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ミュージカル映画「雨に唄えば」(1952)で映画ファンにおなじみのデビー・レイノルズさんが28日(現地時間)お亡くなりになったそうです。 娘のキャリー・フィッシャーさんが27日に亡くなった直後なので、今朝の新聞記事をみて驚きました。 28日午後(現地時間)にビバリーヒルズにある息子の家で倒れて、搬送された病院で息をひきとったとかで、脳梗塞だそうです。享年84。 前日に心不全で亡くなった娘キャリーさんの葬儀について息子さんと相談していたところだったそうです。 娘さんが急逝したことの心労が原因だったのでしょうか。 映画「雨に唄えば」は私たち映画ファンには宝物のような名作です。年月を経ても少しも古びない、いつまでも楽しませてくれる。このような映画こそ本当の名作といえるのでしょう。素敵な映画を、どうもありがとうございました。 ご冥福をお祈りいたします。
2016年12月30日
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私は「ゴルゴ13」をビッグコミックで連載開始された時にリアルタイムで読んだ世代です。 ビッグコミックが月刊誌として創刊されたのは1968年2月29日(閏年)発売の4月号。創刊時のさいとう・たかをさんの劇画は「捜し屋はげ鷹登場!」で、12月号までの全9話。そのあとを継いで1969年1月号(68年11月末発売)から「ゴルゴ13」の連載が始まりました。 第1話「ビッグ・セイフ作戦」 69年1月号 第2話「デロスの咆哮」 69年2月号 第3話「バラと狼の倒錯」 69年3月号 第4話「色あせた紋章」 69年4月号 ここまでが月刊誌だった時の作品。 第5話「檻の中の眠り」からビッグコミックが月2回の発売(3月から)になってからの作品になります。 そして1970年1月に別冊ゴルゴ13が発売されて、たしか180円くらいだった?、第1話から第4話を一冊にまとめた、これが初めての本です(第7話「ブービートラップ」も収録とされるが記憶になし)。この別冊ゴルゴ13を発売されるたびに購入し、20冊ばかり持っていました。 1973年6月ごろにSPコミックスの第1巻「ビッグ・セイフ作戦」が、その後1976年ごろに小学館文庫版が刊行されました。今は小学館文庫版はなくなりましたが、SPコミックス版はずっと続いていて現時点で183巻が刊行。 SPコミックス版、小学館文庫版もかなりの冊数を持っていたが、すべて処分してしまい今は一冊も残っていません。現在もっているのはSPコミックス コンパクト版(文庫サイズ)の第1巻から20巻までです。このSPコミックス コンパクト版は画が小さく縮小されて読みづらいけれど、コンパクトサイズなので場所をとらない利点があります。 で、この文庫版ですが、巻末に杉森昌武さんによる解説と各話のスタッフ(構成 脚本 構図 作画 担当)の名前が載っています。 各話のスタッフ名が載っているのはたいへん参考になるデータですが、気になるのは解説にあやまりがあることです。 第1巻の「この直後に始まって、日本中を湧かすことになる日活アクション映画などは、映画『007シリーズ』の影響よりも『ゴルゴ13』の影響の方が遙かに大きいというのは、知る人ぞ知るである」と書いてあるのはあきらかな間違いです。 日活アクション映画はずっと前の1950年代後半から1960年代中頃までであって、石原裕次郎、小林旭、赤木圭一郎、宍戸錠などが活躍した昭和30年代であり、「ゴルゴ13」が連載開始された1968年末にはもうブームが終わっていたはずです。その時期的に先行する日活アクション映画が「ゴルゴ13」の影響を受けているなどと、さらに知る人ぞ知るとは、とんでもないデタラメな迷説です。 さらに、ゴルゴ13が始まった1968年当時の漫画といえば「巨人の星」とか「リボンの騎士」である。そんな時代に映画「007シリーズ」的世界を漫画で描こうなどという大胆な着想を抱いたさいとう・たかをの凄さ・・・、などと書いていますが、なんで手塚さんの古い少女漫画「リボンの騎士」(1953~56、1963~66)が例に出されるのか? しかも1968年当時に「007」的世界を漫画で描いたのはさいとう・たかをさんだけではなく、望月三起也さんの「秘密探偵JA」や川崎のぼるさんの「タイガー66」などがあるだろうに。 それと、第2巻の「白夜は愛のうめき」の解説では、「タイトルも、他のはほとんどが活字なのに、ロゴ(書き文字)になっている点も、この作品の特異な点である」となっていますが、他もすべてレタリングなのは同じで、文字の書体がちがうだけです。タイトルは原稿に作画者が工夫して描きこむ(レタリングという)もので、画の一部でもあり、タイトル文字を活字にするなどありえないことです。それにロゴとは文字列をデザイン化して、企業や商標名、印章にすることであり、意味がちがいます。 杉森昌武さんを批判するつもりはありません。日活アクション映画が「ゴルゴ13」の影響を受けていて、それが知る人ぞ知るなどとデタラメを書かれては黙っていられず、日活アクション映画の名誉のために書かせていただきました。
2016年12月29日
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「バイオハザード:ザ・ファイナル」(2016) RESIDENT EVIL: THE FINAL CHAPTER監督 ポール・W・S・アンダーソン製作 ジェレミー・ボルト ポール・W・S・アンダーソン ロバート・クルツァー、サミュエル・ハディダ脚本 ポール・W・S・アンダーソン撮影 グレン・マクファーソン編集 ドゥービー・ホワイト音楽 ポール・ハスリンジャー出演 ミラ・ジョヴォヴィッチ、アリ・ラーター ショーン・ロバーツ、イアン・グレン、ローラ 他 本編107分 カラー シネマスコープサイズ 12月23日公開の映画「バイオハザード:ザ・ファイナル」を見てきました。「バイオハザード」 2002年8月31日「バイオハザードII アポカリプス」 2004年9月11日「バイオハザードIII」 2007年11月3日「バイオハザードIV アフターライフ」 2010年9月10日「バイオハザードV リトリビューション」 2012年9月14日「バイオハザード:ザ・ファイナル」 2016年12月23日 第1作から14年が経つ、ずいぶん長いシリーズですが、その間ずっとアクションヒロインを演じ続けたミラ・ジョヴォヴィッチさんは大したものです。 このアクション映画は私のお気に入りであり、今回の最終作完結編は期待をして見に行ったのですが、結果を云うと、がっかり。期待外れでした。シリーズ中では最低作ではないかと。もう少しなんとかならなかったものかと惜しい気がします。 ワシントンDCの廃墟のなかでアリス(ミラ・ジョヴォヴィッチ)はレッドクイーンから「Tウィルスの抗ウィルス剤が開発されていてラクーンシティ地下にあるアンブレラ社のハイブにある」と知らされます。 レッドクイーンは「あと48時間で生存している人間がみんな死に絶えてしまう。それまでにその抗ウィルス剤を空気中に撒くことができるのはあなたしかいない」と云う。 かくしてアリスはラクーンシティへと向い、そこでかつての仲間だったクレア(アリ・ラーター)と再会。そのグループといっしょにラクーンシティ地下へと入って行く。 前作でのジル・バレンタイン(シエンナ・ギロリー)やエイダ・ウォン(リー・ビンビン)など魅力的なキャラがその後どうなったのか説明もなく、まったく出てこないのはなぜか? 完結編ならばそれらのキャラを登場させて活躍させるべきだろうに。花も実もない空虚な感じがしてしまう完結編です。 画面が暗い。アクションシーンのスピードが早すぎて動きがわからない。 レッドクイーン役の女の子はミラ・ジョヴォヴィッチさんの実娘である、というのは知りませんでした。こういうのをなぜ宣伝材料にしなかったのか? 完結編とあって、アリスがなぜ事件以前の記憶が失われていたのか?が明らかになりますが、ただそれだけで、あとは何もありません。
2016年12月28日
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「スペシャリスト」(1969)GLI SPECIALISTI監督 セルジオ・コルブッチ脚本 セルジオ・コルブッチ サバティーノ・チュフィーニ撮影 ダリオ・ディ・パルマ音楽 アンジェロ・フランチェスコ・ラヴァニーノ出演 ジョニー・アリディ、ガストーネ・モスキン フランソワーズ・ファビアン、マリオ・アドルフ シルヴィ・フェネック、セルジュ・マルカン 本編98分 総天然色 シネマスコープサイズ「マカロニ・ウエスタン傑作映画DVDコレクション」第19号は「ガンマン無頼」と「スペシャリスト」です。「ガンマン無頼」のほうは500円DVDがあるので容易に見られますが、「スペシャリスト」は珍しい作品ではないでしょうか。 ブラックストーンの町にハッド(ジョニー・アリディ)という男がやって来る。彼の生まれ育った町だが、銀行から大金を奪った罪を着せられて住民にリンチを受けて残虐に殺された兄チャーリーの恨みを晴らしに帰って来た。町の人々は怯えて戦々恐々。 ハッドは保安官(ガストーネ・モスキン)に武装解除されるやいなや刺客に狙われるが手練の早業で返り討ちにする。 兄が殺される前に隠したとされる盗まれた大金。ハッドに近づく銀行経営者の未亡人、幼馴染みの片腕の山賊ディアブロ(マリオ・アドルフ)。 手がかりは焼け焦げのある一枚のドル紙幣だけである。兄が殺された真相を調べていくうちにハッドは偽札をめぐる陰謀と、臆病で強欲な町の住民たちの醜悪さが見えてくる。そして山賊ディアブロ一味が町を襲って来てハッドは単身で戦うことに。 セルジオ・コルブッチ監督のマカロニウエスタンで、日本公開は1972年7月。 初めて見る作品だと思っていたらそうではなかったようで、主人公ハッドが着ている鎖帷子に憶えがあります。もう40年以上も昔に北国第一劇場で見たマカロニウエスタンで、鎖帷子のみを憶えていて、いままでそれが「盲目ガンマン」(1972年10月公開。今もって再見の機会がない)だとばかり勘違いをしていました。 ビートルズのリンゴ・スターが出ていた「盲目ガンマン」と、フランスのロック歌手ジョニー・アリディ主演の本作「スペシャリスト」という点からの勘違いかもしない。 主人公ハッドの孤高の男ぶりが格好いい。逆境にあっても挫けない、群れない、無駄口をたたかない、金銭に執着しない。 セルジオ・コルブッチ監督の代表的傑作とされる「続 荒野の用心棒」のジャンゴ(フランコ・ネロ主)は身勝手で金銭欲の強い主人公だったけれど、本作のハッド(ジョニー・アリディ)の孤高さは「殺しが静かにやって来る」(68)のサイレンス(ジャン・ルイ・トランティニャン)に通じるものかもしれません。そういえば雪は無いが寒々しい撮影地も似通っているような。 映画の字幕では「防弾チョッキ」となっているが、「鎖帷子」というほうがイメージに適っているようです。チェーンメイルアーマーともいい、敵の弾丸をバチーンと跳ね返す。マカロニウエスタンばかりでなく西部劇でこういうのを見るのは大変めずらしいのでは。 ヒッピーのような4人組の若者が出てくるのも、1970年前後の時代に撮られた映画ならではか。
2016年12月26日
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「ウルトラQ」の「ガラモンの逆襲」。 前事件「ガラダマ」では、遊星人はまず隕石に内蔵した誘導電子頭脳を地球に落下させておいたのち、ロボット怪獣ガラモンを、これも巨大隕石に乗せて送り込んで暴れさせた。その誘導電波を遮断したことで遊星人の地球侵略を阻止した。 その続編である「ガラモンの逆襲」では、遊星人は群馬県の榛名湖(おそらく)に円盤がひそませ、一人の遊星人を派遣して天体物理研究所の金庫に保管されていた誘導電子頭脳(隕石)を盗み出させる。このソフト帽にレインコート姿の地球人に変装した遊星人の任務は誘導電子装置を榛名湖の円盤まで持って帰ることです。 彼は運送トラックに乗せてもらって群馬県へと向かうのですが、それを万城目淳(佐原健二)たちが追い、途中のドライブインでトラックを乗り逃げしたことで群馬県警のパトカーも追跡に加わる。彼は任務に失敗したために円盤の仲間に焼き殺されるのですが、これは失敗したら死刑だという掟と、証拠隠滅の意味もあるのだろうか。 このようにストーリーを書き出してみると、今回の話「ガラモンの逆襲」は遊星人の再侵略ではなくて、誘導電子頭脳を地球人から取り戻すことが目的だったのではないかと思えます。 東京にガラダマを落下させてガラモンが街を破壊し東京タワーを壊したのは地球人の注意を集めておくための「囮」だったのでは。ガラモンに注意を集めておいてその隙に遊星人は榛名湖まで盗み出した電子頭脳を持ってかえるという計画だったのでは。 このように考えないと、遊星人が先の事件で使った隕石(誘導電子頭脳)を回収して再利用する理由がわかりません。 ロボット怪獣ガラモンを電波であやつって地球を破壊するという手段の地球侵略計画だとしたら、円盤内から別の電子頭脳で誘導すればすむことで、わざわざ先に失敗した時に使ったものを回収する必要などないではないか。 先の事件「ガラダマ」では隕石の電子頭脳とロボット怪獣だけで遊星人は来ていない。それだけで地球侵略ができるはずがなく、あれは実験に過ぎず、何らかのデータ収集が目的だったのかもしれない。そのデータを回収するために隕石を盗み出して持って帰る必要があったのかも。 まあ、これは私の妄想でありますが、そのように考えないとつじつまがあわないようです。 悪の組織では「失敗したら死刑だぞ」というのは昔からの定番ですね。隕石奪還作戦に選ばれた遊星人こそ哀れ。一人で奪い返してもどって来いとはあまりに無謀な計画ではないか。せめて移動のための車くらい用意してやれよと。
2016年12月24日
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12月10日「南海の怒り」#23 「海底原人ラゴン」#2012月17日「ゴーガの像」#24 「ガラモンの逆襲」#1612月24日「SOS富士山」#7 「地底特急西へ」#10 (全話完結) ファミリー劇場で放送されている「ウルトラQ」の「ガラモンの逆襲」を鑑賞しました。 1966年4月17日に第16話として放送された作品で、「ガラダマ」(第13話 同年3月27日)の続編です。 深夜、天体物理研究所の金庫に保管されていたガラダマを誘導する電子頭脳が謎の男(ソフト帽にレインコート姿)によって盗み出される。 遊星人の侵略の手先であるロボット怪獣ガラモンを誘導する電子頭脳が盗み出されたということは、近々再びガラモン来襲が予想される。 万城目淳(佐原健二)戸川一平(西條康彦)江戸川由利子(桜井浩子)は電波研究所の花沢主任(平田昭彦)を訪れて、危惧されたとおり電波が発信されているのをキャッチ。 発信源は時速60キロで移動しているとのことで、車で走っていると思われ、彼らはその発信源を追跡することになります。 東京に無数の隕石が落下し、中から現れたガラモンが東京の街を破壊し始めるなか、誘導電子頭脳を持った謎の男は運送トラックに便乗して群馬県の榛名へ向かっている。それを追う万城目たちと群馬県警。榛名湖のバンガロー村へ男を追い詰めた彼らは、榛名湖にひそんでいた遊星人の円盤を目撃する。「ウルトラQ」で続編が作られたのは怪獣ペギラの「ペギラが来た!」「東京氷河期」と、この「ガラダマ」「ガラモンの逆襲」であり、冷凍怪獣ペギラと隕石怪獣ガラモンが「ウルトラQ」を代表する2大怪獣である所以なのでしょう。 電波誘導されるロボット怪獣ガラモンの造型が個性的でおもしろいのですが、身長40メートルの設定なのに東京タワーの大展望台(地上120メートル)より高かったり、怪獣出現で都民が避難事態なのに展望台に人がいたり、変な点があるのはともかくとして、遊星人が先だっての事件で使われた電子頭脳(隕石状)を回収して再利用しなければならないのはなぜか? ケチをつける気はありませんが、見ている時に気づかなかった変な点がいろいろありますね。 地球上の既存物質では壊すことができないチルソナイトという合金でできた隕石内に電子頭脳が入っていて、それを前事件のあと天体物理研究所の金庫に保管していた。その隕石を遊星人が盗み出してガラモンを電波誘導する。彼は榛名湖までトラックに乗せてもらって(この運転手が好演)まで向かう。榛名湖に隠れている円盤に合流するためだが、任務に失敗した遊星人は怪光線で焼き殺されてしまいます。 わざわざ回収して再利用しなくても、同じ物を作ってそれを円盤内から使えば何のこともないはずではないかい? 電波研究所の主任役で平田昭彦さんが出演。この人が出ると物語が引き締まりますね。
2016年12月23日
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ファミリー劇場の「ウルトラQ」。12月10日「南海の怒り」#23 「海底原人ラゴン」#2012月17日 「ゴーガの像」#24 「ガラモンの逆襲」#16 と放送され、12月24日の夕方6時からの「SOS富士山」#7、「地底特急西へ」#10で全話が完結します。 同じ12月24日は朝8時から、今度は当時の順での再放送が始まるそうで、第1回として「ゴメスを倒せ!」と「五郎とゴロー」が。この24日には朝と夕方の2回「ウルトラQ」があって4話が放送されることになります(1月末から「ウルトラセブン」の放送が開始される)。 そんなわけで、「ゴーガの像」を鑑賞。「ウルトラQ」第24話として1966年6月12日に放送された作品です。 羽田空港にアーブ国大使の家族が旅客機から降り立ちます。大使の幼い娘瀬川タミが人形?を大事に抱えていて、機内で仲良くなったお姉さんが「私が持ってあげる」と云ったまま持ち逃げする。「人形を返して!」と追ったタミを車に拉致して一味が逃走。 香港で見知らぬ老婆にもらったというその人形は、アーブ国の博物館から盗まれた「6000年の呪い」がこめられたというゴーガの像だった。古美術品を盗んで日本へ持ち込んだ国際密輸団の犯罪。 大使の娘に人形として持たせて日本へ持ち込んだ。黒幕は古美術品コレクターの岩倉(松下達夫)でタミから人形を奪ったのは密輸団のアリーンという女(田原久子)。岩倉のもとにアリーンは香港にいると知らせが入り、監禁されていたタミを救い出そうとした偽アリーンは捕らえられてしまう。 密輸された古代の「ゴーガの像」の中に入っていた貝獣(かいじゅう)が鑑定時に放射線を浴びたために動き出して巨大化。6000年前に一夜にしてアランカ帝国を滅ぼしたという貝獣ゴーガが東京の街を破壊する。国際密輸団と潜入捜査した女性エージェント。東宝お得意のスパイアクションと怪獣の特撮をミックスした話です。「ウルトラQ」をこのファミリー劇場での放送で約50年ぶりに見ているのですが、まったく話を憶えていなくて、初めて見るのと同じです。 今回の「ゴーガの像」。つっこみどころがいくつもあって、そもそものゴーガの像の材質はなにか?というのが私のいちばんの疑問点。 空港で飛行機から降りるときに幼い女の子が人形だといって抱いているのをみると軽い物なのか?、6000年前のものだから木像ではあるまい。倒れて粉々になり中から貝獣ゴーガが現れるのだから木製のはずかなく、金属の銅像やブロンズ像なら倒れたくらいで粉々になるだろうか、その重量は幼い少女には持てないだろうし。こんな点はかなりいい加減。 密輸団のアリーンという女になりすまして潜入した国際文化財秘密捜査員リャン・ミン。演じているのは田原久子さん(のちに荒砂ゆき、と改名)。通信機や扉の錠を壊す爆薬など秘密兵器を隠し持っている、当時流行のスパイアクションを取り込んだ一編です。
2016年12月21日
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セルジオ・コルブッチ監督のマカロニウエスタン「リンゴ・キッド」(66)。原題は「JOHNNY ORO」で、「黄金ジョニー」という意味だそうな。 それをアメリカでは「RINGO AND HIS GOLDEN PISTOL」というタイトルで公開し、主人公の名前をリンゴにした。「リンゴと彼の黄金銃」といったところか。 そのリンゴから日本では「リンゴ・キッド」としたようですが、リンゴ・キッドはまったく関連がなく、映画ではジョニーという名前にすぎません。 リンゴ・キッドをウィキペディアで調べると、「ジョニー・リンゴ (1850年5月3日 - 1882年7月13日)は、アメリカ西部開拓時代のガンマン、無法者。本名John Peters Ringo。インディアナ州生まれ。 出生に関する経歴は不明だが、南部の出身で教養があり格調の高い英語を話していたという。シェークスピアやラテン文学などの古典を愛読していたとのこと。3人の無法者に兄を殺され、西部の町々を仇をたずねて歩き、出会ったときには、たった3発で彼らを仕止めた。このエピソードは映画『駅馬車』の登場人物、リンゴ・キッドのモデルにされた。 ワイアット・アープと親交があったが、クラントン一家とも交流し牛泥棒や駅馬車強盗を手伝っていた。OK牧場の決闘では、クラントン一家に味方した(銃撃戦に加わってはいない)。OK牧場の決闘の翌年、West Turkey Creek Valley にあった大木の上で死体が発見された。奇妙なことにリンゴの死体からはブーツが脱がされていた。遺体の発見場所から数十キロ離れた所でリンゴが乗っていた馬が発見され、鞍にブーツが残されていたという」 となっています。 映画ではジョン・ウェインがリンゴ・キッドに扮した「駅馬車」(1939)とグレゴリー・ペックの「拳銃王」(1950年ヘンリー・キング監督)があります。 アメリカではビリー・ザ・キッドなどと並んで歴史上のガンマンとして名前が知られているのだろうか。私はどうしても「果物のリンゴ」を連想してしまっていまひとつなじむことができません。「駅馬車」の場合でもジョン・ウェインのキャラクターが前面に出てしまっていてリンゴという役名が印象に残らない。どんな役を演じてもジョン・ウェインになっていて、それが大スターの所以でもあるのだろうけど。 グレゴリー・ペックがリンゴ・キッドを演じた「拳銃王」はずっと昔にテレビ洋画劇場で見たきりなのでぜんぜん憶えていない。格安DVDがあるのでこんど見てみよう。 マカロニウエスタンの「リンゴ・キッド」。黄金のジョニーを演じているマーク・ダモンは「殺して祈れ」(マカロニ・ウエスタン傑作映画DVDコレクションの第14号)で吸血鬼ドラキュラを思わせるような悪役を演じていて、同じ俳優だとは思えないくらいです。黄金の拳銃と黄金のパイプ。黒ずくめの服装。アメリカの西部劇だったら恥ずかしくてできないスタイルではないか。それを平然とやってしまうあたりが西部劇ごっこともいえるマカロニウエスタンならでは。
2016年12月20日
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「マカロニ・ウエスタン傑作映画DVDコレクション」の第16号に「ウエスタン」とともに収録された「リンゴ・キッド」を鑑賞しました。「リンゴ・キッド」(1966) JOHNNY ORO 英題 RINGO AND HIS GOLDEN PISTOL監督 セルジオ・コルブッチ製作 ジョゼフ・フライド脚本 アドリアーノ・ボルツォーニ フランコ・ロゼッティ撮影 リカルド・パロッティーニ音楽 カルロ・サヴィーナ 出演 マーク・ダモン、エットレ・マンニ、フランコ・デ・ローサ ヴァレリア・ファブリッツィ、ジュリア・ルビーニ、ロリス・ロディ 本編86分 装天然色 ヨーロピアンビスタ この「マカロニ・ウエスタン傑作映画DVDコレクション」ではセルジオ・コルブッチ監督作品がつぎつぎと収録されています。代表的な「続 荒野の用心棒」「殺しが静かにやって来る」だけでなく、「さすらいのガンマン」「豹ジャガー」「ガンマン大連合」などの有名どころの他に、未公開作の「黄金の棺」。そして今回は「リンゴ・キッド」が、さらに12月22日発売の第19号には「スペシャリスト」が予定されています。「リンゴ・キッド」の日本公開は1966年10月。マカロニ西部劇としては「続荒野の用心棒」(66年9月公開)が最初で、それに次ぐ公開第2作目になります。 黄金の拳銃を持つ賞金稼ぎのジョニー(マーク・ダモン)は、その早撃ちでメキシコ人悪党一味を射殺。賞金のかかってないホアニト(フランコ・デ・ローザ)を賞金がかかっていないので見逃す。 ジョニーが向かった町ゴールドストンは保安官(エットレ・マンニ)の方針で銃の携帯が禁止されていた。兄弟を殺された復讐のためにホアニトは次々に殺し屋を差し向ける。だが、保安官に銃を取り上げられて丸腰のジョニーは機転を効かせて刺客を返り討ちにする。業を煮やしたホアニトはインディアンと手を組んで町を襲撃する。保安官は拘留中のジョニーに銃を返し、町を守るべく戦いが開始される。 賞金首の悪党を倒して受け取る賞金を、紙幣は信用できないとして金貨(きん)で受け取るのをモットーにしているキザな賞金稼ぎジョニーが主人公のマカロニウエスタンの秀作です。「続 荒野の用心棒」のようなあくの強さがなく、どちらかといえばアメリカ西部劇のタッチに近い。町に入る者を武装解除して銃をあずかる保安官。そしてガンマンにあこがれる幼い息子(ロリス・ロディ)など「シェーン」を思わせる。子役が活躍するマカロニウエスタンというのは、あまりない(「帰って来たガンマン」があるけど)なかで、これを撮ったのが「続 荒野の用心棒」「殺しが静かにやって来る」と同じ監督とは思えないくらいです。 黄金の銃を持つ男、黒ずくめのガンマン ジョニーを演じるマーク・ダモン。邦題はなんでか「リンゴ・キッド」などとあさっての方へ向いているけれど、この主人公はマカロニらしい格好良さがあってとても良い感じです。軽快なマカロニ西部劇の秀作として必見の一作。このような作品が見られるのは嬉しい。 町の広場に古い大砲がおいてある。町に来た主人公が「町は少しも変わっていない。大砲が少し錆びただけだ」と云う。保安官が「無用の長物だ」と答えるが、この大砲の扱いかたも気が利いています。
2016年12月19日
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先日、テレビで夏目漱石のアンドロイドが作られたニュースをやっていましたが、なぜいま夏目漱石なんだろうと思ったら、没後100年ということで静かなブームになっているようです。 書店へ行くと平台に漱石の文庫本がずらりと並んでいます。 そんな中での新潮文庫。通常のカバーの上に大きな帯状にもう一枚かけられていて、その漱石先生の肖像写真をカラーに加工したデザインがひときわ目に付きます。 その新潮文庫、「坊っちゃん」と「三四郎」の2冊を衝動買い。「坊っちゃん」は310円+税、「三四郎」は340円+税。「坊っちゃん」はかつて何度も読んだので、まずは「三四郎」を読み始めました。30年くらい前に一度読んでいるのですが、三四郎と野々宮さん、広田先生。ヒロインの美禰子とストレイシープくらいしか記憶になく、野々宮さんの妹よし子や三四郎の友人 与次郎の存在などまったく忘れていた。 このような小説を難しく読む必要はなく、気楽にその世界を楽しめばよいのでしょう。田舎から東京の大学に入った主人公の日常生活。彼をとりまくちょっと一風変わった登場人物たちの面白さ。ヒロインの美禰子に翻弄されるような三四郎。 青春小説として読んでみると、庄司薫さんの「赤頭巾ちゃん気をつけて」や「白鳥の歌なんか聞こえない」「さよなら快傑黒頭巾」などと、その世界というか形式と雰囲気がとても似ている。かたや昭和44年から昭和46年あたりの、かたや明治41年の若者の平凡な日常生活をみずみずしく描いています。
2016年12月15日
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司馬遼太郎さんの「関ヶ原」などを読んでいて思うのは、豊臣恩顧の大名たちがなぜ徳川家康に味方したのか?ということです。 徳川家康は豊臣秀頼の政権を奪うことを考えている。なのに、なぜ秀吉に可愛がられた加藤清正や福島正則をはじめ、浅野幸長、以下、黒田長政や細川忠興、池田輝政、加藤嘉明、京極高次など豊臣系大名たちは尻尾を振るようにして家康に接近したのか。 彼らは石田三成が憎いからだという、それだけの理由なのか? 石田三成が家康打倒に立ち上がった、そういう時になぜ豊臣政権簒奪をねらっている徳川家康に味方するのか? 自分たちが家康に味方することで家康が三成を倒したら、その結果がどうなるか、予想ができなかったのか。 つまりのところ、当時の人々は徳川家康をどのように見ていたのか?ということです。 現代の会社に例えると、社長の秀吉が死に、その跡を幼い秀頼が継いで二代目社長になった。筆頭重役の徳川家康が秀頼を蹴落として社長の座を奪おうとたくらんでいる。その野望を阻止せんと秘書課長の石田三成が立ち上がった。 幼い社長を社員全員が団結して守り立てていくべき時に、家康と三成の争いは個人的な内輪もめとして認識されたのだろうか? だから三成嫌いの者たちが家康派に加わって三成派と争った、派閥争いにすぎないと思っていたのだろうか。家康に味方した前社長恩顧の者たちはただ秘書課長の三成が大嫌いで、ボコボコにして会社から追い出せばそれでよいと思っていた? 関ヶ原の合戦で石田三成が敗北して捕らえられ処刑された。その罪名は豊臣秀頼に対する反逆ですね。石田三成は秀頼の名をかたって、豊臣家の筆頭家老 徳川家康に刃向かい、豊臣家に反逆して天下を騒がせた大悪人である。だから家康が秀頼に代わって処罰した。 関ヶ原の合戦は「天下分け目の戦い」といわれるけれども、勝った方が次期政権の座に近づくことになる、当時は誰もそんな戦いだと思っていなかったのではないか。 次期政権をめぐっての争いだと見られていたら、家康に味方して勝たせることが豊臣家から政権を奪って家康に渡すことになると誰もがそう思うだろうに。 関ヶ原の合戦が終わり、反逆者 石田三成を捕らえて処刑した。その時点での徳川家康は依然として豊臣家の筆頭家老にすぎない。合戦前よりも発言力が大きくなり、派閥もしっかりと安定して政務代行する権力を持ち、家康に逆らう者がいなくなったけれど、いぜんとして秀頼が君臨している。 戦いで敗走した石田三成が捕らえられずに大坂城に戻ることができていたらどうなっただろう?大坂城には毛利輝元が秀頼を守っている。そこへ反逆者の三成が戻ってきたら? すべて石田三成の個人的反逆であり豊臣家はまったく関係していないと、やはり同じように三成を処刑するのだろうか? 徳川家康が関ヶ原での西軍?首謀者を処刑したのは豊臣秀頼に代わっての政務代行ですが、そこには豊臣家の意思があるはずなのに、何も見えてこないのはなぜだろう?
2016年12月08日
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司馬遼太郎さんの作品でいちばん好きなのは? という問いでは、その答えは各人さまざまでしょう。「竜馬がゆく」「燃えよ剣」「国盗り物語」「坂の上の雲」・・・などをあげる人が多いのではないでしょうか。 私は、小説としてみれば「梟の城」と「風神の門」「尻啖え孫市」の中から「梟の城」をいちばんに。歴史小説としてみれば「関ヶ原」がダントツです。 画像(上)は現在の新潮文庫版「関ヶ原」(全3巻)定価750円+税。 現在は活字が大きくなって読みやすく。老眼の身にはたいへんありがたい。しばらく前までは大きすぎる、大きければいいというものではない、などと思っていたのに、それだけ年を取って目が衰えたということでしょう。「関ヶ原」は「週刊サンケイ」に1964年(昭和39年)7月から1966年(昭和41年)8月まで2年間にわたって連載された作品。 単行本は1966年10月に上巻、11月に中巻と下巻が新潮社から刊行。 文庫本は1974年(昭和49年)6月で、この時は活字が小さく、一気に現在の大きさになったのではなく、何段階かの末に今の大きさになった。現行版は単行本より活字が大きい。 天下分け目の戦いといわれる「関ヶ原の決戦」にいたるまでを石田三成と徳川家康を中心に描いています。 秀吉亡き後、豊臣政権の簒奪をもくろむ徳川家康の謀略に、そうはさせじと対抗する石田三成。主人公は正義感あふれる石田三成といえるのですが、この主人公を「へいくゎいもの(横柄者)」とし、周囲から嫌われている人物として描いている。 かたや徳川家康を腹黒い悪役とし、この家康の悪役ぶりがたいへん魅力的です。 家康が、謀臣 本多正信とひそひそと謀略をめぐらすのがわくわくするほどに楽しい。この見事な悪役ぶりが、小説「関ヶ原」の面白さになっているのではないでしょうか。 関ヶ原の決戦という巨大なプロジェクト。登場人物の多さは小説としては最大なのかもしれません。
2016年12月07日
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ファミリー劇場で制作順に2話ずつ放送している「ウルトラQ」。12月3日は「南海の怒り」と「海底原人ラゴン」でした。「南海の怒り」は1966年6月5日に第23話として放送された作品です。 漁船 第五太平洋丸がミクロネシアのコンバス島付近でSOSを発信して消息を絶つ。その海域ではこれまでにも何隻もが遭難しているという。毎日新報の関デスク(田島義文)は万城目淳(佐原健二)、戸川一平(西條康彦)に江戸川由利子(桜井浩子)をつれて現地へ調査に行くよう依頼する。彼らはデスクから紹介された語学の天才 南(上田忠好)を通訳につれてコンバス島に上陸する。 コンバス島では遭難した第五太平洋丸の乗っていた船長の息子 雄三(久保明)が海岸に打ち上げられていたのを島の娘アニタ(高橋紀子)に助けられて介抱をうけていた。 万城目たちは島民から歓迎されず、すぐに出て行けと強制されるが、その時大ダコのスダールが出現。スダールは島の守り神であるが、島民にも危害を加えている。スダールが島の子供を襲っているのに島民は恐怖のために尻込みするばかり。見かねた万城目が子供を救い出したことで、島に滞在を許可される。 乗っていた漁船を沈められた雄三は、船長だった父の仇 大ダコスダールを倒そうと、アニタからスダールの巣がある場所を聞き出します。 大ダコ スダールは恐ろしい怪物だが、島を外敵から防いでいる守り神でもある。アニタの両親もスダールのために命を奪われていたことで雄三に説得されて居場所を教える。 万城目は大ダコの巣の位置を無電で連絡し、要請を受けて飛来した爆撃機がスダールのいる海域に爆雷攻撃を加える。 守り神スダールの居場所を教えたことを怒った島民たちがアニタと雄三、由利子、南を火あぶりの刑にしようとするが、そこへ爆雷でも死ななかったスダールが上陸して襲ってくる。 大ダコのスダールが陸に上がってくるシーンは映画「キングコング対ゴジラ」(63)の流用です。本物のタコを使って合成した特撮。 スダールは島の守り神。島民にとって恐ろしい存在だが外敵から島を守ってくれる存在でもある。それを島外から来た他人の善悪判断で倒してしまって良いものだろうか? たしかに大ダコを退治してしまえば島は一時的に平和になるだろうが、守り神を失った、その先はどうなるのか? 島の娘アニタを演じているのは東宝の若手女優 高橋紀子さんです。
2016年12月05日
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「旗本退屈男」(1958)監督 松田定次製作 大川博原作 佐々木味津三脚色 比佐芳武撮影 川崎新太郎美術 川島泰三音楽 深井史郎出演 市川右太衛門、桜町弘子、中村錦之助 横山エンタツ、杉狂児、伊東亮英 片岡千恵蔵 、大河内伝次郎、月形龍之介、大友柳太朗 東千代之介、大川橋蔵、原健策、山形勲、里見浩太郎、北大路欣也 花柳小菊、大川恵子、丘さとみ、長谷川裕見子 本編108分 総天然色 シネマスコープサイズ 時代劇専門チャンネルで放送された映画「旗本退屈男」を鑑賞しました。 市川右太衛門出演300本記念作品として作られた東映スター勢揃いの絢爛豪華なオールスター映画です。 オールスターということでお正月映画かと思ったら、1958年(昭和33年)8月12日公開で、お盆映画でした。このような楽しい映画はお正月かお盆がふさわしい。「市川 右太衛門 いちかわ・うたえもん」 1907年2月25日~1999年9月16日 東映の時代劇大スターで、代表作はやはり「旗本退屈男」でしょう。 戦前の1930年代から作られて、第1作「旗本退屈男」は1930年。東映の作品では1951年の「旗本退屈男 唐人街の鬼」から1963年の「旗本退屈男 謎の龍神岬」まで19本があります(戦前からのを含めると全30本)。今回鑑賞した「旗本退屈男」(58)は、東映版の12本目にあたります。 直参旗本 早乙女主水之介、人呼んで“「旗本退屈男」は、無役ながらも1200石のお殿様で、本所割下水にある900坪のお屋敷に妹の菊路(17才)と下働きの女3人、庭番2人、門番兼若党1人の、計7人で住んでいる。無役なので退屈まぎらしに事件をもとめて御府内(江戸市内)だけでなく、日本各地へと。旗本は本来は許可無くして御府内の外へは出られないはず、というのは野暮。早乙女主水介は勝手御免というか、将軍家のお墨付きを懐中に隠密のような役を務めることもあるらしい。 通常の物語は殺人事件を発端に密貿易事件やお家騒動の陰謀などを解決するのが多いけれど、今回見た「旗本退屈男」(58)は仙台伊達家の家督を狙った陰謀に介入して事件解決する。とにかくその出演俳優の豪華なこと。舞台セットの広くて豪華なこと。こういう映画を見慣れるとテレビ時代劇なんかチャチくて見られなくなってしまう。 早乙女主水介(市川右太衛門)は妹の菊路(桜町弘子)、あげ羽の蝶次(中村錦之助)、横這いの円太(横山エンタツ)、のっそり弥八(杉狂児)、一念堂一徹(伊東亮英)とともに伊達領内に入る。 藩主 伊達忠宗(片岡千恵蔵)御乱行のため代替わりさせてほしいと老中に願い出た一族の伊達兵庫(進藤英太郎)が国目付と組んで奸計をめぐらし、御殿医を抱き込んで若君の鶴千代を毒殺しようとたくらんでいる。お側についている浅岡(花柳小菊)や浪乃(千原しのぶ)、楓(丘さとみ)らが御殿医が処方した毒薬をこっそりすりかえて若君を守ります。 国目付は忍者組の百々地三之丞(東千代之介)と甲賀三郎兵衛(大友柳太朗)を騙して家中で女狩りをおこなって忠宗の悪評を作り上げようとするが、御乱行前の忠宗は領民思いの名君だったので、家老の角倉十太夫(月形龍之介)をはじめ、松崎文之進(大河内傳次郎)、美濃部新兵衛(大川橋蔵)だけでなく女狩りで誘拐されてきた村娘のおたき(大川恵子)までが「お殿様は本当は悪くない」と信頼してかばうのだった。 悪評ねつ造に効果がなく、家中や領民の信頼厚い忠宗にじれったくなった悪人一味のリーダー原口刑部(山形勲)は甲賀三郎兵衛に若君殺害を命じるが、三郎兵衛は健気な若君の顔を間近に見たことで殺せず、殺害に失敗したと報ずる。 敵の屋敷に忍び込んだ蝶次が、伊達兵庫、原口刑部、国目付が幕府の老中と結託した伊達藩乗っ取り計画の証拠となる連判状を奪いだして主水之介に届け、忍者組の三郎兵衛と百々地たちも騙されていたことを知って主水介に味方する。 日本映画、時代劇映画が娯楽の王様だった頃の、楽しさいっぱいのオールスター時代劇です。 マンネリ大いにけっこう。観客が安心して見ていられるのが、このような時代劇では重要なのではないか。 かつて多勢いた日本の大スターたち。市川右太衛門、片岡千恵蔵、大友柳太朗、東千代之介、中村錦之助、大川橋蔵。そして東映時代劇お姫様女優の大川恵子さんの清楚な美しさ。主水介の妹 菊路役の桜町弘子さんのなんと可愛らしいことか。まさに眼福です。 最近は日活のアクション映画や青春映画に注目していたのですが、本作のような古き良き東映時代劇も放送を見逃さないようにしよう。
2016年12月04日
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「大怪獣バラン」(1958)監督 本多猪四郎製作 田中友幸原作 黒沼健脚本 関沢新一撮影 小泉一美術 清水喜代志編集 平一二音楽 伊福部昭出演 野村浩三 、園田あゆみ 松尾文人、伊藤久哉、桐野洋雄、千田是也 村上冬樹、平田昭彦、山田巳之助、土屋嘉男、田島義文 本編87分 モノクロ シネマスコープサイズ 1958年(昭和33年)10月に公開された東宝の怪獣特撮映画です。 ゴジラやラドン、モスラなどに比べて知名度の低い怪獣バランということもあって、これまで見たことがなく、チャンネルNECOで放送されたのを機会に鑑賞しました。 子供が昆虫採集した蝶のなかにたいへん珍しい蝶があった。シベリアにしか棲息しないアカボシウスバシロチョウの一種で、それがなぜ日本で? 蝶が発見された東北地方、北上川上流の猪苗代湖付近(と思われる)僻地の岩屋部落へ調査に向かった研究員2人が謎の事故死をとげる。 その事故の原因を調べるために生物学研究員の魚崎健二(野村浩三)、カメラマンの堀口(松尾文人)と女性新聞記者 新庄由利子(園田あゆみ)が現地へ向かう。 岩屋部落を訪れた3人が、そこで見たものはバラダギ(婆羅陀魏)信仰にまつわる因習と、奥深い山霧がたちこめる湖から現れた、学名バラノポーダといわれる中生代の恐竜の生き残りである怪獣だった。婆羅陀魏山神(バラダギサンジン)として岩屋部落の人たちが古来から信仰してきた怪獣バランの出現に驚いた魚崎は「この怪獣が都会に行ったら大変だ」と。記事が新聞で発表されて自衛隊がバラン退治に乗り出す。 自衛隊がバランが潜む湖に毒物を投入し、出てきたところを無反動砲と迫撃砲で攻撃を加える。しかしバランに対してまったく通用せず、いたずらに怒らせるだけ。岩屋部落を蹂躙したバランは腕と足のあいだに飛膜を広げると空へ飛び立っていずこかへ姿を消してしまう。 そのバランが銚子沖に出現して東京へと向かう。陸海空自衛隊がバランを攻撃するために羽田空港に展開するが、はたしてバランを倒せるのか? 宇宙ロケットが打上げられ、やがて科学万能時代がやって来る。人類の目が宇宙開発に向いて、科学の発達によって怖い物なしになったと人類は思い上がっていた時代。新しいことは良いことだ、古い物の価値を認めず、捨てて新しい物に作りかえるのだ!と。 戦後の復興が進み、高度成長期にはいった昭和33年の映画です。 東北地方山中の湖におとなしく棲んでいた怪獣バラン。現地の住民はバラダギサンジンとして畏れて祀ってきた。それを心ない都会人が入り込んでいって信心を迷信と蔑み、禁足地を侵して怪獣バランを怒らせてしまう。 1954年の「ゴジラ」から始まった東宝の怪獣映画では「ゴジラの逆襲」(55)「空の大怪獣ラドン」(56)と、純粋に怪獣映画としては4作目になります。「地球防衛軍」(57)はロボット。 これまで見ることがなかったのは、その出演者の地味さゆえに関心が向かなかったのか。 脇役として平田昭彦さんや土屋嘉男さん、田島義文さんなどおなじみの顔がそろっているのに、肝心の主演2人 野村浩三 さんと園田あゆみさんに主役としての華がない。野村浩三さんは東宝特撮映画ではよく顔を見る脇役俳優(テレビ「ウルトラQ」の「変身」で巨人役)ですが、映画の主役となると話は別だろう。園田あゆみさんもヒロインというタイプではなく、キャスティングに問題ありです。 映画の中で自衛隊の攻撃がバランに通用しない。大砲や戦車、多連装ロケット砲も空からのロケット弾攻撃もまったく歯がたたない、と云っているけれど、それは大きな間違いで、歯が立たないのではなくて「命中していない」からですね。見ていると派手に撃っているけれど全然バランに当たらず、あさっての方向に着弾している。はずれっこないはずの巨大な標的なのにどこを撃っているんだ?
2016年12月03日
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ファミリー劇場で9月10日から始まった「ウルトラQ」も12月24日で全話の放送が完了します。あと3週、残りは6話。 11月26日に放送された「2020年の挑戦」は第19話として1966年5月8日に放送された作品です。 怪人(異星人)ケムール人が登場し、このキャラクター造型は「ウルトラマン」のバルタン星人とともに巨大化する異星人怪獣(という言い方は変だけど)の双璧ですね。 スクランブル発進した空自の戦闘機2機が消滅する事件が起きる。未確認飛行物体をレーダーで探知したスクランブル発進だったのだが、指揮官 天野二等空佐(小林昭二)の会議の席上での発言を誰も信じない。現実に2機の要撃機が消息を絶っているのだが。 そして人間が突然消えてしまう事件が連続して発生する。毎日新報の記者 江戸川由利子(桜井浩子)もゴーカートで走っているモデルを撮影中にそのモデルが消えてしまったのを眼前で目撃。いっしょにいた助手の友田も確かに見たのに、やはり信じてもらえない。 信じてもらえない天野二等空佐と江戸川由利子の2人が万城目淳(佐原健二)を訪ねるが、万城目も半信半疑。天野といっしょに自衛隊機が消えた空域を飛んでみることにした万城目。その万城目がセスナ機を操縦中に消えてしまう。 人間消滅事件を追う江戸川由利子だが、彼女の周辺でも助手 友田と同僚の記者が消えてしまう。デスク(田島義文)は由利子の身辺警護に警視庁から腕利きの刑事を派遣してもらうが、やってきた刑事は、由利子が言うには「よぼよぼのお爺さん」の宇田川刑事(柳谷寛)だった。「2020年の挑戦」。SF的な話で、「ウルトラQ」でも屈指の傑作でしょう。姿を現したケムール人が夜間にパトカーに追われて、パトカーの前を大股で走るシーンは怪奇調ムード満点で、しかもスペシャルゲスト出演の柳谷寛さんがとても良い味を出している。この木訥なお爺さん刑事でドラマが作れるんじゃないか、と思うくらい。 冒頭の空自の要撃機がスクランブル発進するシーンは特撮ではなく実写。ロッキードのF104です。F104Jとしてライセンス生産した日本の防空邀撃戦闘機。鉛筆のような機体が特徴で、このような映像はなかなか見られない。
2016年12月01日
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