ぬるま湯雑記帳

深川下町散歩

2005年4月30日 深川なんじゃこりゃ散歩


【コース】
深川不動尊⇒富岡八幡宮⇒門前茶屋⇒辰巳新道⇒法乗院⇒採荼庵跡⇒清澄庭園界隈・清澄庭園⇒のらくロード・田河水泡のらくろ館⇒森下界隈⇒江古田串駒

【そもそものきっかけ】
去年に引き続き、犬田ワンさんのDJイベント『あなたの絵美子は京都にいます』に伺うことにしました。前回はそれで『東京ディープ散歩』と相成ったのですが、今回も同様のパターン。上京したからには散歩はするぞ。今回も散歩にお付き合いいただくサワコさんが、ワタシの方向性を完全に理解した上で深川散策を提案、一も二もなく大賛成。2人とも深川初上陸です♪

【今回の狙い】
未知との遭遇。あさり。

では、行きませう。


★深川不動堂 深川不動
江古田の大江戸線新江古田駅に10時15分集合。大江戸線1本で深川の門前仲町にむかう。学生時代には大江戸線は開通してなかったので、ワタシはこの日が初乗車。サワコさんが言うように、ちょっとコンパクトな車内。
門前仲町到着。地上に出て深川不動尊に向かいたい、が、そちらの方向が定まらず、 ガイドブックをにらみながら5分くらい2人で悩む。 その甲斐あって無事目指す方向に。駅から永代通りを東方向に歩いてゆくとじきに鳥居が見えて、可愛らしい参道があった。あんまり商売っ気がなくてよろしい。サワコさんがあげまんを購入、おすそわけをいただく。
ここはいわば成田山の出張所。おりしも厄除け祈願の真っ最中のようで、お坊さんの叩く太鼓がドンドドンと鳴り響き、読経が読まれ、火が焚かれ、この様子だとクライマックスはすぐそこだ。本堂に近づいたとたんにドオーンと大きい音が一発。 思わずびくっとなる。 それにしてもでかい音だと思ったら、スピーカーで外に聞こえるようになっていた。
ここはお不動さん、密教系なのでお焚き上げがある。500円からのコース(?)で、ぼけ封じやらガン封じ、家内安全、商売繁盛、これらの判が押された護摩札がわんさと売られていた。せっかくなのでお焚き上げをしてもらうことにした。 で、結婚成就か良縁成就かで悩む (←またそれかい)。サワコさんとの協議の結果 「結婚以前にまず縁だろう」 ということで500円良縁祈願コースを購入、名前と数えの年、参拝日を記入してお願いする。どうやら次の日に焚かれるようです。<写真1>


★富岡八幡宮 石碑
深川不動堂の境内をそのまま横切って、道をはさんだ向こう側が富岡八幡宮。江戸勧進相撲の発祥の地だそうで相撲に関する石碑が多く、絵馬もスポーツ祈願に関する内容が多かった(読んだんかい)。伊能忠敬もここから計測の旅に出たそうで、銅像がありましたよ。
ここではお宮参りと思われるご家族がお祓いの真っ最中で、今度は神官がドカドカ太鼓を鳴らしていた。「いいタイミングでイベント事にあたるねえ」「そういうことに関してだけは運があるんです」 …運の使い道が明らかにおかしい。 境内には七渡神社という小さな社があって、その横には松尾芭蕉が「松尾芭蕉命」として祀られていました。 松尾芭蕉イノチじゃありませんよ、ミコトですね。 神様になってるのねー有名人だからねー。
その脇にはちょっとした池があり、池を巡るように参拝経路があります。ワタシらの前にご年配の方5人くらいの集団が歩いていたのですが、その中での最年少の男性、40くらいのヒトかなあ、池の中に亀を発見した途端に 「あっアメリカアカミミガメだ!」と叫び、石原良純並みのテンションで、あれは縁日で売られているミドリガメのことだのなんだの、亀を熱く語り出したが誰も聞いちゃいねえ。 その一部始終が可笑しくて奥歯をかみしめ、腹筋で笑いながら歩く女2人。自分のシュミを棚に上げてなんですが、皆さんいろんなシュミをお持ちでいらっしゃいます。しかし亀だらけだなこの池。<写真2>


★門前茶屋 深川めし
ちょうどお昼どき。深川なんだからあさりご飯を食べにゃ、と八幡様をあとにして店を物色。永代通りを駅方向に向かっていると、通りのむかいに蔵づくり風の店が見え、脇にはばーんと「深川あさりセイロ蒸しめし」の垂れ幕。値段も手ごろであるので、そちらに入ってみることに。入ったとたんに ジプシーキングスの「インスピレイション」が流れ出す。うおー鬼平!さすが深川! 思わず反応するワタシ、サワコさんに笑われる。
ここは夜は炉ばた焼。壁には焼酎の徳利がずらっとならび、席は半月形のカウンター。夜は半月部に人が入って焼くのだな、おすし屋さんのカウンターみたくガラスの保存ケースがおいてある。暗めの照明も落ち着いていてよい感じ。唯一落ち着いてないといえば目の前のガラスケースの上、持ち帰り蒸しめしのレプリカがくるくる回っているくらい。ほどなく蒸しめしが運ばれてくる。ぎっしりムキ身のあさりがしきつめられ、青海苔がかけられて見た目にもおいしそう。実際あさりの身は柔らか、湯気のたつ蒸しめしをもくもくと食べる。おいしい。
レプリカ君もう少しで食べ終わるという時にガターンと音がした。「?」別になにも変わったところは…あるぞ。さっきまで目の前にあったレプリカ君と回転台が消えている。自然落下だなありゃ。お店のお兄さんにこりともせず「失礼しました」とカウンター内に入り、まじめな顔で落ちたレプリカ君と台を救出。台のふたをあけて電池を入れ直した(電池で動いてたのか!)が、 セイロの片方がびろーんとはげてる、ご飯が寄ってる …だめだ可笑しい、サワコさんと二人で肩を震わす。涙がにじむ。こういう場面に滅法弱いワタクシたち。…食べ終わってお茶を飲んでいたら、修理の終わったレプリカ君が回転台に戻された。 どことなくかしがって回っていて、それを見ながらまた泣いた。 <写真3・4>


★辰巳新道 辰巳新道
振り出しの門前仲町駅まで戻って清澄通りを北へ。高速道路下の赤札屋(大型スーパー)を少し奥に入ると、辰巳新道。いい感じの飲み屋さんがぎっちりつまっているエリアです。夜はまずいかもしれないけど、昼間なら女性2人の観光(ひやかし)でも許されるだろう、と行ってみることに。ステキだー。昭和の香り漂う飲み屋街。路地につきものの路地猫もお出迎え。 お店の人とお客さんしか使えない公衆トイレ や店のたたずまい、雑多な雰囲気、なかなかです。
こういうところで飲んでみたいけど、おそらく地域密着型の飲み屋街、部外者は遠慮したほうがいいような感じもしました。このエリアの詳細画像は こちら。 <写真5>


★法乗院 えんまさま
清澄通りをさらに進んで森下方面へ向かう。ふっと通り過ぎようとして、何かの力に引き戻されたようなカッコウで「ん?」と立ち止まったのが法乗院。うっこれはうわさの(?)ハイテクえんま堂じゃねぇか!ここは外せません。門をくぐる。道からはあまり見えなかったんだけど、お寺ハデ。それ以上にえんま様ハデハデ~。えんま様の足元に ワンカップがちょこん と供えられて可愛かった。
えんま様の像の前には、さっきの深川不動堂じゃないが「家内安全」などのコース別に穴が開いてる台があって、そこにお賽銭を放り込むとチャララララ~とBGMが流れ、ライトがともり、ありがたい説法(テープ)が聞けるしくみ。ハイテクえんまと言われる所以である。ここで一句、えんま様言葉丁寧声渋い(季語ナシ)。 コース別に言うことが違っているが、言っていることが分かったような分からないような。 それもまた良し…。後ろから覗き込んでいるご夫婦に「(お賽銭は)いくらでもいいんですか?」と聞かれ、思わず 「ワタシは10円です」 と答えてしまった。ここでも「良縁成就」でセめてみました。<写真6>


★採荼庵跡(さいとあんあと)
注:ここの記述については(1)お剛は国文科であった(2)近世(江戸時代)専攻だった 以上2点を念頭に置いてお読みください。
芭蕉えー、今回深川に来るにあたってガイドブックを読むうち、深川に松尾芭蕉 (注1) が住んでいたということを知る。というより、そのことについて 教わっていないわけがないので すっかり忘れていたというのが正しい。
法乗院からさらに北へ。清澄通りの海辺橋左側のたもとに芭蕉が住んでいた「採荼庵」跡が見えてくる。ここには採荼庵を模したいいかげんなプレハブと、その縁側に腰をかけた、ちょっと疲れ気味の芭蕉像がある。勿論ここでは記念撮影じゃ。サワコさんに撮ってもらおうと芭蕉の杖をつかんで並んで座っていたら、 インド人と思われる団体さんが通りかかり、思い切り笑われる。 ここで一句、深川で釈迦の子孫に笑われた(季語ナシ)。
「あれだよね、ここから(「奥の細道」に)出発するんだよね。その前に股引の穴縫ったりして」とサワコさん。「そうです、足の三里(のツボ)にお灸したりするんです」「それで、なんか詠むんだよね (注2) 」「そうです…えー、えー、雛の家です、最後が。その前が、えー、うー、なんだったか、なんとかかんとか雛の家です」「住み替わる代や、代よ、代ぞ…」「そ、そうです、そんな感じです」 …インド人に笑われる以上の、目も当てられぬ大惨事。 お父さんお母さんごめんなさい。娘にかけた学費はムダになりました。
サイトアン裏プレハブを左に折れた仙台堀川沿いに芭蕉の句の立て札があるという案内があったので、行ってみるとすぐ、一つ目の立て札に
草の戸も住み替はる代ぞ雛の家 (注3)
これだ。目の前がさっと晴れる思いがする。よかった、本当によかった。「なんとかかんとか雛の家」じゃ芭蕉もうかばれまい。自分のアホさ加減が悲しいほど可笑しく、笑い止まらず。
海辺橋に戻ろうとして2人でびっくり。 現採荼庵はプレハブですらなかった。 <写真7・8>

(注1) 言わずと知れた江戸時代初期の俳人。「奥の細道」はあまりに有名。伊賀の生まれで忍者説もあるが…それはどうだ?
(注2) 旅立ちにあたって、芭蕉は元住んでいた芭蕉庵を人に譲って採荼庵にうつり、採荼庵から「奥の細道」に出発したんですわ。するってえと股引縫ったりお灸すえたりしたのは芭蕉庵、採荼庵でもやってたかもしれないけどね。で、芭蕉庵を引きはらう時に、芭蕉が庵の戸に掛けてきたのが(注3)の句。
(注3) このようなわびしい草庵も、私が住んでいた時とは違って、雛人形を飾るような住まいに替わることだなあ、と いったような 意味。正確な訳は調べてね♪  


清澄庭園界隈 ・清澄庭園 清澄公園
海辺橋を渡ってほどなく左手に清澄庭園。右手に曲がると深川江戸資料館までの区間が商店街。ここの商店街のつくりも面白いので詳細は こちら。 一応資料館まで歩いてみたら、さっき採荼庵跡で遭遇したインド人ご一行様が資料館に入るところでした。このあたりもお寺が多い。出世不動尊を見つけたので、お互いほとんど出世は関係ないけどね、とお参り。 ワタシが綱で鰐口を鳴らしたらカスってかすかな音しか出ず。 やっぱりなー。
引き返して清澄庭園へ。入園料150円也、でもここならお弁当と単行本の一冊でも持ち込めば一日過ごせるぞ。いい場所だ。いい景色だ。紀伊国屋文左衛門の屋敷跡とも言われてるとのこと。やたら石がごろごろしていて、なんでかといえば明治入って岩崎彌太郎が全国から名石(とてもそうとは思えん)を集めたんだって。 物好きな。
園内に芭蕉の「古池や蛙飛びこむ水の音」のドでかい碑があるが「これはどこそこから移動した石碑で、こことは直接関わりありません」との立て札。 正直申告まことによろしい。 ここの池でも亀を見る。亀、もう、おなかいっぱい。<写真9>


★のらくロード・田河水泡のらくろ館 のらくロード
清澄通りをまだ北に向かってます。「のらくろ」の作者田河水泡が年期を過ごしたのが深川。江東区森下文化センターの1階の一画が「田河水泡のらくろ館」、清澄通りの常盤高橋っちゅう信号から文化センターまでの商店街が「のらくロード」、街をあげての「のらくろ」色。全国的に客離れの激しい地元商店街、こちらものらくろにあやかろうと苦肉の策だったんだろうけど、商店が一丸になってのらくろせんべいや日本酒、その他キャラクターグッズを販売し、手作り新聞受けや手作りパネルものらくろだったりして、がんばりが伝わってくる。山国から応援してまーす。のらくろせんべい買いました。
のらくろ館の入り口には巨大のらくろぬいぐるみ。 ちょっと内股。 ここでのらくろキャップをかぶり記念撮影(撮影可)。のらくろや田河氏の年表、愛用の机など資料が展示。無料。ものすごいモボ(?)時代の氏の写真があって、かたまる。 誰ですかアンタ。 この写真は一見の価値あり。<写真10>


★森下界隈 甘栗ソフト
のらくろ館からのらくロードを通って清澄通りへ戻る。深川散歩は森下駅でおしまい、もう目の前です。このあたり、隅田川近くには芭蕉記念館や芭蕉稲荷(今度はお稲荷さんかい!)、芭蕉庵跡もあるそうですが、もう少し勉強して顔洗って出直します。今回は食い気優先!
まずは甘栗屋さん「イシイの甘栗中国店」。…日本店じゃないの?甘栗だけかと思いきや、肉まんやちまき等々中国食料店なんですね。だから中国店なのかな。 化粧箱ぎっしり詰まった高級甘栗5000円也。 そんな甘栗初めてみたぞー。こちらでは甘栗ソフトを食す。甘栗をくだいたツブツブがソフトに入ってる。うまいです。店内には甘栗や漬物の試食とお茶が飲めるテーブルがあって、嬉しい心遣い。
カレーパン少し先にゆくと「パンのカトレア」。元祖カレーパンのお店。店内に入ったらカレーパンがなくて一瞬ひるんだが、ちょうど焼き上がりの時間だったようで、ほこほこのカレーパンを買うこと叶い、サワコさんに半分こしていただく。もちもちのパン生地に辛すぎないカレー。うまし!! 5月1日より値上げだそうだ。 ぎりぎり値上げ前に間に合う。
さらにその先、道の反対側は「伊勢屋」。サワコさんはここでのらくろどら焼とあさり餅をお買い上げ。ここの娘さんは元気がいいぞお。隣の浪花屋のたい焼には行列が出来てた。心惹かれるが、さすがにおなかいっぱいで眺めるだけでしたー。…これにて深川散歩はおしまい。濃かった…。<写真11・12>


★江古田串駒 焼枝豆
大江戸線で森下から江古田に戻り、本日の酒宴会場「串駒」へ。ワタシの宿が江古田なのと、静かな環境で料金も手ごろ、おいしい料理と酒が楽しめるというのでサワコさんがこちらを選んでくださった。ここでワンさんと合流、少し遅れて亂筆さんも登場、今日の珍道中の話などをしながら楽しい会となる。
亂筆さんから手土産をいただく。開けてみるとなんと 中国語訳『好色一代男』…亂筆さん、ワタシは「なんとかかんとか雛の家オンナ」なんです 、さっぱり分からない中国語以前に、『好色一代男』は世之介がノゾきをしたくらいの記憶しかないんですとは言えず(ここで言っちゃったけど)、家に現代語訳つきの文庫本があったはずだから見てみよう、と心の中で思う。…焼き枝豆、豆腐の味噌づけ、くじら刺、串揚、ぬか漬、おにぎり等をもりもり食べ、黒ビール、日本酒、梅酒、芋焼酎を飲む。欠食児童か。お開き間際にはワンさんと亂筆さんに 「まだ若い、これからだ」「独身の医者でも捕まえろ」「毎日を楽しく過ごしてください」等、ありとあらゆる励ましと慰めのお言葉をいただく。 がんばってみます。そのまま江古田で解散、充実の一日に幕。<写真13>

【まとめ】
深川、勝手にもっとしんみりした街だと思い込んでいました。わいわいとした賑わいではありませんが、純粋に街が楽しいと思いました。思った以上にお寺が多い地域で、神社仏閣好きとしてはありがたかったです。しかしまあ、なんでこんなにおいしい物件ばかりなんだ!数多すぎ!2人とも初上陸でしたが、到着直後以外は何の問題もなく、すいすいと効率よく回ることができました。サワコさん、ワンさん、亂筆さん、ありがとうございました。

【今回の写真】
大量だ。
<写真1>深川不動堂です。この中で厄除けライブをしていました。
<写真2>富岡八幡宮のお相撲石碑。でかいでかい。
<写真3>門前茶屋の「深川あさりセイロ蒸しめし」。テレビでも紹介されたそう。
<写真4>復旧後のレプリカ君と回転台。キミたちの不幸を笑ってごめん。
<写真5>辰巳新道。いい感じでしょう。
<写真6>ハイテクえんま様。うーんサイケ。
<写真7>採荼庵にてたたずむ芭蕉。疲れが見えます。
<写真8>なんちゃって採荼庵。倒れたりしませんよね。ドリフみたい。
<写真9>清澄庭園。一日ゆっくり過ごしたいです。
<写真10>のらくロードのお店。手作り感がよいなあ。
<写真11>甘栗ソフト。手の先に栗の形をした看板があるの分かりますか?
<写真12>焼き上がって陳列直後のカレーパン。
<写真13>串駒の焼き枝豆。これ以降、食べるのに一生懸命で撮ってません。



追悼犬田ワンさんへ

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