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2004年の読了本(9月)

2004年の読了本

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*9月*
「龍時01-02」野沢尚(文芸春秋)(2004.9.1読了)
2001年初夏、日韓A代表戦の前座として国立競技場でスペインU-17との親善試合。監督の抜擢で急遽選ばれたのは無名の高校生・志野リュウジ。しかし、ゴールを決めたものの試合は負け。世界との壁を厚く感じた夏だった。そして単身、スペインに渡り、現地での様々な葛藤や友情、恋、そして国籍問題などに突き当たりながらも16歳のサッカー少年らしく生きていく。これは本格的なサッカー小説だった。細かいルールやサッカーの基本もわからない私だが、リュウジの生きていく孤独感や葛藤は何となくわかる。全てを捨てて自分には帰る場所がないくらいの気持ちにならなければこの競争には勝ち残っていけないのかもしれない。たった一人、日本からやってきていろんな壁にぶち当たりながらも強く生きていくリュウジに私はエールを送りたい。
「龍時03-04」野沢尚(文芸春秋)(2004.9.2読了)
アテネ五輪代表に招集されたリュウジの最後の戦い。とても残念であるが、もうこの先は読めない。ただのサッカー小説ではなくて、現実とのシンクロが面白い作品だったのに。アテネ五輪と言ってもこれはあくまでもリュウジの世界での話。現実はこのような対戦はないが、それでもサッカーが好きな人ならばとても面白いだろう。父、母、妹、そして恋人とのプロになったリュウジのかかわりも読み物だ。実はこの前作「02-03」を読んでいない。 だからあの若きリュウジがどれほどの苦労をしてここまで成長したのかはわからない。しかし、もう誰もが彼を認め、エールを送り続けたい選手に育ったことは間違いない。
「チソン、愛してるよ。」イチソン(著)金重明(訳)(アスペクト)(2004.9.2読了)
女子大生イ・チソンを襲った交通事故。顔も体もまっ黒焦げになるほどの大火傷。しかし、奇跡は起きた…。これは小説ではない。事実だ。これほどの大事故に合いながらも奇跡的に助かった彼女。もう昔の顔には戻れない。どれだけの地獄を味わったのだろう?感想を書くとどれもがうそ臭い言葉になってしまいそうなので書きません。気になったら読んでみて自分なりに受け止めてください。
「パリで暮らしてみた いろいろ絵日記」すげさわかよ(大和書房)(2004.9.8読了)
イラストレーターのすげさわかよさんがパリ暮らしでみつけたお気に入りやおすすめスポットなどをイラストとエッセイで綴った本書。イラストがとても可愛いので読んでいても楽しくなります。フランス語のレッスンや住宅の探し方まで載っていてすぐにパリ生活に役立ちそうです。食材のパッケージの可愛さをイラストで紹介してあったり、マルシェ(朝市)へ行ったときのこと、カフェに遊園地にサーカスが来た!ことまでと~っても楽しく書かれていて気分はパリ在住です。
「みんなのたあ坊の菜根譚 今も昔も大切な100のことば」サンリオ 辻信太郎(サンリオ)(2004.9.8読了)
中国の古典を参考に書き上げた「菜根譚」。子どもにもわかりやすく人としてどう生きるべきかを説いています。当たり前のことなんだけど、いつの間にか忘れている言葉。今一度、声に出して読んでみるといいかも。私が好きなのは「笑って 笑って」笑っている瞬間は力が入らないからけんかにならない。「きもちはことばにしなきゃ伝わらない」いくら夫婦と言えども、目と目で気持ちは通じないときもあるよね。しっかりと言葉にしなきゃ!他にもいろいろあるけど、一日一回声を出して読んでみると心が顕れるよ!
「ぶたぶた日記(ダイアリー)」矢崎存美(光文社文庫)(2004.9.8読了)
見た目は可愛いピンクのぶたのぬいぐるみ。でも中年の山崎ぶたぶた。義母の代理で行くことになったカルチャースクールのエッセイ講座。ここの生徒さんたちとの交流が今回の舞台です。久々のぶたぶた。出版社が変わって登場。だけど・・・表紙が・・・ぶたぶたさんがちらり。ぶたぶたは癒しだけではないんです。見た目は可愛いけど、中身はおじさん。誰からも愛されそうなんだけど、ぶたぶたにも恐怖はある。後をつけられたり、悪意に満ちたふざけたいじめをされたり。とっても可哀想なのだ。意外とマイホームパパだったり、お茶好きなんだけど、茶渋が気になったりとかぶたぶたのプライベートも垣間見ることが出来たりして面白かったです。もっと続いてほしいな~
「天然出産」西村知美(文)西尾拓美(絵)(アスコム)(2004.9.9読了)
いわずと知れた西村知美さんの妊娠・出産・子育て奮闘記です。西尾さんとの出会いのエピソードもあります。絵は西尾さんが描いているんですよ。中々可愛い絵ですね。TVであれだけ報道されていたのだから彼女の出産までの日々は何となく皆さん知っていると思います。流産を2回も経験してやっと出来た赤ちゃん。その妊娠の喜びと今までの不妊治療などをカミングアウトしたときには誹謗中傷、叱咤激励、様々な意見が寄せられたそうです。私も含めてですが、中々赤ちゃんが出来ない人にとっては素直に喜べない他人の妊娠。でも彼女も苦労して、毎日のように祈って、やっと赤ちゃんを授かったのですから素直に「おめでとう!」といってあげたいですね。子育ては一筋縄ではいかないようで、(誰でもですが)初めての子育ては苦労の連続みたいです。特に赤ちゃんとの外出はかなり大変そうですね。でも見た目のほわ~んとした感じに似合わず中身はかなりのしっかりさんみたいなのできっといろんな困難もクリアーできるでしょうね。それから旦那さんの西尾さんはとても優しい方ですね。しっかりと彼女と赤ちゃんをサポートしているみたいですから。
「Love stories」山田詠美他(水曜社)(2004.9.15読了)
「ぼくの味」山田詠美
「誰かアイダを探して」鷺沢萠
「イヤリング」佐藤正午
「チェルノディルカ」島田雅彦
「私にも猫が飼えるかしら」谷村志穂
「ふたりの相棒」川西蘭
「クーリング・タウン」川島誠
「猫男」角田光代
8人の作家による恋愛小説アンソロジー。 この中では「私にも猫・・・」と「猫男」(偶然にも猫の字がついてる)が好きかな。
「僕の双子の妹たち」白石公子(集英社)(2004.9.21読了)
僕の双子の妹たち―これまで何度、このフレーズを心の中でつぶやいてきただろう。実のり、穂のか、僕(直毅)、そしてじいちゃん。四人の生活が始まった。両親を突然の事故でなくした僕と双子の妹たちが少しずつ、成長していく様子がとてもよかった。実のりは不倫相手といつまでも別れられないでいる。穂のかは過食症になり精神的に安定していない。僕は昔の彼女(茜)とまためぐり会ってしまった。彼女もまた大阪の彼とのことで苦悩している。そして、母の書いたエッセイが載った同人誌は中々読むことができない。父の不倫相手が事故死後一年もたって訪問してきた。彼女(葉子)もまた、父のことを完全に断ち切ることができないでいる。ここに出てくる人たちがみんな悶々と苦悩していて、それでも出口を必死に探している様子が何だか共感できたりして・・・複雑な気持ちで読みました。私には兄弟姉妹がいないけど、こんな風に双子の妹たちに心配されたりする兄もいいもんだな~この小説の中で唯一、私が好きなのはじいちゃんが作る料理。これがとてもヘルシーで美味しそうで。こういう手づくりの温かい料理を囲んで食べる家族。こういうのってとてもいいな~みんな寄り添っていろんな悩みを抱えながら生きていく、これぞ!家族の形かも。
「見えないドアと鶴の空」白石一文(光文社)(2004.9.22読了)
一言で言うととても不思議な話である。オカルト的な恋愛小説。って感じか?主人公の昂一と妻の絹子、そして絹子の親友の由香里。一応、三角関係なのだが、由香里と絹子の幼少の頃からの不思議な関係や由香里の持つ不思議な力、そして絹子もまた昂一以外の男性に惹かれていて家には中々帰ってこない。由香里の出産(未婚)を昂一が立ち会うところから物語は始まるんだけど、何だかな~Hシーンだけは妙に生っぽくてすごい。あとは上手く説明できないが、とにかくあっちの世界とこっちの世界、オカルトなのだよ。 著者は自筆のあとがきで「・・・自分が一体何のために生まれ、生きているのかそれを真剣に一緒に考えてくれるのが本当の小説だと僕は信じています。」とあるが、生と死を扱うのなら何もオカルトにしなくてもよかったのではないか?と私は思う。これは好きとキライがはっきりと分かれそうな小説でした。
「Loving children  Rediscover the connection between parent and child (別冊すてきな奥さん Develop a sense of interior beauty)」chiharu(主婦と生活社)(2004.9.25読了)
におい、たべる、ふれる、みる、きく-。あたりまえだと思っていた事を愛しく思えたら、そんな気持ちを大事に育てていけたら、親子のつながりも、より強く深いものになるはず。「つながり」をテーマに、親子の感覚を伝えます。chiharuさんの第二弾の本は子どもについての本。可愛い雑貨やインテリアも満載で、写真がとっても可愛いんです。子どもの頃の思いや記憶を呼び起こさせてくれる一冊でもあります。「TOY TOY TOY」の章ではBLYTHEやアンティークのおもちゃが紹介されています。昔のおもちゃって今見ても全く色あせていなくてすてき♪こういうおもちゃって何代も受け継いで大切に遊んでいきたいですね。
「雨の日のイルカたちは」片山恭一(文芸春秋)(2004.9.27読了)
「アンジェラスの岸辺」
「雨の日のイルカたちは」
「彼らは生き、われわれは死んでいる」
「百万語の言葉よりも」
の四編からなる。
この四編に共通するのは「生」と「死」。あの9.11のテロ事件が全編に盛り込まれていて、深い喪失感や悲しみ、そして一つ一つの物語に小さなつながりがあるという少し変わったお話です。どれもがとても静かで、慎み深いような感じですが、一番最後の「百万語の言葉よりも」は突然死した夫の 持ち物を調べていくうちに別に愛する人がいて、妻も子ども達も喪失感いっぱいになったときに、実はまだ成仏できていなかった・・・っていうちょっとオカルトが入った話。「セカチュウ」と比べるとインパクトはないが、生きていくという大変さといずれ訪れる死への恐怖は十分伝わってきたんじゃないかな。
「トリップ」角田光代(光文社)(2004.9.29読了)
女子高生、主婦、サラリーマン…同じ町に暮らす人々の危うい生活を描いた連作短編集。人物が少しずつリンクしてたりして結構面白い。同じ人物でも見る人によって違う感じにとられてたりしてね。本当の自分と外から見られている自分。人が抱く印象ってこうも違うものなんだ~しかし、角田さんの小説に出てくる人ってどうしてみんな屈折しているのかな?まあ、普通じゃないところが面白いのでもあるけどね。何って事件が起こるわけでもないけど、心理描写っていうのかな?こういうのが面白いのかも。一編ずつ微妙にずれた感じもいいね。


mitu n



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