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「ロストワールド ジュラシック・パーク」(1997)
インジェン社の社長がハンターたちを雇って、ヘリコプターで大がかりな装備を持ってソルナ島へのり込みます。
ハンターたちがジープに分乗して恐竜たちを追い回して網や麻酔銃を使って捕獲するシーン。 これはどこかで見たようなと思ったら、ハワード・ホークス監督の「ハタリ!」(1962)でジョン・ウェインたちがトラックとジープでアフリカの野生動物を追いかけて捕獲するシーンですね。
スティーブン・スピルバーグ監督が「ハタリ!」を見ていないはずがないだろうし、ハワード・ホークス監督を尊敬していてもおかしくないでしょう。きっとホークス監督へのオマージュ的シーンなのでは?
野生動物を保護する人とハンターのように猛獣狩りの獲物として見る人との対立は、野生動物を恐竜に置き換えても成立すると思われ、この「ロストワールド ジュラシックパーク」のテーマもそういう所にあるのでは。
だからといって、捕獲されて檻に入れられた恐竜たちを主人公たちが錠を壊して逃がすのはいかがなものかと。逃がすだけならそれですんだのですが、逃げ出した恐竜がキャンプ内で暴れ回ってハンターたちを踏みつぶしたり車を破壊し大混乱におとしいれて死者が出ることになる。その結果インジェン社のハンターたちは車も機材も通信機も失うことになって、このあとの惨劇へとつながってゆく。
数学者マルカム博士(ジェフ・ゴールドブラム)とその恋人の動物学者サラ(ジュリアン・ムーア)、いっしょに島に着た2人の仲間。マルカム博士と古いつきあいがあるらしいエディ(リチャード・シフ)が崖に宙づりになったマルカムとサラを救おうと一人で奮闘するけれどティラノサウルスの夫婦に二つに食いちぎられてパクリと食われてしまう。 彼が死んだのは、サラたちが脚を骨折したティラノサウルスの仔をトレーラーに連れてきたことで親ティラノサウルスを怒らせたから。動物保護というより自己満足にすぎない身勝手で無責任な行動で仲間を死なせてしまう。その無責任行動を本人たちはまったく自覚せず反省の色もない。
このサラという女性、野生動物の行動にくわしいといいながらも、仔を連れてきたら親が取り戻そうと追ってくると考えなかったり、仔恐竜の血が付着した上着をずっと着ていて「湿気があるので乾かないの」とか呑気なことを言う。その血のニオイが親ティラノサウルスを引きつけていると気づかない馬鹿さかげん、ほんとうにアナタは動物学者なんですか?と言いたくなります。
この映画がおもしろくないのは、主人公たちが無責任でバカな奴に思えてしまって感情移入できないからです。
インジェン社の社長たちはティラノサウルスの雄親とその仔を捕獲し、貨物船でアメリカ本土のサンディエゴへ連れてくる。サンディエゴには「ジュラシック・パーク」が建設されている。
その貨物船が港に近づいてくるのだけれど速度を落とさない。貨物船でなにかが起こっている。何があったのか?桟橋に激突して停まった貨物船に乗り込んだ人たちが見た物は食いちぎられた乗組員の死体の残骸(画面には映らないけれど)。 乗組員を食って無人にしたのは船倉にいるティラノサウルスの仕業ではないですね。おそらくヴェロキラプトルが船内に侵入していたのだろうけれど、映画にはその説明がありません。それがあれば「エイリアン」のような恐ろしい場面になっただろうに。
クライマックスは大都会のサンディエゴでティラノサウルスが暴れて、車やバスが衝突したり大破して、逃げ惑う人々で街はパニックにおちいる。
大都会に連れてこられた怪獣が暴れるというのは「キング・コング」(1933)ですね。夜の大都会で恐竜が暴れるのはスピルバーグ監督が撮りたいと希望したそうです。