ぐりっちのいるところ

ぐりっちのいるところ

ありがとう ぐりち

Guri’s Diary

ありがとう ぐりち

ー2003.7.14.「ありがとう ぐりち」より ぐり3歳2ヶ月ー


膝の上で、ぐりが丸くなっています。 もう、息をしていません。

朝起きた時には、わたわたと起き上がろうとしてもがいていたです。 お団子を昨日ほどではないけれど口にして カゴに戻すと、自分からゆでかぼちゃをかぶりつきに行って ふたくちばかり。 コロンところがってしまうのを支えてあげると、 また一生懸命かじりついていきましたが、 どっちかというと舐めている感じ。

お昼銀行へ用を済ませにいったついでに、 注入器を買いに遠回り。 目的のものはみつからなかったものの、 溶かして飲ませるタイプの小動物用ミルクとそれ専用の哺乳ボトルがあったので、購入。 遠からず必要な気もするし・・・ 帰って、ぐりちのお昼ごはん。 手の中で親指につかまってくるチカラが、心なしか弱い。 でも、指先につけたかぼちゃをほんの少し飲み下すものの、 それ以上は前足で払いのけたので、 カゴへ。

午後2時。ゆかち帰宅。 お友だちと遊ぶ約束をしたとかで、TELをやりとりしたり 急いで宿題を済ませたり、わたわた。 お昼の様子が気になって、カゴを覗くと ぽーっと放心したように横になっている。 小さく胸が上下。 すごくすごく小さくなったカラダ。

午後3時 ゆかちを見送り、 「いってくるよ。」と声をかけて生協へ。 気持ちがせわせわして、いつのまにか涙ぐんでる自分。 胸がばくばくする。 雨あがりの道を、ダッシュで帰った。

その時見たぐりちは、大きな目を見開いて、 怖かった。 抱き上げると冷たい。 ガーゼにつつんで、 「ぐり。ぐり。・・」と呼ぶと、時おり返事をするように 首をもたげる。 急いで買ってきたばかりのミルクを作る。 哺乳瓶の乳首に針で穴をあけるのだけど、 思うようにミルクが通らない。 自分が情けなくて、涙ばかりあふれてくる。 口を開くことができないので、指にミルクの雫をとって 口を湿す。 ガーゼごと膝に置いて、掲示板にレスをつけた。 ふと、膝があったかくなった。 ガーゼに、おしっこ。 それまで見開いたまんまだった目が、こっちを見上げた。 「オシッコできたね。えらいね。 もうすぐ、お姉ちゃん(ゆかち)帰ってくるからね。」 ぐんにゃりしてたカラダにいきなりチカラがこもった。 後ろ足を上げ、手を頬にあてて毛づくろい。 しようとして、静かになった。 「大丈夫。」そう云ってるみたいだった。

30分遅れて、ゆかちが帰ってきた。 「(お友だちのうちに)TELすればよかったね。 ごめんね。」というと、 手のひらにのせて、 「生きてるみたいだね。」 そう云って、ティッシュに花束のように包み直すと、 お部屋に戻って扉をしめたです。 しばらく鼻をすする音が、廊下づたいに響いてました。

涙が、まだ止まりません。 3年と2ヶ月14日。 人間にしたら、とっくに100歳を越してるよ。 がんばったね。えらいね。

そして、ありがとう。

ー2003.7.15.「大きなクワの木の下で」よりー


今日ぐりちを土に還してきました。

ゆかちと二人でおしっこまみれだったぐりちのカラダを お湯できれいに拭いて、 お香を焚き、大好きだった『まんま』をお供えして、一晩。 静かな夜でした。 ここ数ヶ月すっかり夜も眠りハムで静かな夜だったのに、 なおさら静かで 耳をそばだてれば、あのカサコソが聞こえてきそうで、 なかなか眠れずに明かした朝。 ティッシュにくるまれ、 カラダの痛まぬよう保冷材を敷いたヨーグルトカップに眠るぐりは、 やっぱり静かで安らかで冷たく、 「ああ、ホントに行っちゃったんだ。夢じゃなかったんだ。」 ちゃんと送ってあげなければ・・・と思いました。

用事で出かけた帰り、スーパーでスプレーローズを買いました。 明るいレモンイエローとサーモンピンク。 目にした瞬間に、ぐりにぴったりだな。という気がして。 短縮授業で早めに帰ったゆかちと、自転車に乗って家を出ました。 「ぐり、自転車でお散歩するの初めてだよね~。」 というゆかちの前カゴにはぐりち。 「お引越しのトラックにうっかり(カゴごと)積まれちゃったことは あったけどね~。」 あの時は慌てたけど、ぐりもびっくりしたろうなぁ。 ピクニックでも行くみたいな、野辺送り。

その木は、日記にもよく書いたクワの木。 よく買い物にいく道すがらの公園の入り口の際に接していて 夏の始めにんまい実をつけるです。 みんなあんまり知らないけれど。 このあたりが養蚕業を営んでいたころの名残。 多分、種が鳥の糞に紛れて落ちて、芽をだしたんだろうな。 ダチョウのエルフのような枝を渡すその木の回りは、 一面のクローバー。 「ここにお願いしよう。」 草を抜いて、穴を掘り、 床材に使っていた藁を敷いた上にぐり。 そして『まんま』。これで足りるかな。食いしんぼだからなぁ・・・ と、土をかけていたら、ポトンポトンと穴の上に 赤紫の実が落ちてきたです。 よく熟したんまそうなクワ。 もう、実は終わりかけたと思ってたのに・・・・ 木が受け入れてくれたんだな。 よかったね。 ごちそういっぱいだよ。ぐりち。 盛った土に石をのせ、黄色とピンクのバラ一輪づつ。 お香も焚きたいところだけど、公園に近いから勘弁ね。 よってくるやぶ蚊をぱたぱた掃いながら、 合掌しました。 また、会いにくるよ。

帰って、小ぶりなフラワーボールにバラを生けて、 写真立てのぐりちの横に置きました。 ぽっかりと穴が空いたようで 自分のしていることの感覚も遠いのだけど、 不思議と心はしんとしていました。 これ以上望みようのないくらい、シアワセな3年間だったんだなぁ。

「またハムスター飼いたいな。」 と、ゆかち。 もういやって言うかと思ってたのに、意外。 「そだね。」 でも、すぐにはムリ。 しばらくは、ぐりとして見てしまうだろうから。 心の穴を埋めるために、飼うことはしたくない。 ぐりはぐり。 そのコは、そのコ。 それがストンと心に落ち着くまで、 どれだけかかるかはわからないけれど。

「大丈夫」だよ。ぐりち。
angel


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