2)フォルツァ!フィオ!



akimoの借りてる部屋はチェントロと呼ばれる中心から近いところにある。
「築?さぁ?300年くらいじゃないの?」
部屋は5、6人で借りて住んでいるのだが 近所の友達が集まって来て いつもにぎやかだ。料理とイタリア語を勉強してる人、ジュエリー関係の勉強してる人、とにかくイタリアが好きで住んでいる人もいる。そんな人達とわいわい朝まで飲んで初日は気持ち良く寝た。

目が覚めると昼。
あきもはランチのためにお店に行ったあとだった。
パンと目玉焼きで朝食を済ませ、急いで着替える。
今日は日曜日。サッカーの試合なのだ。しかし、街は盛り上がっていない。スタジアムの近くでもあまり活気があるとは言えないだ。チームカラーの紫のマフラーを買いスタジアムの入り口に向かうと、仕事を終えたakimoと会った。そのまま中にに入ると試合が始まっていた。どうやら中田は出場していないみたいだ。レッジーナの中村は10番を背負いピッチに立っていた。試合は思ったより盛り上がらなかったが、点が入ると発煙筒が炊かれたりして、田舎ながらもセリエAらしいところが見られて満足。試合は 2‐1でフィオレンティーナが勝った。



夕方、ドゥーモやベッキオ橋などを少し歩いて観光した。日曜だからだろうか、
開いてる店は少なく、人もあまり多くなかった。
夜、ピザが食べたいという僕のリクエストに応えておいしいピザ屋に連れてってもらう。ワインを飲みながら待っていると、店員が何かを話してウィンクした。すると 背の高い男が 店を出て行った。
「あの人、選手だって!」
20分ほど待って座った席は入口に近く風が寒い席だったが、料理はとてもおいしかった。スタジアムには近いが チェントロからは少し離れているこの場所に、日本人の姿はないがオーナーや店員は僕らに何度も話しかけてくれて、最後にシチリア産の甘いワインをご馳走してくれた。試合に買ったから機嫌が良かったのだろうか。
オーナーとは帰り際に握手をして店を出た。
「おいしかったかい?また来いよ!」
とてもいい気持ちで暗がりの路地を歩いて帰った。


夜のポンテ ベッキオ。


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