『福島の歴史物語」

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2012.03.21
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カテゴリ: 安積親王と葛城王


 安積親王という名に気がついてからこの作品に取り組んでみて、はじめて安積親王と葛城王との関係を知りました。葛城王は、のちに橘諸兄と名を変えますから、同一人物です。その上、安積という地名と郡山に伝わる采女伝説のなかの葛城王(橘諸兄)が、安積親王と深く関連する事実に驚かされました。

郡山で葛城王と言えば、『安積山 影さへ見ゆる 山の井の 浅き心を 我が思はなくに』の歌が有名です。この小説は、私なりのこの歌の解釈が主題となりました。その結論は本文中に載せましたが、これはあくまでも推論であって、これが正しいとは主張しておりません。私見ということでご覧頂ければ幸いです。

これを書いていてさらに驚かされたことは、時代は下がるのですが、橘為仲の存在でした。彼が詠んだ歌、『陸奥の芳賀の芝原春くれば吹く風 いとどかほる山里』もまた、安積と微妙に関係していたのです。そこで郡山市や奥羽大学図書館で橘為仲に関係する書籍にあたりインターネットで調べましたが、何ら進展することがありませんでした。

 橘為仲の話は、表題の『安積親王と葛城王』の付録のようなものとして書き綴ったのですが、むしろその調査は困難を極めました。苦しんだ末、思い切って私は自分のブログ『福島の歴史物語』に情報提供依頼のコメントを載せたのです。そして約三ヶ月、いささか諦めかけたころ、岩手県の白戸明氏よりブログ上に反応があったのです。

 白戸氏は実に真摯に対応してくださっていました。国会図書館や岩手県立図書館に足を運び、月刊誌の『国語と国文学』『和歌文学研究』など私が知り得なかった文書を見つけ出して教えてくれたのです。結論から言えば、氏もまた『陸奥の芳賀の・・』の歌を見つけることは出来ませんでしたが、将来に望みをつなげる内容の文書を送ってくださったのです。その内容につきましては、『橘為仲』の稿にその要点を引用しましたが、実は白戸氏に助けられたのはこれが二度目でした。

 最初は2006年に忠臣蔵の前後を書いた『大義の名分』を出版した直後でしたが、それは赤穂浪士・小野寺十内の養女の行動についてでした。一度ならず二度までもお世話になったことを、この場をお借りして心よりお礼を申し上げます。

 なお2012年3月、『安積親王と葛城王』のタイトルで『北からの蒙古襲来』と『戒石銘』の3話で出版の準備に入りました。実はこの本は昨年中に出版の予定で校正も済み、表紙の選定中に2011年3月11日の東日本大震災と東京電力福島第一原発事故が発生したのです。我が家も半壊となり、家の前の道路も大きく壊れ、今なお片側通行の状態です。私は「このような大事件の中で出版でもあるまい」と思い、出版を中止したのです。しかしその後が大変でした。

 ハワイ・ホノルル福島県人会が義援金の募金活動を開始し、4月には集まった義援金を持って前会長のロイ・トミナガさんが来福、佐藤雄平福島県知事に贈呈するとともにアロハ・イニシャティブの活動が発表されたのです。

アロハ・イニシャティブはこの大災害に対応してハワイ・マウイ郡副郡長のキース・レーガン氏を中心に立ち上げられたもので、この自然災害と人災とも言える放射線量に追われた避難民のうちの子どもたち約100人を全額ハワイ側で負担して最長3ヶ月の期間を招待、ちょっとの間でも心を癒してもらいたいという趣旨の運動でした。

そこで福島市に住むホノルル福島県人会会員のマリアン・森口を中心にこの趣旨に沿ってマスコミなどの協力を得、参加者の選定を終えて成田を出発したのが7月、これに私も同行しました。

 ホノルル空港にはハワイ州知事をはじめホノルル市長、マウイ郡長、キース副郡長、それに日本大使も顔を出し、多くのボランテアとホストファミリーの大歓迎を受けました。そしてハワイ滞在中も、多くのイベントなどで楽しませて楽しませてくれたのです。その上11月、ホノルル福島県人会会長のジェームス・サトウさんが2度目の義援金を持参して来福、松本友作副知事に手渡しました。

 そして今年の3月2~4日、ホノルル・フェステバルが開かれるのを機に、ホノルル福島県人会も「福島への旅」をテーマにブースを出すことになりました。この度重なる善意に対し、お礼の意味を込めて渡布することにしました。

 このようなことがありましたので、今までに出版された話をブログに上げてきましたが今度ばかりはそうはいかなくなりました。ブログの方が先になったのです。

いずれ出版されましたら、カテゴリー『いろいろのこと』に販売書店名を載せたいと思います。そのときは、よろしくお願いします。




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最終更新日  2012.03.21 07:31:05
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