本心

本心

おばあちゃんの俳句


「病む人に 心残して 春の旅」
「孫の婚 揃いて秋の 軽井沢」 

「大根蒔き 終えて安堵の 長湯かな」   
この句は畑しごとが好きだったおばあちゃんの生活をそのまま写し取っていて、自分が畑を受け継いで見て初めてわかった「農作業の充実感」の伝わる句です。
(byおばさん....ずっと同居で、介護をしていたおばさんからのコメント。2006年1月享年92歳)

大好きなおばあちゃんが亡くなりました。
2番目の句が大好きです。
私はなぜこんなにも、おばあちゃんのことが好きなんだろうと思います。
子供の頃から、お盆とお正月に母の田舎へ帰って、年に2度会うだけの人。
何か特別なことをしたわけでもなく、関わった訳でもない。
ただ、ひたすらうれしかったことは、田舎に帰ったときには必ず、おばあちゃんのとなりで寝たこと。

おばあちゃんは、感謝する人。
おばあちゃんは、農作業する人。
おばあちゃんは、先に逝ったおじいちゃんが残してくれた田畑を大事にする人。
おばあちゃんは、ずっとそこにいる人。
おばあちゃんは、なんにもしてこない人。
おばあちゃんは、なんにも教えない人。
おばあちゃんは、見返りを期待しない人。

おばあちゃんの身体がなくなって、私に残したモノは、「愛」そのものだった。
おばあちゃんの「生」は、永遠に残る愛のギフトだったなんて、知らなかった。

人はそれぞれ、必ずこんな出会いがあるんだと思った。
こんな出会いが実現できたのは、たくさんの人がいたから。

ある人にとっては、苦い存在だとしても、
ある人にとっては、大切な存在になる。

それはどこで、誰が誰と、いつ、何で、なぜ、どんなふうに起こるのかは、
誰にも解らない。

初めてです。感慨無量。


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