”ぷろぺら”の,「一日は誰にもやっぱり一日」

”ぷろぺら”の,「一日は誰にもやっぱり一日」

子供の頃空は高く・・



そんなお金たちにもいろいろ表情があることに気付くことがある。

しわのないお札。きちんと小さくおりたたんだお札。

子供たちが、貯金箱に入れて持ってくる何回も数え直したであろう

たくさんの小銭たち。

何十分も、時には1時間もかけて品定めをして、欲しい物を買っていく

子供の姿を見るたびに、なぜかいつも物欲しそうな顔をしていた

子どもの頃の自分を思い出す・・・。





昭和43年、まだ大分市内に空港があった頃の話。

その当時はまだ発着回数も少なく、飛行場では時々模型飛行機

を飛ばす大会が開催されていた。

小学校2年生の時 「おもしろそうなことがあるぞ」

と、父に連れて行かれた俺は、その時初めて

ラジコンの飛行機が空高く飛んでいるのを見た。

けたたましい音がするので、まっすぐに天を見上げると、

小さく見える飛行機が空高く、右に左に上に下に飛んで

いるではないか。

なぜあんなものが人の手をはなれ自由自在に飛ぶのだろうか。」

不思議でしょうがなかった。

ゴム巻きの竹ひごで作った模型飛行機しか知らない自分にとっては、

ただただ、口を開け見ているだけだった。

と、そのとき、2機の飛行機が、ぶつかってまっすぐ地面に向かい

落ちて来た。

おれは走った。落ちた所めざして走った。



「はっ!はっ!はっ!」



息を切らしそこに着いてみると、

ばらばらになっているだろうと思われた機体はそうでもなく

主翼も胴体も中央の付近からぽっきり折れていただけだった。

持ち主達はしきりに話をしている。内容も分からずにそれを聞いていた

俺は、何を思ったか持ち主のおじさんに、「これなんぼするん」

と聞いていた。

おじさんは

「これか?これはなぁ10万円や!!」と言った。

1日10円あれば遊ぶには何とか不自由しなかった自分にとっての

10万円。想像がつかない金額だった。だが、そのとき俺は誓った。

「かならず10万円を貯金して、自分で作った飛行機を自分で飛ばすん

 だ!」・・と。



当時大分駅の近くに模型屋さんがあった。買いもしないのにというか

買えもしないのに模型屋さんによく通った。

ドアを開けた瞬間ににおってくる塗料のにおい。

接着剤のにおい、燃料のアルコ-ルのにおい。

おおよそ体には有害としかいえないにおい。全部好きだった。

目の前に広がるたくさんのプラモデル、UコンのKIT、ラジコンのKIT、

模型エンジン、細かいパーツたち。そして、そのすべてに話しかけてまわる

あの時間が本当に好きだった。

いつかきっとあの飛行機のKITを買ってあのエンジンを載せてあの

プロポを操作して・・・。

店の中にいる時はいつも頭の中ではエンジンの音が響き、

まっ白に赤いラインの入った飛行機は自由自在に大空を飛び回っていた。



奥の部屋で仕事をしていたおじさんは作業の手を止め店の俺を

見ていた。

多分そんな俺を「買いもしないのに又来て・・・」

と思っていたのかもしれない。

30分も見ていると、落ち着いてくる。



「さあ、帰ろう。」



けれど、現実は店の扉を開け外に出たとたんにいつも訪れる。

ポケットには10円玉が一つ。くじを引くなら2回分、おんぼろ自転車

「流星号」が1台。

「さあ!駄菓子屋に向けて出発進行!!」

思いっきりペダルをこぐ風が顔にあたる



「もっとこげ!もっとこげ!」



まだ、半分夢の中にいるもう一人の自分が声をかける。



「もっとこげ!もっとこげ!」



そう、そんな時にいつも俺のおんぼろ自転車「流星号」は

俺を乗せて空高く飛んで行く。

そしてもう一度夢の世界へ連れていってくれる。

自転車は飛ぶ。俺を乗せて自由自在に!!





それから、何十年かたったある時びっくりする映画を見た

「未知との遭遇」だ。自転車に乗り、空を飛んで行く少年達。

それはまさに何十年も前のあの時の自分の姿だった。

お金がない分、空想だけで十分に遊ぶことができたあの時代。

遊ぶことの達人だった子供たち。

もしかしたら、・・・・・  いや多分あの時の自分は

今もここにいるんじゃないかなぁ・・と思うことがよくある。

でも・・・本当のところは・・・・よくわからないんだけど・・・。


追 それで、22歳の時ラジコン飛行機のクラブに入会して

  1年ほど自分で作った飛行機を自分で飛ばしていました。

  日曜日ごとに、家庭をかえりみず飛行機を飛ばしていたんですが

  子供が生まれ子供の方がかわいくなりだんだん足が遠のきました。




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