心の病とともに・・ 野いばら姫の日記

心の病とともに・・ 野いばら姫の日記

ラビリンス(迷宮)



ダブル・バインドとは、親子関係やモラルハラスメントやパワーハラスメントと深く関係するコミュニケーションの形態です。日常的に使われることで被害者は統合失調症などの精神疾患を発症することがあります。

ダブル・バインドはベイトソンという人類学者が「統合失調症」の子供を持つ家庭を調査している中で発見したコミュニケーションパターンのことです。

統合失調症の症状は、幻聴や幻覚、被害妄想という症状が特徴的な精神疾患です。それだけではありません。他の人との円滑なコミュニケーションができず「自分の状態がほかの人と違っている」「おかしいかもしれない」といった反省的に考えることができなくなる精神的な病気です。特に思春期から青年期という10代から30代に発症することが多い病気です。

ダブル・バインド、日本訳では「二重拘束」といわれており、ダブル・バインドというふたつの矛盾した命令を親から指示された子どもが、年齢的にその矛盾を親に指摘できないのをいいことに子供は親に服従せざるをえないという状況を作ることで、心が病んでいくことです。

そのパターンとしては
1.「〇〇するな」という禁止命令を出す。従わないと罰するという禁止命令です。
2.意見を言うことを禁じる。不満や矛盾を感じる段階で次の禁止命令が出ます。
3.逃げ出すことを許さない。ひとつの家族というコミュニティに属していることを繰り返し言って、ここから逃げ出すことはできないことをたたき込みます。

ダブル・バインド「第一次禁止令」として「こういうことはやってはいけない」(でなければ罰する)という命令が発動されます。では用心のため具体的にどういうことをしてはいけないのかを聞くと「そんなこともわからないのか!」と罰が下ります。

つまりダブル・バインド「第一次禁止令」とは条件をあいまいにしておくことで、すべての行動を罰することができる仕組みになっています。

ダブル・バインド「第二次禁止令」として「お前のために言っているんだ!黙って聞け」(でないと罰する)という命令が発動されます。指示に従わないことを禁じ、その指示に対する異議申し立ても禁ずるという二重の禁止令で拘束します。

ダブル・バインドから逃れる方法は、支配者から逃げることしかありません。しかし支配者はこの関係を維持しようとあらゆる手段に出てきます。

親子関係なら「なんだかんだ言っても血のつながりがあるんだから」といってダブル・バインドの構造が完結します。

こうしたダブル・バインドを受けて統合失調症になる子供は、少なくありません。やっている本人も気づいていないどころか、やられている被害者である子どもすら自分がダブル・バインドが原因で統合失調に陥っていると気が付かないことが多いのです。

ダブル・バインドによる支配が続くと、精神的にさまざまな障害があらわれてきます。たとえば言葉に表されていない意味にばかり偏執したり、逆に言葉の文字通りの意味にしか反応しなくなります。またコミュニケーションそのものから逃避するといった行動が目立つようになります。

子供の場合はより深刻で、AC(アダプティドチャイルド)=抑圧された子どもの性格が形成されていきます。その特徴としては
・感情の抑制
・他人の期待に応えようとする努力
・規律を守るいい子
・我慢、妥協、忍耐
・主体性の欠如
・依存的、消極的、慎重
・抑圧された怒り
などです。

親は子供に「〇〇してはいけない」という禁止命令を出します。もし守らなければ罰するという禁止命令です。つまりこれで子供をコントロールしようとします。ここで子供が不満や矛盾を感じて文句や意見を言おうとすると第二の禁止命令が発動されます。

「文句を言ってはいけない。黙って言うことを聞きなさい」でないとあなたを愛することはできないという無言のプレッシャーをかけるのです。子どもが当たり前に必要としている愛や心配などに条件を付けて、もし欲しいのなら文句は言うな、従えと子供の心を無意識に縛っていきます。

ダブル・バインドによって支配され始めると、被支配者は自分の感情は押し殺したまま、一方的に支配者の感情阿言い分を受け入れざるを得ない操り人形になっていきます。

これが会社内であれば人事異動で上司が変わったり、会社を辞めてしまえば逃れられます。夫婦間も同じで離婚してしまえばいいのです。しかし子供はそういうわけにはいきません。自立して親元から離れるには、長い時間耐えなければなりません。そしてその時間の中でがんじがらめにされていきます。

ダブル・バインドによってコントロールされ続けた子供は、なぜ叱られたのかという疑問すら持てずにモヤモヤしながら、さらに泣きたいという感情すら抑え込んで必死で明るい自分を演じます。

常に親が満足し、または肯定するような行動をしなければいけないという強迫観念が生まれます。自分の考えや気持ちを素直に表現することは罪悪なのだと信じ込みます。この繰り返しによって感情マヒを起こしていきます。そうしないと生き抜くことが難しいと本能的に知っているからです。

逃げられず、そして耐えられなくなってしまった子供は、徐々にしゃべらなくなります。さらには相手の話を聞かなくなったりして支配者であるお母さんやお父さんとのコミュニケーションを絶つという方法によって、今の自分のつらい状況に対処しようとします。

そしてある素因を持っている人であれば、統合失調症や解離性症状が出て、人としての心を徐々に壊していきます。

このダブル・バインドを無意識にやっているのが親です。自分の生き方に自信がない親は、世間の常識に自分を合わせることで安心感を得ようとします。そして自分が不安になりたくないために、子供にもその常識を強いろうとします。

学歴、就職、結婚にことごとく介入し、それが子供にとって幸せなことであり、子供を失敗させないことが親の務めであると信じています。そうして当たり前のような顔をして子供を支配していきます。

知らず知らずのうちにダブル・バインドを駆使し、自分の都合のいいように育った子供に何らかの問題が出てくると「なぜ?」「どうして?」となり、本当の原因が自分にあることすらわからないでただオロオロするばかりです。

ダブル・バインドで支配しようとする人間のメッセージの真意を考えてはいけません。なぜならそこには何らメッセージ性のないもの、つまり支配するため、叱るためだけの内容しかないからです。




・・・私のストーリーが、ここにありました。

「本当の私」は、一体どこへ行ってしまったのでしょうか?

「私」は、何者?


© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: