愛の始まり、そして別れ PT.3

blkmooncross

愛の始まり、そして別れ PT.3

彼はいつも私の中でいった。

「子供が欲しい」 彼は私との間の子を欲しがっていた。

そして彼は私に「結婚しよう」と言い、私は頷いた。


私の彼へ愛はとても強く深くなっていった。

今までplay aroundをしていた私は、one man womanになったのだ。

「あんたの好きな事をやればいい。でも行動する前に考えて。していいのか、いけないのかって事を」

私はいつも彼にこう言っていた。

けれど言葉とは裏腹に私の心の中は「もっと側にいて」という気持ちが芽生えていたのだった。


彼はあまり言葉数の多い男ではない。

饒舌に女を口説くのはなく、何も言わなくても女を夢中にさせる男なのだ。

彼はどんな風に私を愛しているのか、私という人間はどんな存在なのか・・そういう事を言わなかった。


彼は毎晩出かけた。私を愛した後に。

そして私の体温で温まったベッドにもぐりこみ、酒のにおいをぷんぷんさせて私に”愛してる”と言い、私を愛すのだった。

「どうして、行ってしまうの?行かないでよ。」 心の中でそう叫んでいた。

けれどそれを言葉にできないでいた。プライドが邪魔して。


ある夜、仕事を終え帰宅した。

靴を脱ぎ部屋のドアを開けたら

そこにはベットの上に巨大なテディベアが座っていた。

そのテディベアを抱きしめたが手が回らなかった。

そこには一枚のカードが置いてあった。

”step outside. you must like it. i love you baby. you are my everything."

べランダの窓を開けるとそこには何十本ものバラの花束が置いてあった。

”you like it huh?" カードにはそう書いてあった。

私はテディベアに寄りかかり、彼のしたことのキザさに笑った。

そして気付いたら泣いていた。


「俺、次に行く場所決めなきゃなんねえんだ。 場所の候補がいくつかあるんだけどどうしようかまだ決めてないんだ。」

けれど私はこんな事を言ってしまった。

「あんたの人生なんだもん。行きたいところに行けばいいじゃん。」

彼は怒りをあらわにして言った。

「俺一人の人生じゃねえんだ。 お前と一緒じゃなきゃ何の意味もない。

 だからどこに行くかお前に決めて欲しい。 そしたら向こうで結婚の手続きをしよう。」

私は少し驚いたが言った。

「あんたが決めなよ。私はまだ日本を出る準備ができていない。終わらせなければいけない支払いだってある。

だからその支払いが終わったら、あんたのいる場所に行くことにする。」


そして彼はミシシッピに決めた。


私は怖かった。

いつも出かけてしまう彼。

一人ぽっちの夜、私はよく枕をぬらしていた。


彼が発つ前日、私は彼の前で泣いた。

そして泣きながら彼に抱かれた。


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