そらをみあげて。

そらをみあげて。

終わりへ向かって-「隠し事。-2」



その静寂を破ったのはオーエン。

「diec。何か隠してるだろ?」

覚悟を決めた表情で、その少女。。diecに問う。

「何バカな事いってんのよ。私はなんも隠してなんかないけど?」
「嘘だな。。。最近のお前は無理に周りに冷たく接してる。意図的に嫌われ、自分が孤立するように。」

傭兵部隊に子供の隊長。たった2年での中将昇格。。。
元より一部からは煙たがられていた。
その上最近のdiecはわがままな度合いが更に増し、軍内部で浮き始めていた。

少しずつ人が離れていく中、気にして声をかけてくれる人をも突き放す始末。
今や彼女の明るさは失われていた。

「そ、それが何だって言うのよ。そもそも私の人間関係なんて私の勝手でしょっ」

「ったく、何年一緒にいると思ってんだよ。。。」

苦笑いを浮かべ、オーエンは続ける。

「『移動』。。。だな? 他の奴らも薄々感づいてるぞ??」

バレているとは思っていなかったらしく、驚きの表情を浮かべるdiec。

少しの間があり、その表情は諦めへと変わる。

「はぁ。。。魔女のくせに隠し事下手なのよねぇ、私。 あーぁ、バレちゃってたかぁ」

無理をしているのだろうか。瞳にはうっすらと涙がうかんでいる。
それを見て、抱きしめようと一歩踏み出そうとするオーエン。

「あんた今抱きしめようとか思ったでしょ。 だーめ。 だれがあんたなんかの胸で泣くもんですか」

そのオーエンの目論見も、まぁ当然ながら砕かれるわけでして

「たまには誰かの胸のうちで泣くのもいいと思うぞ?」

ものすごく残念そうな感情をひた隠し、いつものからかいの表情でオーエンが言う。

「ゲームのしすぎー。現実的にそんなシチュエーションなんて滅多に起こんないわよ。」

(まぁ。。そりゃぁ私だってそぅして泣いたことないわけじゃなぃんだけど。。。)

「ん、 私だって なんだって?」
「う、うるさぃうるさぃうるさぃー! ほらさっさとお花見に戻りなさいっ 主催者いなきゃダメでしょ?!」
「はぃはぃ、わかりましたよお姫様。 ったく、調子戻るとすぐこれだ。。。 よっとっ」

オーエンはdiecを抱きかかえるとお花見会場へと歩き出す。
所謂お姫様だっこというものである。

「えっ?! ちょっとっ あんた何してんのよっ 隊長命令よ、早くおろしなさいーっ!」

真っ赤な顔で、腕の中をぱたぱたともがくdiec。

「だーめーだ。どうせ別れがつらくてわざと独りになってたんだろ? 逃げるんじゃねーよ。お前もいくぞー」
「だ。。だれが逃げてるのよっ! 。。。ったくしょうがないわねぇ。そんなにさみしいって言うなら、可哀想だからかまってあげるわよ。」
「俺がさみしいなんて一言もいってねぇだろうg」

その言葉をさえぎるように顎に一発衝撃が。
崩れ落ちるオーエン。

「何寝てるのよ。 早く来ないと置いてくわよ?」

diecは桜の木の下へと歩き出す。
その表情には笑顔が戻っていた。


桜舞い散る春の終わり
宴はまだまだ続くのであった。。。

翌日、お花見の余波で国家機能が一時停止しかけたのは言うまでもない。



最終章:終わりへ向かって-「隠し事。」 完。




ちなみにまだ『最終章』は終わりません。
後何本か書く予定です。
もうしばらく自己満足な世界にお付き合いいただけると嬉しいです。



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