子ども110番の家            薬剤師パパのもの申す!

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ジェネリック医薬品って?


ジェネリック医薬品ってなあに?


【ジェネリック医薬品とは?】
医療用医薬品(お医者さんの薬)には、 同じ成分、同じ効き目で、 高い薬と
安い薬があるのをご存じですか?
高い方は、日本で最初に発売された薬(新薬)で 先発品 と呼ばれており、安
い方は、新薬の特許が切れた後に厚生労働省の承認を得て発売される薬で、
後発品 と呼ばれます。

後発品は欧米では一般名(generic name)(※成分名のこと)で処方される
ことが多いために 「ジェネリック医薬品」 とも呼ばれています。

どのような画期的発明でも、その特許が切れれば発明者の財産から国民共有
の財産になります。医薬品も同様です。
新薬は、特許を出願してから20~25年間、開発メーカーが独占的に製造
販売することができます。
しかし、その特許が切れれば、その有効成分や製法等は共有の財産になり、
ジェネリック医薬品メーカーから 同じ成分、同じ効き目の医薬品をより安価
で国民に提供できる
ようになります。

また、新薬の特許期間が満了するまでには、発売されてから長期間を経てい
ますので、その期間中の多くの使用実績や安全性の定期報告等により、その
薬は発売されてまもない新薬と比べて 効き目や安全性が十分確認されたもの
といえます。
つまり特許が切れてジェネリック医薬品が製造販売可能になる薬の成分は、
既に有効性と安全性が確認されたものなのです。

このように、ジェネリック医薬品とは、 新薬の特許期間が満了し、有効性と
安全性が確かめられたのちに売り出される医薬品
であるといえます。


【ジェネリック医薬品の開発】
新薬の開発には、10~15年の年月と150~200億円にのぼる莫大な
開発経費が必要とされ、非常にリスクの高いものとなっています。
新規物質の創製から動物での非臨床試験、そして、ヒトでの臨床試験等さま
ざまな研究開発の過程を経なければなりません。
また、承認申請の際も多くの資料提出が義務づけられています。

一方、ジェネリック医薬品の開発は、まず特許切れ新薬の市場調査等の基礎
調査から始まり、開発可能と判断された先発品について製剤化研究と言うものが行われます。
その後、製品の品質の安定性(規格及び試験方法、加速試験)と先発品との
生物学的同等性と言うものを証明する試験等を行い厚生労働省の基準をクリ
アすれば、製造承認を受けることができます。
一般に3~4年の期間と数千万円の開発経費が必要となります。
このように、ジェネリック医薬品は新薬に比べて開発費用や申請データは少
なくて済みますが、品質に関しては新薬と全く同様にさまざまな規制を遵守
し、開発、製造、販売されています。

医薬品には、品質・有効性・安全性を確保するために、薬事法によって種々
の規定が定められています。
更にこの目的達成のために、各種の実施基準、GMP、GLP、GCP、G
PMSP等も制定されており、近年そのハードルは非常に高くなってきてい
ます。
また更に、近年、ジェネリック医薬品の品質確保のために品質再評価という
ハードルが課せられました。


【ジェネリック医薬品の公共性】
1.患者さんの自己負担を軽減します
ジェネリック医薬品の薬価は、先発品の 4~8割 と定められています。
薬価とは、国で定められた医療用医薬品の公定価格です。
薬価が低いと、定率負担である患者さんの自己負担額も軽減されること
になります。

2.国の医療費の節減に貢献します
医療先進国の欧米では、医療費抑制策のひとつとしてジェネリック医薬品の
使用を促進させるような政策が各国でとられています。また、WHO(世界
保健機構)も、ジェネリック医薬品の公益性に注目しその使用促進を提唱し
ています。

現在、日本の総医療費約30兆円のうち薬剤費は約6兆円。
日本でも欧米並みにジェネリック医薬品の使用促進が図られれば、計算上で
は年間1兆円近くも薬剤費は節減できます。


【ジェネリック医薬品の日本の状況】
現在、日本のジェネリック医薬品は、以下のような理由により欧米に比べて
かなり低いシェアにとどまっています。

1.これまでの薬価制度の問題
現在の日本の薬価制度は、発売されてから長い年月が経ち特許も切れた薬
を、積極的にジェネリック医薬品に切り替えていくような制度になっていな
いため、結果としてジェネリック医薬品の使用は促進されませんでした。
しかし日本においても年々医療費は増大しており、薬価制度を含め抜本的な
医療制度の見直しが進められています。

2.代替調剤がまだ認められていない
欧米では一般的に代替調剤が認められていますが、日本ではまだ認められて
いません。
しかし、日本でも近年医薬分業が急速に進んできており、将来的には欧米同
様、代替調剤が認められると予想されます。
この制度が取り入れられれば、ジェネリック医薬品の使用は更に促進される
と考えられます。

3.ジェネリック医薬品に切り替える煩わしさ
使い慣れた新薬をジェネリック医薬品に切り替える場合、例えば、名称変更
に伴うコンピュータデータの変更や、処方する医師や薬剤師への新名称の浸
透、患者さんへの説明等、面倒な手続きが生じます。

4.品質や情報に対する不安
日本国内のジェネリック医薬品メーカーは中小企業が多く、これまでは品質
に対する漠然とした不安がありました。
また、大手新薬メーカーに比べMR(医薬情報担当者)も少なく、情報の乏
しさも問題とされていました。
しかし、最近では品質再評価により公的な品質の担保も確立されつつあり、
品質や情報に対する不安はありません。

このような逆境の中、日本においてもジェネリック医薬品の活用は医療費節
減のための重要な選択肢のひとつであると認識されつつあります。





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