Studio Life『夏の夜の夢』観劇報告
2006年9月10日 シアターサンモールにて
主な配役
ライサンダー:山本芳樹 ハーミア:松本慎也 ディミートリアス:楢原秀佳 ヘレナ:関戸博一 パック:倉本徹 オーベロン:石飛幸治 ティターニア:林勇輔 他(Wow!チーム)
*ストーリー*
どこでもないどこか。いつでもないいつか。森の片隅で、妖精王オーベロンと女王ティターニアはケンカの真っ最中。オーベロンは妖精パックに、『浮気草』を摘んでくるよう命じる。花びらの露を瞼に落とせば、目覚めて最初に見た者にたちまち恋をしてしまうおまじないで、ティターニアの鼻を明かしてやろうという魂胆。
一方、アテネの侯爵・シーシアスの婚礼まで後4日、美しい娘・ハーミアは決断を迫られている。父の命じた婚約者・ディミートリアスと結婚するか、死刑になるか、尼になるか。ところがハーミアの愛しているのはライサンダー。愛し合う二人は駆け落ちを企て、夜の森を待ち合わせの場所に選ぶ。
ハーミアの幼馴染でディミートリアスに恋するヘレナは、ハーミアとライサンダーの駆け落ちの計画を打ち明けれられる。ハーミアに夢中でヘレナには目もくれないディミートリアスが駆け落ちのことを知れば、きっと二人を追って森へ行くはず。その彼の姿を、一目でも見られればと、ヘレナはディミートリアスにふたりの計画を明かしてしまう。
やがてめいめいの想いを胸に、森に集まる若者たち。ヘレナに辛く当たるディミートリアスと、どれほど嫌われても一途に彼を慕う彼女の様子を見ていたオーベロンは、パックに取って来させた『浮気草』でディミートリアスの心をヘレナに向けようとするが、うっかり人違いをしたパックは、道に迷って眠り込んでいるライサンダーの目に花の露を落としてしまう。ディミートリアスを探してさ迷うヘレナがライサンダーに気づき、目覚めたライサンダーはたちどころにヘレナへの恋に落ちてしまった。置いていかれて愕然とするハーミアは、ライサンダーを探して森をさ迷うが・・・。
*感想*
あまりにも有名なシェイクスピアの喜劇です。シェイクスピアの時代では、芝居をするのは男性のみだったそうで、Studio Lifeが今までシェイクスピアをやっていないっていうほうが結構意外でした。
喜劇、と言うことで、出演者全員がどこかのネジが吹っ飛んでしまっているようなはじけっぷりの舞台を拝見できました。シンプルだけど想像力を掻き立てる白いセット、70年代くらいのロック・ポップスを中心にしたナンバー。前回公演時に配布されていたチラシのキャッチコピー『シェイクスピアって楽しいんだ!』って言うのを体現しているような舞台です。
一応、公演に先立って原作を読んだんですけど(劇団が使った訳のものではないですが)、それよりも全然分かりやすかったし、面白かったです。
そして、いいなと思ったのは、国を攻められさらわれてきて、強引に結婚させられてしまうアマゾンの女王・ヒポリタが、結構繊細に描かれていること。原作を読んだ時に、『普通さらわれてきたらこんなにしれっと奥さんになりたくないだろ』と思ったので。そのヒポリタを、これまた繊細に、綺麗に作り上げていらした舟見さんは、やっぱり素敵でした。婚礼の余興に出された悲恋のお芝居に、一番敏感に反応して、己と重ね合わせ、素直になり、心を開いてシーシアスを受け入れる件は、ぴよりーぬ的に結構ポイント高かったです。
後は、男性が演じているからこその大胆な演出。女優さんだったら一瞬躊躇するんじゃないかな?って言う動きがあったりもして、綺麗なタカラヅカとか見慣れちゃってるとちょっと刺激的です。
で、キャスト的なところで行くと、『・・・この人、こんな面があるんだ・・・』って言うのが全体の印象。すっごく生真面目そうでコメディとか縁のなさそうな感じだなと勝手に思っていた松本慎也さんとか、前半の可憐な様子から、ライサンダーの心変わりをきっかけに一変、凄まじく弾けとんだ(笑)女の子になっていらっしゃいました。恋する女って、怖い(苦笑)。
それから、Wキャストのもう片方のメイン4人が、実は舞台に出てきます。サングラスしてひげつけて(苦笑)白い服着て黒子みたいな仕事してます。いや、目立ちすぎだよ、君たち。Yチームのハーミア・岩崎大さんファンの友人。今日は岩崎さんは出てないからと松本さんを見ていたらしいのですが、岩崎さんの存在に気づいたら、途端に松本さんは視界から消えたそうです(笑)。
Yチームの公演のときは、恐らくWチームの4人も同じ様に登場されるのでしょうが、・・・すっごく個人的な意見で申し訳ないんですけど、松本さんにヒゲはつけてほしくないぴよりーぬなのでした(切実)。
以前公式HP内の『チケット情報局』で関戸さん(石飛さんかも)がおっしゃてたと思うのですが、『チームによって全然違う作品になりそう』って、すごく感じました。いい意味での遊びが一杯あって、何か元気が出る舞台です。上演時間・およそ3時間。ほんとにあっという間です。終演後、あ、もう一回観たいなって思える舞台でした。