真夜中は純潔

真夜中は純潔

真夜中は純潔

01 真夜中は純潔
02 シドと白昼夢
03 愛妻家の朝食



真夜中は純潔

洗い立ての黒い髪が馨って
今にも飛んで行きそう
カシス色に染まった爪
潤んだ二人の粘膜みたい
悪いけれど葡萄酒ならば
自分の口唇ダイレクトで
グラスよりも其の御口に
注いで載きたいのだもの

「始めませふ安易な位置づけ
属隷の興行
簡単な選択
わたしは今夜 唯 攻められたひ」

類稀に理由もなく
平伏すだけの場合が有るの
近い様でも他人で在る
それ以外何も無い寂しさ

「辱めて小粋な言葉で匂はす首
 強引な仕草で捩ぢ伏せて
 増歪懸けたら
 揺蕩ゆ布
 簡単な選択
 わたしは只現在あなたが依々」

蜷色に埋もれども
雑じり気なき身

「辱めて小粋な言葉で匂はす首
 強引な仕草で捩ぢ伏せて
 増歪懸けたら
 揺蕩ゆ布
 簡単な選択
 わたしは只現在あなたが依々」


シドと白昼夢

昔 描いた夢で あたしは別の人間で
ジャニス・イアンを自らと思い込んでいた
現実には本物が居ると理解っていた

此処の所描く夢の あたしはあたしだから
欲望も何も区別がつかなくなっていた
現実でもほとんど不確かだ

あなたの髪を切らなきゃ
真っ黒な其の眼があたしの眼に光を射てば呼吸が出来る
いまは還らない影など全く厭だけど
あなたには殺されても良いわ

手錠をされたままであたしに跪いた
独り切りじゃ泣いてばかりになる為
誰かにそっと寄り掛かるのであろう

あなたはあたしじゃなくちゃ
真っ白なほっぺたに透き通る小さな雨垂れを落としてしまう
でも泣かないで 今すぐ鍵を開けてあげる
あなたには全て許しちゃうわ


愛妻家の朝食

昼過ぎに珍しくテレビをちょっとだけ観たわ
果物が煙草の害を少し防ぐと言うの
それですぐこの間のお店へ買いに急いだわ
御出掛けになるのなら必ず召し上がってね

貴方はきっと外では違う顔なのでしょう?
だから此の手は其の疲れを癒す為だけに在るの

今朝の様にお帰りが酷く遅い日も屡々
明け方の孤独にはピアノで舞踏曲を

貴方はそっと指先で髪を撫でるでしょう?
だからいま黒く揺蕩うまま伸ばす理由は只ひとつ

処でこんな情景をどう思われますか?
差し詰め勝手気儘な嘘を云いました
態とらしい空の色も全部疎ましくて
だから右手に強く握る光など既に見えない・・・

「もう何も要りません。」





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