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「道すがら」 どこへ行く時も かならず通る一本道を 急ぐことなく ぼんやりと 歩いていると からだの中は ほっこりと 和んでくる ひと通りの少ない 一本道と 静けさの好きな からだは 仲のよい友達らしくて 少しずつ早まってきた 夕暮れのこと 最近さびしい音になった 風鈴のこと そして 桜のように散っていく 白いサルスベリの花のこと・・・ 一本道が とりとめもなく 語っていく風景に からだは静かに ふん、ふん・・・と頷いて ともに 夏のおわりを感じている 言葉もなく 会話もない そのふれあいに 心も ふっくらと 暖かみをおびてきて 今日の この一日を やさしく おだやかに 振り返りはじめる ↑よろしければクリックして下さい。 いつもご協力ありがとうございます。 *~*~☆~THANK YOU!!~☆~*~*
2007年08月31日
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「ひつじ雲」 窓から差し込む 陽ざしは柔らかになり 澄んだピアノの音色より 穏やかな四重奏を 聴きたくなる 部屋のなかは 友が帰ったあとのように がらん と明るく 心もとないまま 畳に寝ころがれば そのまま眠ってしまった 夕暮れの町に出かければ すでに昨日とは違う匂いの 風が吹き抜けて 街路樹の葉かげには お祭り提灯の明かりが揺れている 草むらで 少しずつ澄んでくる虫の音に 家路をたどる足も速まって ふと 思い出す ゆうべの空の入道雲 そういえば さようならをするように 遠くに浮かんでいたな、と 今日の空を見あげれば 去りゆく季節を見送って どこまでも たなびいている ひつじ雲 有元利夫「想い出を運ぶ人」 ↑よろしければクリックして下さい。 いつもご協力ありがとうございます。 *~*~☆~THANK YOU!!~☆~*~*
2007年08月27日
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「心に咲く花」 早春の 冷たい空気のなかで 微笑む 一輪の花をみて 凍てついた心に 光がともりました 光によって心はひらき 心は 花と 会話をするようになりました 花の歌に耳を澄まし 言葉につづり いつしか 心は 花そのものになっていました 花になった心に 少しずつ 人が集うようになりました 人々のよろこぶ笑顔が 光となって 水となって 花に注がれました やがて 大きくひらいた花は やわらかな笑顔をこぼし 人々に あたたかく 語りかけるようになりました 曇天の下の 雪野原のような心でした そのなかに埋もれながら じっと時を待っていた 花の種でした いま 出会いによって 心の花は咲き 灰色の雪野原は 人々の憩う 花園に 生まれ変わることができました↑よろしければクリックして下さい。 いつもご協力ありがとうございます。 *~*~☆~THANK YOU!!~☆~*~*
2007年08月22日
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「お盆」 迎え火のともる 盆の入りの夕暮れは 澄んだ空気のなかを やさしい風が 吹いてくるのです わたしたちは 懐かしさのなかに憩い ひととき はるか向こうの世界に つつまれて過ごすのです やがて 送り火を掲げる日がくると ふるさとを離れがたい 気持ちをおさえながら そっと背中を押されるように 此処にもどって来るのです たとえ離れていても いつも見守られている・・・ 迎えることで 迎えられて 送ることで 送られて わたしたちは そのことに気づくのです ともに過ごした やすらかな時は こころの糧になって また此処で一年を生きる 力となるのです ↑よろしければクリックして下さい。 いつもご協力ありがとうございます。 *~*~☆~THANK YOU!!~☆~*~*
2007年08月19日
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「身近な神秘」 何かを高く掲げるために 力はいつも 下へ向かってはたらいている 青空高く 旗をひるがえすために 手はロープを下に引っ張るし 井戸の底から 冷水を汲み上げるために 全身の力は地面に向かう 人間だって この大地に結ばれているから 生きていけるし 腰をすえて発明や創造もできる 力の仕組みは不思議だ 地球の上にはたらいている 重力は不思議だ 公園に行って樹を見上げる 太陽の光にむかって 青々と広がる梢の下では 幹が黙って 何十年も何百年も 踏ん張り続けている 下へ向かう力があるから 生きて 空高く伸びていけるのだ 叱られて子供が成長するのも きっと 頭の上に落ちてくる 痛いゲンコツのおかげなのだ↑よろしければクリックして下さい。 いつもご協力ありがとうございます。 *~*~☆~THANK YOU!!~☆~*~*
2007年08月16日
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「ある夏の夕方の物語」 ある詩集のなか 米のとぎ汁を庭木にやる 母親の姿に わたしの母の おなじ姿が思い出される 遠くセミの声がして 張りつめていた暑さも ほっと息をゆるめる 夏の日の夕方 古びたアルミの桶に 乳白色のとぎ汁を入れ 夕闇せまる庭に出た母は 背中をまるめて ぱしゃっ、ぱしゃっ・・・ 柄杓がわりの手で リズミカルに 庭木にとぎ汁を撒いていく わたしも手伝わされて ぱしゃん・・・ぱしゃん・・・ 不器用者がいやいや撒くから とぎ汁はなかなか減らなくて そのうち やぶ蚊に刺されたくるぶしが じりじり痒くなってくる あのとぎ汁の入った アルミの桶は いつのまに空になったのだろう 背中をまるめた母たちは どこへ行ってしまったのだろう 目に入るのは ホースの先から噴出す 水しぶきも爽やかに きれいな庭に水を撒く 若い母たちの まっすぐな背中ばかりで 詩集のなかの母も わたしの母も いまでは 遠い昔の母たちとなって 庭木にとぎ汁をやる 背中をまるめた姿は なつかしげに語られる 夏の夕方の物語になってしまった 遠くセミの声を聴きながら わたしは 何かを失ったような 心もとない色をしたとぎ汁を ベランダの小さな鉢へ撒いてみる 不器用な手つきと じりじり痒くなってくる くるぶしは 相変わらずで まだ物語には成りきれない わたしは 遠い母たちに見守られながら 今日もまた 夏の夕方を迎えている ↑よろしければクリックして下さい。 いつもご協力ありがとうございます。 *~*~☆~THANK YOU!!~☆~*~*
2007年08月13日
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「ロウソクの灯」 風にひるがえる プラタナス 活気あふれる大通り はじまったばかりの夏 強すぎる陽ざしに 並木の落とす影は 濃く 深く 先ほど観た映画の ラストシーン 小さなロウソクの灯が 残像となって揺れている 自分を超えた深いかなしみに 言葉にならない祈り 撮りつづけ 揺れるロウソクの炎に 最後の望み託して 逝ったひと 今日の夏の日が これほど明るいのは 彼の遺した灯火が 誰かの手で 今日も 守られているから 人から人へと手渡され 今も燃えつづけている あのロウソクの灯があるから 風にひるがえる プラタナス 活気あふれる大通り 言葉にならないほどの 深いかなしみから 希望の新芽はうまれ いのちの灯 輝く夏は まだ はじまったばかり *ご参考までに・・・ 機会がありましたらどうぞ。↓ ~映画『ノスタルジア』上映中~ ~A・タルコフスキー『ノスタルジア』~↑よろしければクリックして下さい。 いつもご協力ありがとうございます。 *~*~☆~THANK YOU!!~☆~*~*
2007年08月08日
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*以前Upしました「一本の樹」と「新しく生まれる君の詩」を今回「旅人の詩」として 再アレンジしてみました。二編つづけてどうぞ・・・。 ポピーの詩より。 ********************************* 「一本の樹によせる旅人の詩」 一. 丘の上の一本の樹が 今日もわたしに呼びかける 早くここへ還っておいでと 近くにある樹なのに とても遠くに感じられて せつない気持ちが湧いてくる わたしは旅に出ていこう あの樹のもとへ還っていくために 遠くへ遠くへと歩いていこう 二. 丘の上の一本の樹が 今日もわたしに呼びかける あなたの中にも樹があると 遠くにある樹なのに とても近くに感じられて やすらかな気持ちが湧いてくる わたしは旅をつづけよう あの樹のもとへ還っていくために 胸の内へ内へと歩いていこう 三. 丘の上の一本の樹が 今日もわたしに呼びかける いつも共に生きていると 旅路の果てにある樹なのに すでに出会いが感じられて よろこびの気持ちが湧いてくる たとえ旅は終わらなくても あの樹のもとにいだかれている世界 いのちあるかぎり歩いていこう↑よろしければクリックして下さい。 いつもご協力ありがとうございます。 *~*~☆~THANK YOU!!~☆~*~*
2007年08月06日
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「ふるさとをのぞむ旅人の詩」 一. 窓をあけて やわらかな風 心に触れるとき 思い出すよ 銀のみずうみ 風にそよぐ緑の丘 どこまでも高く青い空 それは わたし達が待ち望んでいる はるかなふるさとの風景 やわらかな日差しのなかで 悲しみも癒えたいま 旅立とう ふくらむ希望うたいながら わたし達のふるさとへ向かって 二. 心ひらいて あたたかな気持ち 胸に芽生えるとき 見えてくるよ 友の笑顔 微笑む花たち 光あふれる美しい風景 それは わたし達がいだかれている 広く深いふるさとの懐 あたたかな日差しのなかで 孤独も癒えたいま 旅をつづけよう 生かされる喜びうたいながら わたし達のふるさとへ向かって 三. 心やすらかに 全てのものと 一つになるとき 巡り会えるよ 銀のみずうみ 風にそよぐ緑の丘 どこまでも高く青い空 それは わたし達を包み込んでいる なつかしいふるさとの風景 やさしい日差しのなかで 旅の終わり迎えたいま 生きていこう 未来へ向かういのちうたいながら 光り輝くふるさとの世界で↑よろしければクリックして下さい。 いつもご協力ありがとうございます。 *~*~☆~THANK YOU!!~☆~*~*
2007年08月06日
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「夏」 銀色にひるがえる風にのって あなたがやって来たことを知った 木々の緑は 花たちは 太陽のひかりは いっせいにときめいて あなたに恋をするのです ともにある日々は あまりにも短いと知っているので みんな 自分の最もきれいな時を あなたに見てもらおうと けなげに輝き 歌うのです やがて去っていくあなたとともに 終わりをむかえるその歌を わたしはいとおしみ そっと胸にいだきます わたしたちの凛々しい恋人 夏 ともに風にひるがえる日々は 透明に燃えたって 哀しく輝きながら結晶していきます ↑よろしければクリックして下さい。 いつもご協力ありがとうございます。 *~*~☆~THANK YOU!!~☆~*~*
2007年08月02日
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