
ある会社から、ある人の勤務実績の有無の確認があった。何十年か前に勤めていたということで担当者がその記録をもってきた。もちろん現在勤めている人はほとんどその顔を知っている人はいなかった。
ところが、私はその男性をよく知っている。私が採用 2 年目ぐらいのころ、その人が新人として採用された。わが社の研修のときに私は講師とてその人のグループで話をした。
勤めてしばらくして、同期の女性と結婚して採用 3 年目に、他の仕事がしたいということで仕事を辞めた。当時としては短期間でやめる人は珍しかった。新しい仕事に必要な資格をとるために通信教育をうけたり、何度も採用試験を受けたりで、 5 年ぐらいは女性が生計の中心であったと思う。その後無事に新しい仕事についたという話をきいてまもなく、新しい職場の女性と親しくなって、結局同期だった女性とは離婚したということだった。
もちろん人の生き方にかかわることだから、他人が軽々しくいうことではないが、元妻の支えがなければ夢をかなえることはできなかったのではないか、自分はしたいことをして、用がすんだらさようならなんて、「糟糠の妻は堂より下さず。」という精神に反したひどい男だと当時の若かった私たちはその人のことを非難したことを思い出した。
今になって、ほんの数年在籍しただけのわが社に問い合わせがあるということは、また福祉関係の仕事につこうとしているのだろうか、そういう人がいたことなど何年も思い出したことはなかったが、一本の電話が思い出したくない人の亡霊をよみがえらせた。
PR
カレンダー
New!
ぬぅ123さん
New!
USM1さん