夢のゴミ箱

夢のゴミ箱

第6話 あの夏から一番遠い場所






あのメロディーが一番輝いてた夏に 君の手を離した人波に紛れ



ただ無邪気で残酷に求めすぎた蒼さ 自由と引き換えに“何かを失った”



僕らはいつでも試されていたんだ・・・
















次の日は昼過ぎまで寝ていた。 



真夏の暑さで汗だくになりながら、携帯電話を見た。







絵里子からメールが届いていた。





『ゴメン。バイトはいっちゃって映画行けなくなっちゃった・・・。』





映画の約束をした日はお互いの都合が合う唯一の日だった。



これを逃すと彼女はまた静岡に帰ってしまい2ヶ月会えなくなる・・・。



そして、地元には彼氏がいる・・・。





『え~!!! ヤダよ!! それじゃあもう会えんの??』



『静岡に帰る日に名古屋駅まで送ってくれるなら会えるよ。』



『じゃあその日送るよ!!!』



『ダメだよ。 私とまさはただの友達同士なんだよ? そこは断らなきゃ・・・。



まさ、ただの都合のいい人になっちゃうよ?』








『・・・なんだよそれ? そんな俺を試すような事言うなよ!!』



『試すって?』







俺はメールのやり取りがわずらわしくなり、絵里子に電話をかけた。







「お前なぁ、俺の気持ちわかっとるだろ?



送ってくれるなら。なんて・・・、送りたいにきまってんじゃんか。



お前はただの友達って思ってても、俺は違うんだぞ?」








「そっか。そうだよね・・・。ごめんね。



・・・でも送ってもらうわけにはいかないよ。



うん。やっぱり映画も行けないね・・・。



やっぱり考えたんだけど、私ね、まさの事、友達以上に見れないよ・・・」











わかっていたはずなのにメチャクチャ落ち込んだ・・・。



使い古された表現が重くのしかかった。



沈んだ気持ちのまま、夜は更けていった・・・。







やっぱり俺はダメなのか・・・?



この恋はもう終わってしまうのか・・・?



俺は一人、月を眺めていた・・・。







第7話  すべて、愛だった  へ


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