PR
Keyword Search
Calendar
Comments
Freepage List
だいぶ前のことになりますが、国立ひたちなか海浜公園というところに、夫とりんと私とで行ってきました。
5月でしたか、ネモフィラという花が満開で、それはそれは美しく、溜息がでるほどでした。
見晴らしの丘と名付けられた丘一面、ネモフィラの水色で埋め尽くされていました。
かなり有名らしく、ネモフィラ目当ての人たちでいっぱいでした。
丘というくらいですから、頂上までけっこうあって、日頃、運動不足の私は、すぐにばててしまいました・・・
疲れたから、昼食にしようとしましたが、人気の丘ですから、席が空いていません。
執念でやっととれたベンチに座ることができたころには、目の下にくまができたのではないかと思うほど、わたしだけ、ぐったり。
体力のなさに、虚しさを感じつつ・・・
私とりんが並んですわり、向かいの席は夫と荷物。
夫は、名物のなんとかベーコン焼きというものを買いに、果てしない長蛇の列に加わりだしました。
夫のぶんの席に他の荷物を置き、いつ戻るかわからない夫を2人で待っていました。
すると、夫が座っていないから、空いてるのかと思った人たちが、何人もやってきて、「ここ空いてますか」と。
私は、「いえ、今来ます」
この会話が何度も何度も繰り返され、私の声のトーンもだんだん低くなった頃のことです。
一人のおじいさん(70歳くらい)が、だまって、向かいの席に座ってしまったのです。
私はいい加減疲れきってしまったときですから、「そこ、来るんですけど!」とちょっと強い口調で、言ってしまったんです。
すると、奥さんらしき人が、「あ、すいませんね。お父さん行こう」と、おじいさんをうながして、去っていきました。
やっと、夫がベーコン焼きを持って戻ってきて、やっと、昼食です。ベーコンと、おべんとうのおいしさに、「疲れも吹っ飛ぶわ~!」なんて、上機嫌の私たちとは、対照的に、りんの元気がありません。
おべんとうもそこそこに、「さっきのおじいさんたち、ちゃんと座れたかみて来る。」と言って、探しにいってしまいました。
「芝生のところにお尻ついて、座ってたよ」と言いながら、帰ってきました。
「若い人なら大丈夫かもしれないけど、りんは、年取ってるおじいさんとか、心配なんだ」
そして、「どうして、おじいさんたちのこと、座らせてあげなかったの!」と、怒られてしまいました。
「だって、お昼は、自分たち、家族だけで食べようよ。」と答えました。これは、私の本音でした。
りんは「別におじいさんたちといっしょだってよかったよ。おじいさんたちが、かわいそうでしょうがない」と、泣きそうになってしまいました。
たしかに、詰めれば座れた広さではありました。でも、私には、相席でごはんを食べることなんか、全然考えていませんでした。たとえ、おとしよりでも。
やっととれた席なんだから、家族だけでゆっくり食べたい、それしか考えていませんでした。
でも、りんは、違っていました。
自分のことよりも、おじいさんたちをゆっくりさせたい、というそれだけの、まっすぐな気持ちでいたのです。
わたしは、自分がすごく恥ずかしくなりました。
いくら、疲れていたとはいえ、自分たちさえよけりゃ、それでOKという気持ちでいたんですから。他人を思う余裕など、これっぽっちもなかったのが、正直なところです。
りんの、まっすぐな優しさに、人を思う気持ちをおしえられました。
ああ、私は、何年生きてきたんだろう。いつから、こんなに自己中心的になってしまったんだろう。と、情けなさと、寂しさでいっぱいになりました。
ふつう、親の背中を見て子は育つと言われますが、全くの逆です。りんに教わることが多くて、私のほうが育てられているんです。
この前も、「あのおじいさんのこと思い出すとかわいそうになってくる」と言って泣いていました。
こんな親だけど、りんにはずっと心優しい人として育って欲しいと念願してやみません・・・
そして、私自身も、まだまだ成長していきたいと思っています。