鬼神島~第三章 夜月館~

---鬼神島---
~第三章 夜月館~


「ほれ、こっちじゃ。」
僕達は、砂浜に降りてから20分程歩き続けている。
生い茂った木々の間から見えてきたもの、それは一つの神社だった。
「ここじゃ、ここ。ここで、お参りしていくとええ。」
船長が立ち止まり、あごをつきだしてそちらを指した。
何か妙に古ぼけた神社だな・・・・。なんで、こんな所でお参りをする必要があるんだ?
そう思いながらも案内してくれたのだから断るわけにもいかない。さっそくお参りをしていくことにした。
「ちょっと、おじいさーーんっ。これ、何て読むんですか~?」
歩美さんが入り口に立ててある鳥居を見ている。そういえば上の所に文字が刻まれていたな・・・。それほど気にはとめなかったけど。
僕は、この古ぼけた神社に少し興味がわいてきた。
今の日本では見られないほど古い。赤い賽銭箱は、木が腐っていて虫がたくさん集まっている。そしてその先には神がまつってあると思われる、ほこらがあった。
とりあえず、僕は鳥居の方に向かって歩いていった。
「ああ・・・それは、『夜泣子神』と書いて、『よなきこがみ』と、読むんじゃ。」
「よなき・・・こがみ?」
思わず僕は聞き返す。
「そう。ここは夜泣子神神社。昔この島は活気に満ち溢れておったんじゃ。毎年村人みんなで祭りをやって馬鹿騒ぎをしたり、もちを作って正月を楽しんだり。子供達の笑い声も飛び交っておったそうじゃ。しかしある日を境に子供が全く居なくなってしまった。それはまるで神隠しでもされたように・・・。残された大人達はただただ我が子の名前を呼びながら泣き叫び、そこらじゅうを探し回ったそうじゃ。
しかし見つからんかった。せめてもの供養に・・・もうこのようなことがおこらないようにと、大人達はこの神社を作ったんじゃ。しかしその後、不思議な事がおこった。毎晩夜になるといなくなった子供達の泣き声が、どこからか聞こえてきたそうじゃ。大人は、子供達がもしかしたら生きているのかもという希望を抱きまたすみずみまで探し始めた。すると夜になると聞こえてくる子供の泣き声は、この神社から聞こえてくる事が分かったそうじゃ。しかしおかしなことに日のあたる明るい内に神社の扉を開いてみても、子供達の影も形もない。そこで泣き声の聞こえる夜に調べてみる事になったらしい。そして夜に扉を開けてみると、そこには何人もの子供達の骨があった。大人たちは、自分の子供の骨を抱きしめてまた泣き叫んだんじゃ。なぜ子供達が急にいなくなってしまったのか・・・なぜ子供達がいなくなってから作った神社に、骨があったのか・・・。色々と謎は多くそれからのことは、どの本にものっていない。ま、わしが話したことも本で読んだだけじゃから本当がどうかは知らんがな。しかしこの神社の名前の由来が、夜に子供達の泣き声が聞こえたから「夜泣子神」というのは本当らしいぞ。神というのは良く分からんが・・・。」


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