『福島の歴史物語」

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2024.04.20
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カテゴリ: 鉄道のものがたり


 前回までお知らせしたように、福島県でも国鉄、および私鉄でも、多くの路線が建設されました。しかし計画されながらも作られなかったり、また一時期運行されながら廃止されてしまった鉄道もありました。そのような路線のひとつに、大寺専用鉄道がありました。大寺専用鉄道は、いまの会津若松市河東町八田字大林に、猪苗代第二発電所建設のための資材輸送用の専用軌道として、磐越西線磐梯町駅と猪苗代第二発電所の間に敷設されたものです。しかし大正7年、猪苗代第二発電所の完成とともに一旦撤去されたのですが、その後、会津若松市河東町八田高塚乙の猪苗代第三発電所の建設に伴い、大寺駅と猪苗代第三発電所間に再び敷設されました。この専用軌道の途中、猪苗代第二発電所付近で軌道がスイッチバック方式となっていました。しかし大正十五年の猪苗代第三発電所完成後には撤去されています。

 もうひとつは、広田専用軌道でした。広田専用軌道は、喜多方市塩川町金橋に、猪苗代第四発電所建設のための専用軌道でした。資材輸送用のもので、磐越西線広田駅より猪苗代第四発電所の間に敷設されました。大正15年の猪苗代第四発電所完成後にこの専用軌道は撤去されましたが、日橋川橋梁は道路橋に転用されて、『切立橋』として現存しています。

 乗用の軌道としては、常葉軌道株式会社がありました。これは平郡西線新設の計画では、常葉町七日市場地区に駅が設けられ、同町関本地区を経由して大越駅に抜ける予定であったのですが、鉄道敷設に反対の声が上がったのです。それは常葉町から物資の輸送をしていた馬車組合と農地の解放を渋る農民たちによるものでした。また、政治的な感情も鉄道敷設問題に影響を与えました。当時、憲政会と立憲政友会の対立が強まりつつあったのですが、常葉町民は明治初期に当地の戸長を歴任した河野広中を絶対的に支持しており、河野が所属する憲政会の勢力が強い地域であったのです。そこで憲政会を支持する町民は、この鉄道敷設計画は憲政会と対立する立憲政友会の西園寺公望を総理とする政府の計画であるとして反対運動を展開した結果、計画は変更となり常葉町を避けて敷設されたのです。

 常葉町の町民は、平郡西線の開業後に鉄道の利便性と重要性に気がつき、町から最短距離にある船引町今泉地区に町名を冠した駅の設置を請願したのです。その際に駅敷地を町民の寄付によって提供することを条件とし、大正10年になって開業しました。ところが常葉町の中心から磐城常葉駅までは距離があり、むしろ船引駅へ出るほうが容易であったため、常葉町民はこの駅の設置後も利便性を享受できず、町民有志による常葉軌道株式会社を設立し、磐城常葉駅より常葉町を経由し、常磐線双葉駅への接続を計画したと言われます。ところが常葉軌道は常葉町まで軌道敷が竣工し、列車の試運転を行って開業寸前だった昭和8年に、負債過多から解散してしまったのです。この歴史を語る記念碑が、いまも磐越東線の磐城常葉駅前に建立されています。

 大正11年、小出〜柳津〜只見〜古町線が建設されることになりました。しかし大正12年の関東大震災によって全ての鉄道計画が止まり、そのあおりで中止となってしまいました。そのとき計画された路線は、只見駅から古町駅までの13駅で、只見・楢戸・会津福井・会津長浜・会津亀岡・明和・梁取・和泉田・界(さかい)・鴇巣(とうのす)・会津山口・木伏(きぶし)・会津古町でした。会津古町駅は旧伊南村に属していましたが、町村合併により、現在は南会津町古町となります。ここには、古町温泉があったため、ここへの運行が目的とされたものです。

 さて、私は知らなかったのですが、郡山に市内電車の計画がありました。2021年12月に発刊された『明治開拓村の歴史〜福島県安積郡桑野村・安積開拓研究会・矢部洋三氏』の著書より借用させて頂きます。
        『幻の市街電車 矢部洋三
 大正十三年の市制施行に向けた「大郡山構想」の中で、市街電車を敷設する計画があった。市内最大企業である郡山電気(橋本万右衛門社長)が事業主体となって郡山駅を起点にして桑野村開成山を経由して郡山市街を循環して駅に戻る十五・七キロメールの市内電車であった。大正八年から計画され、大正十二年に発起人代表の橋本が郡山町会の承認を受け、福島県を通じて鉄道省・内務省に敷設許可を申請した。そして大正十四年に計画案への許可が、昭和二年には施行許可も下りた。しかし昭和五年敷設許可が失効して幻となってしまった。その理由は、
① 敷設時期の昭和初期が金融恐慌、昭和大恐慌という最悪の経済状況であった
 こと、
② 郡山電気が茨城電力との合併によって東部電力となり、本社を東京に移された
 こと。
③ 敷設の中心人物である橋本が安積疎水疑獄事件で失脚してしまったことであっ
 た。

 なお桑野村は、大正14年6月1日に郡山と合併し、郡山は市に昇格しました。大正13年の市街電車の計画案は、これと関係があったのかも知れません。またこの計画が、郡山電気が主体となって進められたのは、自己の発電する電力の、有効利用を考えたとも思われます。

 この他にも、県内の鉄道の中には、各地域で多くの支持を得ながらも日の目を見ない鉄道がありました。それは日中線の先の米沢までであり、完成すれば野州・岩代・羽州を結ぶ野岩羽線となるはずでした。もうひとつの路線は、川俣線で、東北本線松川駅より岩代川俣駅まで開通したのですが、常磐線の浪江まで延伸する予定が中座してしまったものです。さらに計画されたものの未成となった線には、福島〜丸森〜相馬間の福相線、須賀川〜長沼の線、平〜小名浜の線、川俣〜津島の線などがありました。しかし、もしこれらの線は出来たとしても、昭和40年の国鉄民営化に伴う赤字線として、廃線となっていたかも知れません。ところが新幹線にも未成線があったのです。それは福島〜山形〜秋田を結ぶはずの奥羽新幹線です。現在ここは、ミニ新幹線として山形までは整備されましたが、未だ秋田までは通じていないのです。





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最終更新日  2024.04.20 07:00:13
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