学力向上・勉強のコツ・学習計画など受験勉強法を教えています。

<理解の大切さ(算数編)>


   <理解してから覚えることの大切さ(算数編)>



 学習効果の高い人のひとつの特徴は、単に丸暗記ではなく、必ず
理解してから記憶することです。そうすれば長期記憶として、長く
記憶にとどめておきやすくなります。最近では人は自分に理解できる
ことを、記憶として残しやすいことがわかってきています。


 それでは具体的にどういうところを理解して記憶すればよいのか、
ここではまず算数という教科を通してみていきたいと思います。


 みなさんにも覚えがあると思います。まず小学校の算数でつまずき
やすいところは、小数の割り算ではないでしょうか。それまでの足し算、
引き算や掛け算はできても、割り算になると計算ミスが多くでてきます。
特にあまりの小数点のつけ方のミスが多いようです。


 これは筆算にすると足し算や引き算では、小数点をそろえて計算する
のですが、割り算では割る数の小数点を移動させた分だけ、割られる数の
小数点も移動させて計算することが原因しているようです。その結果、
移動させた小数点と同じ位置に、あまりの小数点をうっかりつけて
しまいます。


 例えば正解は4.7÷1.5=3あまり0.2なのですが、あやまって
3あまり2としてしまうのです。これは割る数と割られる数の小数点を
移動させて47÷15を計算したときに、あまりの小数点まで一緒に移動
させたまま、そこに小数点をつけ、あまりも一緒のように書いてしまって
います。


 つまりこれはあまりを求める時に、もとの小数点の位置にもどなければ
ならないことの意味が、正しく理解されていないからです。


 次に小学生にとって理解しにくいのは分数の割り算です。機械的に
割り算は掛け算になおして逆数をかけることはできます。しかし理解
のないまま覚えてしまっているので、少し時が経てばすぐに忘れて
しまうのです。


 それでは分数の割り算の理解はどうすればよいのでしょう。例えば
3枚のパイを4分の3ずつに分けると、何人に分けることができる
でしょうか。この場合の計算式は3÷(4分の3)になります。


 これは見方を変えて考えると、1枚のパイを4等分し、3×4=
12個のパイに切り、それを3個ずつ分ければ、12÷3=4(人)
に分けることができるのと同じことになるのです。


 つまり3÷(4分の3)=3×4÷3=3×(3分の4)で計算できる
ことになります。それで分数の割り算は割り算を掛け算になおして、逆数
をかける事になるのです。


 こういうことが理解されていないと、いつまでたってもすぐに忘れて
うっかり、計算の仕方をまちがえてしまうのです。


 次に中学受験でおなじみのつるかめ算の理解です。例えば「つると
かめが合わせて10匹いて、その足の本数を数えると合計26本でした。
はたしてかめは何匹いたでしょう。」


 この問題を解くには、まずかめが前足2本を隠して2本足でいたと
考えます。すると足の合計は2×10=20本となり、26?20=
6(本)足りなくなってしまいます。


 あれ、おかしいなと思っていたところ、ここでいっせいにかめが隠して
いた2本の足を出しました。そうすれば、それで6÷2=3(匹)のかめが
いた事がわかります。


 こういう理解がないとつるかめ算の問題がでてきても、解法を忘れて
しまい何をしてよいのか見当がつかなくなってしまいます。


 他にも例えば旅人算の場合でも同じです。同一直線上を向かい合って
走ってくる人が出会うとき、その出会うときの速さはそれぞれの速さの
和になります。


 また同一直線上を同じ方向に走っている人を追いかけるとき、その速さ
は二人の速さの差になることが、理解されていないと記憶にも残らないし、
それを使うこともできません。


 この場合、向かい合って走り出会う場合の速さは、いつもの自分の走る
速さより、相手が走っている速さの分だけ、速くなると理解します。そして
追いつく場合の速さは、いつもの自分の速さより、相手が走っている分だけ、
おそくなると理解します。


 こういった計算式の意味や文章題の理解だけでなく、正確に記憶として
残すのには、図形の問題でも同じような理解が必要です。


 例えば平行四辺形の面積の公式は、長方形の面積=たて×よこから導かれ、
底辺×高さで表せます。次に3角形の面積の公式は平行四辺形の面積の公式
から導くことができ、底辺×高さ÷2です。これらは図を描くことで容易に
導くことができます。


 また教科書にはでてこない、ひし形の面積=対角線×対角線÷2も、実は
長方形の面積の公式から導かれています。ひし形のそれぞれの対角線を、
長方形のたてと横とすると、ひし形の面積はその長方形の面積の半分に
なっているのです。これも図を書くことで容易に理解できます。


 このほか植木算のように、植木の数とその間の数の数え方が理解されて
いないと、中学受験・高校受験・大学受験によく出てくる数列の問題でも、
数の数え方があやふやになってしまいます。


 一直線上に植木をした場合、その植えられた木の数はその間の数より一本
多くなります。そして円周上に植木をした場合、その植えられた木の数と
間の数は同じになるのです。ここは正確に理解していないと、まちがい
やすいところです。


 さらに計算はできるだけ簡単に計算ができるように、いつも工夫して
計算するようにします。これは小学生では何度も教えられることです。
しかしその重要性が理解できていないと、中学・高校に進んでも、いつも
計算ミスばかりすることになってしまいます。


 例えば「半径が5センチ、2センチ、1センチの大・中・小の円の面積
の和を求めなさい。」この場合の計算式は

 5×5×3.14+2×2×3.14+1×1×3.14です。これを
最初からひとつずつ計算していたら大変です。


 この場合は分配法則の逆を使って

 (5×5+2×2+1×1)×3.14=30×3.14=94、2と
すれば、簡単に求めることができます。


 この問題が単独に出てくれば、工夫して計算する人は多いとおもいます。
しかしこれがその問題の中の一部の計算式としての位置づけであれば、
工夫せずに最初から計算してしまう人が多いのです。


 こういうことも理解して記憶することのほかに、とくに注意しなければ
ならないことだと思います。


 このように子供たちには小学校の算数から理解して覚える習慣を、
ぜひつけさせたいものです。小学生からこの習慣が身につけば、中学・
高校の数学に進んでも、同じように理解し長期に記憶することができ、
数学をマスターすることができるでしょう。


 つまり理解して覚えることが、上達者になるためのコツなのです。
これからは単なる丸暗記ではなく、理解して覚えることを意識して、
学習に取り組んでいってもらいたいと思っています。


理解してから覚えることの大切さに移動する。


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