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~RO Novels~ 第五章 信頼のゲフェン編 突入
第四章~オーク村編3
Ragnarok Memories
第四章 ~怒涛のオーク村編3~
九節:~オーク村~
何かに揺すられる感覚を受け、バーネットははっと目を覚ました。あまりに急な事だったので、思わず自分の腕辺りをつかんでいたルナの手をパンッと叩いた。彼女もびっくりして思わず尻餅をつく。
「な、てめぇ、ルナ様になにしやがる!」
同様にびっくりしたようにハワードが言うと、すぐさまルナに駆け寄った。
「どうしたの、バーネットさん。すごい魘されてたみたいだけど。」
ソレーユが水の入ったコップを渡すと、彼は「すまない。」と一言だけ言って水を口に含んだ。
「お化けの夢でも見たんじゃねえの?」
ケラケラと笑いながら、ニケがバーネットの頭を人差し指で突く。
「ニケさんじゃないんだからぁ。そんなわけないと思いますよぉ。」
心配そうに垂れた目をバーネットに向けるオワゾーネは、どこか悪くないかしらと少し興奮気味だった。
(…昔の夢を見るなんて珍しいな。)
静かに空を見上げると、輝く太陽が昇り、木々の木漏れ日が入ってきていた。そして、全身の汗と共に、恐怖心が消えていくのを感じると、初めて大きくため息をつく。
「…ちょっと
怖い夢を見ていた。
」
そう言ってもう一口水を飲む。その意外な答えに一行は驚いた。そして、なんとも言えない表情で彼を見返す。
「……なんだ?」
「いや、何でも。」
しかし、みなは同じ事を考えていた。
(バーネットの怖いものってなんだろう?)
一行は太陽が南中しないうちに簡単に身支度を整え、アダモニスに連れられてオーク村を目指した。その過程で何人かのオークに出会ったが、やはり何かと視線に冷たいものを感じてしまう。その度にアダモニスが「ユミルの旅の巡礼者ダ。」と説明しなければならなかった。もちろん、説明をしたところであまり態度に変化はなかったが……
「ツイタ!ここオラたちの村ダヨ!」
アダモニスがそう声をあげて村の入り口の門をくぐったのは、それから2時間後の事であった。昼間だと言うのに、上空の厚い雲も助けてよどんだ雰囲気の村だ。所々に焚き火が敷いてあり、そこに数人のオークが寄り添うようにして何か話している。もちろん、ソレーユたちを見ながら。
「あんま歓迎されてねえみたいだな。」
アダモニスの話を聞いてはいたが、実際無愛想なオークを見ると、何かモヤモヤしたものを感じずにはいられなかった。
「ゴメン。デモ、これ全部ジゲーヴィのせいダ。みんなオーク救ってクレル、ハーツレンさん言ッテタ。ほら、あそこ見てヨ。」
彼は右手で小さなテントを指差した。土色の、簡素ではあるがかなり高級なテントのようだ。しかし、そのテントの地面にさらに大きなテントを張っていた痕跡もある。どうやら、アダモニスの言った、ハーツレンの肩身が狭くなっているというのは本当のようだ。
「あそこハーツレンさんイル。オラ、父ちゃんにユミルの旅一行が来た事言ってクル。あそこで待ッテテ。」
そう言ってスタスタと村の奥へ消えていくと、一行は途端に心細くなった。
「よう、早くハーツレンさんのいるところに行こうぜ。」
「そうね、早く行きましょっ!」
一行がテントの前まで来ると、中から声がした。
「ああ、待って!足元にオークたちがいたずらした穴があるから気をつけてな!」
驚いて先頭を歩いていたニケが足元を見てみると、確かに足がちょうどすっぽり入ってしまうぐらいの穴が掘ってあった。間一髪、彼は難を逃れた。
「それと、急に止まるな!後ろの友達が突っ込んできちゃうよ!」
しかし、その忠告は遅かった。急に止まったニケの後ろ、ソレーユとルナ、オワゾーネがぶつかり、彼の足は見事穴の中に入る。
「なんだよ、ニケ。急に止まるなって。」
自分より小さくなってしまったニケを見て、ソレーユは笑いたい気持ちを必死に抑えていた。
「あのなあ、声聞いとけよ。」
「悪い悪い!忠告の順序が逆だったらよかったかな?」
突然後ろから声がして今度はソレーユたちの方向につんのめるニケ。見上げてみると、そこにはバーネットと同じぐらいの身長の、片目を眼帯で隠したマロン色の髪を無造作にしている男が笑いながらこっちを向いていた。
「僕の名前は…ま!アダモニスから聞いてると思うからいちいち言わないけど、君たちはユミルの旅の巡礼者だよね?」
そう言って、赤色の瞳を輝かせながら、一行をぐるりと見回した。
「はい、私たち、アダモニス君に言われてあなたに会いにきました。でも……」
「おれたちが"オークを救う"ってどういう事だよ?」
ルナの言いたい事を察したのか、はたまた先ほどの事を根に持っているのか、ニケが鋭く話を切り出した。
「おや、アダモニスから聞かなかったのかい?君たちがオーク村の巡礼をする事でオークは救われるのさ。」
その言葉にきょとんとした顔でハーツレンを見返す一行。それを見て彼は、柔和な顔をさらに柔らかく綻ばせた。
「もしかして、君たちは本気で僕が未来を見通す占いをできるとでも信じているのかい?」
再び目をまるくして見返す一行。さらに、ハーツレンの顔は柔らかくなる。
「そうだなぁ、じゃぁ君たちには特別にマジックの種明かしをしてあげよう。」
そう言ってテントへと向き直り、入り口にかかっていた布を手で押し上げた。そして、中を見るように指で合図した。それに従い、そうっと中をのぞいて見る。
「な!!」
「これはっ?!」
「おお!!」
「ええ!?」
「すごーぃ!!」
中には山積みにされた本が所狭しと散乱していた。棚という棚の上に入りきらなくなった本が積まれてさえいる。よくこの狭いテントに入りきるという量であった。
「いい反応だよー。最近生の反応をしてくれるのがアダモニスだけになってね。っと、これが僕が占いをできる種さ。」
「で、でもどういう事だよ?」
「わからないかね?」
ルナやオワゾーネが中に入って本を触りにいくのを尻目に、ニケがハーツレンに尋ねると、彼は急に学者さながらオホンと咳をしてかしこまった。
「いいかい、世の中に起こるほとんどの事象は全てこの数百年という歴史の中で必ず一度以上起きている事なんだ。つまりだね……」
「
"古代人が歴史を守り伝えた意思を受け継ぐことが、未来を知る事に繋がる。"
」
びっくりして顔をあげるハーツレン。そこには、目隠しの裏から突き通すような眼差しを向けているバーネットがいた。一行も固まる。
「……俺の師が生前、口癖のように言っていた言葉だ。
とある一族
に伝わる古い言い伝えだそうだ。」
「じゃぁ君はもしかして……」
ハーツレンが次の言葉を言おうとしたその時、ドタドタと入り口で物音がするのが聞こえた。誰かが穴に入ってしまったようだ。
「クソッ!こんな所罠仕掛けるトハ、やはりあの男もジゲーヴィと同じ人間ナンダ!!」
「マテ。人間の力でオーク村の地盤これだけ掘るの不可能。オークの誰か悪戯したダケダ。」
「どっちにしろ同じダ!オイ、ハーツレン!巡礼者!族長が会われるソウダ!!謹んで我々ツイテコイ!!」
「やれやれ……」
ちらりとバーネットの方を見て半笑いしながら、手前に置いてあったカバンを持ち上げた。
「そいじゃ、みなさん。族長(オークヒーロー)アダモさんに会いに行きますかねぇ。僕が先頭歩くので、みなさんは後に続いて僕の真似をしてくださいー。」
一行はテントから出て、ハーツレンを先頭に二人のオークに連れられて族長の家へと向かった。
族長の家はそこから200mほど離れた場所にあった。鉱石を多く含むゲフェン地方独特の土で固められたかまくらのような形をした家で、他のどのかまくらよりも大きい。一行はまず入ってから、ドアの前に立つ体の青いオークに出会った。普通のオークよりも一回り大きい彼らは、オークとは別に、ハイオークと呼ばれている者らしい。体が大きいだけ力も強く、知能も高い。特に族長を守る"オークロード"という地位にいるハイオーク(一行の目の前にいるのは彼ら)はそこらのグラストヘイム副官クラスよりよほど強かった。盾を擁して、ソレーユたちを一瞥すると、再び気をつけの姿勢に戻る。
「武器を置いて行け。巡礼者を疑いたくはないが、そうする他ないのだ。」
流暢で、オーク独特の訛りもない声を聞くと、関心させられてしまう。みなは言われた通り、主要の武器をハイオークに渡した。それを拝謝して受け取ると、ドアを開けた。
中に入ってしばらくは口もきけなかった。目の前には2人のオークの女性にはさまれ横になっている、ハイオークよりもさらに大きなオークが横になっていた。ジゲーヴィにやられたのであろうか、体に多くの傷を負っているらしく、体中に赤いものが滲み出た包帯を巻いている。しかし、その鋭い黄色の両の目は一行を鋭く睨んでいた。さっと、両脇のオークレディが巨大なオークから離れる。ハーツレンが立てひざをついてお辞儀しようとしたが、「やめい。」と一喝され留まった。
「人間ごときにそのような行為をされる筋合いはない。そして初の者共よ、余がオークの族長"アダモ"である。して、お前たちが巡礼者というのは本当か、んん?」
重々しく口を開いたアダモの声には、恐ろしいまでに伝わる人間への憎悪が込められていた。返答次第では今にも怒鳴り散らされそうだ。
「…はい、族長様。私たちはユミルの旅をする者です。いろいろ悪い事が起きたと聞いていますが、どうか私たちを聖地へ入れてください。」
言葉を選ぶように話すルナ。それを聞いたアダモはふんと大きく鼻を鳴らした。
「悪い事が起きたと知っているのなら、余がお前たちに言い渡す答えも自ずと分かる程度の思考を人間は持っているはずだが。」
「聖地に入れないってこ……!!」
たまらずニケが反論しようとするが、後ろのバーネットが腹を殴って最後まで言葉が続かなかった。
「ふん!何と言われようが余は考えを変える気はない。これを見よ。」
そう言って右側のオークレディに合図すると、彼女は奥から大きな冠を持って横になっているアダモの前に置いた。純金の輝きを放っている王冠だが、真ん中ちょうど眉間の辺りに深く抉られた傷がある。
「ロード・オブ・デスの終焉より御先祖様方が大切に守りしこの兜。みなは"オークヒーローの兜"と呼ぶが、これがオークにとってどれほど大切なものであるか、人間には考えが及ばなかったようだ。」
それを見て一行は完全に沈黙してしまった。言いたい事は山ほどあったが、的を得た言葉が浮かばなかった。そんな彼らを見て少し鋭い眼光が和らぐアダモ。だが、考えを正すように頭をぶるんぶるんと振った。
「分かったか。この通り、余は人間の指図は受けぬ。早々に立ち去るがよい。だが、せめてもの義理は通し、一晩だけ村に滞在する事は許可しよう。」
一行はお互いの顔を見合ったが、良い考えは誰も浮かばず、ひとまずその場を去ろうと回れ右をしたその時。
「待ってください、アダモ様。」
そう言ってアダモの方へ一歩進んだのはハーツレンであった。
「僕の占いによりますと、彼らがオークを救う救世主であると出ております。この事を推し量りますに、彼らを今帰してしまうのは得策ではないでしょう。」
「お前が本当の事を言っている証拠などどこにもない。」
すると、少し考える素振りを見せて、にこやかに受け答えた。
「ではお聞きしますが、2ヶ月前、村の洪水を予言し、堤防を築かせたのは誰でしたか。そして、その1ヵ月後の雨不足も予言して水を蓄えさせたのは誰でしたか。それに…」
「そんなものでは証拠にならん!」
ハーツレンの言葉を遮るように怒鳴るアダモ。それを聞いて彼も負けじと珍しく声を荒げた。
「あなたは三段論法という言葉を知らないのか!いつ、どこで僕がオークに不利な嘘をついたというんだ!そして今。前にも増してそのような事はできない状況にあるのに、なぜ僕がこの村に留まって巡礼者を庇う嘘をつく必要があるんだ!そう考えれば必然的に答えが出てくるはずでありましょう!」
三段論法とは、大前提と小前提という二つの結論から必然的に第3の結論が帰結するという考え方である。AとBが同じでBとCが同じならば、AとCは比べるまでもなく同じであるというこの論証方法が、彼の行う占いにも反映されており、過去から未来を割り出せるのだ。
「だが、もしお前の言うとおりでなかったとしたらどう責任を取る?」
「その場合は僕を殺して構いませんよ。ええ、構いませんとも。八つ裂きにして食べてもいいですよ。もっとも、おいしいかどうかは別ですが。」
そう言ってハーツレンはソレーユたちにウインクした。彼らはあまりの急な申し出に何も言えなかったが、アダモはそれを聞いて高笑いした。
「面白い、やってみよ。巡礼者よ、オークの聖地"オークダンジョン"に入ることを許そうぞ。だが、条件がある。制限時間を設けるものとする。期限は……本日、月が南中するまでだ。また掟により、聖地に女が入ることは許さない。」
「な!全員で入らせろよ!」
「いかんいかん!だが、悪いようにはせん。お前たち男が無事精霊の加護を受けることができたならば、ハーツレンと女共は解放しよう。」
「じゃぁ俺様は残るぜ。アダモの言ってる事が信用できないからな。二人のか弱いレディーのボディーガードだ。」
ハワードのもっともらしい言葉なので、あえてソレーユたちは反論しなかった。
「好きにせよ。では、行くのは男三人でよいな?準備ができたら聖地前にいる我が息子に指南してもらうがよい。」
――一行はアダモ謁見の間から出て、ハーツレンのテントに戻った。彼は何かと物入りだろうと道具を三人に貸してくれるらしい。
「でも、ハーツレンさん。大丈夫なんですか?関係ないあなたまで……」
ルナが申し訳なさそうに尋ねると、いつもの柔らかな顔で受け答えた。
「なになに、日常には少し刺激が必要なんだよ。占いの知りえる範疇ではない事を体験するのも楽しいだろうしね。」
まるでピクニックにでも行くように目を輝かせて、ソレーユにカンテラを渡した。
「それと……君に武器があるようには見えないんだけど……いつも素手だったのかい?」
「おうよ!男たる者、拳の熱い勝負だ!」
ニケの言葉に「もっともだ。」と笑いながら、机の下にあるナックルのような物を取り出し、ニケに渡した。
「実は僕も少し武術の嗜みがあってね。それで、これは研究の過程で作った
"フィスト"
というものなんだけど、これを使ってみてくれないかい?手の甲に張り付くようになって素手と変らない感触なんだ。でも、岩とかを叩いても全然痛くない。でも、僕以外の人が使えるかどうかはやった事ないんだ。」
手渡されたフィストを品定めするようにくるくると回してから両手につけてみた。そして、カンフーのような構えをとってみる。
「軽い…何もついてねえみたいだ。でも、壊しちまうかもしれないぞ。」
「いいよいいよ、もう作り方はわかったし。壊れちゃえば、耐久力が足りないってデータにもなるしね。それと……」
そう言ってバーネットの方に目をやった。彼も同じようにハーツレンを見る。
「
なぜ君がお父さんの言葉を知っているかは何となく想像がつく
よ。でも、少し聞きたい事もあるし、君も同じだろうから、もしお互い生きてたら話そうかね。今、聞いても死ぬかもしれないんだし、時間の無駄だろうー。」
ハーツレンがそう言うと、バーネットはふっと笑い、わかったと頷いた。
「そいじゃぁ、いってらっしゃいますか。可愛い女の子たちも帰りが遅いと心配だろうから、適当な緊張感ぐらいは持っていきなよー。」
ハーツレンのテントからオークダンジョンの入り口までは、30分程度歩き続けた。もう他に家も無くなり、木々が鬱蒼と生い茂っている中に、アダモニスの姿を発見する。彼は前と変らない格好で、小さな手でカンテラを持って一行を待っていた。足は気持ち震えて、鼻水も出ている。ハーツレンたちの姿を確認すると、すごい勢いで片手をあげて場所を示した。全てを飲み込むような真っ暗な闇の入り口が一行を待っていた。
「ヨウコソイラッシャイマシタ。巡礼者ノミナサマニハ……」
かんぺでも読むようなぎこちない言葉遣い。ニケはため息をついて、アダモニスを担ぎ上げた。
「コ、コラ!まだ口上済んでナイ!!」
「んじゃ、頑張ってくるわ。」
アダモニスを無視して片手をあげるニケ。ソレーユ、バーネットとそれに続いた。
「いってらっしゃい!早く帰ってきてね!」
「頑張ってくださいょ~。わたしこんなところで待ち死にたくないですから~。」
「二人の事は俺様に任せて、全速力で片付けてこいよ!」
「アダモニス、指南頑張ってきなさいよー。」
見えなくなるまで、ルナたちは声を掛け続けた。やがて、3人が中へ吸い込まれていくと、4人は静かに元来た道を戻っていった――。
十節:~"阿修羅覇凰拳"~
中はフェイヨンの洞窟を思い出させる造りになっていた。狭い道があちこちに点在し、指南無しに中に入った者はたちまち迷宮の虜になってしまうだろう。しかも、決まりの悪い事に中は非常に蒸し暑い。ゲフェン地方の固い岩盤が空気の通りを悪くしているのか。そんな中、アダモニスを先頭にした3人は、言葉少なく彼に従って歩いていた。それも、かなりのペースで。
「あとどれくらい歩くんだよ?」
さすがに疲れてきたのか、ソレーユが速度を緩めてアダモニスに尋ねると、彼は前を向いたまま答えた。
「あと少しダ。デモ、仲間助けるナラ、早い方がイイ。」
「そうだぜ。ったく、これぐらいのスピードで歩けねえとは情けねえ。」
その言葉に、ソレーユは何か言い返そうとしたが、バーネットがそれを止めた。
「…止せ。言い合いをしている暇はない。アダモニスの言うとおり、1分でも早く着いたほうがいい。馬鹿の言う事など放っておけ。」
ニケはそう言われて黙ってしまったが、バーネットの言う事は実際正しかった。
再び、しばしの沈黙のまま歩き、ゴツゴツした場所を越えると、そこは一本道だった。
「この先オーガニス様イル。オラたちオークは儀式の時以外これ以上入ってはイケナイダ。ここで待ッテル。」
アダモニスはどこかさびしそうに3人を見上げた。
「……そうか。ご苦労だったな。立派な指南であったと、アダモに報告しておこう。」
バーネットがそう言うと、少し照れくさそうに笑った。しかし、急に真面目な顔になり、両手を後ろで組む。
「時間無いのわかッテル。デモ、一つ聞いてイイカ?」
3人は顔を見合わせることなく頷いた。
「世界回るの楽しいノカ?」
意外な質問だった。てっきり「なんでユミルの旅をしているのか」と聞かれると思っていた3人は、面食らう形になった。
「おれたちは楽しみで回ってるわけじゃないんだぜ?ユミルの旅を施行するためにやってるんだ。」
「……しかし、一番楽しんでいるのはお前じゃないか?」
「な?!何だと!」
しかし、否定しきれず赤くなるニケを見て、ソレーユもアダモニスも笑った。
「……実際楽しまなければ、やっていけないだろうな。世界を救う事を常に考えているのは精神的にも辛い。そういう意味で世界を回るのは楽しいのかもしれん。」
「そうナノカ……アレカ、世界にはいろんな場所がアルンダナ?」
「おうよ!まだ魔法が生きてる町"ゲフェン"、でかい時計がある"アルデバラン地方"、空中に浮いてる"シュバルツバルト共和国"、グラストヘイム王国とそこをわける国境"エルメスプレート"に、大河の国"アマツ"とか、いろいろあるぜえ!あげたらきりがねえ。」
「
……たった一本の道が変わるだけでその後の人生は大きく変わる。それが受動的に変わってしまうのか、それとも能動的に変えるのか…
それは自分で決める事だが、時として思いも寄らぬ事が人生には起きる。動くならば早い事に越したことはない。……何だ?」
ニケとソレーユがじろじろと見ていた視線に気づき、一度咳払いをした。
「いや、お前がそんなに真面目に物事を考えてるとはな、と思ってな。」
「学者みたいだよ!」
「……お前たちのようなお子様とは違うんだ。まぁ、そういうわけだ、アダモニス。」
しばらくアダモニスは黙っていた。それから、大きく頷くと、にっこりと3人に笑いかけた。
「勉強ナッタ。アリガトウ!」
「いえいえ、んじゃあ行きますかっ!」
「気をつけろヨ、絶対死ぬナイゾ!」
歩いていく3人の姿が見えなくなるまで手を振り続ける。それが終わったところで、アダモニスはそこに座り込んだ。
「早く行動した方がイイノカ……」
アダモニスと別れた一行はしばらく歩くと、やはり広間に出た。プラネタリウムのような形をして、奥にはこれもやはり祭壇があった。さまざまな供え物が置かれている。ふと、祭壇の両脇にあった燭台が急に青い炎を灯した。そしてその一部が空中に浮かび上がり、くるくると回りながら重なりあった。すると、ボワっと大きなオークの影が現れる。それは徐々に具現化していき、やがてアダモと同じぐらいの大きさの、黄金に輝く兜を頭に掲げ、両手にこれも大きな盾と斧を持ったオークとなった。
「我が名は"精霊オーガニス"。500年前ユミルと共にロード・オブ・デスに終焉を与えた者。我問う、お前たちはユミルの旅を施行する者か。」
「そうです、オーガニス様。どうか、俺たちに力を貸してください。」
いつもならばルナのセリフなのだろうが、今はいないので今回はソレーユが代わりにうろ覚えで答えた。オーガニスは大きく頷く。
「だが、今我らオークは人と絶対境界まで差し掛かっている。我は精霊であると同時に紛れもなくオークの一員であった。どうして彼らの意を無視できようか。」
そう言って斧を構え、ソレーユたちに向けた。
「なっ?!精霊様まで何を言い出すんだよ?!俺たちはユミルの旅を終わらせなきゃいけないんだぞ!!」
「分かっている。……だが、お前たちが我の神器を所有するに相応しいかどうか、見極めさせてもらう。少し厳しくなるがな!」
オーガニスは大きくジャンプして、3人の真上に飛び上がった。一斉に違う方向へと逃げるソレーユたち。彼はそのまま、その場所へ着地した。
「スタンプレス!!」
凄まじい音と共に硬いはずの地盤が波紋を描いてもりあがる。すかさず、その波動の逆からバーネットがカタールを構えた。
「グリムトゥース!!」
そう叫び、地面に向かってカタールを突き刺すと、そこから新たに地面の波紋が生まれた。そしてその波紋はオーガニスのものを相殺する。
「さすが、バーネットさん!」
「ほう……なかなかやるな。だが、その腕はもう使えまい。」
キラリとバーネットの目隠しの下から汗のようなものが滲み出てきた。右手のカタールに皹が入り、それを持つ彼の手は震えていた。
「この硬い岩盤にそれだけの威力を打つとはなかなか。お前ほどの手馴れなら自らを守るだけならば、造作もない事であったろう。だが、異なる方向にいる2人の方までその波動を伝わらせるには、少し華奢だったな。」
バーネットは黙ったまま、静かにその場所に腰を下ろした。「くっ…」という苦痛の声と共にカタールを外す。
「バーネット……」
それを聞いて、ニケは初めて、心からバーネットという男を知った気がした。
「……ニケ、ソレーユ。奴にももう使えない物がある。攻めきれ。あの
盾
は壊した。」
一瞬驚いた顔をして、オーガニスは恐る恐る盾を持ち上げてみると、中央に皹が入っていた。一突きでもすれば確実に真っ二つになるだろう。
「波動を我が盾にもぶつけただと……なんという怪力。最初につぶれるには勿体のない男だったな。」
そう言って盾を地面に置くと、斧を両手で構えて再び戦闘態勢に入る。
「はっ!」
そして、狙いをニケの方に向けて突進していった。彼も今度は立ちなおし、迎え撃とうとフィストをはめた拳を構える。だが、若干足が震えていた。
(すげえプレッシャーだ…攻撃が通用する気がしねえ。)
その言葉を見透かしたように、ニヤリと笑うオーガニス。
「お前の心には未だ恐れが見え隠れする。その程度の精神力で我に立ち向かった事を後悔せよ!」
とその時、彼は頭に何か硬いものが当たるのを感じた。途端にニケへの突進をやめ、硬い物が飛んできた方向を睨む。そこには、先ほどの衝撃でできた石を何個か持ち、オーガニスに向かって投げつけているソレーユがいた。足ががくがく震えているが、その目は確かにオーガニスを捕えていた。
「恐怖で体が震えているようだな……だが、脳がそれを拒絶しているのか、大した精神力だ。」
バカにしているわけでなく関心したように2,3度頷くと、ソレーユに体を向き直し、斧を構えた。彼はそのまま無言でオーガニスを見ていた。
「だが、実力が伴わなければ、愚かとも取れる。その行いがはったりなのか、それとも違うのか。示してみよ!」
今度はソレーユの方に地面を揺らして突進するオーガニス。その距離はみるみる縮まり、その圧力に負け、グラディウスを構える前に、しり腰をついてしまった。と、その時。
「鉄拳!!」
その掛け声と同時にオーガニスの体が横に吹きとんだ。そして、そこに新たに立っていたのはニケだった。
「ニケ!」
「ったく、お前を見てると危なっかしいぜ。……それにしても、すげえ威力だな。」
そう言って手の甲に装着されたフィストをじっくりと見つめる。
「グッ……」
しかし、すぐにオーガニスがくらくらする頭を抑えて起き上がってきた。
「なかなかの威力……だが、耐えられぬ程度ではない。」
ニケは、彼を真っ直ぐ見返し、静かに呼吸を整えた。そして、傍らにいるソレーユに聞こえるか聞こえないかぐらいの声で囁いた。
「昔、武道やってた親父と一緒に狩りした時、黒蛇王っていうでかいバケモノに襲われたんだ。そんで、その時親父がすげえ技で追い払ってくれたんだけど……その技、ずっと見よう見まねで練習してたんだ。親父が教えてくれねえんだもん。もちろん、できなかった。でも、今ならなぜか、できる気がする。」
そう言って今までに見た事のない構えをとった。両手で目の前の空間を囲うようにしている。
「何をする気が知らんが、我が身を砕くほどの攻撃ができるのか。」
オーガニスも今度は今までと比にならないスピードで突進してきた。しかし、ニケはその構えのまま動こうとしない。目を閉じて精神を集中させているようだ。
「散れ!」
斧を突き上げ、オーガニスが振り下ろす。まだ、ニケは動かない。
(親父……今使わなきゃいけねえ時なんだ!力を貸してくれ!!)
オーガニスの斧が触れるか触れないか、その刹那、かっと目を見開くニケ。
「うおおおおおお!」
あまりの覇気に、さすがのオーガニスも一瞬攻撃の手が鈍った。
(何という覇気…!!)
「人の世にあらぬ阿修羅道。世に降りて覇王とならん……」
そして、素早くオーガニスの懐に飛び込み、拳を構えて懇親の一撃を放った。
「阿修羅覇凰拳!!」
その瞬間、斧を放り投げたオーガニスの体は凄まじい爆発音と供に、空中に舞い上がった。
十一節:~オークと人間~
オークダンジョンの中はうってかわって静寂が辺りを包み込んでいた。そして、精霊の間では倒れたまま動かないオーガニスと、仰向けになったニケ、彼の横に座ったソレーユ、バーネットが次の動作を待っていた。
「大した威力だ……よもやここまでとは考えが及ばなかった。」
腹の真ん中にできた大きなへこみは、生物の物理的構造を変えてしまうほどの威力を生々しく物語っている。呼吸を乱しつつ、オーガニスは彼に賞賛を送った。
「へへへ……ちっとは見直してくれたかな、精霊様。」
傍らの2人に笑いかけると、大きく頷いた。ニケは両手のフィストを見つめた。少し皹が入っている。彼は満足だった。
「かっこよかったよ、ニケ!」
「……お前にしてはよくやったな。」
皮肉交じりの賞賛も混じる中、彼らがやってきた一本道から何かが走ってくる音がした。徐々に近づいてくる。そして……
「お前ら大丈夫カッ?!今すごい音シタゾ……せ、精霊様!」
声を荒げて出てきたのはアダモニスだった。3人を心配してやってきたのだろう、彼らに真っ先に近寄る。しかし、精霊が倒れているのに気づいてびっくりした。
「驚いたな……今のオークの中にも人間の事を慕う奴が残っていたのか。規律を犯してまで。」
ふふっと満足げに笑うと、オーガニスは立ち上がった。体の傷はすっかり癒えている。それを見て
4人
も精霊に向き直った。
「まずは……ご苦労。精霊の試練、少し厳しいものだったかもしれんが見事、お前たちは乗り越えた。我が神器を授けるに最も相応しい者を選ぼう。」
そう言って静かに目を閉じた。ゴクリと唾を飲む一行。すると、突然ニケの頭の上に光が現れ、それはドラムの形になった。
「我が神器
"怒涛のドラム"
はお前を選んだ。その肉体が朽ち果てようとも、味方のために尽くす先ほどの心意気を常に持つがいい!」
「これが……神器!すげえ!力がみなぎってくる!!」
「ヤッター!ヤッター!ニケ、神器手に入れター!」
少しの間、ニケは神器の持つ不思議な感覚を堪能した。それを、満足げに眺めていたオーガニスだったが、急に口を開く。
「お前たち、なぜオークは人間を恨む気持ちを持ったのか、それがわかるか。」
その言葉に、一行はしばらく考えた。もやもやと浮かぶものはあるけれど、言葉に窮してしまう。
「わからんだろうな。お前たち人間に我らの苦悩はわからんだろう。」
「そんな言い方されちまうと……」
「いや、それでいいのだ。オークはオークである。人間は人間である。魔法人シュバルツもまた人間である。属性が違うのだ。わからなくて当然と言えば当然だろう。だが、それが何だ?」
そう言って、右手の斧を力強く持ち上げると一声、雄たけびを上げた。そのあまりの勇ましさに全員が畏れたのは言うまでもない。
「属性が何だ!!我らは同じ世界に住む者、同じ時を共有している者!人だろうが、オークだろうが、幽霊だろうが、世界を共有する者に差などありはしない!あってはならない!!ロード・オブ・デスが何だ?!異次元より復活せし過去の異物などに、現世の者が屈してはならない!我らは属性という名の枠を超え、協力する事ができる!そうだろう?」
力強く頷くニケたち。それを見たオーガニスもまた笑顔に戻る。
「お前たちに一つ頼みがある。この……"オークヒーローの兜"を族長に渡してやってくれないか?」
オーガニスはゆっくりと頭の兜を取り外した。それを受け取ったニケは黄金の兜の重さにびっくりする。重量もそうだが、同時に刻まれた歴史の重みも感じた。
「必ず……渡すよ!」
「ありがとう、人よ。さぁ、お前たちは賭けの途中だったな。」
その言葉に、あっとなるソレーユたち。
「やばい!早く帰らないと…!」
4人が走り去ろうとする様子を見てオーガニスは笑いながらそれをとめた。
「私が入り口まで飛ばしてやろう。目を閉じるがよい。」
その言葉に従い目を閉じる一行。すると、体が浮かぶ感じがした。
「オークの子供よ。お前が族長になった時には、我が言葉を思い出すがよい。」
力強く頷くアダモニス。そして、一行はその場所から消えた。
目を瞑れば聞こえる。荒れ狂う波が如き、激しく揺さぶられる魂が如き、怒涛の勢いで、けれどもどこか優しいドラムの音……
4人が気づくとそこは、オークダンジョンの入り口であった。外はもうすっかり暗くなり、月が南中しそうである。
「早くいかねえと!急ぐぞ!!」
みんなはニケを先頭に走り出した。
その頃、アダモ家の前では、ハーツレンたちが火炙りのための組み木に登って3人とアダモニスの到着を待っていた。たちというのはもちろんルナとオワゾーネ、ハワードも指すのだが。その周りをたくさんのオークたちが囲ってはやし立てていた。真夜中の闇に、燭台の炎が不気味に映える。
「きたねぇぞ!俺様たちまでなんで殺されなきゃならないんだよ!」
そう言って柱にくくり付けられたハワードは体の紐を噛み千切ろうとしていた。ハーツレンも動揺を隠せない。
「そうです、アダモ様。話しが違いますよ。犠牲になるのは僕だけと言ったはずです。」
アダモの頭には深い傷のついた兜が、皮肉にも添えられていた。
「黙れ。もとより、人間に騙された我ら、人との約束を守ってやる義理もない。どの道彼らは誇り高きオーガニス様の裁きを受け、帰ってこれまい。お前たちの旅はここで終わるのだ!」
その言葉に、オークたちの歓声も一気に上がった。
「ソウダ!ソウダ!人間なんか殺してシマエ!」
「最低……これがオークの長のやる事なのですか?!」
ルナは怒りというよりもむしろ悲しみの眼差しでアダモを見つめる。だが、アダモの表情は変わらなかった。
「黙れ黙れ黙れ!人間ごときに……我らの悲しみがわかるか!誇りを失った我らの……気持ちがわかるか!」
彼は燭台から松明に火をつけた。それはゴオォっと燃え上がり、パチパチと乾いた音をたてる。
「ね~、ハワードさん~。どうにかならないんですかぁ?」
「申し訳ありません、モドワルセル。ただ、この紐さえとれれば、あんな輩。」
「済まない……アダモでもここまでやってくるとは思わなかった。君たちを巻き添えにしてしまった……」
うな垂れるハーツレン。しかし、ルナは優しく微笑み返した。
「大丈夫。きっとみんなが助けてくれるわ!私信じてるの……4人はまだ生きてる!時間もまだ少しあるわ!」
月はいよいよ南中に近くなったが、まだ何度かそれには及んでいない。だが、アダモは火をつけようと前に進んだ。
「おい!まだ南中してないぞ!」
「待ったところで奴らが来るわけでもあるまい。」
「やめろ!」
アダモが組み木に火をつけようとしたその時、彼の後ろから青い体のオークがすっと前に出て4人とアダモの間に立ちふさがった。
「な!?"オークロード"ともあろう者が人間に手を貸すのか!!」
彼はすっとアダモを見据え、首を横に振った。周りのオークの歓声が急に止む。
「だが、まだ南中はしていない。これ以上約束を破ろうというのなら、あなたはオークの族長を辞めるべきだ。
オークの誇りは……そんな陳腐なものではないはずです!
」
「フロイントリヒ……」
ハーツレンが感嘆の声を上げると、フロイントリヒは彼に向かって静かに微笑んだ。
「あなたは村の災いから我々オークを守ってくださった。それに、この巡礼者たちは世界を救わんとする偉大な方々だ。こんなところで朽ちるには惜しすぎる。」
「その通りだぜ!」
そこにいたみながびっくりして声のした方を見ると、ニケを中心にしてバーネットとソレーユがおぶさり、アダモニスがその前で勇ましく右手を上げていた。
「帰ってキタ……オーガニス様認められたノカ……」
「そんなバカナ……彼らは本物の巡礼者……?」
「オラたちすごく失礼な事したンジャ……」
「さぁ、縄を解きやがれ!」
勝ち誇ったように、口をあんぐり開けたアダモに命令するハワード。だが、アダモは顔をブルブルと振り、空を指差した。月はわずかに西に傾いている。
「だが、少しばかり遅かったようだな!すでに月は南中している!消え去るがいい!」
「や、やめろ!!」
誰も彼も、そこにいたオークたちでさえそう叫んだその時、組み木から凄まじい冷気が発せられた。
「一度頭を冷やすんだー、アダモ!"コールドボルト"!!」
ハーツレンが魔法を唱えると、空気中の冷気が凝結し、一本の大きなツララになった。それはアダモにまっすぐ向かっていき、彼の腹に命中した。彼はその勢いのまま自分の家に突っ込むと、気を失ってしまったようだ。異様な静けさが辺りを包み込む。オークたちはどうしていいか、わからなかったのだ。
「魔法?!……あなたはシュバルツバルトの方だったのですね。」
「最高のマジックは最後までとっておくものだよ。まぁ、何より君が何もしなくても、同じ結果になってただろうけどねぇ。」
そう言ってフロイントリヒに微笑みかけた。彼も笑顔を返し、一度深々と礼をしてアダモの手当てに向かった。
「ふぅ……遅いじゃねぇか!だからお前らは放っておけないんだ。」
「信じてたわよ!」
嬉しそうに4人に近寄るルナたち。
「おかえりぃ!」
オワゾーネはソレーユに抱きつくと、頭をくしゃくしゃと撫で回した。
「い、痛いよ、オワゾーネ!」
「アダモニス君も無事だったのね。よかった!」
「ホラホラ!見てクレ!"オークヒーローの兜"!オーガニス様からもらったンダ!!」
そう言って、自慢げに頭に輝く金色の兜を見せた。両手で支えていないと体を通過してしまうほど大きいのは言うまでもない。
「……精霊の神器は、ニケが授かった。」
「おめでとう!」
「僕のフィストは役にたったかい?」
「ああ!すげえ使わせてもらったぜ。皹入っちまったけどな。」
しばらくはお互い、無事の喜びを感じあったが、周りにオークたちが集まってきた。
「何かする気か…?」
「相手になるぜ。」
しかし、そうではなかった。彼らは合図もなく一斉に頭を下げ、土下座を始めた。
「ゴメンナサイ!巡礼者様傷つけてシマッタ!」
「この村壊さないデ!何でもスルカラ!」
「アア、偉大な巡礼者様!どうかこの村をお許しクダサイ!」
「何でもシマスカラ!」
口々にそんな事を言い始めるオークたち。どうやら巡礼者に
そういう力
があると思っているらしい。
「そ、そんな…お礼を言わなきゃいけないのはわた……」
ルナがとんでもないと言おうとしたが、ハワードがそれを止めた。彼はチッチッチと人差し指を立て、にやりと笑った。
「そうだなぁ、何でもするってのは本当かい?」
いやらしい目つきでオークたちを見るハワード。オークは怯えながら答えた。
「ハ、ハイ!」
「んじゃぁ…まずは、宴会場を設けて腹いっぱいになる料理持ってこーい!全員分だ!あと酒!とびっきりキツいやつを頼むぜ!」
「ハイ!今スグニ!」
オークたちはドタドタ、我先にと走り出した。その様子を見て、一行も大笑いする。
「悪い人ね。」
「問題ないよな、ハーツレンさん?」
「ああ、きっと彼らも何か罪滅ぼししてた方が楽だろうしねぇ。」
「よっしゃー!酒だー!」
オーク村での長い長い一日は終わり、これから夜が始まろうとしていた……
月は西に傾き、宴の準備が整う!
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