そらをみあげて。

そらをみあげて。

終わりへ向かって-「隠し事。-1」


本日、ランドバル帝国はお花見中。
主催者が、希望すれば市民でも参加できる物にしたためごちゃごちゃである。
花より団子、一心不乱に食べる者。
歌い、踊り、場を盛り上げる者。
周りを気にせず、二人のだけの空間を作り出している者。
誰これかまわず、説教をしている者。。。


そんな喧騒を遠くの木の陰からみつめる者が一人。

「よきかなよきかな。 やっぱお花見開いて正解だったわ」

その少女は、満足そうな、しかしどこか物悲しげな笑みを浮かべている。

「で、さっきからそこで何をしているのかしら? オーエン。」

「んー、やっぱりばれてたか。。。」

その声に観念したかのように、少女の後方の茂みからオーエンが姿を現す。

「何をしているのか聞きたいのはむしろこっちだな。 私は当日忙しくていけないからとか言ってたのはどこの誰だっけ??」
「私だっていろいろあるのよ。。。それより主催者がこんなとこでストーカーしてていいの? 早く戻りなさいよ」
「ったく。。本当の主催者はお前だろ? 準備全て自分でしといて、 私の名前は出さないで。全ての準備をしたのはあんた。 ってなぁ。。どんなツンだよ」

実は、お花見の提案から全ての準備まで行ったのはこの少女なのである。
しかし公にはオーエンが一人で行ったことになっていて、そのことを知る者はオーエン一人である。

「別にいーじゃなぃあんたの手柄になるんだし。 主催者が当日いけないんじゃ形にならないと思ったからあんたにあげただけよ。 深い意味はないわ」
「でもそれで自分の名前を出すなってことにはならんと思うが? それに現にお前はここに来てる。。そうだろ??」
「そ、それは。。。」

少女が言葉につまり、一瞬の静寂が訪れる。

その静寂を破ったのはオーエン。

覚悟を決めた表情で、少女に問う。



その問いをすべきであったかどうかは、誰にもわからない。
ただ、一人の少女に変化をもたらすことになった。
それだけが事実である。



最終章:終わりへ向かって-「隠し事。-2」 へ続く。



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