★サンチャゴ巡礼日記

★サンチャゴ巡礼日記

2004年10月18日
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カテゴリ: サンチャゴ巡礼2004
一日20kmも30kmも歩くというと、「そんなの無理だ」と思う方もいるでしょう。
だいじょうぶです。
健康な人の身体はそれくらい歩けるようにできているようです。

60代の巡礼者はザラでした。
わたしが知っているなかではフランス人の67歳の女性。
彼女はわたしとほとんど同じペースで歩いていました。

60代になるとさすがに瞬発力では若者にかないません。
そのかわり、ゆっくり、じっくり歩くことは可能です。
その人も早めに宿を出て、人より遅く次の宿に到着していました。


けっこうとばしたと思っていたので、これにはまいりました。
聞けばル・ピュイから1500km歩いたそうです(一度にではなく分割したそうですが)。

人間の身体にはそれだけの能力と可能性がある。
なんとすばらしいことでしょう!


■第1日 レオン~オスピタル・デ・オルビゴ 32km  9月27日

前夜はさっそく巡礼者の盛大なイビキにろくろく眠ることができなかった。
レオンの巡礼宿では朝食が出る。
朝の冷気のなかで飲むカフェコンレチェ(ミルクコーヒー)の温かさはなににも替えがたい。

7時40分、出発。
空はこれから白みはじめる。
手がかじかむ。


サンミゲルという町でのこと。
道ばたのベンチに、「巡礼の人に」といってクッキーやあめ玉が入ったかごが置かれていた。
巡礼宿もそうだが、巡礼はこうした無償の親切に支えられている。

日が昇るとだんだん暑くなり始める。
1枚、また1枚と服を脱いでいき、昼過ぎにはTシャツになった。


初日は32km歩いた。
日程に余裕がないわたしは一日平均30kmを目標にしている。
初日としてはまあまあだろう。

初日に泊まったのはオスピタル・デ・オルビゴという町。
ここには公営・私営を含めて3つの巡礼宿がある。

わたしが直感で選んだ公営の宿は、わき道をずいぶんと歩かなければならなかった。
到着すると奥から男性がひとり出てきていう。
「だれもいないんで勝手にチェックインしたよ」

カナダ人のジョーさんといった。
「2か月前、突然カミーノ(サンチャゴ巡礼路を意味するスペイン語)に来ることを決めた。
なぜかは自分でもわからない。
来年は女房とくるよ。
日本でカミーノは有名なのかい?」

「あまり有名じゃありませんね。
パウロ・コエーリョの本を知っていますか?
日本人はその本でカミーノを知る人が多いと思います」

「知らないな。
読んでみたいから書名を教えてくれ」

いっしょに買い物に行ったり食事をしながらジョーさんと会話を続けた。
年齢も、職業も、国籍も、そして宗教も異なる。
それが「サンチャゴをめざして歩く」という共通の目的を持つというだけですぐに打ち解け、親しくなれる。
それがサンチャゴ巡礼のすばらしいところだ。

「わたしは60歳になる。
孫ができ、身体は老いてゆく。
死んだ友人がもう6人もいる。
そんななか、自分を見つめ直すため、自分を試すためにカミーノへ来たのかもしれない。
これまでは仕事、仕事のハードワークだったからね」

ジョーさんとふたりしかいない宿はしんと静まり返っている。
「本当に静かだねえ」
こうして初日の夜は更けていった。


オスピタル・デ・オルビゴ

▲ローマ時代の石橋を渡るとオスピタル・デ・オルビゴの町に入る。

(この写真を含め今年撮った写真は左ページの「巡礼アルバム3」にアップしています)





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最終更新日  2012年03月10日 18時56分16秒
コメント(6) | コメントを書く
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■コメント

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Re:初日の夜は更けてゆく■巡礼日記その3(10/18)  
けろぴ さん
あっっっ!いつの間に チョコレート!!!!!!
ずる~いっ!(のか??^^)

で、自分ちで出版してくれるの??
それはさておいて^^

一日30Km歩く。 今の私なら行けると思います。
実家から30km地点だと あのあたりだな、、と計算したら行けそうな感じがしました。
ただ、67歳のご婦人と同じペースだとは思いますが^^

地元の大学(高知大)では入学した新入生が 学校から室戸岬まで歩くというのがあります。
(私の出身大学ではありません^^ 念のため)
何キロあるのでしょう。。
ですから、歩けると思います。

私が高校生の頃 バス停で待っていたとき 隣で同じくバスを待っていた別の高校生。友人に向かって・・・
「私、きのう、あんまりバスが来ないから自転車で行ったよっ!」
私「えっっっ?????!!!!!どこの高校??」
そこから20kmはゆうにあるお勉強のできる学校の・・・
それも女の子でした(^^;)

人間ってかなり底力があるんだと思います。(田舎の者の強み??)

人とのふれあいが嬉しい巡礼ですねv
読んでいて 心がほっこり暖かくなります。

ありがとうございます^^
(2004年10月18日 21時35分22秒)

Re:初日の夜は更けてゆく■巡礼日記その3(10/18)  
いの さん
スペインの大地や空気、人々のたたずまいが伝わってきて、引き込まれますわ~
うっとり。
ただただ歩くことの爽快さも、聞いてるだけで気持ちいい♪
立って歩いてこそ、ヒトなんだね~

しかし、わたしはヘイキだけど、風邪、流行ってるね。お大事に。
ついでに季節はずれのスギ花粉まで‥‥
こっちからは逃れられず。 かゆっ!

(2004年10月19日 00時08分54秒)

Re:初日の夜は更けてゆく■巡礼日記その3(10/18)  
ピルさん お帰りなさい。風邪は大丈夫ですか?

>編集している月刊誌になにか書け

おお~~!来年は会社持ちで取材で行ったりして..。


>道ばたのベンチに、「巡礼の人に」といってクッキーやあめ玉が入ったかごが置かれていた。

いいですね~。心暖まりますね。

四国のお遍路さんを1回やってみたいと思ってたのですが、サンチャゴ巡礼路にも行きたくなってしまいました(宗教的に節操のない私^^")

風邪、今はやってますので、お大事になさってくださいね。


(2004年10月19日 08時59分04秒)

歩くことは・・・  
けろぴ さん
>歩くことがいかに心身にを爽快にするか

これって、私が毎日している散歩でもそう思います。
たった30~40分の時間ですが 気分でサッサと歩いているときなど いくらでも歩きたくなります^^
走るのとはまた感覚が違うんですよねぇ。。

雨の日は 歩けないので悲しくなります。。
傘さして歩くか?

(昨夜、、書いた後に、、何か?忘れてない?と思ってました。 チョコレートや学校まで自転車での話などしてるうちに・・・^^ゞ 私。。。面白いネタ持ちすぎですか。。^^) (2004年10月19日 10時44分22秒)

Re:初日の夜は更けてゆく■巡礼日記その3(10/18)  
そうです!
昔の日本人は、相当な粗食で、馬以上の体力(馬力?)があったようですよ~~。
身をもってのご体験、読ませていただけるのを楽しみにしておりますル。 (2004年10月19日 12時07分48秒)

★みなさんに返信  
★けろぴさん

つらいのは2~3日目です。
初日は元気ですが、翌日から筋肉痛がひどい。
それから次第に慣れて、いつの間にか40km歩けるくらいになります。

★いのさん

カゼはやっているみたいですね。
編集部はきょう2人休んでましたよ。

★miminetあきこさん

頼まれたとき、「取材費がいらなくて助かった」といわれました(^^)
サンチャゴ巡礼路には「宗教以上のなにかがある」と当のクリスチャンがいっていました。
宗教的理由ではなく、「精神的ななにものか」を求めて歩く人が欧米人にも多いような印象を受けました。
またスポーツとして、安上がりな徒歩旅行として歩く人もいるそうです。

★スギポンさん

そうなんです!
再びデスクワークに戻って思うのですが、こんなに身体を使わないのなら一日3食は多すぎますね。
江戸時代の東海道、歩いてみたかった…。
(2004年10月19日 19時59分23秒)

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