※あなたの大切な人は 誰ですか? こちらはお気楽極楽発信所※

第3話


ワードで一発変換すると「駆動系」と出るが、
今思い返せば初見は本当に落ち着きの無い男だった。

ある技術系専門学校の竣工式に呼ばれた時の話。
年上のおじさんが大半のその場所に不釣合いな若い男性。
それがくろとの最初の出会いだった。
父親くらいの年齢の人達に愛敬を振り撒き、気を使っていた。
ぺこぺこしちゃって、どうせ大したコトない人なんだろう、
上司に媚を売るのも大変ね、と第一印象はすこぶる悪いもの
だったのは、今でも覚えている。
知り合いもいなく、ぼーっと壁際でワインを飲んでいるときだった。
「お嬢さん、お一人ですか?」
振り向くとさっきのぺこリーマンが
にこにこと笑って立っていた。
・・・ここはお見合いパーティー会場かしら?と
一瞬怪訝な表情をしてしまったが、ビジネススマイルで
そつなくかわす。
愛想のイイ営業マン、悲しいけどファーストインプレッションは
この一言で片付けられる事となる。
名刺も渡されたけど、もう会う事もないとデスクのどこかへ
閉まってそれっきりで覚えていなかった。

それから何度か、偶然別のセミナーで逢い、
顔見知りになっていくうちに、
なぜかなんとなく自然に付き合いはじめることとなっていた。



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