学力向上・勉強のコツ・学習計画など受験勉強法を教えています。

<思い込むな!>



<知っているはずと思い込むな!>




「徒然草」に木登りの名人の話があります。


(原文 )------------------------------------------

高名の木登りといひし男、人を掟てて、高き木に登せて、
梢を切らせしに、いと危く見えしほどは言ふ事もなくて、
降るゝ時に、軒長ばかりに成りて、「あやまちすな。

心して降りよ」と言葉をかけ侍りしを、「かばかりに
なりては、飛び降るとも降りなん。如何にかく言ふぞ」と
申し侍りしかば、「その事に候ふ。目くるめき、
枝危きほどは、己れが恐れ侍れば、申さず。

あやまちは、安き所に成りて、必ず仕る事に候ふ」と言ふ。

あやしき下臈なれども、聖人の戒めにかなへり。鞠も、
難き所を蹴出して後、安く思へば必ず落つと侍るやらん。

(現代語訳 )---------------------------------------

木登りの名人と呼ばれている男が、弟子を高い木に
登らせて小枝を切り落としていた。弟子が危ない場所に
いる時には何も言わず、軒先まで降りてきた時に、
「怪我をしないように気をつけて降りて来い」と声をかけた。

「こんな高さなら飛び降りても平気ではないか。
なぜ今更そのようなことを言うのか?」と問わば、

「そこがポイントです。目眩がするくらい危ない枝に
立っていれば、怖くて自分で気をつけるでしょう。
だから何も言う必要はありません。事故は安全な場所で
気が緩んだ時こそ起こるのです」と答えた。

これは「テニスやバレーボールのラリーなどで、
難しい球をレシーブした後に、気が緩んで必ず
次に球を落とす。」というたとえと同じ事です。

またセットカウントをとり、「後ワンセットで勝利」と
いったときに、気が緩み相手に逆転勝ちを許してしまう
ような事も同じです。

つまり「安心して油断したときが最も危険だ。」と
いうことです。

これは記憶にも同じことが言えます。そんなことは
よく知っている、何をいまさら、という事柄は、
案外記憶から抜け出してしまう事があるものです。



<油断の実験>

ここにアメリカの白人大学生の2グループがあります。
一方のグループAは黒人を差別したり人種的偏見を
持つことに反対の人たち、もう一つのグループBは黒
人差別や人種的偏見を持った人たちのグループです。

この2つのグループに、「黒人差別反対」の内容が
書かれた短い文章を暗記させました。

つまり、Aグループにとっては、自分が持っている意見と
同じ内容の文を暗記した事になり、Bグループでは自分たちの
意見と反対の内容を持った文を暗記した事になります。

さて両グループは、今読んだ文章を思い出すように
求められましたが、結果はBグループの方が、ずっと
よく内容を覚えていました。

つまりAグループには油断があったのです。

そんな文章の内容など、自分たちはとっくに知っていて、
よくわかっている、というふうに考えてしまったわけです。

Bグループはその点ずっと慎重であり、注意深く読み、
そういった態度が、文章をよく暗記する事につながったのです。


<得意科目こそ基礎復習を!>

よく知っている、わかっていると思う気持ちが油断を生む
というのは日常生活でもよくあることです。得意科目などで
ポカをやったり、ケアレスミスをおかしたりするのも、
同じ事です。

模試などでは得意科目ほど細心に準備することが必要です。
得意科目はわかっていると思っても、基礎の勉強は手を
抜かない事が大切です。

すぐ問題集などで高度な問題にアタックしたりすると、
これが失敗のもとになります。

そこで試験の数日前に1日は得意科目の基礎復習デーを
つくり、教科書の試験範囲の基礎問題や練習問題を全部こ
なしてしまいましょう。 

やさしいところ得意な部分だからこそ「がっちりやる。」と
いう態度が実力を蓄える事になるのです。

<試験前夜には再挑戦!>

試験数日前に出題範囲をマスターし終わったからといって。
安心感を持つと「緊張」がなくなって覚えた事も忘れて
しまう事がよくあります。これは「これで終わった」の
安心感が記憶を弱めているのです。

そこで、試験前日に明日の試験科目全部に再度挑戦し、
それぞれの科目の勉強時間を区切って、その時間が来たら
出題範囲を全部カバーし終わってなくても次の科目に
移るという方法をとってみましょう。

全科目が途中でも、いやそれだからこそ、かえって記憶も
鮮明だし、睡眠時間も犠牲にしなくてすむようになります。


<夏の学習計画>に移動する。


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