【▼柚/▼柚子】
カン科の常緑小高木。中国、長江上流原産といわれる。枝にとげがあり、葉は卵形で柄に翼がある。初夏、白花を開く。果実は径4~8センチメートルの扁球形で、でこぼこがあり、淡黄色に熟す。香気が高く、果汁は酸味が強い。香味料、マーマレードや菓子の材料にする。ユウ。ユ。[季]秋。〔「柚子の花」は [季]夏〕
【柚湯】
冬至の日、ユズの実を入れてわかす浴湯。この湯にはいると風邪を引かないという。[季]冬。
【帆】
風を利用して船を進ませる船具。帆柱にあげて風をはらませ、推進力を得る
【帆掛(け)船】
帆を張って走る船。帆船。ほかけ。
【帆船】
帆を張って風の力で走る船。風帆船(ふうはんせん)。帆前船(ほまえぶね)。ほぶね。
「三本マストの―」
世界大百科事典
【柚・柚子】
[かんきつ類(柑橘類) かんきつるい citrus fruit]
ミカン科の常緑樹で,日本の代表的調味用かんきつ類。果面が粗いことから古くはオニタチバナと呼ばれた。直立性でかなり大木になる。葉は小さく翼葉がある。花は単生で 5 弁花が 5 月に咲く。新芽,花はわずかに紫色を帯びる。果実は扁球形で 100g前後。黄色で芳香がある。果肉は柔軟多汁だが,搾汁率は果実重の 15 ~ 20 %。酸味強く,約 6 %の酸を含み,その大部分はクエン酸である。糖分は 2 ~ 3 %。
ミカン科の常緑小高木。枝にとげがあり、葉は卵形で柄に翼がある。初夏、白花を開く。果実は径4~8センチメートルの扁球形で、でこぼこがあり、淡黄色に熟す。香気が高く、果汁は酸味が強い。香味料、マーマレードや菓子の材料にする。
ユウ。ユ。[季]秋。〔「柚子の花」は [季]夏〕
[分類]
酸味と香りが日本料理に珍重される。皮は薄く切りとって汁物の吸口とし,せん切りにして焼物や煮物にのせ,あるいはおろし金でおろして,みそに加えてユズみそにつくる。果汁はダイダイ,スダチなどと同様,刺身のつけじょうゆに加えたりする。また,果肉をくり抜いて柚釜 (ゆがま) として,中に酢の物やあえ物を詰め,あるいはゆべしをつくる。 10 月下旬ころの 7 ~ 8 分着色期の採収果が果汁が多い。 8 ~ 9 月の未熟の緑色果も香り,酸を利用できる。完全着色は 11 月中下旬。寒さで落果しやすい。また,ふろに入れてユズ湯とし,とくに冬至のユズ湯に入ると,ひびやあかぎれを癒すとか,風邪をひかないといわれ,冬至にはこのための需要が多い。かんきつ類の大害虫であるヤノネカイガラムシの抵抗性因子をもつため,かんきつ類の育種上も利用価値が高い。
[起源と伝播]
ユズは長江 (揚子江) 上流地域で,キンカンは東南アジアから中国南部で生じたと考えられている。
中国での栽培史は古く,ユズ,カラタチは原生していた。前 10 世紀にはタンゼリン tangerine とユズの記録がある。
日本には古くからタチバナが自生していたが,垂仁天皇の時代にトキジクノカクノコノミ (ダイダイだろうといわれている) が導入されたといわれ,中国,朝鮮半島との交易により,かんきつ類が栽培化された奈良時代には橘 (たちばな),甘子 (こうじ),柚子 (ゆず),阿部橘 (あへたちばな) (ダイダイ),枳 (からたち) が知られていた。
[栽培]
日本ではカラタチが用いられ,矮性台で病気にも強いため他の諸国でも普及しつつある。 4 ~ 5 年生より結実し始め,20 ~ 40 年生が盛期。日本では冬季の寒さが最大の限定要因である。耐寒性はシトロン,ライム,レモン,ブンタンはひじょうに弱く,イヨカン,オレンジ,ナツミカンも弱い。ハッサク,清見,スダチ,ウンシュウは強い。ユズ,カラタチはきわめて強い。
[利用]
中国でかんきつ類の果皮は陳皮として古くから薬用にされていた。日本でも古くから生薬として,凍傷,外傷,風邪,解熱,神経痛などに用いられてきた。また,古代インドなどではかんきつ類の果実が銅製品の洗浄,洗髪,食酢に利用されていたし,大航海時代にはビタミンの補給源として重視された。クエン酸の工業用原料になったこともある。強い酸には,味の調整,栄養的効果のほかに殺菌効果もあり,料理によく添えられる。ほかにマーマレード,凍結果肉,七味唐辛子,それに砂糖漬,ゆべしなどの菓子類の原料にされる。ダイダイは果実が落果せず 2 年にわたり結実し続けるため,子孫繁栄の縁起物として,正月のお飾りにされる。キンカンなどは鉢物,庭木としても利用される。香りと色を楽しむミカン酒や 8 ~ 9 月の幼果を搾ったジュースも一利用法である。


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