ぬるま湯雑記帳

津川雅彦編

【津川雅彦編】
 このお方にハマりさえしなければ、邦画をみることはなかったものを。すべてはカレからはじまった。ワタシ、ファンになった方には勝手にニックネームをつけてしまうのですが、津川くん、ましゃ(福山雅治ではない)、マッチ(近藤君ではない)、呼びたい放題です。この場では一番まともな「津川くん」に統一しましたが、失礼なことには変わりありませんね。

☆津川君お写真(『山口組外伝 九州進行作戦』より。こわっ)
ひろしちゃん

<きっかけ>
 ケーブルテレビの「ファミリー劇場」で「野わけ」(渡辺淳一原作)をみて撃沈。一発でハマる。若いころはあおい輝彦系。このたとえも古い…。


ぬるま湯感想INDEX津川くん用

さ行
『山椒太夫』
『時代屋の女房』
『春琴抄』
た行
『直撃!地獄拳』
『天使を誘惑』
や行
『山口組外伝 九州進行作戦』
わ行
『別れぬ理由』



『山椒太夫』 1954年  監督:溝口健二
 まだ加藤雅彦時代、14歳のときの作品。安寿と厨子王といったほうが馴染み深いでしょうか。領民を守るため朝廷に背き、筑紫に流された父親に会うための旅の途中、人買いにだまされ母と引き離されて山椒太夫のところにつれてこられた安寿と厨子王の苦難に満ちた日々を描いた作品。
 津川くんは幼きころの厨子王。もうもう可愛いわあ。食べちゃいたいくらい。可愛くて、健気で、不憫で、胸が痛くなる。まだしっかり声変わりしていなかったようで、母親と引き離される場面の絶叫「おかあさまー、おかあさまーっ」の少し裏返った声が悲痛。山椒太夫のところでは薪運びをさせられるんだけど、疲労で倒れこむ場面で上から押しつぶされたようにぐしゃっといったのが、子役とはいえ俳優だなあと思った。走って転ぶときは「ずさっ」とすべりこむように、疲労のときは足は動かないんだなあ。
 あまりに津川くんに気をとられてチェックするのを忘れたが、安寿役の女のコも健気でよいです。母親役の田中絹代、やっぱり存在感が違います。演技に目が引き寄せられるというか。名女優といわれる所以でしょう。大人になった安寿は香川京子。美しいのう。厨子王は花柳喜章。…いかん、どうしても津川くんへの思い入れが強すぎて、ちょっと違和感が。多分ワタシだけでしょう。心に残る作品です。こんなまとめじゃ軽すぎますが。

『直撃!地獄拳』  1974年  監督:石井輝雄
 比較的おおらかな(?????)ワタクシが、唯一早送りをした作品。これは大人数で、酒でも飲んでへろへろになった状態でみるには楽しいのかもしれまへんが、独りで見るにはあまりにキビしい一品でした。
 マフィアに部下を殺された警視総監(だったような)が、敵討ちをかねてマフィアを一掃すべく、元刑事の殺し屋、死刑が確定している変態極悪人、そして忍者の末裔(!)を秘密裡に集めて立ち向かうっちゅう話で、忍者の末裔は…察しのよい方は「ヤツかっ」とお思いでしょうが、え~千葉真一です。ジャックです。誰かヤツをとめてくれ。また警視総監が池辺良。良さん、よくこの仕事うけたなあ。津川くんはマリオ水原なるイタリアマフィア(だったような)日本支部のアタマ。なぜか「マフィーア」と発音する。さらには金髪のおねいちゃんを脇に侍らせ、あろうことかパーティーの席で彼女の服をすべて脱がせてケツに日本刀をはさみこみました。厨子王の20年後、こんなマフィーアになろうとは誰が想像したでしょう(涙)。ま、この映画にでてくるおカタは皆ヘンなのでしょうがないですね。お色気ありのギャグ映画ということで。さようなら。

『時代屋の女房』  1983年  監督:森崎東
 あー、こういう津川くんがワタクシ好きですね。見るからに悪人、って
いうのではなく、うさんくさい中年。骨董屋「時代屋」に転がり込んで きて、猫のように消えてはまた姿を現す謎の女、そんな彼女を「時代屋」の女房」としてすんなり受け入れる街の人々、微妙な人間模様を描いた作品。  「時代屋」の主人は渡瀬恒彦、「時代屋の女房」は夏目雅子。やっぱりきれいだなあ。津川くんは恒彦の飲み友達で、つぶれかけの喫茶店のマスター。店の女の子に手をだしてます。根はいいヒトなので、商店街の人たちとも仲良しです。ゆるーいパーマに鼻眼鏡、いいぞお。この路線でもうちょいがんばってほしかったです。

『天使を誘惑』  1979年  監督:藤田敏八
 山口百恵・三浦友和ゴールデンコンビ作品の一つ。話はいろいろ入り組んでてどうにも捕らえどころがないんだけど、要するにあやふやな恋人だった二人が、お互いにかけがえのないヒトだったと悟って再出発するまでのてんやわんや、ってところでしょうかね。
 津川くんは百恵ちゃんが勤めるデパートの上司で、社内不倫を百恵ちゃんに知られてからというもの、彼女や恋人の友和にまでいやがらせをする嫌なヤツ。うさんくささ爆発!イメージぴったりだあ。知人の結婚式で鉢合わせした百恵・友和ペアと津川くん・不倫相手ペアが大乱闘を起こしますが、ワタシは笑った。津川くんもダテに仁侠映画を渡り歩いてきたわけじゃありません。友和投げ飛ばします。でも表情が可笑しい。この結婚式で津川くんは「君といつまでも」をすこぶる音痴で歌いますが、新郎役の火野正平が素で吹き出してます。考えたら、この場面しか印象ないや。そういえば百恵ちゃんのお兄さんが蟹江敬三だった。似てねー。

『春琴抄』  1976年  監督:西河克己
 谷崎潤一郎の名作を山口百恵・三浦友和ゴールデンコンビが演じました。
盲目でわがままな琴三弦の師匠春琴と、彼女に仕える使用人佐助の主従関係そのままの奇妙な愛。わがままゆえに恨みを買った春琴が何者かに熱湯を浴びせられ、顔に大やけどを負うと、佐助は自分の目を針でついて自ら盲人になり、美しかった彼女の思い出を抱いて生きてゆく。
 原作のほうはもっと長い周期で描いていて、たしか春琴がやけどを負ったときも40ちょっと前だったし、佐助が80いくつで死ぬところまで記してあったんだけど、映画は若い二人が演じていることもあり、若いまま。これはこれで悪くはない気がする。津川くんは春琴に横恋慕する利太郎役。キザでお金持ちで色男のぼんぼん。春琴にひどい仕打ちをうけて、見返してやろうと画策する。ちょうど『野わけ』と同時期の作品で、ワタシ津川くんが一番カッコよかった時代とフんでいる。これまた適役。
 でも、純粋な色男って役がこの頃もっとあってもよかったのになあ。ちょっと三のセン。春琴に杯洗をなげつけられて額から血を流しながらの名言(?)「覚えてけつかれ!」は笑ろうた。原作では三味の撥を眉間にあてられ流血、「覚えてなはれ」でした。

『別れぬ理由』  1987年  監督:降旗康男
 渡辺淳一原作の映画化。お互い恋人がいながら別れない夫婦。その狸の化かしあいを描いた作品。うーん、原作は読んでません。映画はそんなに好きな話ではありません。ラブシーンは、顔をおおいつつも指の隙間からみちゃう感じ。これは津川くんのラブシーン全般に言えることですが。え~、津川くんが「通勤快足」をはいていたのが印象的でした。今でもはいてるヒトはいるのかと思ったら、昨年浅草演芸ホールでみた芸人さん「若倉健」と「キャンデーブラザーズ(お一人でしたよ)」のお二人がはいていてべっくらこきました。以上。

『山口組外伝 九州進行作戦』  1974年  監督:山下耕作
 夜桜銀次ってそのスジの方々には有名なのでしょうか。この映画をみる限り、ワタシにゃ頭のおかしいヤクザとしか思えない。やくざのなかでもひときわ破天荒な夜桜銀次をめぐって、菅原ぶんたった演ずる狂犬銀次にショバを荒らされた組、銀次をかばう兄弟格の組織、さまざまな思惑をかかえた全国各地の暴力団が対立を深めてゆく。銀次は結局殺されて、その弔い合戦にむけて暴力団が九州にぞくぞくと上陸、争いが起きようとするまさにその時警察が介入、危機は回避される。
 津川くんは銀次側のやくざの「ひろしちゃん」。組長だったか若頭だったか、とにかく潔癖症のインテリやくざ。爪を研いでいたり、髪をとかしていたり、必ず身ぎれいにしている。思うにこれは津川くん独自の役作りだったんじゃないのかな。ソックスはオレンジ色だったり、銀次の動のやくざに対して静のやくざなんだけど、細かいところでこだわりをもたせています。しかも、顔が怖い。ものすごく怖い。本物のようだ。名言も津川くんがいっぱい言わせてもらってます。これまたやくざ映画のご歴々がせいぞろい、それで話が少し散らかってしまったような気もします。津川くんにとっては本領発揮の、本当によい役だったと思います。この役大好き。  

一番最初にはまったカタなのに、なぜに感想が少ないかというと、書いてなかったからです(涙)。昭和残侠伝シリーズ等はそこそこみてますー。また思い出しつつ、再度見つつ、がんばります。


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