★ 「赤い長靴」江國香織(文芸春秋)(2006.8.1読了) |
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日和子と逍三は結婚して10年。まだ子どもはいない。聞いているようで聞いていない寡黙な夫とそんな夫をみてくすくす笑う妻の日和子さん。この夫婦は幸せか?それとも危機なのか?夫婦のあり方は人それぞれだし、こんな状態でも幸福感を感じる人もいるはず。でもところどころ誰にでも当てはまるのではないだろうか?ということも出てくる。やっぱり危機なのか?幸せなのか?わからないけど。微妙な空気がたくさん流れているお話だったな。 ちなみにうちは・・・夫婦間は結構話ている方だと思う。夫も私も時として寡黙なこともあるけど。いいたいことだけは言う。とりあえず。後悔しないために。 |
★ 「福音の少年」あさのあつこ(角川書店)(2006.8.2読了) |
アパートの全焼火事で同級生の少女が、焼死体で発見された。それは、単なる事故ではなかった。真相を探り始めた2人の少年に近づく謎の存在とは? ふむ・・・また・・・ふむ・・・どう感想を書けばいいのだろうか?表紙は好きなんだけどね。おおたけ慶文さんだし。でも内容とはちょっと合わないような感じだし。青春をミステリアスに書くにしては内容が重すぎた感じだったし。これで終わりでいいのか?と疑いたくなるような終わりだったし。 何だか納得いかないんですが、きっと私の読みが足らないんだろうな。 |
★ 「つくるひと-そのくらし」赤澤かおり(編)(メディアファクトリー)(2006.8.4読了) |
「ダ・ヴィンチ」に連載されていたものづくりのお話。もちろん、雑誌連載当時も見ていたけど、あらためて一冊の本でみるとまたいいね。23人のすてきなくらしかた。ナチュラルでゆっくりとしていて、こういうのが理想っていうんだろうな~ |
★ 「雑貨(あたらしい教科書1)」岡尾美代子(プチグラパブリッシング)(2006.8.5読了) |
雑貨を知るための4つのポイントから、インテリア、キッチン、ステーショナリー、おもちゃ、ヴィンテージの5つのジャンルに分類し、スタイリストやショップオーナーなどのコメントをベースに解説した「雑貨の教科書」。 内容が濃くて面白かったです。さまざまな用途の雑貨が紹介されていて、写真もステキだし。知らなかったこともたくさんあったので、教科書みたいな解説でとても勉強になりました。 |
★ 「朝ごはんの愉しみ」内田真美(技術評論社)(2006.8.6読了) |
朝ごはんのレシピ集。ゆっくりと体を目覚めさせるための優しい朝食。実際はバタバタと時間だけがすぎていくのだが・・・高校生くらいのときは朝ごはんを食べずに菓子パンとジュースを鞄に入れて学校についてから食べていた。そんなだからよくバスや地下鉄で貧血でクラクラと倒れそうになっていたな。今はしっかりと食べる。ほとんどがシリアルかパンなんだけど、それでもヨーグルトとバナナはかかさない。目覚めの一杯は大体が紅茶。しかもストレートで飲む。本音をいうと、和の朝ごはんにあこがれる。旅館とかで出てくるようなものは家では中々作る時間がないけれど、そんなゆったりとした時間が過ごせたらきっと一日がすてきだろうな。 |
★ 「そろそろくる」中島たい子(集英社)(2006.8.7読了) |
30歳をすぎたイラストレーターの秀子は整理前のイライラ、過食、癇癪などに悩んでいた。実はそれはPMS。女性の体と心を描いた小説第二弾ってとこ!?生理前の不調はきっと女性ならば誰にでもあるのではないだろうか。それがPMSとちゃんと名前まであるなんて知らなかった主人公。 結構いろんな雑誌などにも取り上げられているんだけどな~ただ。医学的な小説ではないので、実際の対処法や改善の仕方などは具体的に述べらていない。もっと具体的に織り交ぜて主人公の調子がよくなっていく・・・っていうような話だったらよかったんだけどな。きっといろいろ参考になるし。 結局、仕事と恋とカラダと・・・全部が中途で終わっている感じがした。 |
★ 「刺繍」川本晶子(筑摩書房)(2006.8.7読了) |
もうすぐ40歳の誕生日。バツイチで子なし、しかも年下の恋人ありの私が痴呆の母と老いた父と実家で暮らし始め、しかも恋人までが同居を始める。 痴呆の母は年下の恋人に恋をした・・・微妙な関係だ。とても人事ではないような話である。自分も歳をとっていけば、親だって同じように老いていく。もし、痴呆になってしまったら・・・介護も大変だけど、この本は微妙な心の動きがやさしく表現されている。誰もが悲壮に考えそうだけど、最後までゆっくりとあたたかく、やさしさに包まれながら終わっていく。第21回太宰治賞作品だそうだ。少し注目。 |
★ 「恋はさじ加減」平安寿子(新潮社)(2006.8.8読了) |
今回読んだのは食べ物をきっかけにした6編の恋。一番最初の「野蛮人の食卓」は冒頭からええ~?って思うようなシチュエーションで始まる。大体、オードブルにヤモリ、サソリ、セミ、コオロギ・・・って・・・一体、どこの世界の食卓だ。焼き蛤を食べるためにこんなすごいオードブルを食さないといけないなんて・・・他にもポテサラの話に、たまねぎがいっぱい出てくる話に、カレーうどんに、バターライスに・・・おなかが空いていたらたまらないですな。もちろん、平さん流の小技のきいたようなこじれる恋愛模様もたっぷりと・・・中々面白かったです。 |
★ 「天使の梯子」村山由佳(集英社)(2006.8.10読了) |
「天使の卵」から10年。歩太、夏姫のその後を描く。夏姫は8歳年下の元教え子・慎一と付き合いが始まる。この10年、歩太も夏姫も春妃の呪縛と格闘し、耐えてきたんだな~やっと幸せになれる・・・って感じがした。 やっぱりいいよ~(*^。^*)こういうホロリの恋愛モノが読みたい気分だったんだよな~ |
★ 「弥勒の月」あさのあつこ(光文社)(2006.8.14読了) |
小間物問屋・遠野屋の若おかみ・りんの溺死体が見つかった。岡っ引き・伊佐治と同心・信次郎は、主人・清之介の様子に違和感を覚える。この事件の真相は?「福音の少年」よりは最後もすっきりしていて読みやすかった。 あまり、読みなれていない時代物なのに。しかし、内容の重さは相変わらず・・・この闇のような感覚がいいのかな。 |
★ 「京都おつつみ手帖」佐藤紅(光村推古書院)(2006.8.18読了) |
レトロで可愛くてコレクションしたくなるような包み紙やパッケージ、手提げ袋にかけ紙などなど。京都のおみやげが楽しくなりそうです。中には著名な方がデザインされていたり。 |
★ 「グランド・フィナーレ」阿部 和重(講談社)(2006.8.19読了) |
第132回芥川賞受賞。ロリコンが原因で家庭と仕事を失った男が主人公の話です。前回読んだ本よりは読みやすかった。豊崎由美さんは絶賛していたけど、個人的にはそれほど・・・題材が難しいわりに終わり方があまり・・・好きではない。ロリ趣味のしょぼいおっさんってのはよかったが・・・文学的に書くとこうなってしまうのかな。 |
★ 「みつける・集める・つくる ハンドメイドな暮らしの本」めぐろみよ(集英社be文庫)(2006.8.20読了) |
アトリエを自分風に手がけたんだね。すごいね。手作りのこともステキだな~と思ったが、断食とマクロビオティックの話に興味がわいたな。ちょこっとだけハンドメイドしたり、自分風にアレンジしたりは誰でもできそうなので是非まねしてみたいね。 |
★ 「ほどけるとける」大島真寿美(角川書店)(2006.8.22読了) |
高校を中退し、祖父の経営する銭湯でバイトをする美和。夢も希望も自信もない、先が見えない日々に・・・常連客たちとの交流や淡い恋などの小さなドラマが埋め込まれていく。流れに身を任せてふわふわしている美和だけど、常連客の佐紀さんやフジリネンのおじさんに影響されて日々少しずつ変化している。きっと彼女は生きる目標を見つけてもっともっと成長していくんだろうな~久しぶりにいい感じに心がほっとする本に出会いました。 個人的にはオススメ! |
★ 「檸檬のころ」豊島ミホ(幻冬舎)(2006.8.23読了) |
山に囲まれた田舎の進学校を舞台にした青春小説。少しずつ話がリンクしている連作短編といったところか。あとがきで著者は地味な人なりの青春を描きたかったとあるけど、そういう観点に目をつけるところが面白い。青春って檸檬って感じなんだろうか?遠い昔で忘れてしまったが、そんな私でもちょっとだけウキウキするような感覚に陥った小説でした。 |
★ 「そんなに読んで、どうするの?」豊崎 由美(アスペクト)(2006.8.24読了) |
豊崎さんの書評はいろんな意味でためになる。うんうん。 大体、ジャンルが幅広いし、手厳しい意見もあれば絶賛もある。 海外文学はほとんど読めていない私だけど、いつかきっとあれもこれも読んでやる~と私をやる気にさせる書評に脱帽です。 |
★ 「陽の子雨の子」豊島ミホ(講談社)(2006.8.29読了) |
中学校に通う夕陽、先生と同じ歳の24歳の幸枝と学校で出会う。幸枝の家を初めて訪ねた日、そこには押入れの中に聡という19歳の男がいた。小説は夕陽の視線と聡の視線と交互に綴られています。14歳の多感な少年の目も心が揺れるけど、15歳で家出してきて幸枝の家に居候になっている聡の目も複雑な感じ。「檸檬のころ」とはまったく違う感触で何となく寂しさが残ったような・・・しかし、違う目で見たら、幸枝は聡を監禁している・・・ってことか・・・これは犯罪!? |