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第3話「笑顔」



屋内運動場(通称:体育館)のマイクや校長の話す台などを片付けるだけだ。

ちなみに、何を隠そう俺は学級委員なのだ!・・・押し付けのはずれくじで決まった学級委員に何を求める

んで、今回は楽な仕事なんで、うちの学級委員の2人がかりだされることになった。

学級委員は一クラス男女1名ずつなので、女子と2人で作業すると言う他人から見ればうらやましそうな仕事なわけだが、

なぜだろう?気まずい。

そう、もう一人の学級委員はなんとあの桜花さんだ。いつもは、

「久瀬君、無理やりならされたのでしょ?私がやっておくから」

といって、仕事をさせてもらえないわけだが、今回ばかりはそうもいかない。なんたって力仕事だしな

「さっさと終わらせちまおう」

「そ、そうね」

会話と言えばこんな感じのみ。ああ、寂しい。

桜花さんが、さっさと仕事に取り掛かる。だが

「うー」

・・・・・

「うーん」

・・・・・

「う~ん」

いくら持ち上げようとしても、台は動かない。そんなに重いのか?

「だ、大丈夫?」

「へ、平気」

「いやいや、こっちは俺が片付けるから、マイクとかお願い」

そういって俺は台を持ち上げる。あれ?意外と軽い

「ごめんなさい」

そういって謝られる

台を奥のほうに片付けてから

「謝ることはないよ。このくらいしかできないし」

「でも、無理やりならされたのでしょ?それなら・・・」

「だからって、やらない理由にはならないよ」

それっきり彼女は黙り込んでしまった。強く言い過ぎたか?

と、思ったら、スタンドつきマイクを両手で懸命に持ち上げようとしていた。

おいおい、そりゃないだろ。それとも女の子ってみんなこうなのか?

「そ、それも俺がやるよ」

こんな感じでほとんど俺が片付けることになった。だが、特に大変なことはなかった。桜花さん非力すぎ



その帰り、校門までいっしょに帰った(というか俺が勝手についていった)とき

「今日はその、ごめんなさい。全部やらせちゃって」

心底申し訳なさそうに頭を下げる

「いやいや、そんなことないよ」

「ううん、ほとんどやらせちゃったし・・・」

桜花さん、こういうところがあるから、とっつきにくいと言うイメージがあるのかな?そこで俺は

「いいんだよ。もっと人を頼っても。いつも一人で全部やっちゃうし、全部できちゃうけど、もっと人に頼ったりしてもいいと思うよ」

しばらくの沈黙。うう、いきなりまずかったか?

そして先に口を開いたのは桜花さんだった。

「う、うん」

え?俺なんか言わなくちゃいけないのか?「うん」ってことは了承したってことだよな。てことは・・・

俺が小さい大脳をフル回転させていると

「き、今日は・・・」

「ん?うん」

う、生返事しかできん

「今日はごめんなさい。それと・・・」

言葉を区切りながら、でもはっきりと

「ありがとう」

そういうと彼女は走って行ってしまった。

それが俺の聞いた初めてのお礼の言葉と、そして、笑顔だった。


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