12:LA編・悪夢5~欠乏~

12:LA編・悪夢5~欠乏~



俺は逃げた。
ひたすらアクセルを踏み続けて。

この逃げている今現在、数分前まで自分がいた所で
あの黒人は殺されているかもしれないのだ。
うまく逃げられたから良かったものの、
巻き込まれれば俺まで殺されたかもしれないという、
現実的な恐怖が考えれば考える程俺を包む。

「死」を身近に感じた瞬間。

体中から汗が吹き出た。
助かったのだ・・・


こうして、精神的に回復した俺は安全運転で帰る事にして、
来た道を戻れば帰れるはずだから~道をひたすら直進する。


そして走る事1時間・・・・

なぜかいつまでたっても道はルート5からルート405にならない・・・
ずっ~とルート5のままなのである・・・・


・・・・おかしいぞ~



しかも、しかもだ、驚いた事に
ガソリンの残量がかなり少ない事に気がついたのだ!!

この調子だとなんとかサンタモニカに辿り着けるかな~?位である。
出来る事なら、
もう二度と夜のガソリンスタンドには行きたくはない。
なんでわざわざ自分から命の危険を冒さなければならないのだ。



それでもしかし~
今日の経験的に
またもや道を間違えている可能性が特大なのである。
怒るでしかし。


やばいんじゃないのー
もう他人事のようだ。

さすがにもう歌う元気はこの時はなかった。
ドライブを楽しむ体力も余裕もなかった。
スピードを落とし、通り過ぎていく道路標示を注意して見るのに必死だったのだ。



時間は確か夜の11時すぎ、周りはデンジャラス極まりない世界。
おまけにガソリンが残り少ないというどうしようもない現実が目の前にあるのだ。



このまま進む場合、選択肢は限られている。
1.ガソリンがなくなるまでに、サンタモニカに辿り付く!

無理ならば・・・
2.ガソリンがなくなる前に高速を降りて、車の中で朝を待ち、
日の出とともにガソリンスタンドを探す→車の周りを囲まれたら終わり?

3.ガソリンがなくなる前に高速を降りて、ガソリンスタンドに寄り補給。
気をとりなおしてサンタモニカを目指す→しかしガソリンスタンドには絶対に行きたくないのである。

もはや安全運転などしている場合ではない。スピードは出せば出す程、燃費はいいのだ。
またもやアクセルべた踏みでガンガン直進する。

そして走る事更に一時間程であろうか。やっと「LOS ANGELS」の標識発見!!


俺は生きて帰れるぞ!!


さらに直進!!どこまで進めばいいんだ~

周りの景色もだんだん都会になってきた!!
いい感じだ!!しかしガソリンはあとわずか!!
よ~し賭けだ!!車がガス欠で止まるのが先か、サンタモニカに辿りつくのが先か!!

その時である!









左手にどうみてもディズニーランドの様な建造物群が見えてきたのである。
きれいだな~と喜んでいる場合じゃない。



ディズニーランドは
確か、サンタモニカのはるか東にあるのだ。




つまり、ここはサンタモニカからかなり離れているという事なのだ・・・

選択肢の1が、はい消えた。



ガソリンスタンド寄りますか?

はい・いいえ、どっち?



---→いやだ~!と叫びながら逃げだしたい気分だった。


つづく



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