M's green room

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LotRオールナイト・イベント


ロード・オブ・ザ・リング
スペシャル・エクステンデッド・エディション
オールナイト・スペシャル・プレヴュー

日時:2002年11月29日(金)オールナイト・イベント

場所:丸の内プラゼール


コレクターズ・エディション版(劇場公開版)DVDに、特典として付いていた中つ国パスポートの登録会員限定キャンペーン第一弾で、30分の追加映像を加えたスペシャル・エクステンデッド・エディション(SEE)版DVDの発売に先駆けて行われたプレビュー・イベントに行ってきました!
ちなみに275組550人の枠で、応募状況は約3000人とのことでした。

イベントの進行状況は、下記の通り。
23:00開場/24:00トークイベント/1:00プレステ2版TTTプロモーション映像~前編上映~途中20分休憩~後編上映~TTT映画予告編上映/5:00終映

私と連れの不破さんは、遅めの夕飯を食べてから22:20頃に会場へ行ったんですが、既に長蛇の列が出来てました。
開場の際に、当選ハガキと中つ国パスポート所持の確認があり、参加者全員にTTT他数枚の映画チラシと、私は既に持っている(苦笑)プレステ2版TTTのプロモーション用DVDソフトが配布されました。

ロビーには、日本では来春公開予定のTTTのポスターがズラリと貼ってあって、主要メンバー/フロド/アラゴルン&アルウェン&エオウィン/アラゴルン&レゴラス&ギムリ&ガンダルフ/サルマン&グリマ&サウロンの目…の5種類ありました。
…不破さん、アラゴルン&アルウェン&エオウィンのポスターを見て、「王様、女2人を従えて…いや、侍らせて?」とのたまったその言葉、決して忘れないわよ!
しかし、剣を構えたアラゴルンの両脇に女性キャラ2人が配されていたので、確かに彼女の言葉を否定出来ないデザインではありました(苦笑)。
私は、アラゴルンは言うまでもなく、アルウェンもエオウィンも好きなので(<…っつーかアンタ指輪キャラみんな好きデショ/苦笑)FotRの時より恋愛度が上がっても全然、気にならないんですが、他のファンの人たちの評価はどうかなぁ。
映画版アルウェン、原作キャラの出番をかなり食っちゃってるんで、特に女性ファンからの風当たりが強いように感じるんですが、気のせい…じゃないよな(汗)。
原作追補編の「アラゴルンとアルウェンの物語(その一部)」がホントに切なくて大好きなんで、映画にもあの雰囲気が少しでも垣間見られればいいなぁと、個人的には思ってマス。

他には、限定販売用のSEE版DVD特典のアルゴナス像のブックエンドと、今回の当選ハガキとしても使用されていたデザイン(<ちなみに私はアラゴルンでした♪)も含むポストカード全16種類も展示。
今回のイベント参加記念と言うことで、日付入りの記念スタンプ押印のサービスも行っていました。

本編上映前にはトークイベントが30分ほどあり、3人のゲストのうちの1人が、劇場版パンフレットにも記事を書いていた映画評論家の若林ゆりさんでした。
ニュージランドでLotRの取材をすることが出来る、日本唯一のライターと言うことでお話を披露されていたんですが、話された内容のほとんどが既に知っていることばかりだった事実に、物足りないやらそんな自分にちょっと呆れるやら…。
そのトークの内容と言うのが、オーランド・ブルーム(レゴラス)、ヴィゴ・モーテンセン(アラゴルン)、ショーン・ビーン(ボロミア)、イアン・マッケラン(ガンダルフ)の4人の俳優とそのキャラについての話題がほとんどで、私は特にヴィゴ@アラゴルンの大ファンですし、他の俳優陣も大好きなのでそれはそれで嬉しくはあったんですが、どうにもゲスト女性3人のシュミが垣間見られるミーハートークを聞いているような印象で、しかも詳しく知っている人に向けて話しているのか、あまりそう言った情報に詳しくない人に向けて話しているのかがイマイチわかりずらい内容に、もう少し具体性があって客観性の高いしゃべりをして欲しかったなぁ…まぁ、本場の製作スタッフがゲストなワケじゃないからこんなもんかぁ…と、私個人としてはちょっと不満の残るトークイベントではありました。
あ、でも、若林さんが、劇場版ではレゴラスが矢を4本撃つシーンが、SEE版では7本撃ってるんですよ!っておっしゃっていたのはかなり面白かったな(<ホントにそうでした/笑)。

その後、休憩を挟んで、プレステ2版TTTのプロモーション映像を上映。
無料配布のDVDソフトに入っているものとは違う内容の、更に開発が進んだ状態の映像が流れたんですが、これが会場内で爆笑の渦を巻きおこしていました。
まず、ナレーションが吹替え版アラゴルン役の大塚芳忠氏だったんですが、途中でナンと「私、アラゴルンが…」って自己紹介始めちゃうんですもん!
わ、私って!?単にナレーションしてるだけじゃなかったんですかっ、大塚さん!!
キャラの映像が映画版からゲーム版にスライドするところでも笑いがおきていましたが、何よりスゴかったのは、アラゴルンの必殺技習得画面の映像でしょうか。
…確かイシルドゥアなんたらって言うワザだったよーな…(汗)。
それなら、同じくプレイヤーキャラのレゴラスにはスランドゥイル・フラッシュ、ギムリにはバーリン・アタックとか言ったワザもアリなの?
…たとえ古典・指輪物語が原作だろーと、TVゲームのお約束はちゃんと踏まえるんですね(爆)。
あ、でも、心配していたオール吹替えかどうかについては、英語バージョンとの音声切り替えが可能だと言うことがわかって一安心。
そして特典映像として俳優陣のインタビューも入るそうなので、これはもう買うしかないんだろうなぁと腹をくくりました(苦笑)。

そして続けてSEE本編の前半部が上映され、後半部との合い間の休憩時間と終映後に、ロビーにてピンバッチの特典つきTTT前売りチケットを販売していました。
FotRの時と同じく、どーせ何回も観るに決まっているので(…)、既にプレミアチケットも持ってはいたんですが、不破さん共々、とりあえず1枚ずつ購入してそれぞれフロド(&サム)とアラゴルンのピンバッチを貰いました。
こー言うグッズものって、使い道、ゼンゼンないんですけどね…(苦笑)。

で、肝心の本編ですが、やっぱり大画面&大音響は違いました…!
そして自宅でUK版DVDを観ている時は、追加された映像ばかりを繰り返し観ていたので、ちゃんと全部続けて観てはいなかったんですよね。
劇場版はたたみかけるように話が進んでいくので、確かにその方がテンポはいいと思うんですが、今回の上映会で、前後のエピソードや今後の話の展開をより深く理解する為には、追加シーンにかなり重要な情報が含まれていると言うことを改めて認識させられました。
出来れば休憩ナシで、流れを中断せずに続けて観たかったんですが、さすがに夜中に3時間28分をぶっ続けで観るのは、ムリがあったかな…(苦笑)。
字幕も、ああ、ここはこう訳しちゃうんだぁ…と思ったところは何箇所かあったんですが(<特に、ボロミアが初対面のアラゴルンに「You are no elf.」と尋ねるセリフが、「人間か?」になっていたところ。あそこは、“エルフ”と言う単語を強調して、あんたはそうじゃないな?ってことを確認する方が、物語後半部のミナス・ティリス行きについて2人が言い争う場面で、人間を信用せずにエルフを信用するのかとアラゴルンを問い詰めるボロミアのセリフがより生きるように思えるんですが、ちょっとチェックが細か過ぎるかな…?/汗)、劇場公開当初の問題大アリの字幕版と比べればかなり丁寧に訳されていたので、全体的には良かったんじゃないかと思います。

とにかく、SEEは登場人物それぞれの持つ背景や心情がよりわかりやすくなっていて、みんながみんな主役と言ってもいいぐらいでした。
追加シーンが飛び抜けて多かったアラゴルンに関しては、好き過ぎてあまり客観的な書き方が出来そうにないのでこの際、あっちに置いとくとして(…)、特にそれが顕著だと思ったのはボロミアでしょうか。
じわじわと指輪の魔力に侵食されて、妄執に取り付かれていく様子が劇場版よりも強調されていたので、あまりの人間らしさに痛々しいことこの上ない…(涙)。
個人的にスゴく嬉しかったのは、サムがむちゃくちゃ健気でかいがいしくて、フロドがより原作に近いバギンズ家の若当主っぽくなっていたところです。
おかげで、(私にとっては>)2人とも劇場版の3割増ぐらい可愛く見えましたよ…!
うっかりピピンと短気爺(笑)ガンダルフのボケツッコミのようなやりとりはホントに面白かったし、そのピピンとメリーのマイペースっぷりはさらにグレードアップ(笑)、ガラドリエルの奥方様に貰った贈り物について話す、レゴラスとギムリのほのぼのとしたやりとりも楽しかったです♪
その奥方様が、フロドに自分の所持しているネンヤの指輪を見せるシーンが追加されていたんですが、あのシーン一つで、かなり彼女のイメージが変わるような気がしました。
劇場版では魔女的な雰囲気が強くて、奥方様、アドバイザーのワリにはちょっと恐過ぎだよ~(涙)って印象でしたが、実は彼女も、フロドと同じく、(種類は違えど>)指輪を持つ重みに一人で耐える運命を背負っている、言わばフロドの同士なんですよね。
これは原作を読めばわかることですけど、それにしてもホントに劇場版は重要なシーンを切りまくっていたんだなぁと、改めて実感しました。
あとは、原作とは違って雄々しいアルウェン(苦笑)が、裂け谷を旅立つアラゴルンを、潤んだ瞳で見送る姿がすごく可憐で良かったし、彼女を安心させるように優しげな表情で見返すアラゴルンもホントに良かった。
ところで、この旅の仲間が裂け谷を旅立つシーンで、レゴラスとアラゴルンが、同じ仕草でエルロンド卿に別れの挨拶をしていたのがかなり面白かったです。
2人はいわゆるエルフ式挨拶をしていたと思われるんですが、レゴラスの隣に立っていたボロミアが、不思議そうな顔でレゴラスの様子を見ていたのが面白かったし、これでアラゴルンが、人間でありながらもエルフの中で育ってきた年月がかなり長いと言うことがよくわかるシーンだったんじゃないかと思います。
そして相変わらずボロミア落命の前後あたりのシーンは観るのが結構、ツライんですが、今回、それ以上にちょっと涙腺が緩みそうになったのは、物語前半部のシャイア旅立ちの途中で、フロドとサムが西へ旅立つエルフたちの姿を垣間見るシーンでした。
ここ、原作のラストを知っている人間には、かなりくるものがあると思うんですがどうでしょう。
幻想的で美しい場面だっただけに、それがどう映画のラストに反映されてくるのかと想像するだけで、もう、ホントにホントに切ないです…(涙)。

いや、もう、映画からの俄かファンの私でさえ、LotRに関して語り出したらキリがないです(苦笑)。
このSEE版DVD、日本では約1万円とそれなりに値段が高いので(<ちなみにUK版は、送料込みでも5000円しませんでした)、劇場版を観てるしそんな値段を出してまでわざわざSEE版を観なくても…と思っている人は、結構、いると思うんですよね。
ただ、近日公開されるTTTは、このバージョンのDVDを観ておいた方がわかりやすいと言うことですし、確かに劇場版より納得のいく話の展開だったりするので、短期間でもいいから、いつかDVDを買っていない人でも、普通に劇場で観られる形で上映して欲しいなぁと思いました。
…いえ、実は私が、劇場でもう1回観たいんですけどね(爆)。
やっぱり気に入った映画は、設備の整った映画館で何回でも観たいです~!(<…ビョーキです)


追記:SEE版におけるアラゴルン考


上記のレポでは、追加映像が多かったワリには、アラゴルンに関してあまり言及しなかった(出来なかった)ので、多少、指輪熱がクール・ダウンしたところで、改めて考察まがいの感想を追記してみることにしました。
…って言うか、それほど好きっつーことなのね、あの野伏王が…(苦笑)。

SEE版を初めて観た時の私の感想は、「…アラゴルン…劇場版よりもさらにいっぱいいっぱいな感じになった気がする…(汗)」でした。
実際にDVDを観る前に、原作にあったシーンが色々と追加されているとか、全体的に原作に近いイメージになっているとかの前情報を仕入れていたせいもあったからだとは思うんですが、原作版に近づくどころか、劇場版よりもさらに原作から離れた印象に変貌していた彼を観た時は、追加映像が増えた嬉しさよりも、半ば衝撃に近いものがありました。

原作のアラゴルンは、長命の恩寵によって既に80年以上も生きている為、人生経験も豊富で、指輪を捨てる旅に出た時点では、自分の王としての資質を試す、まるで修行僧が最後の試練に挑むような、既に悟りの境地に近い性質を持ち合わせたキャラクターなんじゃないかと感じていました。
それに比べると映画版のアラゴルンは、自分の持つ選ばれた血への迷いが強く、ゴンドールの王位継承者であることをずっと拒み続けて生きていて、映画版から彼のファンになった私としては、それはそれでかなり魅力的なキャラクター像ではありました。
それでも劇場版には、多少なりとも原作的なキャラ造形も残っているような、どこか鷹揚さが感じられる雰囲気もあるんじゃないかと思っていたんですが、SEE版は、もう、PJ(監督)版としか言いようのない、全くキャラの違うアラゴルン像が出来上がっていました。

とにかく彼は、自分が誘惑に弱い人間族であることに羞恥に近いものを感じていて、そう言った弱さとは縁遠いエルフ族には、多大な敬意と信頼の念を抱いている。
そして、指輪を捨てる危険な旅に出ると、自ら宣言したフロドに対しても同種の念を持つようになり、彼の仲間のホビットたちに対しても、指輪の誘惑とは縁遠い存在だと認識している。
それに引き換え、同じ人間族のボロミアに対しては、かなり複雑な心境で接していたと思います。
旅を一緒に続ける過程で、彼が人一倍、仲間を思いやることの出来る好人物で、しかも頼りになる同族だと言うことは十分、わかっていたと思うんですが、根本的に自分を含めた人間族そのものに不信を抱いているので、無意識下では、もしかしたら裏切られるかもしれないと言う不安もあったのではないかと。
初対面では、明らかに相手の出方を窺っている様子だったし、カラズラスの雪山で彼が指輪に誘惑されそうになった時には、思わず剣の柄に手をかけてしまってもいる。
そうかと思うと、ホビットたちとの剣術稽古の時はかなり楽しそうにしていたし、ロスロリアンでは、ボロミアの涙ながらの告白を、とても真摯な様子で聞いていたりもする。
この何とも一定しない接し方は、ボロミアがゴンドールの執政官の跡取息子であることにも原因があったと思います。
純粋な王の血を受け継ぎながらも、守るべき民のいない王位継承者と、自国の民を守ることに誇りを持ちながらも、王にはなれない執政官の息子。
以前、ヴィゴ・モーテンセン氏がインタビューで、指輪を単なる強大な武器だと認識し、それによって単純に自分の民を守れると信じているボロミアを、アラゴルンは羨ましくも感じていた…と言ったような見解をされていたことがありました。
劇場版しか知らなかった頃にそのインタビューを読んだ時は、その見解にあまりピンとこなかったんですが、SEE版のアラゴルンの葛藤の深さ目の当たりにしてしばらくしてからそのインタビューの内容を思い出し、確かにその通りだったと目から鱗が落ちる思いでした。
アラゴルン自身、王の血そのものに誇りはないのかと言うと、決してそうではない。
アルゴナス像の存在をフロドに教えるシーンでは、偉大な祖先に対する畏敬の念が感じられるし、同時に自分がその末裔であることに誇りを感じているようにも見える。
けれど彼は、そんな偉大な王でさえ指輪に誘惑されてしまったのに、自分がそれに打ち勝てるとは思えず、そんな自分に王になる資格はないと、己の能力を過小評価してしまっている。
それは、長年、完璧とも言える存在のエルフ族に囲まれて生きてきたと言う生い立ちにも起因しているし、愛した女性がエルフ族で、定命の人間と添い遂げれば彼女を不幸にしてしまうと言う、自分の無力さを痛感していることにも大きく起因していると思います。
しかしボロミアは、無知であるがゆえの、知らぬが仏的な強さに加え、自ら自国の民を守ってきたと言う強い責任感と自負があり、困難から逃げずに、それらに立ち向かって生きてきている。
それに対して、指輪の持つ魔力を正確に認識し、中つ国の平和の為に市井を彷徨ってきたとは言え、自らその責務を放棄しているアラゴルンには、少なからず負い目がある。
エルロンドの会議のシーンにおいて、ボロミアが「ゴンドールに王はいない、王はいらない」と言いきった時のアラゴルンの意気消沈ぶり(?)からも、その一端を垣間見ることが出来ましたし。
そんな彼の背景を深く知らずに行動を共にしていたボロミアからしてみれば、アラゴルンの能力の高さを実感すればするほど、歯痒くてしょうがなかったんではないかと思いますが(苦笑)。
自分はゴンドールの執政官の息子で、そのことに誇りと責任を持っている。
それゆえに、今まで守るべき民をほったらかしにしていた、名ばかりの王を王と呼べるか。
けれど自国の民は困窮していて、尊敬する執政官である父親に、彼らを守る力はすでにない。
そして行動を共にするうちに、アラゴルンに対する反発心が信頼の念に変わり、共に戦って国を立て直すことが出来るのではないかと期待する。
しかしその王位継承者は、エルフ族にばかり信を置いて、肝心の守るべき人間族を顧みようとする気配がない。
アラゴルンは、中つ国全体を見渡す視野の広さを持ち合わせている分、自分の進むべき道への決意が定まらず、ボロミアは、いかに自国が逼迫しているかと言うことしか目に入っていない分、自分が果たすべき目的に対しての考え方は明確でもある。
指輪を捨てる旅程で、アラゴルンとボロミアがお互いの人となりや能力を認め合っていたのは明らかで、観ている方としては、双方の抱えている背景が痛いほどわかるだけに、この噛み合わない方向性の違いはあまりにも切なかったです(涙)。
アンドゥイン河畔での言い争いは、まさにその方向性の違いが表面化してしまったシーンだと思いますし、しかもボロミアの言い分は、アラゴルンの痛いところを真っ直ぐに衝いてしまっていたと思います。
あのシーンでのアラゴルンの対応は、ロスロリアンでの穏やかさがウソのように当たりがキツかったと思うんですが、何度言ったら指輪は捨てなくてはならないと言うことがわかるんだと言う、半ば呆れるような気持ちだったと同時に、触れられたくない部分をあからさまに指摘されてしまって、思わず怒りを露わにしてあのような態度をとってしまったのではないかと感じました。
ロスロリアンでは、すぐ後ろで休んでいるフロドたちの様子を気遣う余裕もあったのに、このアンドゥイン河畔のシーンでは、まるっきりそんな余裕はないですしね。
おかげで、口論の内容がフロドに丸聞こえしてしまう結果に…(涙)。

そしてついにボロミアは過ちを犯し、しかし、それを彼本来の善良さと死によってあがない、その指輪の誘惑を克服したボロミアの姿を目の当たりにすることによって、アラゴルンは人間の持つ力を信じ、王位への道を歩む決意をするワケですが。

SEE版を初めて観た時は、アラゴルンの予想以上の葛藤の深さに面食らいましたが、よく考えれば考えるほど、実は劇場版よりもさらに深く、納得のいくキャラ造形になっていたと言うことをつくづく痛感させられました。
これじゃぁ、原作とイメージが離れてしまっても仕方がないかな…と。
あわせて、今までのヴィゴ氏のインタビュー内容とも、いちいち合致することも判明。
SEE版を基準に話してる(?)んだもの、違和感あるに決まっとるわ~(苦笑)。
以前、アラゴルンは海外では「sensitive hero」と紹介されていると言う記事を読んだことがあるんですが、SEE版の彼は、劇場版以上にまさしくその通りのキャラでした。

とにかく監督は、原作とは違った形になっても、監督なりの解釈でアラゴルンとボロミアの対比を際立たせることによって、よりリアルで、かつ共感の得やすいキャラクターを創り上げたかったんじゃないかと思います。
個人的には、原作そのままのイメージで観てみたかったと言う思いもある反面、映画と言う媒体で表現するには、どうしても文章になっているものをそのままの形では表現出来ない部分もありますし、噛み砕いたものを独自に組み立てなおすことによって、より理解が深まることもありますし…。
や、もう、何かこう、自分なりに文章にまとめてみたら、すっきりしました(笑)。
UK版のSEEを観て以来、何とかして劇場版のアラゴルンとの印象のギャップを埋めようと、必死だったもんで(苦笑)。
アラゴルン考と言うよりは、アラゴルンとボロミアの比較論的になってしまいましたが、実際、本編でも、ひいては原作でも、この2人が対照的に描かれているので、必然的にこうなってしまいました。

しかし、SEE版でも、まだ切り落としてしまったエピソードがあるハズなんだよなぁ。
確かロスロリアンへ向かう途中で、オークたちに襲われるシーンがあったハズ。
コレクターズ・エディション版のメイキングにその撮影現場が収録されていたので、間違いないでしょう。
それがあれば、ガンダルフを失ったショックで泣きじゃくるホビットたちを、束の間でも休ませようと言うボロミアの訴えを退け、心を鬼にしてアラゴルンがロスロリアンへの道行きを急いだ判断が賢明だったことがより実感出来るし、ハルディアにロスロリアンへの道案内を拒まれた後、必死で彼を説得する様子にも切実さが増したハズ。
総じて、ボロミアの優しさは万人に解りやすいと思うんですが、アラゴルンの優しさは意外に解りにくいと思うんですよね。
すぐに相手には伝わらないんだけれど、あとからじわじわとそれがわかってくると言う感じで。
それがまた、想いの強さゆえに指輪の誘惑に負けてしまったボロミアと、葛藤の深さゆえにそれに打ち勝ったアラゴルンとの違いにも表れているような気がするんですが…。
今後、カットしたエピソードを全部を追加した、パーフェクト・エディションなんぞを出すおつもりはありませんかね、PJ監督…!


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