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川崎市の川崎協同病院で1998年、昏睡(こんすい)状態の男性患者=当時(58)=が気管内チューブを抜かれた後に筋弛緩(しかん)剤を投与され死亡した事件で、殺人罪に問われた元主治医の被告(50)に、横浜地裁は25日、懲役3年、執行猶予5年(求刑懲役5年)の判決を言い渡した。
広瀬健二裁判長は「早すぎる治療中止。医師として許される一線を逸脱しており、責任は重い」と述べた。
終末期医療をめぐり医師の刑事責任が裁かれたのは、1995年に1審の有罪が確定した東海大「安楽死」事件以来。弁護側は即日控訴した。
川崎協同病院(川崎市川崎区)に入院中の男性患者(当時58歳)が1998年11月、筋弛緩(しかん)剤などを投与され死亡した事件で、神奈川県警捜査1課は4日、主治医だった容疑者(48)を殺人容疑で逮捕した。県警は、当時の看護記録やカルテ、看護師らの証言などから、容疑者が気管内チューブを抜いたこと(抜管)で男性患者を呼吸困難に陥らせ、最終的に筋弛緩剤を投与して死亡させたと判断した。家族へのインフォームド・コンセント(十分な説明と同意)もなかったとみている。容疑者は容疑について、「だいぶ違う」と否認しているという。
医師が医療行為を逸脱したとして殺人容疑で逮捕されるのは極めて異例。
容疑者は同月16日午後5時半ごろ、気管支ぜんそくの発作で入院中の男性患者に挿入されていた気管内チューブを抜き取ったうえ、鎮静剤、筋弛緩剤を立て続けに投与し、同日午後7時10分ごろ、筋弛緩剤の投与による呼吸筋弛緩で窒息死させた疑い。男性患者は同月2日、気管支ぜんそくの発作で同病院に運ばれ、一時は心肺停止状態に陥った。心肺蘇生(そせい)で心拍は再開したが、その後も重度の意識障害が続いていた。
これについて、容疑者は同月8日、家族に「9割9分9厘は脳死状態」と説明。抜管前、「チューブを抜くと最期になる。家族の皆さんの確認が必要」と家族の希望を確認したうえで抜管し、筋弛緩剤を投与したとしていた。その理由について、容疑者は県警の任意の事情聴取に「筋弛緩剤の投与は苦しそうな呼吸を楽にするため」「死なせることが目的でなかった」と説明していた。
しかし、県警が当時の担当看護師らから事情聴取するとともに、専門医に依頼して看護記録やカルテなどを鑑定した結果、〈1〉男性患者は入院後、自発呼吸が可能なまでに回復しており、自発呼吸をしている状態であれば脳死とはいえない〈2〉家族は、抜管や筋弛緩剤の投与でどうなるか「説明を受けていない」と話している――ことなどが判明。さらに、医師ならば抜管したまま筋弛緩剤を投与することで患者が死ぬことは当然予見できたとして殺意を認定した。
東海大病院の医師が、末期がん患者に塩化カリウムなどを注射して殺人罪に問われた事件で、横浜地裁は95年、安楽死が許容される4要件を示したが、県警は、今回のケースは「安楽死」のいずれの要件にも当たらないとしている。
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