おいしい　千葉　～ponの食べある記～

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要予約というので当日の朝に電話を入れ、昼すぎに入った。きょうは春休み中の子供を連れている。ホテル１階の寿司の店。Ｌ字のカウンター席のみである。板さんと１：２でむきあう。

目の前に盆が置かれ、空のゲタが出される。「真ん中から右がメニューになります」と言う。ゲソ、玉子、赤身、いか、たこ、サーモン、しゃこ、ほたて、とり貝、ほっき貝、赤貝、石がき、穴子、海老、白身、甘海老、いくら、中とろ、うに。これらが注文できる顔ぶれ。巻物がないのがつらいが仕方ないだろう。

玉（ぎょく）と赤身と甘海老を頼んだ。子供は、ハンバーグや鉄火巻が選べないのに不満だったらしい。少し悩んでから、赤身とサーモンを注文した。

すぐに握ってくれる。見た目、若干大き目かと簡単に考えた。食べてみる。と、確実に大きい。特にシャリ部分、にぎり玉がものすごいボリュームがある。シャリが上品で小振りな五井西の「江戸銀」の２．５倍はゆうにある。下手なエクレアくらいある。粒密度たっぷりで、並のエクレアより重い。

これは意想外な展開である。ケーキバイキングに行って、普通予想する極小サイズか、上品サイズ（「アンリ・シャルパンティエ」か、市原的にいえば「ゴット」の一品）を予想していたのに、実際には特大の（「イタリアントマト」か「コージーコーナー」の一品）が出てきてしまった感じである。通常時はありがたいが、食べ放題のときは種類が食べられないので困った展開なのだ。

甘海老を見てみると、シャリの上に自然に軽々のっているのが常態なのだが、ここのはシャリに強力に押しつけられた格好で、半分以上めり込んでいる。握り寿司の格好をした押し寿司だ。（すごいな）妙に感心する。

子供のほうも手加減は一切なく、同じサイズが置かれた。それを無理に一口でほおばる。両頬がぷっくりふくれ上がる。トゲを生やせば、ほとんどハリセンボンのような形相で食べている。「さびが効く～」と声をあげた。

変な欲を出さないようにしているが、板さんの思うツボにはまるのもイヤである。３種注文を２種に切りかえ、２種注文を１種ずつにする。

食べ進むにつれて、シャリがだんだん大きくなってきていないか。気のせいかもしれないが、お腹にはボディブローのように効いてくる。別に勝ち負けはないのだが、あっさり降参するのも何となくいやだ。子供は１２貫食べて「もうだめ」とギブアップした。私も２２貫目の中トロでおしまいにした。上のネタだけ剥いで、それだけを食べたいと思うようになっていた。

「お得な不動産物件は存在しない」という。それは食べ物についても言えるかもしれない。世の中の値段づけというのは上手に的を得ている。これが３５００円の食べ放題だったら、きっと不満足だっただろう。この値段なら割り切ることができる。

帰り道、福王台の桜のトンネルの下に車をとめた。枝と枝のあいだを抜けて淡い陽光が降りそそいでくる。しばらくの間、花見がてらのシエスタとしゃれこんだ。への字状に少しだけ開けた窓から、花びらがふんわり舞いこんできた。

「黒潮亭」
住　　所：袖ヶ浦市奈良輪１－７－１
アクセス：旧道　袖ヶ浦駅前ローソンより少し木更津寄り　右側
　　　　　ホテル割烹「鈴や」１階　Ｐ有
電話番号：０４３８－６２－２００８
営業時間：１１：３０－１４：００/１７：００－２０：３０
定　　休：無休
メニュー：寿司食べ放題（１時間/毎月1.5.10.15.20.25.30日）１５７５/
　　　　　　握り（並）１０５０/（中）１５７５/（上）２１００/
　　　　　　ちらし（並）１０５０/（中）１５７５/（上）２１００/
　　　　　　鉄火丼（並）１０５０/（上）１５７５/
評　　価：☆☆☆

鈴や3