さて、私は知らなかったのですが、郡山に市内電車の計画がありました。2021年12月に発刊された『明治開拓村の歴史〜福島県安積郡桑野村・安積開拓研究会・矢部洋三氏』の著書より借用させて頂きます。 『幻の市街電車 矢部洋三 大正十三年の市制施行に向けた「大郡山構想」の中で、市街電車を敷設する計画があった。市内最大企業である郡山電気(橋本万右衛門社長)が事業主体となって郡山駅を起点にして桑野村開成山を経由して郡山市街を循環して駅に戻る十五・七キロメールの市内電車であった。大正八年から計画され、大正十二年に発起人代表の橋本が郡山町会の承認を受け、福島県を通じて鉄道省・内務省に敷設許可を申請した。そして大正十四年に計画案への許可が、昭和二年には施行許可も下りた。しかし昭和五年敷設許可が失効して幻となってしまった。その理由は、 ① 敷設時期の昭和初期が金融恐慌、昭和大恐慌という最悪の経済状況であった こと、 ② 郡山電気が茨城電力との合併によって東部電力となり、本社を東京に移された こと。 ③ 敷設の中心人物である橋本が安積疎水疑獄事件で失脚してしまったことであっ た。