Half Full!~PD~

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~舐めて最初の就職編~


最初の就職は生保の総合職。
総合職と言っても、最初は営業。いわゆる、生保のおばちゃんの企業回り専門版。
ここでの就職試験はもう何となく面接にも慣れていた頃。
内定は確か秋頃もらい、入社前の11月から毎月1回の研修があった。勿論まだ学生。

初めての研修は忘れられない。
営業女子だけで研修所に約100人集まる。
学校帰り位の時間から始まる。私も学校帰りだった。
遅刻はしなかったものの、舐めてる私はギリギリ入室。既にほとんどの内定者が集まっている。
最後にパラパラと入ってくる人には皆目が行く。

私にも皆の目が向いた。
途端に皆「ギョッ」とした顔。
言うまでもなかった!

全員がリクルートスーツなところに、私は・・・
いつもの穴の開いた古着のジーンズに黒のセーターとウェスタンブーツ!

やっぱりやってしまった!!

だって、学生中だし、「研修所」ってイメージが私の中でボロボロの建物だったんだものーーー!

そしてその日の研修のテーマは皮肉にも「TPO」だった。
もうサザエさんは生意気に開き直るしかなかったのだった。

●その2 ~舐めてる3分間スピーチ~●
生保では総合職だが新宿の営業所に配属。首都圏の企業が担当の営業。
ここで3年は一応の研修期間となり、その後でないと営業以外の仕事にはならない。
生保のおばちゃんと内容はほとんど変わらないものの、本社採用なだけ厳しさ2倍。
給料は固定給。毎日スーツ着用、パンツスーツは禁止、パンプス義務。
出勤後はすぐに朝礼という名の『勉強会』が1時間半。
前日の報告と本日のアポイントの数等を全員の前で発表後、前日の契約取得者に、変な盛り上がりでクラッカーなどを鳴らして祝ってやる。
壁には1ヶ月の営業所ノルマとチームノルマ、個人ノルマが、折り紙等を使って壁全体にカラフルにグラフにされている。幼稚園の壁に似た感じ。
勉強会の内容は、毎日の日経新聞の読み合わせと3分間スピーチ(月ごとのテーマに沿って1ヶ月に一度程自分に回ってくる。)、ロープレにて営業トーク、クロージングトークのノウハウの研究やら、二人向き合っての褒める練習など。
もう、一年で嫌になっていた。だって学校みたいなんだもん!

「辞めてやるぞ~!」と心は決まった。あとは時期を考えるのみ。
そこからまたもや舐めた暴走サザエが芽を出し始める!

3分間スピーチが回って来た。
今回のテーマは『将来の夢』
皆は日替わりでマジメに話していた。
今日は私の番。

私:「将来の夢は~、そうですね~、特にありませんが、ああ、年取ってから若い男の子ばっかり集めて社長になって、プロダクション経営とかもいいですね~!。あと、皇室に入ってお堀をプールに開放するとか!」

舐めてる!
それでも一応新入社員!

別の月のテーマは『笑顔』
笑顔について皆は、「とても美しいものだ」「自分も人も幸せにする」とかすごく綺麗な話をしていた。
でも私は

私:「私の笑顔は自己防衛です!・・・・」

どうしたんだ、若い新入社員が!
生意気やら心配やら、上司は心配してトイレで「何かあったの?どうした?」と聞いてきた。
そりゃそうだ。
いっつも冗談ばかり言って笑わせ役の私がスピーチのたびにこれだ。

私:「特に何も」

もう、辞めたかったんだから仕方ない。
でもほんと、今思うと『若さと馬鹿さ』炸裂状態で、そりゃ暴走してました!

●その3 ~営業で遭遇!!~
私達の営業には、企業を回り、自分の会社とこの先付き合って頂くことを開拓する「飛び込み営業」がある。

ある日のこと。
この日は、新宿西口の雑居ビルの中の中小企業巡りにパートナー(女性の営業の飛び込みは何が起こるかわからないから、一応もう一人の女性と2人一組でやっていた)と的を絞った。
それでもあまりにも小さく汚い怪しいビルの場合は怖いから、私達は、一人がエレベーターに乗ったまま開けっ放しにしておき、一人が「こんにちは~」と入ってちょっと話をし、大丈夫そうならもう一人も話しに入っていくという作戦にしていた。

そこは階段しかない雑居ビルだった。ここは二人同時で突入!
まず、薄紫のミニスカスーツの女性が出てきた。
私達の目的を伝えると彼女は「社長~、社長~」と甘い声で社長を呼んだ。

出てきたのは、安岡力也!?
とっても似ている。雰囲気まで。

再度目的を立ったまま説明する。
すると
力也:「男じゃ聞かないけどよ~、まあ座れや」
私達:「あっ、すいません」
力也:「(紫スーツに)飲み物持って来てやれや~。営業なんてサボるのが仕事だろ!なー!」
私達:・・・苦笑い・・・
(ここで、目の前にコカ・コーラ登場。しかし飲みにくいから我慢)
力也:「それで何だって?」
私達:「いやっ、そのっ、団体生命保険とかご存知ですか?・・・・(とにかく一気に色々説明)で、良かったらまずは社員さんの数とか教えて頂けませんか?」
力也:「ああ、うちは何人だったっけなーー。あいつだろ、こいつだろ、あとあいつだろ・・・・・・・」
  (しばらく社員の顔を思い浮かべながら指折り数えていく力也)

その時・・私達は見てしまったのだ!!

数えてる手に小指がないっ!!

やばいっ!実にやばいっ!
入ってはいけないとこに入ってしまったんだ~!!

その後しばらく引きつった笑顔で私達は談笑し、帰ろうとした。
その時だ!

力也:「おいっ!お前ら!」
私達:「はいっ!!?」
力也:「せっかく入れたんだ、コーラ飲んで行け!何も入っちゃいねーよ。睡眠薬位入っているかもしれないけどなっ!ハッハッハーー!!」

それを聞いた私達は顔を見合わせ、なぜか一瞬にして口に出た言葉が、

私達:「はいっ!!一気させて頂きますっ!!!!」

女二人で腰に手を当て、仲良く並んでコーラを一気飲みした。

力也:「ハッハッハーー!やるなーー!またサボりに来いや!!これから俺はデートだからよ~」

私達は会釈をしてその場を引き上げた。

綺麗な夕暮れの新宿だった。
ビルを背に、「もう、絶対行くの止めようね」と熱く誓い合う私達だった。



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