いのち


子供が殺されるというニュースを耳にする度にあの子の事を思い出す。

私の夫の従兄弟・・当時16歳・・私との初対面はご遺体だった。

「良い子ぶっててウザかった」ためにクラスメートから袋叩きにあって

畑に捨てられた。

その子は一切抵抗しなかったそうだ。


かつてあんな辛いお葬式に参列したことはない

狂ったように泣き崩れる叔母さん

棺の傍から動かず放心している叔父さん

押し寄せる報道陣

土下座する加害者の親達

そして何も出来ない私達 親族


今回の被害者はまだ4歳だそうだ。いじめではないだろうが

全裸で屋上から投げ落とされるなんて・・・。

また多くの人が悲しむのか。またあんなお葬式が行われるのか。


この世に理不尽に奪われていった命は

いったいどれほどあるのだろう。

もしその人達が生きていたらどんな人生を

描いたのだろう。


その人がいるだけで心が癒される人や、その人が手を差し伸べて救う人や

良いことばかりではないかもしれない。

でも良きにしろ悪きにしろ、その人が影響を与えたであろう小さな社会。


人の命はやはり尊いと思う

その命を奪ってしまうとこは、その人の未来の可能性も

同時に奪ってしまうことだ。


それは小さな宇宙ひとつを消してしまう程

罪深い事だと私は思う。


加害者にはどうしても

「罪を罪とも思わない事が最大の罪」

である事に気付いて欲しい。


もうすぐ姑の法事の為にこの叔母さんに会う。

会う度に私は人間の強さというものを教えられる。

苦しみを乗り越えた人特有の慈愛の笑顔に感動する。

その労わり深い言葉に、配慮の細かさに

畏敬の念すら覚えるのだ。





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