おはなし  真実




涼介と京一が、赤城でバトルした後のおはなし。


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高橋家・涼介の部屋。

 啓介「すごいバトルだったよな。さすが、アニキ」

 涼介「あいつには、是が非でも勝ちたかったからな」

 啓介「・・・・なあ、アニキ・・・・」

啓介が、一呼吸してから、もう1度言った。

 啓介「もし・・・もしも、俺が須藤とやったら、どうなるのかな・・・」

PCをやっていた涼介の指が、止まった。

 啓介「やっぱり、難しいかな・・・」

涼介は、何も言わない。

 啓介「もしバトルするなら、向こうだよな・・・」

涼介の指は、止まったままだった。

 啓介「須藤のテクニックは、すごいからな・・・いろは坂じゃ無理かな。
    でも、やって見たい気もするんだよな」

啓介は、軽く言った。
涼介は、まだ何も言わなかった。

 啓介「勝ち負けには、こだわらないから、やってみたい」

 涼介「・・・・やめとけ」

 啓介「え?」

涼介が、やっと口を開いた。

 涼介「やるからには、勝つんだ。
    難しいだの無理だとか、思っているなら、やめておいた方がいい。
    それに・・・」

 啓介「それに?」

 涼介「あいつが、OKするかどうかだな」

 啓介「須藤だったら、自分のプライドにかけて、バトルを引き受けて
    くれるだろ!?」

 涼介「さあ、どうだろう」

涼介は、またPCをやり始めた。

 啓介「どうだろうって。アニキは俺が、負けると思っているのかよ」

 涼介「今の時点では、難しいだろうな。
    いろは坂は、あいつのホームコースだし・・・
    啓介じゃ、物足りないかもしれないし・・・」

 啓介「俺じゃ、物足りないって、どういう事なんだよ!」

啓介の口調が荒くなった。

 涼介「言葉どおりだ。わからなければ、辞書で調べろ」

 啓介「アニキ! そこまで俺は、落ちぶれちゃいないぜ」

啓介は怒って、部屋を出て行った。

さあ、啓介はどうなるかな・・・
少し、様子を見るか。


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2日後。
涼介のところに、京一から電話が入った。

 京一「おい、弟に何を吹き込んだ?」

 涼介「何の事だ?」

 京一「しらばっくれるのも、いいかげんにしろ」

 涼介「何の事か、さっぱり・・・」

涼介は、本当に何の事か、わからなかった。

第一、何で京一から電話が来るんだ?
もうバトルは、終わったんだ。
おまえは、負けたんだぞ。

 京一「啓介が、今日バトルの申し込みに来た」

 涼介「何だって・・・」

あいつ。本気で京一とやる気だ。

 京一「本当にいいのか? こっちは、ホームコースだ。
    啓介が、負けるのは目に見えている」

 涼介「自信満々だな。その自信満々で負けたのは、誰なんだ。
    忙しいから切るぞ」

涼介は、すぐに携帯を切ってしまった。

今の啓介だったら、負ける可能性が大きいな。
啓介は京一に負けたら、どうなるか、まだ知らないからな・・・
真実を教えて、やった方がいいのか・・・それとも、そのまま見守るか。


その日の夜。
涼介は、自分の部屋に、啓介を呼びつけた。

 涼介「今日、あいつのところへ行って来たんだろ?」

 啓介「ああ。須藤京一のところへ行って来た」

 涼介「本気なのか?」

啓介は、首を縦におろした。

 涼介「京一は、おまえが負けると言い切った」

 啓介「まだ、やって見なきゃわかんねぇだろーが」

啓介が、いきなり怒り出した。

 涼介「負けたら、どうする?」

 啓介「アニキまで、俺が負けると言い切るのかよー。
    アニキは、俺の味方じゃないのかよ」

 涼介「おまえの味方だ。 おまえがかわいいんだ。
    負けたら・・・」

 啓介「負けたら?・・・・・」

啓介が、かわいい。
だから、真実を言うべきだ。

 涼介「俺達が、バトルする前に京一から、条件を出されたんだ。
    負けたら・・・
    だから、おまえに対しても負けたら・・・の条件が来るだろう」

 啓介「負けたら、何だって言うんだ?」

涼介は、まじめな顔をして言った。

 涼介「俺と兄弟の縁を切れって言ったら、どうする?」

 啓介「兄弟の縁? 血のつながりがあるから、切れねえよ。
    俺は、アニキから離れたくない」

また、涼介は、まじめな顔して言った。

 涼介「赤城を2度と走るなと、言われたらどうする?」

 啓介「走り屋をやめろって事か?  秋名行く・・・」

 涼介「FD、手放せと言われたら?」

 啓介「やーだね~」

まじめな顔をしていた涼介が、噴出しそうになった。

 涼介「男、やめろと言われたら?」

涼介も、しつこく聞いてくる。

 啓介「何だよ。それ。 アニキ。俺をからかってんのか?」

半分遊んでいた涼介だが、それに答えてる啓介も、啓介だ。

 涼介「自分の大切な物を失いたくはないだろ?
    もう少し、啓介の腕が上達したら、京一とバトルしろ」

 啓介「今の俺じゃ、勝てないのか・・・アニキ」

啓介は、少ししょんぼりとしてしまった。
プライドの高い啓介。
京一に負けたら・・・
啓介は、どうなるか、涼介にはわかっていた。

啓介は、涼介の部屋を出て行った。

啓介を、傷つけてしまったかな・・・
京一のバトルを、あきらめるか?
まだまだ京一に勝つことは、できないだろう。
いつか、俺が京一に勝てる程の男にしてやろう。


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3日後。
啓介が、自分から、涼介の部屋に来た。

 啓介「アニキ・・須藤が週末は、何週間かあいてないから、保留にしてくれー
    と言ってきた」

 涼介「そうか・・・」

 啓介「いつか必ず、腕を磨いて、あいつに勝ってみせる!」

 涼介「そうだな」

やっぱり、バトルの相手として、啓介は物足りなかったのか?
それとも、俺の気持ちが、京一に伝わったのかな?
多分、京一の事だから、前者に決まっている。

 啓介「なあ、アニキ。 アニキが負けていたら、どうなっていた?」

1番聞かれたくない事を、啓介が聞いてきた。
涼介は、何も言わなかった。


<涼介。おまえが負けたら、妹から手を引け>
・・・・京一から、そんな条件が出されていたなんて、啓介に言えるわけがない。

涼介は、京一の妹と交際していた。
しかし、京一は大切な妹と、ライバルの涼介との交際を、認めてくれなかった。

彼女と別れるなんてできない・・・
だから、何が何でも、京一に勝ちたかった。


 啓介「アニキ・・・?」

 涼介「赤城に走りに行くか」


啓介よ。
いつか、おまえは俺を越える日が来るだろうな。
それは、いつか、わからないけど・・・


  おはなし「真実」完

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 あとがき

4月20日・23日・25日・27日・28日に下書きした。

時間がないと言いながら、書かずにはいられないかもしれない。

啓介と京一。バトルしたら、どっちが勝つのか・・・
結構前から、考えていた。
涼介と京一のバトルの後なら、勝てなかったかも・・・
今現在の啓介なら、勝てるだろうと、私は思う。
それだけ、啓介が成長したからだと思う。

もう少し中味の濃いおはなしにしたかったけど、書きたい短編小説ができたので
そっちを書き始めるつもり。
だから、少しの間「頭文字D」のおはなしはお休みよん~。
と言いながら、すぐに短編小説を仕上げて、こっちにすぐに戻って来そうな
予感なのだ(笑)

今回は、また中途半端な出来である。
時間をかけてじっくりと・・・
そう、カレーみたいにじっくりと煮込まなくてはいけない!
私は、せっかちではないけど、時間をかけなさ過ぎだと思う。
即席すぎて、美味しいものも、美味しく感じないかもしれない・・・

まだまだ修行が足りない。
長いあとがきになってしまったので、この辺で切り上げよう~。

またまた、こんな中途半端ものを、読んでくれてありがとうございました。
感謝☆


  4月29日

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