暖冬傾向で、ゴルフ場の予約が多い!
100万ポイント山分け!1日5回検索で1ポイントもらえる
>>
人気記事ランキング
ブログを作成
楽天市場
043540
ホーム
|
日記
|
プロフィール
【フォローする】
【ログイン】
第19章
夢を終わらせないで
ミューは目を覚ました。
全身に温かい感触がある。
―――三途の川、というものでしょうか……?
本気でそう思いながら身体を起こすと、それは見知った連合軍の本陣だった。
「おぉ、目を覚ましたか!」
彼女は傷ついた兵たちとともに寝かされていた。
「私は……ルティーナとの戦いで傷ついて……あれは致命傷だったはずでは……?私は死んだのでは……?」
上半身を起こし、不思議そうに目の前にいたシックスに首をかしげる。
貴方たちも死んでしまって、ここはいわゆる“あの世”なのでしょうか?という質問は胸の中にしまった。
「陛下に感謝するんだな」
え?という風にミューが不思議そうな顔をすると、シックスは説明した。
「あんなでも、コライテッドの血筋だからな。治癒魔法の能力には長けているんだよ。実のところ南でも我がナターシャ家の次に優秀な魔法使いを輩出している家系だからな。まぁ実際、俺も陛下が魔法を使ったのは初めてみたんだが」
半ば信じられなかった。だが、あの致命傷にも関わらず生きているのは事実だ。信じるしかあるまい。
「シスカ様だけじゃなく、私にも感謝してよね!」
急にシックスの背後から現れた少女が言う。
「貴方は……?」
「私はコトブキ・ジェネラル。アンタを発見して、ここまで運んできた張本人よ!」
胸を張って威張るコトブキの耳をシックスが引っ張った。
彼女はあのヴァルクの妹だが、シスカのハンゼルの前に敗北。降伏し、南のシスカに忠誠を誓った。
「見つけたのはお前だが、運んだのは俺だろうが」
ミューにとって、その光景は面白可笑しいものであった。
思わず笑ったミューを見て、コトブキもシックスも笑った。
突入した部隊のことは分からないが、少なくとも私たちは勝ったんだ。ミューは、久しぶりに心から笑った。
同時に雨も上がり、顔を出した太陽は沈みかけ、青白い満月が昇ろうとしていた。
哀しみに打ちひしがれているゼロたちの前に、次の敵らしき者たちが現れた。
「おぉおぉ、フィールディアの奴、ヴォリムのおっさんなんかと相打ちかよ。腕が落ちたんじゃねぇの?!」
現れたメンバーの中の男が、彼女を馬鹿にしたようにそう言った。
「いったん、場外に戻ってください。ここが最後の部屋となります。以後の戦闘はここで行いますので、あしからず」
現れた5人の敵は、ゼロたちのよく知った相手だった。
みな懐かしい、貴族学校の仲間だ。
「アスター……リヴァス……セリラ……ランフェル……」
ゼロが彼らの名前を呻く様に呼ぶ。リヴァスはニヤニヤと、人の神経を逆撫でするように笑った。
「ライムも、久しぶりね」
ユフィが、ゼロに呼ばれなかった少女の名前を呼び、手を振る。相手も同様に手を振り返した。
「まずは、俺とランフェル。タッグマッチだ!二人出しな!」
リヴァスと呼ばれた男と、ランフェルと呼ばれた女がフィールドに立つ。
「おっと、まずはこの負け犬どもをよせねぇとな」
そう言いリヴァスはフィールディアの亡骸とヴォリムの亡骸を蹴り飛ばした。
その行為に、一人の男がキレた。
いきなりフィールドに飛び出し、抜刀する。
「ベ、ベイト?!」
彼の後を追うようにテュルティが飛び出す。
「ヴァリス……僕は昔から君が嫌いだったけど、今さらに嫌いになったよ」
剣先をその男に向け、静かに言う。
「けっ、俺もお前みたいないい子ちゃんは大嫌いだったね!」
優等生と不良の、典型のような二人。
ヴァリスが剣を抜いたところで、戦いは始まった。
ベイトとヴァリスが同時に動く。剣を合わせ、向かい合う。
「そんなにフィールディアを馬鹿にされたのが悔しいか!お前、アイツにビビッてたじゃねぇかよ!!いなくなって清々したんじゃねぇの?!」
剣を弾き、間合いを取る。ベイトは静かにこう言った。
「ヴァリス……“仲間”という言葉の意味も知らないお前なんか、死んでいいよ」
その声は、ゼロも今まで聞いたことのないような、背筋を凍らせるような声であり、彼からは想像もつかない言葉だった。
ナイフで指先を傷つけ、流れ出るその血で、印を切る。
「お、おい!ベイト!!やめろ!!」
「ベイト!ダメ!!」
だが一度印を描き終えたら、もう止まらない。
“血の契約”とともに、魔獣が現れる。
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
その咆哮に誰もが耳を覆い、その目は眼前のものを疑った。
首が3本あり、どこか伝説のドラゴンを彷彿させる、化け物。首以外に大きく異なる点は、翼を持たないという点か。
「ヒドラ、あの不味そうな男を喰っちゃいな」
冷たい笑みを浮かべながらベイトがそう命じる。
ゼロもテュルティも知らなかった。
彼がその身をもって契約しているのは、“ベヒモス”だけではないらしい。“ヒドラ”、今呼び出した魔獣も、彼と契約しているようだ。
その後十数秒の光景は正に地獄絵図だった。
ヒドラがその巨体からは信じられない速さでヴァリスに向かう。彼も当然のように応戦した。だが、巨象に挑む蟻が如く、彼は怪物に喰われた。彼のいた場所に、赤い痕が残る。それだけが、彼がここにいた証。
「ごめんね、不味かったろう?一先ずおつかれさま。ヒドラ、戻っていいよ」
その言葉とともに、その身を発光させ、瞬く間にヒドラは姿を消した。
その反動かベイトは足がふらつき、よろける。
「ベイト!」
慌てて彼を支えたテュルティ。彼女は、泣いていた。
「どうして、悲しみを一人で背負いこもうとするの……?私が、側にいるよ……?」
テュルティの言葉に、ベイトはハッと何かに気付き、俯いた。
「……ゴメン……」
ベイトがただ一言謝る。半ば意識を失っているようだ。
テュルティはまずこの戦闘が終わらせ、終わってからもう一度話そうと決め、目前の敵と戦うことにした。
テュルティが抜刀し、ランフェルと向かい合う。
相対したものの、彼女はどこか上の空だった。
出方を窺っている臨戦態勢に入ったテュルティに気付くと、彼女の雰囲気が変わった。
「相変わらずベイトも甘いのね。さっきの化け物に、私も喰わせちゃえばそれで終わりだったのに」
ほとんど抑揚のない声でランフェルが言う。
「ま、そんなわけだから死んでも私を恨まないでね」
たった今仲間を殺されたというのに。何ら焦りもない彼女に対し、テュルティは腸が煮えくり返る様な感覚を覚えた。
『仲間を大切にしない奴には、正義も大義も存在しない』
今は亡き父ジャニスの言葉で、テュルティの大事にしている言葉である。
テュルティは何も言い返さず、先手を打った。
彼女の剣がランフェルに触れる。相手は避けもせず、その攻撃を受ける。
「え?」
いたって普通な手ごたえ。何か特殊な防御があるわけでもなく、彼女の斬られた左腕からは赤い血が流れている。
「戦いで疑問を抱いたら、死ぬわよ」
テュルティが感じた違和感は、彼女に一瞬の隙を作った。その隙の所為で、彼女はランフェルの痛烈な蹴りをまともにくらった。
派手に吹き飛ばされ、思いっ切り背中をフィールドの壁に打つ。
その激痛に一瞬意識を失いかけたが、なんとか意識を保つ。だが、身体の節々が悲鳴を上げているようだった。
―――あばら……2,3本折れちゃったかな……。
ふらつく足に喝を入れ、再び向かい合う。もう、油断はしない。
「エルフ体術か……。まずいな……」
ゼロが苦い顔をする。
「なんでだ?」
ゼロの言葉に、ライダーが問う。
「エルフ体術は、すでに絶滅危惧される程使い手が少なく、後継者も少ない。去年から虎狼騎士だった者なら、フェイトが使っていたから対戦経験があるだろうが、テュルティには対戦経験も、それに対する知識もないはずだ。しかもさっきの攻撃、相当きてるはず」
ゼロの分析に一同は不安そうになる。
「知は力なり、か」
セティがそう呟いた。
この中で一番の最年長。その言葉は、どこか重みを感じさせる。
その言葉を聞き、その言葉の正しさを彼らは改めて実感した。
テュルティが剣を構え、相手の様子を伺う。さっきの攻撃を受けて、多少慎重になっているようだ。
だが、ランフェルはいたってノーガード。斬ってくれと言っているようにも感じる。
テュルティが意を決し、身体に鞭を打ち斬りかかる。
またもや彼女の剣は受け流されることなく彼女に決まった。腹部に横なぎの一撃。これは致命傷の手ごたえ。テュルティはやったと思った。
だがその一瞬の油断が、またもや隙になったようだ。今回は顎に強烈な蹴りをくらった。
またもやその威力に吹き飛ばされる。今度はなんとか受身を取ったが、顎にくらった分、立ち上がれない。いや、顎が砕けなかっただけマシというものだろう。
何故こうなったのか分からない、というようなテュルティの表情を見てランフェルが喋りだした。
「どうせもう立てないでしょう?冥土の土産に教えてあげるわ。エルフ体術の基本は、受身。敵の攻撃を致命傷にならないように受け流し、カウンターで反撃するの。敵に、いかに手ごたえを感じさせる受け流しをするかがポイントよ」
その言葉を聞き、テュルティは完璧にその術中にはまっていたことを感じた。
「さらに私には“痛覚がない”の。だから、どんな致命傷を受けても痛みを感じないのだから怯みはしないわ」
言い終えるとランフェルはゆっくりと、敵に止めを刺さんとテュルティに近寄った。
―――ヤバイ……!
動けと命令しても、まともに働かない脳。流石のテュルティも、命の危機を覚えた。
―――このままむざむざと死ぬわけにはいかないよね……。
チラッとベイトを一瞥する。
「ッッッ!!!」
まともに働かない脳に、無理矢理別な刺激を与えるため、彼女は自分の太ももにナイフを突き刺した。
痛みのあまり顎の痛みを忘れ、彼女は立ち上がることができた。
「まだ……負けないかんね!」
三度剣を構え、相対する。彼女の話が正しいのならば、一撃で油断せず、連撃で殺すまで攻撃すればよい。それがテュルティの出した答えだった。
―――この攻撃で決める……!ベイト、見ててね!!
斬りかかったテュルティの攻撃を受けきらんと、ランフェルも今回は構える。彼女の発するオーラが変わったのを、感じ取ったようだ。
伝統的な、エルフ剣術。テュルティの剣の一連の動作は、流れるような美しさが秘められていた。連続攻撃のお手本のような彼女の動きを、ランフェルは読みきれていなかった。最後の一撃が決まり、ランフェルが吹き飛ぶ。だが、テュルティは止まらない。さらに近づき、剣を振り下ろす。
だが。
その最後の攻撃は届かなかった。
ランフェルの蹴りを腹部にくらい、派手に吹き飛ぶ。
痛みと疑問で、混乱するテュルティ。
咳き込みながら、ランフェルがテュルティを見た。彼女もはたから見れば満身創痍、血だらけである。何度も斬られたのだから当然と言えば当然だが。
「いい攻撃だったわ。3発くらい、まとも受けてしまったようだし。私じゃなければ、確実にショック死するくらいの攻撃だと思うわ。でもね、言ったでしょ?私は痛みを感じないって」
どうやら、連撃の最後に、ランフェルは自ら後方に吹き飛ばされたフリをして、受けきったらしい。さらにまともにくらっていないのだから、体勢を立て直すのも容易い。追撃の前に体勢を立て直し、突っ込んでくるタイミングに合わせて蹴りを出せば、こうなるというわけだ。
今度こそ止めを刺さんと、テュルティに歩み寄る。テュルティは、内臓がやられたようで、呼吸がおかしかった。咳き込み、血を吐いている。
―――ゴメン、ベイト……。負けちゃったよ……。
テュルティが絶望し、虚ろな目でランフェルを見る。もう視界もはっきりしないようだ。世界が、ぼやけている。
その戦いを見ているメンバーは、もう見ていられないというように、顔を伏せたり、顔を両手で覆ったりした。
だが。
「え?」
突如ランフェルの心臓から、剣が飛び出した。
「流石にこうなっちゃ、痛みがなくても“生命維持”できないだろ……?」
誰もが目を疑った。先ほどまで意識を失い、倒れていたベイトが立ち上がり、ランフェルの背後から剣を突き立てている。その剣は、正確に心臓を貫いていた。
驚きを隠せぬまま、ランフェルは事切れた。テュルティの攻撃の中に、致命傷もあったのだ。どちらにせよ、残りの命は僅かだったろう。
「これが、タッグマッチでよかったよ」
ベイトがテュルティの側に歩み寄り、抱きかかえ、フィールドの外に出る。
二人の側に皆近寄り、心配そうにテュルティを見る。
慌ててユフィが治癒魔法を使い、傷を癒そうとするが、テュルティが受けたダメージは、内臓を相当傷つけていた。一命は取り留めたはずだが、しばらくは意識不明のままだろう。
「シスカ様なら、私より高位の治癒魔法が使えるから、見てもらったほうがいいかもしれないです」
ユフィがベイトにそう告げる。
誰もが、ベイトは急いで彼女をシスカのところへ連れて行くだろうと思った。だが、ベイトはすぐにはそうしなかった。
「ゼロ、僕がいなくても、大丈夫かい?ムーンと戦うのにおいて、支障はないかい?」
まさかベイトがそんなことを言うとは思わなかった。
「支障がないとは言い切れない」
ゼロは正直に答えた。
「お前の魔獣は強力だからな」
ゼロの言葉に、誰もが反論しようとした。
「ゼロ!その子はお前の従兄妹だろ?!どうなってもいいのかよ?!」
ライダーがゼロに食いかかる。ベイトは首を振ってそれを静止した。
「やめて、ライダー。だってそうじゃないか。これから戦うムーンは、もっともっと強いんだから、微力でも戦力はあったほうがいい」
真っ直ぐな目をしてベイトがライダーに言う。その雰囲気に、ライダーは閉口した。誰よりもシスカのところへ駆けつけたいのは彼なのだ。それがライダーには痛いほど分かった。
ゼロはベイトに背を向けた。
「でもな、俺は戦闘中に意識を失うような奴は戦力としちゃ数えちゃいねぇよ」
無二の親友に冷たくそう言い放つ。だが、そのゼロの言葉にユフィとリンは微笑をこらえていた。
それは不器用ながら、ベイトをシスカの所へ行かせる言葉に他ならなかった。ベイトは、ゼロの不器用な優しさを理解し涙が出そうだった。
「ゴメン……ありがとう、ゼロ」
テュルティを抱え、来た道を引き返すようにベイトは駆け出した。
ユフィがベイトの走っていった方向に背を向けたままのゼロを小突いた。
「素直に言えばいいのに」
「うるさい」
照れたゼロを見て、ユフィは微笑んだ。
「ま、ゼロらしいって言えば、ゼロらしいけどね」
ユフィの言葉は、温かかった。
「セティさん、あいつが無事にシスカのところに行ける保障はない。念のため、付いていってやってくれませんか?後、ついでに外の状況を見てきてくれるとありがたいです」
自分を待っていた伏兵がいたように、ベイトが引き返す道中に敵がいないとも限らない。ゼロはそれを考慮した。
セティは壁を背にし、一連のやり取りを見ていた。
「……いいでしょう」
ゼロの言葉のままに、彼もまた来た道を引き返す。
「なんだかんだいって、ゼロさんはベイトさんに甘いじゃないですか」
リンがニヤニヤしながらゼロに言う。
「だって大親友だもんねぇ」
「ったく、どいつもこいつも……」
照れているゼロを見て、ユフィとリンは顔を見合わせて軽く笑った。
残るメンバーは、ゼロ、ライダー、ユフィ、リン。
そして、敵は3人。
―――こいつらを倒せば、ムーンは目前だな。
ゼロは改めて気を引き締めた。
テュルティを抱きかかえたまま、ベイトは全力疾走する。
「もう少し、もう少しだからね……。我慢しておくれ……!」
幸い、何の障害もなく外に出ることのできたベイトは、シスカのいるであろう連合軍の本陣に向けて疾走した。
「ところで、さっきの戦いでベイトが出した化け物はなんだったんだ?」
ライダーが、思い出したようにゼロに問う。
「ベイトの“奥の手”だよ」
面倒くさそうに、ゼロがただ一言そう言う。
「説明になってねぇ」
ライダーが軽く繰り出した拳をさっと避け、ゼロは簡単に説明した。
「アイツの家系は知ってるだろ?獣神ネイクターの末裔だからな。魔獣と契約することができる、それがアイツの特殊能力なんだ。まぁ、契約した魔獣を呼び出すのに使う代償が、“契約者の寿命”らしいのが難点なんだがな」
「ふ~ん……って、じゅ、寿命だと?!」
その代償にライダーは絶句した。流石にユフィもそれは知らなかった。
「あいつの家系が妙に早世なのは、それが理由さ。自分の寿命がどれくらいかなんか誰にも分からない。その謎の数値を代償にしてるんだ。大したもんだよ」
遠い目をしたゼロ。彼の言葉こそは軽いが、その内容は実に重かった。
「じゃあ、もしかしてアイツにさっきあんなことを言ったのも……?」
鈍いライダーだが、流石に察したようだ。
「当たり前だろ。アイツの性格からしてムーン相手に魔獣を使わないわけがない。でも、俺はアイツにそんなことはしてほしくない」
ゼロの言葉が、ライダーの胸に痛かった。
ゼロにとってベイトという少年がどれほど大事な存在であるかを考慮していなかった。
「悪かったな……。お前の考えも気持ちも知らずに、怒ったりして」
妙に素直なライダーを、ゼロは意外に思った。だがゼロは軽く笑って、気にするな、と簡単にそう言った。ゼロもライダーも気付かなかったが、二人がこうして素直に話していることは貴族学校時代にもなかったことだ。
―――友情の芽生え、ってやつかな。
ユフィは何気なくそんなことを思っていた。
「あ、次の人がフィールドにきましたよ」
リンの言葉に、3人はフィールドを見やった。
「アスター、か」
ゼロは古きクラスメートの名前を呟いた。
「じゃあ、俺が行くかな」
フィールドに飛び出そうとしたライダーを、ゼロは引き止めた。
「あ?文句あんのかよ?」
反射的に喧嘩腰になったライダーの腹部に、ゼロは拳を押し当てた。
「ぐふっ!」
呻き声を出し、よろけるライダー。
「怪我人がでしゃばるな。俺に任せておけ」
苦しそうなライダーに、ゼロは晴れやかだが、本質は悪魔のような笑みを浮かべそう告げた。
「ゼロ……てめぇ……!」
睨むライダーを後目に、フィールドにゼロが飛び出す。
―――芽生えた友情、壊れる、か。
客観的に、ユフィはそんなことを思っていた。
だが、事実ライダーがゼリオとの戦いで受けた傷は完全に癒えたわけではない。今は安静にして、来るムーンとの戦いまでに完治させようという狙いがゼロにはあった。
その事実を知るものは、さすがにいない。
あまりに不器用で、説明不足過ぎるゼロの優しさ。
アスターはふつうのクラスメート、としか実感していなかった分、どんな奴だったかなかなか思い出せなかった。
「久しぶりだな、ゼロ」
故に、話かけられたときにどう返せばいいのか、いまいち分からなかった。
「あぁ」
当たり障りもないような返答をする。
そして、アスターの抜刀に合わせてゼロも刀を抜く。
「正直、お前に勝てる気はサラサラしないよ」
いきなり弱気なことを言うアスター。ゼロは拍子抜けした。
「だったら、剣を引け。そして、一緒にムーンを倒さないか?」
ヴァルクのときのように、説得を試みる。
『ゼロ、貴方はつくづくお人好しなのだな……』
アノンの呆れた声がゼロの頭の中に響く。
『悪いかよ……。あ、そうだ。アノン、お前この戦いには手を出さなくていいからな』
『……承知した』
ゼロの言葉は、アスターを拍子抜けさせたようだ。
「それもおもしろいなぁ……。でも、やっぱ騎士たるもの主君を裏切るわけにはいかないだろ?」
アスターが諦めたように苦笑しながら首を振り、そして真剣な目をしてゼロを見る。
「全力を出して、少しでもお前を“消耗”させるさ」
その信念に、ゼロは残念に思った。勝てないと分かっていても、決して退かないその信念。
―――惜しいな……。いい奴なのに、戦わなきゃいけないのか……。残念だ……。
そして、二人の戦いが始まった。
アスターの実力は、決して低いわけではなかった。剣を合わせるからこそ分かる、その実力。そして何よりその想い。きっと今彼は100%を出しているのだろう。
ゼロは彼の気迫に圧倒されそうになった。
―――負けるわけにはいかない!
ゼロの目つきが変わる。
次の瞬間、アスターには何が起こったかさえ理解できなかった。
突風がその場を過ぎていったような、そんな一瞬の出来事。
何が起こったのか分からぬまま、彼は死した。
ゼロの実力に、磨きがかかっている。
その姿は、リンでさえ捉えることができなかった。
相手は元同級生なのだが、それ以上に敵という認識は高いらしい。
ゼロが無表情で戻ってくる。ユフィとリンが拍手して向かえ、ライダーは右手を上げた。ゼロは少し意外そうな顔をしたが、ニッと笑ってその手を叩いた。
パンッ、と軽い、いい音がした。
「次は、私が行くね」
ユフィがフィールドに進む。彼らは敵側がフィールドに送った者を見て納得した。
ユフィと同級生であった、ライムが立っていたからだ。
両者は久しぶりに、殺し合いをする場で再会したのだった。
ついにムーンとの戦いが迫る。
だが、その前に倒さねばならぬ敵がいるのも事実。
ユフィとライム、どちらが勝つのか?
ついに、ユフィがその力を見せる。
BACK
/
NEXT
ジャンル別一覧
出産・子育て
ファッション
美容・コスメ
健康・ダイエット
生活・インテリア
料理・食べ物
ドリンク・お酒
ペット
趣味・ゲーム
映画・TV
音楽
読書・コミック
旅行・海外情報
園芸
スポーツ
アウトドア・釣り
車・バイク
パソコン・家電
そのほか
すべてのジャンル
人気のクチコミテーマ
妖怪ウォッチのグッズいろいろ
今日もよろしくお願いします。
(2023-08-09 06:50:06)
どんな写真を撮ってるの??(*^-^*)
三沢基地航空祭2025.09.21
(2025-11-29 06:30:05)
戦闘機の写真を撮るのが好き!
三沢基地航空祭2025.09.21
(2025-11-25 06:30:06)
© Rakuten Group, Inc.
共有
Facebook
Twitter
Google +
LinkedIn
Email
Mobilize
your Site
スマートフォン版を閲覧
|
PC版を閲覧
人気ブログランキングへ
無料自動相互リンク
にほんブログ村 女磨き
LOHAS風なアイテム・グッズ
みんなが注目のトレンド情報とは・・・?
So-netトレンドブログ
Livedoor Blog a
Livedoor Blog b
Livedoor Blog c
楽天ブログ
JUGEMブログ
Excitブログ
Seesaaブログ
Seesaaブログ
Googleブログ
なにこれオシャレ?トレンドアイテム情報
みんなの通販市場
無料のオファーでコツコツ稼ぐ方法
無料オファーのアフィリエイトで稼げるASP
ホーム
Hsc
人気ブログランキングへ
その他
Share by: