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「グローリー」(1989) GLORY
監督 エドワード・ズウィック
製作 フレディ・フィールズ
原作 リンカーン・カースティン
ピーター・バーチャード
ロバート・グールド・ショー
脚本 ケヴィン・ジャール
撮影 フレディ・フランシス
音楽 ジェームズ・ホーナー
出演 マシュー・ブロデリック、デンゼル・ワシントン、モーガン・フリーマン
ケイリー・エルウィズ、ジミー・ケネディ、アンドレ・ブラウアー
本編122分 総天然色 ビスタサイズ
南北戦争を背景にした、黒人で編成されたマサチューセッツ歩兵第52連隊の物語です。
戦争とともに南部からの逃亡奴隷の数が増え、北軍は彼らの志願を募って黒人部隊を作る。
(実際は逃亡奴隷だけでなく北部の自由黒人たちの方が多かったそうです)
その指揮官としてロバート・グールド・ショー大佐が任命され、演じるのはマシュー・ブロデリック。
初めて見たときは、どちらかといえばその童顔(お坊ちゃんタイプ)に口ひげと顎ひげが似合わない感じで部隊指揮官としては貫禄不足。年齢的にもミスキャストではないか?と思ったのですが、このショー大佐は実在人物で、実際にも25歳くらいの年齢だったとか。だとすればミスキャストとはいえないようです。
黒人兵の役でデンゼル・ワシントンとモーガン・フリーマンが出ていて、現在では両人ともアメリカ映画を代表する黒人スター俳優。この演技派2人の前ではさすがに若いマシュー・ブロデリックはかすんでしまいます。
指揮官と士官(中隊長や小隊長)は白人だが、下士官以下の兵たちはすべて黒人。しかし部隊が誕生したのに制服も軍靴も支給されない。 ショー大佐が物資担当士官を脅迫してやっと制服と靴を入手し、本格的に訓練を開始する。
厳しい訓練が続けられ、ショー大佐は、兵たちのリーダー格存在であるローリング(モーガン・フリーマン)や白人を憎むトリップ(デンゼル・ワシントン)、射撃が上手なシャーツ(ジミー・ケネディ)たちとの交流を通して、初めは反感を受けるが厚い信頼関係を築いてゆきます。
最初は後方での労働作業ばかり割り当てられていた第54連隊も、ようやく実戦に加わってその実力を認められる。
ショー大佐は、難攻不落の南軍のワグナー砦の攻撃を部隊の全滅を覚悟で志願します。
ワグナー砦を攻めるには海岸に沿って進むしかなく一個連隊しか近づけない。当然大きな損害を受けるのは必至である。 戦いの前夜、兵営で焚き火を囲んでゴスペルを歌う兵隊たち。彼らは自分の思いを語ります。「明日死ぬかも知れないが、俺たちは自由のために死ぬんだ」「俺は第54連隊が好きだ。俺には家族はいない。お前らみんなが俺の家族だ。俺は第54連隊が好きだ」「明日戦う俺たちには誇りがある。人間の誇りだ」「今まで家畜同然に扱われてきた、これは自分たちの誇り高い栄光のための戦いなのだ」と。
そして彼らは白人部隊の先頭となって海岸に築かれた南軍のワグナー砦の銃陣と砲列の前へ隊伍を整えて突撃してゆきます。
壮絶な死闘の末、ショー大佐は敵弾を受けて戦死。第54連隊は半数の死傷者を出して壊滅する。後続の白人部隊も多大な損害を出して退却し、ワグナー砦の攻略は達成できなかったという。 しかし第54連隊の勇敢な戦いは北軍に多くの黒人兵が参加するきっかけとなり、その勝利に大きく貢献したとされます。
白人の兵隊は給料が13ドルなのに黒人兵は10ドルで、被服費として3ドル天引きされて7ドルしか支給されず(どこかのブラック企業みたい)、黒人兵たちは受取りを拒否したそうです。
映画の中ではショー大佐もみんなと一緒に給与受取りを拒否し、黒人兵たちは大佐も味方だと認めるようになります。
「戦争で死ぬのは白人も黒人も同じなのに、黒人だからという理由で給与に格差があるのは納得できない」と、彼らはその後も給与受取りを拒否し続けるのですが、映画ではそこまでの描写はありません。
主演のマシュー・ブロデリックは年齢が近いショー大佐(戦死した時は26歳)をよく演じています。実戦は甘いものではないということを兵たちに厳しく教え込もうとし、それが黒人差別のように受け取られて反感を受けるのですが、やがてその厳しい訓練に耐えることで鍛えられ、激しい戦いの中で生き残れるのだということを理解されてゆく。