「そういえば・・ラジオで、釣いこうなぁ・・って言ってたっけ
その後、ちぃーとも声かけてくれんねん、なんや、むかつくわ」
一人、部屋に戻ってソファの上に丸くなると
ラジオの収録でさんざん誘っときながら
一向に声を掛けて来ない相方に寂しさが募っていく。
といっても、
「行きたない!車が錆びる、めんどっくさい!!」
っていってもうたからな・・
もっと強引に誘ってくれたら、いくかもしれへんのに
やっぱ、いきたないのかな・・
まだ、小さく疼いてる右足を抱えて薄暗くなってゆく
部屋を見ている。
ガチャリ・・
オートロックの筈の玄関が開く。
自分の中に沈んでいた意識が引き戻される。
「ダレやねん!」
リビングの入り口には、クーラーボックスを抱えた相方の姿。
「ごめっ、遅くなってもうたわ。イカ釣ってきたで~一緒に食べよ、な」
「つっ、・・イカやなくて『タコ』にせんかい、ボケッ!!」
日に焼けて男らしさが増した相方の顔をみたとたん、
足の疼きはどことなく消えていった。