スズランさんとお話したこと

バリアフリー住宅を建てよう!

バリアフリー住宅を建てよう!

管理人は年季の入ったリウマチ患者です。
これは私のバリアフリー住宅の記録です。
以前の自分のサイトにあったものを残しました。


2006年、5月付記

同じリウマチという病気を持つ方々へ
何かの参考になればと思うので、記録を残します。

私は年季の入ったリウマチ患者ですが、ここ数年進行はしていません。
両膝、両足首を手術すれば、改善があるかもしれないのですが、それには踏み切れず、歩くこと以外はあまり苦痛を伴わないので、ほおっています。

将来はどうなるんだろう?という不安は常にみんなにあると思います。

今の私の現状を書いておきます。

足は家の中ではキャスター付きの椅子で移動しています。
杖を付いて、多少歩くことも出来ています。
家の中では、車椅子というのはほとんど役に立たないと思います。
家の中でほとんど何もせず、介護されてご隠居暮らしが出来るなら別ですが。

車椅子は移動が大変、小回りはまったく効きません。
普通の廉価な車椅子では、膝の悪い者には立ち座りもきついです。

室内での車椅子の存在感というのは、家の中に入れてみてはじめてわかる巨大さでした。

キャスター付きの椅子は座る時に危険があると思いますが、片手で体を支えられて、もう一方の手で椅子をつかむことが出来れば、危なくはないと思います。

危ないと思うのは、どうしても椅子の高さを高い目にするので、床に物が落ちた時とか、低い位置のものを取ろうとするときです。
高い椅子から滑り落ちそうになります。
そして、このうつむいて下のものを持ち上げる動作はとても腰に負担です。

椅子からの立ち上がりは、私の場合はかなり重心を前に(頭を前に)して立つので、椅子が動いて怖いと思うことはあまりありません。

腕は全体にどこも悪いです(^_^;)
ひどく変形して使えないという場所もないけれど、どの関節もそれなりのダメージを受けています。

腕に肩や肘の障害があると、手を伸ばして触れる範囲がとても狭まります。
高さと奥行き、どちらもすごく狭くなります。
具体的には、電灯のスイッチの高さ、冷蔵庫の上段、奥、キッチンの水道のレバーに手が伸びないとかです。

つまり、車椅子で(座って移動して)腕に障害があると、自分の快適に使える空間は、机の高さの前後くらいで、自分の腕が伸びるだけの奥行きです。
その範囲に、日常の場を持ってくることになります。



2005年、9月付記

お出かけ用に車椅子を買った。
それを家の中に持ち込んでみてびっくり。
想像以上にかさばるのだ!!

家中にあふれ始めたいろんな家電、それを乗せるためのワゴン、引き出しなどが邪魔になって、動けない。
「こんなにかさばるのか…」(T_T)

これでは、この家では車椅子の生活はご隠居の暮らししか出来ない。

もしここから以下を読んでくださるのであれば

ウチの家は少しなら歩けて、キャスターつきのパソコン椅子で不自由なく安全に動けるくらいの人間が住むための家だと思ってください。
そしてそのくらいの自由度は将来もキープできるはずと思う人間の住む家です。

あらためて、車椅子で、家事もこなして生活も自由に出来るための家というのは、とても広い空間が必要なことを実感しました。
そして、それは本当に可能?なのか?
不自由になっていく段階でも可能なのか??
わからないと思いました。

車椅子のご隠居暮らしはありえても、車椅子で家事が出来る家とあまり動き回らなくても効率よく暮らせる家は両立しないと思いました。
リウマチのような進行性の病気を持って今と将来を考えるには、とても難しい問題です。

車椅子の移動の難しさ、小回りの利きにくさも充分考慮しないと…
でも、動けるうちはだだっ広い家は不便…




これは2002年の9月に完成したバリアフリーの我が家の記録です。
単に段差がないのは、当たり前の世の中になりました。

私の分類では、運動機能のバリアフリーの住宅には大きく2タイプあって

1、バランスや筋力のなさで、姿勢を保てなくなって、立ったり座ったりしているときに危険を伴ってくるタイプ。
寝転んだり、はいずったりするほうが安全な、 寝転び派

2、立っている、座っているは出来るけど、立ち座りの動作が負担になる、 転んだりするのはもってのほか派 があると思います。

リウマチは寝転ぶのは もってのほか派 だと思います。

そして、どちらのタイプも障害や症状の進行によって、 自分で動けない派 になっていくと思えます。

我が家はリウマチで膝関節が悪く、あまり自力歩行が出来ない私のバリアフリー住宅です。
設備等は、2002年当時のものです。




私は、よく考えると、けっこういろんな家に住んできました。
アパートは2回だけで、後は借家だったり、会社の持ち家だったり。
学生の時は、お金持ちさんのお屋敷(田舎者にはそう思える)に下宿しました。

さて、リウマチが悪化して、歩くことがかなり不可能になった時に住んでいた家は、私にとってはとても住みづらい家でした。

朝起きたくなくなる(起きても動けないじゃないか)、生きていくのはつらいと思うのは、この家が住みにくいから。
私がトイレひとつで泣くのは、トイレがつかいにくいから。
全てが病気のせいじゃない。
ここに手すりがあって、敷居がなくて、段差がなかったら…
私はこんなに苦戦はしない。

住みやすい家に住むことは、生きていく上で本当に大きな要素となりました。


今回、家を建てるにあたって考えたこと

まず、自分の今の現状と将来の予想。
「そのうちよくなる」可能性と「動けなくなる」可能性の両方があるということです。
私は、キャスターつきの椅子なら、大丈夫です。(危険を伴います)
今は車椅子は室内では必要ない。
夫婦二人暮し、夫は健常です。

少しでも立って歩けるなら、車椅子のスペースは、不自由な足の負担になります。
ここが最後まで、迷って決めかねた点です。

とりあえず。
限りなく動けなくなってくると、生きる上で重要なのはトイレです。
トイレの次が、お風呂、洗面所。
家の中でさえ快適ならば、外に出られるかどうかは2の次になるほど、生活はシンプルになります。

私は、車椅子からどうやってトイレに移るか、さんざん考えました。
どんなに想像しても、車椅子とトイレの便座への移動は困難な作業でしかなかったです。
同じく、浴槽への移動もですが。

自分の痛い足でやれることは、一番簡単なのが、横への移動。
お尻を滑らすだけで、移乗が出来れば最高ですが、それをするのも多少の足の踏ん張りがないとなあと思います。

次に簡単そうなのが90度の回転。
どう考えても、90度の回転無しには実際上は座れない。

進んだ方向と逆向きに座る180度の回転は、最悪に思えました。
「よくあるドアを開けて直進して便器は最悪なのね」

こう考えていくと、ベットの隣にトイレを設置するのが、最高ではないかと思いつきました。
確か向きを変えられるトイレも検索であったように思います。

水洗ですし、部屋の真ん中に便器が合ってもへっちゃらだと思います。
当時の私には、この案は決して大げさなものではありませんでした。
配管さえしてもらっておけば、いざとなった時すぐトイレが出来ます。
すばらしい!

けれど、そうなった時は、かなり寝たきりに近いライフスタイルだなあと思いました。
もう一ヶ所、一階に普通のトイレを作らなきゃいけないし。

寝たきりは一応、除外です。それはいけない(^_^;)

ということで、寝たきりは想定しない。
トイレを中心に家の間取りを考える。
そして、家の中はキャスター付きの椅子、場合によっては車椅子、場合によってはヨチヨチ歩きを考えて、家の細部で迷いに迷うこととなります。


この家の生い立ち


家は、地元の工務店に建ててもらいました。
夫が、そこの社長を気に入ったのが大きな理由です。
そこに至るまで、数社とお話はしました。

社長には彼なりの信念と美学がありました。
神経の細かいところもあります。
夫は、細かいところは私に任せてくれます。

私は、インターネット頼りに、ほとんど現物を見ずに、雑誌や本さえ見ること無しに、決めて行きました。
本当にインターネットは役に立ちました。
普通の「自分の家を建てるぞ!」的な個人のHPから、リフォームしたお家、企業のHPまで、特に企業への資料請求は楽勝でした。
この工務店もある企業への資料請求から、紹介してもらった工務店です。

これは、離れ業というか、「どうでもいいわ」という私の性格だから出来ることだと思います。
どうせ、どんなに頑張っても完璧はないだろうからと思っていました。
結局、私が新しい家を見たのは、引越しした時がはじめてということになりました。
こんなこと、ちょっとマネできないでしょ?(^_^;)

家は私の発案と社長の美学の共同作品となりました。


社長の美学と私の対決

社長はなかなか好人物でした。
が、彼には彼の美学があって、譲らない部分もあります。
それを撃退できた部分と、私が折れた部分、両方があります。

1、病人の部屋は日当たりに

そういう固定観念があるのか、日陰では世間体が悪かろうと思うのか、けっこうみんなが提案します。
私は、寝たきりは想定外としましたので、なんで日当たりがいるねんと否定しました。
何があっても、車椅子ででも、日当たりに出てくるというのが、自分のライフスタイルの予定です。
実際、具合が悪くて昼間寝てる時なら、カーテンを閉めます。
日当たりなんかいらんわいという私の主張が通りました。

その日当たりは結局、風呂場になったので、これはでも、果たしてどうだったんでしょう??

2、階段はゆるやかに

これは、どうしても彼の主張を曲げられず、私が負けました。
けれど、ここは負けてはいけないところだったと思います。(^_^;)

社長曰く「あまりゆるい階段は、普通の人にとって、逆に危険」

なので、普通の階段です。
社長曰く「バンバンに緩やか」だそうです。

3、外見はこぎれいに

ここはウチの家の最大の失敗です。
普通の家の場合、予算の関係もあって、家の外構工事は、最低なら駐車場のコンクリート貼りとアプローチの階段程度です。
家の内部は、詰めに詰めるけれど、外はやっつけ工事のようです。
ウチはそうなってしまいました(^_^;)

けれど、我が家の場合は、家の中を段差無しにした分、基礎の高さ分の段差の処理が最大の課題であったはずです。
なのに、元気なおっちゃんらは、あまりそのことは考えなかったようです。

結果として、意思疎通ができていませんでした。

外見はこぎれいにというのは社長の主張。
確かに、「こぎれい」になったのはなったのですが。
でも、こぎれいが優先するんじゃないのよお。

ですので、外回りは何の参考にもなりません。
絶対ここで気を抜かないことです。
彼らは最後の何日かで、ここの部分を仕上げてしまいます。
ウチの場合では、図面らしきものはなかったです。
彼らにとっては、 現場の仕事 ですね。

では、社長の美学が有効になったところは

まず、一階の床はツキ板仕上げにしようと主張したこと。
なぜ?と聞けば、答えてくれました。
木と合板の違い。
「触ってみなさい。暖かさが違うでしょ?」
これは眼からウロコでした。
みなさん、どうぞ、身の回りのもので、確認してみてください。
木で出来たものと、合板で出来たものの違い歴然です。

社長の選んだものはけっこう高くて、私の選んだものは安物です。
「なんや、安もんでええんかい」と何度言われたことか。
知らないうちに、彼の美意識に合うものになっていた部分も多いです。

ちなみに、ウチの家の照明で、一番値段が高いのは、階段の照明。
彼が既にストックしてあった廃番商品です。
「こんなのいらん」といったら泣かれました。
まあ、許してやりました(^^)
さすがに高い照明は風格があって、電気をつけるとほれぼれします。
が、私は首が痛く、あまり上を見上げられません。
後は全部私が選んだ安物です。

余談ですが、照明でも、いろんな設備や部材でも、工業製品はけっこう正確に価格と比例した見た目を持ち合わせているようです。
カタログでは、みんなきれいに写っていて、安いものでもそれなりにきれいに見えます。
違いがわかりにくいのです。
が、目で実物を見ると、如実に「私は安いよ~~」という見た目です。


家を建てるって

どこの工務店にも当てはまるかどうかはわかりませんが、見積もりを出す段階はとても重要です。
私は、その時はその重要性に気付きませんでした。

その見積もり時の工事内容が、実際の家の出来上がりと金額に大きく生きてくるのです。
見積もりを出すのは、割合早い段階です。

こちらはアバウトのつもりです。
あちらもアバウトなのですが、あちらのアバウトには実際に家を完成することが可能なプロのどんぶり勘定です。
何も変更しなければ、そのままあちらのお任せで家が建つわけです。

ここが、私にはまだよくわからないところですが、
見積もりを出した以降の変更は、工事費用の追加にはなっても減額にはほとんどならない ということです。

夫曰く「向こうは、これだけの工事金額は死守する心積もりなんだから、通用しないよ」
う~ん、この理屈を理解するのはむずかしいぞ。

なので、私にとっては、融通がきかないもんだなあ、やりくりが出来ないんだなあという感想です。

これがウチの家です (鉛筆書きが思い切りいい加減ですが)家の見取り図です
高断熱、高気密の家です。
確かに冬は暖かいです。朝10度以下にはなりません。(暖かい地方に住んでいます)

玄関ドア内の室内部分には段差はありません。
少し引き戸のレールの飛び出しはあります。

断熱仕様なので、一階はほぼ全部がつながっていて、2階の階段と一部吹き抜けとで開放的な空間(暖房効率の悪い空間)になっています。
これにはちゃんと理由があって、大声を上げれば、家の中に響き渡るようにという配慮です。
が、唯一のドアが、2階の夫の部屋にあって、これをパタンと〆ると…
呼べど、叫べどに近い状態になってしまいます。

2階は暖房が上がって、階段周辺はとても暖かいそうです。
洗濯物はここに干すとよく乾くそうです。(夫談)

この家の特徴は、トイレと台所の動線が2方向に確保されているということです。
これはとても便利です。
どうしても、元気な人のじゃまになる狭いところで、元気な人は反対から回りこんでくれます。
キャスターの椅子は、直進は得意です。
後ろに下がったり、横に動くのは、不得意です。
遠回りでも一周する動きのほうがスムーズです。

水周りは自分のベットから直線上に並べました。
部分部分の壁や、洗濯機、手洗い器、洗面台、たんす、椅子などが、手すりの補助になっています。
台所と水周りは最短距離で移動できることを大切に考えました。




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