架空世界の放浪者ランドの「冒険日記」

「はじめてのぷう」 ぷう著




レベルあげ。
これまでどちらかといえばのんびりとやってきたけれど、最近しばらくはこれに集中している。
HPとMPの消費効率は無視、とにかく魔物を集める。
魔物に囲まれても回避の手間をかけず、範囲魔法の連射で力押し。
時間効率を優先して粛滅を繰り返し、ポーションが切れれば街で補給し、とって返す。

このまえ、クァナトの騎士団から初めてお誘いをいただいた。
こんなあたしでもと、本当に嬉しかった。
でも、お断りしてしまった。

実際、今のあたしのレベルでは、トーナメントで戦力にならないだろう。
それに時間的に不規則なため、充分な団員活動ができない恐れがある。
でも、せっかく声をかけてくださった団長さんの好意を無にしてしまった、申し訳ないことをした。
団長さんは笑って下さっていたけれど、人から断られるということが、愉快であろうはずはない。

時間が不規則だという問題はどうしようもない。
でも、レベル上げならなんとかなる。
自分勝手な思い込み、自己満足に過ぎないかもしれないけど、今あたしに出来ることはこれしかない。

魔物粛滅のルーチン作業をひたすらに繰り返す。
つらい。
でもおかげで、ある程度、切りの良い数字までレベルをあげることができた。
まだまだ足りないけど、さすがに疲れたので、ちょっとお休みだ。

「気分転換に、テモズでも行ってみよ~」

リンセンに転送してもらう。
出たところで周りを見回す。
あっ、このまえディパ狩りで、あたしが迷惑かけたテモズの団長さんがいる。

この前のお詫びをしなくちゃ。
と、思っているうちに、

「ぷうさんですね」
「え、あ、はい」

先に声をかけられてしまった。

「このあいだは、すいませんでした。ぷうさんなかなか見かけなかったもので」
「そんな、こっちが謝らなくてはいけないのに」

恐縮の極み。

「ザコを引こうとしていたのは判ってました。ああいう言い方はなかったですね、ちょっとカリカリしていて」
「いいえ、こちらこそすいませんでした」

やっと謝ることができた。
あまり上手なお詫びとはいえないかもしれないけど。

それにしても団長さん、あたしを非難するどころか、まず自分を省みるなんて。
すごい、団長さん優しい。

しばらくお話させていただいた。
お話させていただいているうちに、あたしがPT組んだことの無い事を伝えると、

「それでは、お相手を紹介しましょう」

団員の方を紹介してくださいました。
そこまでしていただけるなんて・・・

しばらくして、戦士さん到着。

「どこに行きましょうか」
「おまかせします」
「では、ディパ狩りどうですか」
「いきなりボスで大丈夫でしょうか、この前は惨敗でした」
「魔さんがいれば、大丈夫ですよ。ディパがでたら遠くからトール撃ってください」

というわけで、出発。
それにしても初めてのPTでボス狩りなんて、うー、すごい緊張する。

あたしは自慢じゃないが、人見知りで、あがり症なのだ。
PTでどのように振舞えばよいのかも判らない。
足手まといにならなければ良いのだけれど。

狩場についた。

「ここで待っていると、ディパがでます」
「魔物を集めたらフリーズ撃つので、そばにいれば安全」

色々教えていただいたけど、緊張して頭にはいったのかどうか。
早速狩りに突入。

あたしがもっと魔物を引いてくるべきなんだろな~と思うのではあるが、実際は戦士さんにベッタリくっついて、腰ぎんちゃく状態。
範囲魔法と単体魔法の切り替えもチグハグだし、大体、ポーション補給もしばらく忘れてた。

でもPT組んでると、ソロと較べて魔物粛滅は本当に楽だし、HPの減りも少ない。
危ないと思うことがまったく無い。
戦士一枚の壁ってすごいな~。

そんなこんなのうちにディパさん登場。
他の方がゲットして、あれ?もう弓さんが範囲攻撃でボスを牽引している。

「がんばれー」

みんなが応援する。

「ザコ狩って支援しましょう」

戦士さんの指示で、こっちは周りの邪魔なザコ狩りに専念。
今回は失敗しないぞ。

周りの皆さんも支援にまわり、しばらくして決着。

「おつかれ」
「おつ~」

この間とは違う視点でディパ狩りを見ることが出来ました。
あたしが右往左往してたのは一緒かもしれないけど。

その後もしばらく狩りを続け、あたしのポーション切れで帰還。

「あの、あんなんで良かったでしょうか」
「ぷうさんの戦い方だと、ポーション切れ早いかも」
「今回青ポーション切れました。ソロだと赤切れるんですけど」
「w」

狩りのアドバイスも色々いただきました。

「どうもありがとうございました。団長さんにもよろしくお伝えください」
「はい、またいつでもどうぞ」

本当にお世話になりました。
元はといえば、あたしのミスだったのに。
みんなやさしいな。

さて、今度はまたレベルあげだ~!
目標は、まだまだ上だもの。



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