喧嘩の理由~あんこ編~

私の家頁を見ていれば、私が美食家であることは
一目瞭然である。 そうか?
私は美味しいものが大好きだ。
古今東西美味しければ何でも食べる。

中国旅行をしたときは天国だった。
中国人の友人が毎晩のように美味しいレストランへ
連れて行ってくれて私は死ぬほど食べた。

ヨーロッパに来ても美味しいものを追求する私だが、
残念なことに食べ過ぎるとすぐに太る。
かなり急速に太る。 太った。

太るだけではなく、胃も痛くなる。
二〇〇三年夏、私がドイツで羊さんと40日間を
ともにしたときも、私は胃の調子が悪かった。

どうにもこうにもいかなくなった私は、
とうとう日本の母に、胃薬をドイツに送ってもらうことに。
その際に、何か他に欲しいものはないかと聞かれ、
私はすかさず
「あんこ」
と答えた。

美食家の私はチョコレートだって大好きだ。
けれどもあんこだって大好きなのだ。

荷物を待つこと一週間。
私はあんこが到着するのが待ちきれなかった。

ある朝、郵便屋さんがやってきた。
私と羊さんはまだ寝床にいたが、
ベルが鳴るのを聞いて、
羊さんはドアを開けに行った。
(私は寝床に留まった。) 面倒くさがりや。

胃薬の到着!そして便秘薬も到着。
そしてメインは・・・・
あんこ。

さすが私の母。
最中を入れてくれました。
私はこの最中ってやつが好きでねえ・・。

そして季節が夏なだけに、
彼女は水羊羹まで入れてくれました。

さとっきーな、天へも上る気持ちです。

日本からの宝ものに浮かれている私。 きゃっほー!

せんべいまで入っていて、寝起きだというのに
ばりばりと食べ始めました。

さてこの日は私の両親から羊さんへの贈り物も
同時に届きました。
私が世話になっているから何か送ってくれと頼んだのですが。
両親が札幌にいるので、六花亭のお菓子などを
詰め合わせをほんの感謝の気持ちにと。
私が事前にメールで、ドイツ語で感謝の言葉を
両親に教え、これをそのままカードに写して書け!
と頼んだので、ドイツ語のメッセージ付き。

羊さん、かなり喜んでました。

美食家の私は一人で美味しいものを食べるよりも
誰かと美味しいものを分かち合って食べるのが大好き。

いつもだったら家族や気の合う食道楽友達が
私の相手になるのですが、
私はドイツにいます。

よって、彼らはそばにいません。

一番そばにいるのは・・
羊さん。

私のターゲットは当然羊さんになりました。

まず自分がバリバリと食べ始めたせんべいを与える私。
「塩辛すぎる」
といまいちの反応。
ま、そんなこともあるさ・・と気を取り直した私。 でもちょっとむかついてしまった。


着替えてから、メインの最中に手を出します。

最初の一口目はもちろん私が・・。

ああ・・・ あんこ が舌の上で阿波踊り踊ってるわ・・。
最高に幸せな気分の私。

羊さん、そばでボーっとしていました。
だから、
「はい、口開けて!」
と私は促すのですが、恐れをなしたのか拒否されました。

これがちょっと気に障ったさとっきーな。
でもめげません。

「これはね、日本の伝統なの。
  ヨーロッパで言うチョコレートなんだから。」

あまり興味のなさそうな羊さん。
そもそもそれは一体何なんだと問われ、
「豆の一種をペースト状にしたもの」
と答えました。

すると嫌そうな顔つき。 これもむかついた。


宣戦布告?


急に悲しくなってきた私。


「ひどい・・・ひどい・・・
  私は日本人なのよ。 あんこ って私の文化の一部よ・・。
  それを食べもしないで拒否するなんて・・・。
  私にとって食は文化なのに・・・。
  あなたはそれを拒否するの?
  こんな調子じゃ国際カップルなんて絶対無理よね・・・。」

こんなこと言われたら断れない羊さん。

でも私、羊さんもきっとあんこが気に入ると思っていたんです。

あんこを私が彼の口に入れたその直後・・・

彼は廊下に出て行き、トイレへ向かいました。

え・・・?

いくら食べなれないものだからって・・・トイレ・・?

ぷちっ。

さとっきーなキレました。

そして泣き出してしまいます。
泣き出したら手に負えないのがさとっきーな・・・。

「ひどい!いくらなんでもひどい!  
  私の文化を侮辱している!!!
  だいたいね、相手の文化も受け入れられないんじゃ無理よ!
  あー!やっぱ私ドイツ人と一緒にいたくない!」


「でもたかがうんこじゃないか。」 (あんこ、の意)

「たかがうんこ~?うんこは日本のデザート全般カバーすんのよ!
  羊羹、最中、あんみつってね!」


「たかが食べ物じゃないか。」

「たかが食べ物~?毎日のことでしょう!重要よ!
  たかがなんて言わないでよ!」

「でも他にも食べるものはあるじゃないか。」

「でも あんこ あんこ じゃない、うわー!!!!」

とやたらあんこを擁護する私でした。
今思えばくだらない話ですが、
当時の私には最重要問題でした。
私にとっては、愛する人と、大好きな食べ物の美味しさを
分かち合えないことがとっても悲しかったんです。

ちなみに、この日午後からお城見学に行く予定だった私たち。
この「あんこ騒動」のおかげで
私のへそは完全に後ろに移動し、
お城見学どころじゃなくなってしまいました。
私の機嫌は夜まで直らなかった。


今思えばそんなこと流してお城見学に行けばよかったのに・・・。
あ~あ。

やっぱり、バカップル。





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