー・シンサオ氏、東響からうねりのある歌わせかたで情熱的に彼らをドライヴ、バトン・テクも非常に明快で観ていても分りやすいのだが時として特に第1Vnのテンポのずれが見られたし今夜の東響の弦が何となく全体に厚みに欠けた感じで終わってみれば勿体無い感想。

本拠地、川崎ミューザ・ホールでのオケの響きの調整が行き過ぎたわけでもないだろうけどひところの、ここサントリーホールで度々聴かせた重心の低い迫力のある弦楽群の響きが今となっては懐かしい想い。
しかしながらボーマンさん率いるチェロたちは軽やかな曲の運びで心地よいし(特に2楽章など)管楽器では竹村首席のホルンの音色も絶品もの。

指揮のリー・シンサオ(Li XINCAO)さん、昨年はコンセルト・ヘボウ管にもデビューするなど(過去に都響、東フィルなどにも客演の経験があるらしい)これからどんどん活躍する一人になることでしょう、東響への再演を是非とも期待したいと思います。

それにしてもシンサオさん風貌がヴァイオリンの長原幸太くんに何となく似ているような(長原くんの無精ひげを無くすと)歩き方まで。。。
★★★★
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大友直人指揮
東京交響楽団


1・ブラームス
   ピアノ協奏曲第2番変ロ長調
     小山実稚恵(ピアノ)


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2・ヴォーン・ウイリアムズ
   交響曲第7番
     「南極交響曲」

     諸井サチヨ(ソプラノ)
     大和田ルース(語り)
     東響コーラス(女声合唱)



2006.3.19 東京芸術劇場大ホール 14:00 2階C列35番

今日のホールの入りはまずまずの部類。
最初に小山さんを迎えてのブラームス2番、1楽章は波に乗れない感じでしたが(細かいパッセージが聴こえなかったり)後半に進むにしたがって熱演になりました。このところの小山さん、ミスもあったりしたのですが今回は大きなミスもなくこの大曲を弾ききりました。
ホールのあちらこちらから盛大なブラボー!の声がかかりました。

一方,大友/東響の演奏はこの曲の持つ重厚さとやさしさを見事に表現していたと感じます。

休憩後の「南極交響曲」ステージ後方3列に東響コーラスの女声たちが並び、その1列目中央にソロの諸井サチヨさんが。

もとは映画音楽のために書かれたもの(「南極のスコット」例の遭難したスコット隊の悲劇)に手を加えて作曲、7番目の交響曲とされた。
もちろん生演奏で聴くのは初めてでしたが素晴らしい演奏でした。
東響Vn奏者の大和田ルースさんパイプオルガンの脇に立ち各楽章冒頭に標題を英語でナレーション、実に表情豊かでした。

大友さん得意のイギリス音楽、ここでも音楽への共感が東響のオケをとおして充分に伝わってきました。
東響の弦も管も力強い表現と繊細さを表現したし、さらにパイプオルガンが絶妙な響きを醸し出して素晴らしい。
ソロの諸井さん、東響コーラスの皆さんも澄んだハーモニーを聴かせて立派でした。(女声コーラス、珍しくスコアを見ながらでしたが、曲の性格上、音程や入りのタイミングなどさぞや大変だったのではと推察)

打楽器もゴング、鐘、グロッケンシュピール、シロホン、ヴィブラホーン、チェレスタ、果てはウィンド・マシーンまで使用する大変多彩なもので東響打楽器隊、大活躍でした。

終楽の5楽章は女声コーラスとウィンド・マシーンが消えるように奏されてエンディング。
そして続く空白の時間。。。
やがて静かに拍手が鳴り響く素晴らしい時間でした。
楽員、聴衆の全員に改めてBRAVO!を贈りたいと思います。
★★★★★
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リッカルド・ムーティ指揮
東京のオペラの森管弦楽団
東京のオペラの森合唱団

1・ヴェルディ
   「レクイエム」



ソプラノ:バルバラ・フリットリ
アルト:エカテリーナ・グバノワ
テノール:ジュゼッペ・サッバティーニ
バス:イルデブランド・ダルカンジェロ



2006.4.6 東京文化会館 19:00 3階R4列25番

ほぼ満員の聴衆でしたが何故か開演時間が20分遅れて合唱団、指揮者ソリストの登場での演奏開始。アナウンスが何もないのが不思議でした。

ともかく演奏の方ですが素晴らしいの一語に尽きるコンサートでした。
サイトウキネン等の小澤征爾にゆかりのあるオケ・メンバーが殆どで管楽器には外人奏者が目立ちました。

日本人が殆どの弦セクションはニュアンス豊かでしたしムーティさんの指示にも的確に反応してお見事、金管も(大半は外人奏者)元気はつらつでブリリアント。ただバンダのラッパはイマイチの出来。

それにしてもムーティさんの見事な指揮振りには(勿論、解釈もですが)ただただ唖然びっくり、ダイナミックでエネルギッシュあふれんばかり、「怒りの日」なんかは背筋が寒くなるほどの凄みでした。双眼鏡片手に只管、ムーティさんの雄姿と
フリットリさんばかりを追いかけていたような。。。

そこでソリスト陣、本日の4人の独唱者、みなさん充分に役目を果たしました。
生で聴いたことがあるのはテノールのサッバティーニのみ、フリットリもダルカンジェロもDVDでのオペラでは既に御馴染みですがメゾ・ソプラノのグバノワさんは初めて聴きましたが素晴らしいです、音程がしっかりしているし良く響く声です。
今後はむしろ素晴らしいワーグナー歌いになりそう。

サッバティーニ、ダルカンジェロも充分に持ち味発揮しましたが何と言ってもソプラノのバルバラ・フリットリでした。彼女のみスコアを用いずの歌唱、このヴェルディの「レクイエム」は彼女の十八番になっているのでしょうね。
当然、声量の配分にも留意したのでしょうし時おり椅子の脇のコップからの水分補給も怠り無く最後まで見事に存在感をしめしました。
終曲の「われを許したまえ」のフリットリの歌唱はまさに彼女の独壇場でしたね。

さて今夜の合唱たち、メンバー表をみたら管理人が日頃注目している臼木あいさんや文屋小百合さんなども載っているではないですか。オペラの森合唱団、統一のあるハーモニーだったとは言いがたいですがそれでも劇的な表現力とダイナミックレンジの豊かさは充分評価できます。

今夜のオケ、コンマスに矢部達哉さん、ヴィオラのトップはコンセルトヘボーの首席奏者の波木井さん、お隣に川本嘉子さんがお坐りでした。
生憎座席の関係で舞台上手側、チェロ、コントラバス側のメンバー配置は良くわかりませんでした。

90分におよぶ大曲でしたがムーティさん、前半の50分、後半のアニュスディからの40分と少し間を分けた時間の配分でした。
ただ惜しむらくはムーティさんの曲の進行の意図に反して会場が曲のつなぎの場面にざわざわ感があって少し感興を削がれる場面も。
それにしても終わってみれば盛大な拍手と何回ものカーテンコール!

今日の指揮者、ソリスト共、このレクイエムのためだけに来日(この後もう一回、トリフォニーホールで演奏)したわけですからある意味贅沢なコンサートでもありました。
★★★★★
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ダニエル・ハーディング指揮
東京フィルハーモニー交響楽団


1・マーラー
   交響曲第2番「復活」



ソプラノ:カミラ・ティリング
アルト:カタリーナ・カーネウス

合唱:東京オペラシンガーズ


 2006.4.8 文京シビックホール大ホール 15:00 2階11列29番

満員の聴衆をむかえて行われた演奏会、ハーディングへの期待が高まる演奏会であったが初めての日本のオケの指揮台に立ちまずは大成功のデビューを飾ったのではないか。

シビックホールの2階中央前から3列目の絶好のポジションでハーディングの指揮振りも良く観察できたし、16型編成の東京フィルの音もレスポンス良く響きが届いてきた。

マーラーの指示で1楽章の後、少なくとも5分の休みをおくとのことだが今回はその1楽章の演奏後に合唱団とソリストが登場して結果的にはスコアの指示に従ったことになった(5分以上経過したので)。

ハーディングさん、きびきびとしたリズム感で曲を運び東フィルも大健闘でした、若干弦楽器群にもう少し音の厚みが欲しいところですがオケ片方のメンバーは新国立のオペラに割かれているので致し方ないですね。
バンダで演奏したHrn4,Trp4,Pecのメンバーが素晴らしい活躍でニュアンス豊かな響き。

そしてハーディングとともに今日の特筆すべきは東京オペラシンガーズの合唱で表情豊かな表現と完璧なハーモニーと力強さで感動がさらに増した。

2人のスエーデン出身のソロも安定した歌唱。

5楽章のフィナーレは先述の合唱たちの歌で高揚していき、最後はまさにハンマーの一撃のような圧倒的な迫力で終結。
★★★★★
*****シャルル・デユトワ指揮
NHK交響楽団 第1566回定期公演

1・ラヴェル
   スペイン狂詩曲


2・モーツァルト
   ピアノ協奏曲第20番ニ短調K.466
     ピヨートル・アンデルジェフスキ(ピアノ)


********* intermission **********


3・シマノフスキ
   交響曲第4番(協奏交響曲)作品60
     ピヨートル・アンデルジェフスキ(ピアノ)

4・ラヴェル
   バレエ音楽「ラ・ヴァルス」


2006.4.15 NHKホール 15:00 1階L9列13番

 満員の聴衆です、久々登場のN響名誉音楽監督のデュトワを迎えてのN響定期。

前日のFM放送生中継を聴いて臨んだ本日の演奏会、直接生で聴いたこともあり本日は更にどれもスリリングに富んだ或いは情感豊かな音楽が繰り広げられて素晴らしいコンサートでした。

気鋭のポーランド出身のピアニスト、アンデルジェフスキさん、モーツァルトでは気品さを、シマノフスキでは情熱的な演奏で楽しませてくれました。

そしてデュトワさん、昨日の放送での唸り声はお終いの4曲目「ラ・ヴァルス」で少しだけ耳にしましたが、カーテンコールで洟をかんでましたので(歩行も少しふらついていたような)風邪でもひかれていた感じですが演奏はどれも素晴らしく特に圧巻は「ラ・ヴァルス」でした。
ウィットに富んだ弦楽群、ダイナミックな金管群、木管もチャーミングな音色、そして総ての楽器たちを効果的に引き締めた打楽器たち。
それぞれが熱い演奏で滅多に体験できない凄い「ラ・ヴァルス」でした。
弦では特にチェロ&コントラバスの強調、迫力が印象的でした。

コンマス:堀さん、チェロ:藤森さん、コントラバス:吉田秀さん、
オーボエ:茂木さん、クラリネット:磯部さん、フルートはトラで女性の方がトップを吹いていましたが良かったです。
★★★★★
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東京二期会、ハンブルグ州立歌劇場との共同制作 
       モーツァルト生誕250周年記念公演

1・モーツァルト
   オペラ「皇帝ティトの慈悲」全2幕



ローマ皇帝「ティト」:望月哲也
ヴィテッリア    :林 正子
セルヴィーリア   :幸田浩子
セスト       :林美智子
アンニオ      :長谷川忍
近衛長官プブリオ  :谷 茂樹

合唱 :二期会合唱団
管弦楽:東京交響楽団

指揮:ユベール・スダーン
演出:ペーター・コンヴィチュニー

舞台美術:ヘルムート・フラーデ
照明:マンフレート・フォス
舞台監督:幸泉浩司

2006.4.20 新国立劇場オペラ劇場 18:30 1階16列40番

満員の聴衆です、コンヴィチュニーの演出、スダーンの指揮するモーツァルトですから期待の程も分かるというもの。

純粋に声楽だけを楽しむ向きには”あれれ!”だっかも知れませんね。
出演の歌手達の動きの激しさもあり歌唱のみでの批評は的外れで芝居(演技)とそれなりのハードな動きの中での歌唱を楽しむべきでしょう。

誰が突出していたと言うわけではなく皆さん、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。が、やはり林正子さん、そして林美智子さんがなかでも抜群の存在感でした。

そうタイトル役の望月さんも第2幕では客席に座りながら指揮者のスダーンさんや会場の聴衆に問いかけたり軽妙な演技も示しました。

東京交響楽団は音楽監督スダーンさんのもとしっかりとした音楽を奏でました。

このオペラは本来オペラ・セリアの範疇に入るものだと思うのですが今夜のコンヴィチュニーさんの演出はむしろオペラ・ブッファ的な軽妙な笑いも交えた総合演劇的な作品に仕上がっていました。狙い通りの会心の出来ではなかったでしょうか。

コンヴィチュニーさんもカーテンコールでの舞台上で何度も笑みを浮かべていたのが印象的です。
★★★★★
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若杉 弘指揮
東京フィルハーモニー交響楽団 


1・プフィッツナー
   歌劇「パレストリーナ」
     3つの前奏曲


********* intermission ***********



2・ブルックナー
   交響曲第7番(ノヴァーク版)




2006.4.22 サントリーホール 19:00 2階C8列29番


2007年からいよいよ新国立劇場の音楽監督に就任が決まっている若杉弘さんが殆どその新国立劇場の専属オケのような東京フィルの定期公演を振った演奏会。

プログラムも魅力に富んだもので若杉さん得意のR・シュトラウスと同時代のプフィッツナーの3幕からなる歌劇「パレストリーナ」よりそれぞれの3つの前奏曲、特に第2幕の喧騒の場面で始まる不協和音的な音楽が秀逸、オケもポリフォニックな響きを綺麗に表現。
前半で早速BRAVO!の声。

後半のブルックナー7番(ノヴァーク版)
若杉さんらしい堂々としたオーソドックスな解釈、東フィルのオケも決して力ずくではなくて細やかで精緻に満ちた表現です。
がしかし、鳴らす箇所では若杉さんの身振りよろしく整った響きでレスポンスの良い反応。

非常に整った音楽に仕上げました。ヴァントやチェリビダッケなどの巨匠風の解釈には程遠い対極にあるブル7ですが若杉さんの相変わらずの若々しい往年の青春の息吹に触れた感じの今夜の演奏会でした。
ホールからは盛んなBRAVO!の声、すごい声援がいつまでも続きました。
★★★★★
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ユベール・スダーン指揮
東京交響楽団 第535回定期


1・藤家渓子
   フラ・アンジェリコの墓にて
     ~オルガンとオーケストラのための



2・プーランク
   オルガン、弦楽とティンパニのための協奏曲
     (オルガン)フレデリック・シャンピオン
     (ティンパニ)奥田昌史


*********** intermission ***********

3・ラヴェル
   「ダフニスとクロエ」第2組曲



4・ラヴェル
   ボレロ


2006.4.28 サントリーホール 19:00 1階18列28番

1曲目の藤家さんの作品は武蔵野市国際オルガンコンクール委嘱作品で今晩が世界初演、シャンピオンのオルガン独奏を交えての演奏、オケの不協和音で開始されるが途中ふと懐かしさを感じさせるメロディが流れたり結構、意表を衝く曲の展開、
オルガンよりオーケストレーションの妙を楽しめた。この作品、中々の力作と感じた。

2曲目のプーランク、3曲目のダフニスともにスダーンさんの指揮、リズムが重く全体にスッキリしない印象、演奏そのものは立派なものでしたけど。

が一転して最後のプログラムに置かれたボレロが揺るぎのないリズム感と壮大なオーケストレーションを駆使した演奏で圧巻。
アンコールにもう一度終わりのコーダの部分を再演。ホールの聴衆から熱狂的な声援を受けた。

本日は東響メンバー、オールメンバーで曲により首席が交替したりサブで吹いたり
(例えばFlの甲藤さんがダフニスでバスFlを吹いたり)恐らくもう一人のコンマス
、ニキティンさん以外は全員参加ではなかったろうか。
ボレロではクラのヌヴー、十亀、両首席の妙技も楽しめた。
★★★★☆
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河地良智指揮
お茶の水管弦楽団 第78回定期演奏会


1・ヴェルディ
   歌劇「運命の力」序曲



2・ドリーブ
   バレエ組曲「シルヴィア」
     1.前奏曲~狩の女神  2.間奏曲~緩やかなワルツ
     3.ピッツィカート   4.バッカスの行列


*********** intermission ************



3・シベリウス
   交響曲第2番二長調作品43



2006.5.6 ミューザ川崎シンフォニーホール 1階C4列1番

昨年の11月に多摩パルテノンのホールで聴いて以来のお茶管の演奏会。
前回は弦の響きの統一感、ホルンの音色に課題を残した感想を持ちましたが
今回、座った位置が1Vnのすぐ側という所為もありますが後ろのプルトまでしっかりヴァイオリンが鳴ってました。

それと今回は女性ばかりのホルン隊、見事なハーモニーと音色で金管楽器の中では出色の出来。
それに対して木管はミスも目立ち、少し気になりましたけどプロ・オケと比較するのは止めときましょう(笑)

ただ、指揮者の指示なのか、管理人の座った席の所為か、ティンパニの音がやたら”でかすぎ”&バチの所為か”こもった音色”が最後まで気になった。
リズムは良いのだけど強弱のニュアンスに乏しい感、次回に期待かな。

指揮者の河地さん、名前はお伺いしていましたが実演の指揮に接するのは多分、初めて。
学生たちの演奏を手際よく、見事な音楽にまとめてました。

アンコールに
1.シベリウス:アンダンテ、フェスティーボ
2・メンデルスゾーン:真夏の夜の夢から結婚行進曲

本日の一番は「運命の力」序曲、そしてアンコールに奏された「アンダンテ、フェスティボ」の整った弦の合奏に乾杯。
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サントリーホール20周年記念公演/国立音楽大学創立80周年記念事業
ホール・オペラ・アカデミー公演

ヴェルディ
   歌劇「ファルスタッフ」
     セミ・ステージ形式、全3幕


サー・ジョン・ファルスタッフ:レナート・ブルゾン
フォード:森口賢二
フェントン:櫻田 亮
医師カイウス:大野光彦
フォード夫人アリーチェ:トモコ・ヴィヴィアーニ
ナンネッタ:天羽明恵
クイックリー夫人:牧野真由美
ページ夫人メグ:鳥木弥生
バルドルフォ:小山陽二郎
ピストーラ:小野和彦

マルコ・ボエーミ指揮
国立音楽大学オーケストラ
国立音楽大学合唱団

演出:レナート・ブルゾン
演出補;田口道子




2006.5.10 サントリーホール 18:30 2階C4列32番


期待以上の素晴らしい公演でした。
演出、指導とタイトルロール役を兼ねてのレナート・ブルゾンの存在感が大きい。彼以外は日本人のキャストで揃えられたが特にクイックリー夫人の牧野真由美さんの安定した歌いぶりと軽妙な演技、それと恋人同士のナンネッタ役天羽明恵、フェントン役櫻田亮のお2人もそれぞれ伸びのある声、歌いまわしで良かった。
この3人にはひときわBRAVO!の声援も多かったのも納得。ブルゾンさんは別格として。

去年のホール・オペラ「ラ・ボエーム」でミミ役で熱演したトモコ・ヴィヴィアーニ(フォード夫人役)は残念ながら声、演技とも精彩を欠いた感じ。
とは言っても全体に歌手たちは大健闘したと言えるでしょう。

ヴェルディ最後のオペラにしては陳腐なストーリーで大笑いで楽しめるほどではない「ファルスタッフ」全3幕を2回の休憩を挟みながら最後まで惹きつけられました。

マルコ・ポエーミ指揮する国立音大学生オーケストラも整った響きで小気味良いしポエーミさんの躍動するテンポも素晴らしい。
コンマスにN響の元フォアシュピーラーの武藤伸二さん、いや~懐かしい。

舞台の中央にオケ、舞台奥と舞台最前列を使っての歌手達の演技でした。
★★★★☆
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スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮
NHK交響楽団 第1569回定期公演



1・ブルックナー
   交響曲第8番ハ短調(ノヴァーク版/1890年)






2006.5.13 NHKホール 15:00 1階L9列13番

スクロヴァチェフスキさんN響への客演は2002年以来の登場。
この8番は過去に読売日響を振った演奏会(東京芸術劇場シリーズ)を聴いて大変感動した経験があるので大いなる期待をもちながら臨んだ演奏会。

前の日のCプロ1日目のFM中継を耳にしていたこともあり更なる完成度を期待していたのですが残念ながら弦楽器の熱演を除いては大事なところでの管楽器、特にホルン樋口首席のソロが不調でそれに引きずられるようにホルン隊は低調、逆にホルンの後列のワーグナーチューバ&ホルン隊は良い響きでしたけど。
総じて言えばラッパ隊は昨日の演奏より完璧に近い音色と演奏ですし仮にCDに残すのなら両日の演奏のミックスダウンをすればかなりの演奏記録になるのかも知れません。

ミスターSさん、暗譜(スコア台も置かれず)での指揮、弦セクションにかなりの指示注意をはらっていた感じに見受けました。
ゆったり歌わせた3楽章でのクライマックスでの瞬発力、その後のコーダでの弱音で消えていくあたりはぞくっとする美しさ。
昨日同様、指揮棒が下りる前から拍手とBRAVOが入ってしまった。
少し興覚めの感。
★★★★☆
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ヨゼフ・スウェンセン指揮
東京都交響楽団 第627回定期演奏会



1・ニールセン
   歌劇「仮面舞踏会」序曲


2・チャイコフスキー
   ピアノ協奏曲第1番変ロ短調
     ニコライ・ルガンスキー(ピアノ)


*********** intermission ***********


3・ニールセン
   交響曲第4番「不滅」


2006.5.16 サントリーホール 19:00 1階7列36番

ヨハン・スウェンセンは1960年NY生まれで両親はノルウェー人の父と日本人の母。
日本へは1988年N響定期へヴァイオリニストとしてデビュー、シベリウスの協奏曲を弾いている。
都響へは昨年2月が初客演でシベリウス2番を指揮、現在はマルメ歌劇場管の首席指揮者をつとめている。

実に勘所を押さえた指揮でシャープな音楽を作る人に感じた。
今夜の全プログラムを弛緩を感じさせずに見事に聴かせた。もちろん都響のメンバーもそれに充分に応えて素晴らしいです。

ピアノのニコライ・ルガンスキーは1972年モスクワ生まれ、このチャイコフスキーの協奏曲では大げさな身振りもせず淡々と弾きこなしているようで奏でられた音楽はそれは素晴らしいものでした。
技術は超絶技巧に近く、完璧な上にリリシズムも充分感じさせ聴いている途中に、ふと米ソ冷戦状態の時代にチャイコフスキー・コンクールでアメリカから乗り込んで優勝したヴァン・クライヴァーンを彷彿とさせました。ルックスもどことなく当時のクライヴァーンに似ているような。。。

都響の伴奏も小気味のいいほどのすかっとした音色と響きでお見事。
ルガンスキーさん、ホールの盛大な拍手、歓声にこたえてアンコールを1曲
チャイコフスキー/ラフマニノフ編曲「ララバイ」

プログラムの両端はニールセンの作品
演奏時間5分ほどの「仮面舞踏会」序曲もそうですが第4シンフォニーも実に奏でられた音が気持ちのいいほど協調した響きでブラスもうるさく感じないし木管も上手く溶け合って「これがいつもの都響か」といささか驚いた。

「不滅」の終楽章に2組のティンパニが活躍しますが今回はステージ一番奥の両翼(右と左)を目いっぱいに使っての配置、管理人の席は上手側(右側)でしたがそれでも左右のティンパニの圧倒的な応酬合戦を聴き取ることが出来ました。
そして血肉が騒ぐフィナーレ、スウェンセン/都響の演奏、お見事の一言。
もちろん最近にない凄い声援がサントリーホールに響きわたりました。

スウェンセンさん、北欧の作品ばかりではなくマーラーあたりの作品ではどんな演奏を聴かせてくれるのだろうか是非聴いてみたいものです。
次回の来日が楽しみです。
★★★★★ 本日の都響のメンバー全員に乾杯!♪
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アーリル・レンメライト指揮
東京フィルハーモニー交響楽団


1・グリーグ
   「ペールギュント」第2組曲
     1・花嫁の略奪:イングリの愁訴 2・アラビアの踊り
     3・ペール・ギュントの帰郷:海の嵐の夕 4・ソールヴェィの歌


2・ラフマニノフ
   パガニーニの主題による狂詩曲
     中野翔太(ピアノ)


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3・シベリウス
   交響曲第2番ニ長調



2006.5.19 サントリーホール 19:00 2階C8列29番


アーリル・レンメライトはノルウェー生まれでウィーンを本拠に活躍中の指揮者。
以前に旧、新星日響にも客演があるらしい。

パリ・バスティーユでミョンフンのアシスタントをしていたそうだが指揮振りはサイモン・ラトルに似ている感じ、上背いはかなり大きくスリムな体型は独特。
シベリウス2番では弱音の響かせ方に特徴、東フィルも注文によく応えていた。
終楽章フィナーレでそれまでの抑制を解き放ちしかし響きの整った音色でコーダを閉じた。
レンメライトさん、あまり情感を表に出す人ではないのか終始冷静な指揮振りだけが記憶された。

中野翔太さんのピアノ、一つ一つの音符が際立った音色で美しい。がもう少し熱を帯びた表現でも良かったかなと感じた。

東フィル、今晩も概ね洗練された響きでよかった。
コンマスは荒井英冶さん。
★★★★
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ドミトリー・キタエンコ指揮
東京交響楽団 第536回定期


1・ショスタコーヴィチ
   ヴァイオリン協奏曲第1番
     (ヴァイオリン)川久保賜紀



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2・ショスタコーヴィチ
   交響曲第7番ハ長調
      「レニングラード」



2006.5.27 サントリーホール 18:00 1階18列28番


オール・ショスタコーヴィチのプログラムで組まれた今夜の東響定期公演、
キタエンコ指揮ですから半ばよい演奏会になるのは予想が付いたがこれほどまでの緊張、スリリングに満ちた演奏には滅多に出会えるものではないくらい感動。

まずキタエンコさん、この日の演奏の数日前(21&22日kitara)に札響定期でこの第7番「レニングラード」を指揮して充分手の内に入った状況での東響とのコンサート、まさしく満を持して臨んだ作品で的確な指示で70分を超える長大な作品を最後まで聴く側を見事に惹きつけて素晴らしい。

一方東響のメンバーも一人一人が熱演を繰り広げてくれました。
特に誰かを列挙するまでもなく楽員全員の誠実で確かな技量と指揮者との見事なまでのコラボレーションの勝利と言ったところか。
東響、フル編成でコンマス(コンミス)は大谷康子さん。

終楽章のフィナーレ・クライマックスの炸裂する大音響も見事なまでの均一な響きを保ったもので何年か前にゲルギエフ/キーロフとN響の合同演奏会(NHKホール)を凌駕する演奏に出会えた。
こんなに盛大で長い拍手、歓声は随分久しぶりのような気がするくらい。

川久保さんをソリストに前半に奏された協奏曲も40分を超える曲ですが、
こちらも熱演で川久保さんの一段の成長ぶりを確認。
★★★★★
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ジョナサン・ノット指揮
バンベルク交響楽団

1・武満 徹
   セレモニアル
     (笙)宮田まゆみ


2・シューベルト
   交響曲第8(7)番ロ短調
     「未完成」


********* intermission ************


3・ベートーヴェン
   交響曲第7番イ長調


2006.5.30 サントリーホール 19:00 2階C2列37番

今夜のプログラム(東響の定期公演のプログラムと似たようなもので一部900円は高すぎるけど)を開いたら
”祝! バンベルク交響楽団 創設60周年そして日本公演 通算100回!”
の文字が。

本日の演奏会が日本での通算100回目の記念に当たったそう。
しかしながら今夜の演奏会、あまり楽しめた演奏ではなかった。

一曲目の「セレモニアル」では笙の宮田さんはステージ中央前列ですが他にホール2階の中央(C7列後ろの通路)とLC,RC各1列目前方の三箇所に各2名の木管奏者たちがピッコロ、フルート持ち替え或いはクラやオーボエなどバンダ隊が配置されて興味深い体験、そう言えばこの曲を生で聴くのは初めてでした。

バンベルク交響楽団、60年の歴史(バイエルン放響が今年57年)とのことだが楽員はかなり入れ替えがあったようでかなり若い楽員も目立つ。
名匠カイルベルトさんのディスクで慣れ親しんだ響き音色の面影は全く感じられず、かと言ってBPOのオケのように機能性に富んでるわけでもなく二曲目の未完成、ラストにおかれたベートーヴェン7番、いささか消化不良の演奏に感じた。

ジョナサン・ノットさん、N響にも度々指揮をされたりと比較的馴染みのある指揮者ですがどうも今夜は単調な音楽で抑揚に乏しく超快速のテンポ(7番の終楽章)感覚が目に付いたくらい、情熱的に指揮をすればするほど何故かオケ側の音楽が一瞬止まってしまうかのような錯覚を覚えた。
細かなパッセージも良く鳴りきっていないうちに次のフレーズへ移行してしまったりなど、オケ側も楽員の交替などで今は端境期の時期なのか。
それとノットさんの指揮、やはり古典物より近現代の音楽により魅力を感じてしまう。

今夜演奏されたこの程度の演奏なら読響、東響など日本のオケのシューベルトやベートーヴェン演奏の方が遥かに音楽的で素晴らしいのではないか。

アンコールにリゲティ「ルーマニア協奏曲」から第4楽章
むしろこのアンコール曲が今のバンベルク響に一番合っているような躍動感たっぷりの快演。
★★★★
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大植英次指揮
ハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニー

1・ベートーヴェン
   交響曲第6番ヘ長調
     「田園」


******** intermission *********



2・ベートーヴェン
   交響曲第5番ハ短調
     「運命」




2006.6.9 サントリーホール 19:00 1階21列32番


2年ぶり2回目のハノーファー北ドイツ放送フィルの来日演奏会。
ホールの入りも上々で楽員たちの登場から温かい拍手。

オケの配置は対向型でコントラバスはステージ奥に一列に並ぶ。

ベートーヴェンの二つのシンフォニー、2管編成でティンパニは上手端に位置、前回来日時に聴いた時の座席の位置は2階RAという真横の席でしたのでオケ全体の響き具合は今ひとつでしたがコンミスを始め楽員の音楽する喜びがしっかり伝わってきた印象を持ちましたが今回は更にいたずらに鳴らすのではなくて緻密とは言えないまでも繊細な音の響きを表現してくれました。

大植さんも在任8年目を迎え無駄のない棒振りで時にはアイ・コンタクトだけの指示
も見受けられました。

アンコールにレオノーレ序曲第3番
中間部で聴こえる舞台裏からのラッパのソロがビブラートを効かせた音色で異質に感じたが上手い。ホルンは4人に増強、いい演奏でした。
★★★★☆
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to be continued


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